【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話   作:WhatSoon

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#18 ショック・ユア・ハート part2

シャワーヘッドから水が流れ落ちる。

 

 

「ん〜♪フフ〜♪」

 

 

オレは鼻歌まじりにバルブを閉めて、タオルを取り出す。

頭をガシガシと拭いて、鏡を見る。

 

そこには自信に満ち溢れたナイスガイが立っている。

長身、映える金髪……筋肉質な身体。

 

オレはシェービング剤を肌に塗り、カミソリを手に取る。

髭を剃り、水で顔を洗い、またタオルで拭いた。

 

 

オレの名前はハーマン。

ハーマン・シュルツだ。

 

歳は24。

職業は……そうだな、悪い男(バッドガイ)って所かな。

 

人呼んで『ショッカー』。

イカす名前だろ?

 

何でそう呼ばれてるかって?

ちょっと昔の話をしよう。

 

オレは昔、天才だった。

おっと、今もだけどな。

 

天才だったオレは、どんな金庫でもブチ壊せる手甲型の衝撃波発生装置……『バイブロ・ショック・ガントレット』を開発した。

 

ソイツを使って、そりゃあもう大暴れしたさ。

幾つもの銀行から金を奪って豪遊生活。

いつしか『ショッカー』と呼ばれるようになった。

 

……まぁ、長くは続かなかったけどな。

 

今思い出してもムカつくぜ……あのクモ野郎がオレをブン殴ってムショにブチ込みやがったんだ。

 

ムショで才能を持て余してたオレはフィスク……ウィルソン・フィスクの旦那に救い出され、今では忠実な僕ってワケだ。

 

オレの目的はただ一つ、あのクソッタレなクモ野郎をブチのめす事だ!

 

……あ、あとは金だな。

金は大事だ。

あっても困るもんじゃねぇ、そうだろ?

 

 

オレは衝撃吸収スーツを身に纏い、腕に『バイブロ・ショック・ガントレット』を装着する。

衝撃波を放つには、それなりのエネルギーがいる。

カートリッジ式のバッテリーが要るんだが……オレは予備を腰のベルトに装着する。

 

今回、『A.I.M』だったかと『ライフ財団』の用心棒をフィスクに頼まれた。

よく覚えてないが、今回の取引のセッティングをやったのがフィスクらしい。

 

オレはそれをスマートに終了させる為、用心棒をやってるって訳だ。

 

いつもの格好になったオレは、部屋の外で待機してた船の乗組員と共に移動する。

コイツらもフィスクの手下だ。

つまり、オレの同僚って訳だな。

 

 

「ここで少し待機していてくれ」

 

 

そう言われて部屋に入る。

部屋の中には黒いスーツ姿の強面共がいた。

 

……こいつら、素人じゃねぇな。

『A.I.M』のエージェントか。

もしくは『ライフ財団』の私兵か。

 

まぁ。

集まり方に微妙な亀裂がある。

恐らく2チーム、別々の奴等が集まって出来た集団だ。

 

なるほど、『両方』だな。

 

 

「ハーマン殿、今回の任」

 

「おっと……オレ様の事は『ショッカー』と呼んでくれ」

 

 

声を掛けてきた男の発言を遮った。

男が少し不機嫌そうな顔をするが……マスク越しに睨みつけて黙らせる。

 

この仕事は侮られたら負け。

つえー、こえーってのが大事だ。

 

相手をビビらせときゃ無駄な争いもしなくて済む。

自分へ有利に物事が進む。

 

椅子にドカッと座り込む。

 

 

「……ショッカー殿、今回の任務だが……もう一名、我々以外に外部の人間が来る。頼む、くれぐれも不躾な態度は……」

 

「あ?オレ様以外に雇ってんのかよ!オレ様一人で充分だっつーの!」

 

 

ビビる男にオレは声を荒らげた。

 

つーか、聞いてねェし。

んだよ、オレ一人じゃ信用なんねーってか?

 

舐めた態度にムカついて、オレは言葉を重ねる。

 

 

「誰を呼んだか知らねーが、オレ様がいれば万事上手く行く!足手纏いになるぐれぇなら邪魔だぜ」

 

 

オレがそう言い切ったと同時に、部屋の扉が開いた。

 

丁度良い時に来たぜ。

どんな面してるか拝んでやる。

 

オレは椅子の上から目線を向けて……ソイツを見た。

 

 

鮮血のように鮮やかな赤いマスク。

夜を煮込んだかのような黒いスーツ。

 

正直に言うぜ?

初めて見た奴だ。

初対面、見た事ねー面した奴だ。

 

だが、その姿の『噂』は知っていた。

 

 

レッドキャップ。

 

 

フィスクの下で働いてる奴なら、殆どの奴が知っている。

裏切り者、足手纏いをブチ殺しに来る暗殺者だ。

血も涙もなく、慈悲もなく、仲間だろうが何だろうがフィスクに敵対する奴は絶対殺す暗殺マシーン。

 

任務の遂行率は100%近ぇらしい。

少なくとも、オレが聞いた話では「失敗した」っつぅ話は聞かねぇ。

 

絶対に狙った獲物は殺す。

回避不能の弾丸みてぇな奴だ。

 

だがその知名度の割に、姿を見た奴は少ねぇ。

そりゃそうだ。

 

見た奴の殆どがブッ殺されて、この世に居ねぇからだ。

 

知ってるか?

フィスクの部下を一番殺してるのはレッドキャップだって噂があるぐらいだ。

 

誰も彼もがビビっている。

フィスクを裏切ればコイツが殺しに来るって、知ってっからだ。

 

 

無意識のうちに、オレは姿勢を正してた。

 

ヤベェ。

コイツはオレより『上』だ。

 

ビビるオレを前に無機質な赤いマスクが、オレの方へ向いた。

外からは顔も見えねぇし目線も見えねぇが、オレの事を見てるって事だけは分かった。

 

 

『随分な言い様じゃないか……ショッカー。どうだ?足手纏いになるか……試してみるか?』

 

 

男か女かも分かんねー声で、そう言った。

 

……あ?

何でレッドキャップがオレの名前を知ってんだ?

身体の熱が急激に冷めていく感覚に襲われた。

 

……マスクに目も鼻も口も無ぇ。

表情が無ぇ、声色も分からねぇ。

何を考えてるか全く分かんねぇ。

 

未知は恐怖だ。

目の前にいるのが人間だとは思えなかった。

言葉の通じねぇ猛獣の檻にブチ込まれたかのような恐怖だ。

 

オレは慌てて椅子から立ち上がった。

 

 

「じょ、冗談だって!アンタだって知らなかったんだよ、オレは。いや、アンタなら安心だ、ハハハ……」

 

 

ダサいと思われようが、舐められようが、それでもレッドキャップの機嫌を損なう方が怖ぇ。

オレが必死に弁明すると、レッドキャップは右手で自分の顎に乗せた。

まるで分からねぇっつう顔だ。

 

 

『そうか。なら良い』

 

 

そう言ってレッドキャップがこちらに近付き……オレは椅子から離れた。

 

 

『どうした?座って良いぞ、ショッカー』

 

「いやいや、ここはアンタが座るべきだ!」

 

 

この部屋に椅子は一つしかない。

元々それほど広くない部屋だ。

 

机に向かうように椅子が一つ……オレが座って、コイツが立ちっぱなし?

 

耐えられねぇ。

絶対に心が持たねぇよ。

 

 

『そうか、悪いな』

 

 

そう言って、レッドキャップが椅子に座った。

あぁ、そうだ。

この部屋の王様はもうオレじゃねぇ、この男だ。

 

 

……でも、何つーか、聞いてた感じとちょっと違うな。

もっとヤベェサイコ野郎か、喧嘩っぱやいシリアルキラーだと思ってたぜ。

 

それに、身長も何か小せぇし。

170……いや、無いか?

160cmぐらいか?

 

この部屋で一番小せぇんじゃねぇか?

偽物……にしては装備が整い過ぎてやがるし。

 

まぁ考えても仕方ねぇ。

 

 

『レッドキャップ』が椅子に座ったのを見て、財団だかA.I.Mだかの関係者が話を始めた。

 

取引は二時間後。

場所はコンテナ置き場の一角。

 

一時間後にここを移動って話だ。

 

は?

一時間の間、この狭い部屋で『レッドキャップ』と一緒?

 

ちら、と赤いマスクの男を見る。

『レッドキャップ』は無言で座っている。

……き、気味が悪ぃ。

 

間違いなく人生で一番気不味い一時間になる。

嫌な確信が、オレにはあった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

そして、取引の時間は来た。

 

私は息を吸い込み、重く吐いた。

 

船内のコンテナ置き場……その一角は不自然に空けられており、周りに人が隠れられるような場所はない。

 

天井も高く、上からの襲撃は無いだろう。

吊られた蛍光灯が時折音を立てている。

 

スーツを着た『ライフ財団』の責任者らしき男が、アタッシュケースを持っている。

 

白衣を着た『A.I.M』側の責任者が、それを受け取ろうと歩み寄った時。

 

 

突如、破裂音と共に暗闇に包まれた。

 

 

「何だってんだ!?」

 

 

ショッカーの困惑する声、周りの響めき。

私はマスク内の暗視機能を起動する。

 

……蛍光灯は無事だ。

傷一つない。

 

恐らく電源元が切断されている。

 

私は太腿のナイフを取り出し、右手に構える。

 

間違いなく敵襲だ。

 

周りのエージェント達も暗さに慣れてきた頃……。

足元に何かが投げ込まれた。

 

 

 

瞬間、閃光と轟音が放たれた。

 

 

 

衝撃はなかった。

爆弾ではない。

閃光弾だ。

 

恐らく船内である事を考慮した選択だ。

 

暗闇で目を凝らしていたエージェント達は目を焼かれ、轟音に三半規管が狂わされて足元が覚束ない。

 

ショッカーは……。

 

 

「ぐあああああああぁぁ!!目がぁあああ!!」

 

 

……あ、うん。

ダメそうだ。

 

……動けるのは私だけだ。

だが、私も万全とは言い難い。

 

機械を狂わせる電磁パルスも発生しているようで、マスク内の映像が乱れている。

音も、多少はマスクが防いでくれたが耳にダメージが入っている。

本調子では無い。

 

少しすれば治癒因子(ヒーリングファクター)によって治るが、事態は待ってくれないだろう。

 

 

黒い、疾風のような何かが駆けてくる。

 

来た。

敵だ。

 

 

私は武器を構えて、アタッシュケースを持つ財団員の前に立つ。

 

狙いは恐らく、このアタッシュケースだ。

 

 

夜風のように、しなやかに接近する敵へナイフを振るう。

 

敵の持っていた金属の棒とかち合う。

その瞬間、金属の棒から電撃が走った。

 

 

『……チッ!』

 

 

このスーツは絶縁仕様だが、負荷をかけられ過ぎればどうなるか分からない。

 

ナイフを押し返し、弾いた。

 

青いスパークが走り、一瞬、敵の姿が鮮明に映った。

 

顔は……夕方に会ったエージェントの女だった。

だが髪色は出会った時の金髪では無い、赤髪だった。

恐らく、潜入用の変装だったのだろう。

 

だが、あの時に受けた印象とは大きく異なる。

髪と化粧だけで印象が変わるのだから、女とは魔性だ。

 

服装は黒いライダースーツのような服。

そして腰のベルト、そのバックルに『赤い砂時計』のようなマーク。

 

だが、そのモチーフが砂時計ではない事を私は知っている。

正体は『クロゴケグモ』と言う毒蜘蛛が背に持つ模様だ。

ツヤのある黒い体に、鮮やかで毒々しい赤いマークがある。

 

そして、その『クロゴケグモ』。

……英名では、こう呼ばれている。

 

 

『『ブラックウィドウ』か……!』

 

 

ブラックウィドウ。

凡ゆる諜報技能のエキスパートであり、最高峰のスパイだ。

国際平和維持組織『S.H.I.E.L.D』に所属する最強のエージェント。

 

恐らく全ての技能に於いて私より上だ。

だが、超人血清による身体能力強化によって身体能力でのみ私が勝るだろう。

 

 

私は一歩踏み込み、ナイフを横に薙ぐ。

ウィドウは最低限の動きで回避し、私の頭にハイキックを繰り出した。

 

 

「……くっ!?」

 

 

だが、私に傷一つ付ける事すら叶わない。

理由は二つ。

ヴィブラニウム合金製のハイテクスーツによって衝撃が吸収される事。

そして、身体能力に差があり過ぎる事だ。

 

私は一歩も怯む事なく、ウィドウの足を掴みコンテナへと投げ飛ばそうとした。

 

だが、その瞬間にウィドウが片足で私の腕に纏わり付き、肩車のような姿勢に移行した。

 

死角の外に逃げられた私は、ナイフをウィドウへ向けようとし……。

 

 

『がっ……!?』

 

 

衝撃が走った。

 

未知の衝撃に身を震わせ、私は膝をついた。

振り返るとウィドウの腕に装着されていた腕輪が青く光っていた。

 

『ウィドウズ・バイト』。

そう呼ばれている様々な機能を持つガジェットだ。

 

ヴィブラニウムは既知の物理的な衝撃に強い。

だが、魔法由来であったり、宇宙科学的なエネルギーは吸収しきれない場合がある。

 

ブラックウィドウ、彼女はヒーローチーム『アベンジャーズ』の一員だ。

宇宙人や悪魔なんかと戦う時もある。

 

その装備の中には私では考えられないような、未知の技術を持った武器もあるのだろう。

 

私は立ちあがろうとし、膝が動かない事を確認した。

自身の首へ意識を向ける……。

 

思ったより負傷が激しい。

首の神経にまでダメージが入っている。

呼吸を整え、治癒因子(ヒーリングファクター)の活動を意識的に高めるが……それでも動き出せるのに10秒は掛かる。

 

その隙にウィドウが走り出し、財団員の持つアタッシュケースを奪った。

その勢いのまま、別のフロアへ向かって駆け出す。

 

 

襲撃から奪取、逃走まで1分足らずの出来事だ。

 

 

首の傷が治った事を知覚し、私は立ち上がった。

 

手数がいる。

周りを見渡すが……まだ誰も彼もが閃光弾のショックから立ち直れていない。

 

 

『私はケースを追う!立ち直り次第、援護を寄越せ!』

 

 

身悶えする彼等に声をかけて、私はウィドウを追う。

 

単純な走力であれば私の方が上だ。

 

だが、ウィドウは巧みに物陰や、隙間へと滑り込み、私が全力で走れないようにしている。

 

この逃げ方ならば、単純な身体能力の差で競えない。

 

螺旋階段を飛び降り、やがて駐車場の中へと入っていった。

 

ドアの中へウィドウが飛び込み、数秒遅れて私も入り……。

 

 

見失った。

 

 

目の前には百台近い車が並んでいる。

物陰は十分にある。

あの一瞬で遠くへ逃げられる訳がない。

恐らく、近く、何処かの影に隠れているに違いない。

 

だが、少しでも時間が稼がれれば、それだけで距離を稼がれてしまう。

 

私は超人血清によって強化された聴覚を頼りに、ウィドウを探す。

 

 

カチャリ、と何かが擦れる音がした。

 

私は目の前にある車の屋根を踏み台に、物音がする方へ飛び出した。

 

屋根を踏みつけ、凹ませながら着地する。

そして、物音がした場所を覗き見れば。

 

 

白いペンダントがクルクルと回っていた。

 

 

『しまっ』

 

 

突如、爆発が起こった。

爆発は小規模だったが、足元にある車ごと吹っ飛ばされてしまった。

 

……態々、もう船のダメージを気にしている余裕は無いと言う事か。

 

地面を転がりながら、視界の中にウィドウを捉えた。

 

彼女は爆発と同時に、私から離れるように走っていた。

私は即座に姿勢を立て直し、大きく腕を振りかぶった。

 

私は全力でナイフを投擲した。

普段のギャング共へ投擲する時の比ではないほど、力を込めた。

 

それは弾丸とほぼ同速の加速を得て、宙を引き裂き進む。

 

ウィドウが反応し回避行動を取ろうとするが、一手遅い。

 

 

「ゔっ!」

 

 

ウィドウの右肩にナイフが突き刺さり、鈍い悲鳴をあげた。

 

私は深く息を吐いて、立ち上がる。

後ろから誰かが近づいてくる。

 

 

「お、おう。何だ今のデケェ爆発音は……!?」

 

 

爆発音を聞いて追いついてきたショッカーだった。

 

 

『……遅かったな。ショッカー』

 

「あ、いや……わ、悪い」

 

 

申し訳なさそうに謝るショッカーを見て、私はそれ以上追求する事をやめた。

 

ウィドウは息を荒くし、横たわっている。

 

 

「……やっぱスゲェぜ、アンタ」

 

 

何か、ショッカーが私を褒め称えているが無視する。

人殺しの技能など、褒められても嬉しくはない。

 

私がウィドウに近づくと同時に、ショッカーも側に駆け寄った。

 

 

「なぁ、アンタさ……こいつをどうするつもりだ?やっぱり殺すのか?」

 

 

そう言ってショッカーが倒れているウィドウを指差した。

 

……私は自身の右手で顎を撫でる。

困った時の手癖だ。

 

 

『いや、この女にはまだ利用価値があるだろう。拘束し、フィスクに受け渡すべきだ』

 

 

兎に角、殺すつもりは無かった。

殺せ、と命令されていない限りは殺したくない。

 

それにブラックウィドウのようなビッグネームを殺せば……間違いなく私はヒーローチームに恨まれるだろう。

 

心情的な理由と打算的な理由。

その両方から「殺すべきではない」と結論付ける。

 

私が消極的な発言をすると、ショッカーは意外そうに肩を竦めた。

 

 

「あぁ、了解だ。だが拷問とかは目の前でやらないでくれよな、俺そう言うの苦手なんだよ」

 

 

首を押さえて、吐くようなジェスチャーをしている。

……こいつ、私を何だと思っているんだ。

 

一度殴ってやろうか。

 

……だが、いや確かに。

必要であれば拷問をする時はあるな、私も。

そう考えれば、過度に怯えているショッカーの『レッドキャップ像』もあながち間違いではないのかも知れない。

非常に不本意だが。

 

 

そう思いながら、ウィドウの手からアタッシュケースを奪おうとし……。

 

 

耳が高速で飛来する物体を感知した。

 

 

『避けろ!』

 

 

私はショッカーの腕を引き、その飛来する物体を回避した。

 

飛来した物体は円盤状だった。

その物体は車にぶつかり跳ね返った。

 

宙へ回転しながら飛び上がった『それ』を見て、私は息が止まるような錯覚を覚えた。

 

それは『盾』だった。

赤と白、青い円の中に星のマーク。

 

 

「……おい、聞いてねぇぞ……」

 

 

怯えたようにショッカーが呟いた。

 

飛来したシールドの所為で、ウィドウから距離を取らされた私達の前に……一人の男が現れた。

 

その男は左手を宙に突き出し、宙を舞うシールドを手に取った。

紺を主体としたスーツに、白と赤のカラーリング。

顔の上半分を覆うヘルメットの中心には『A』の文字があった。

 

 

「大丈夫か、ナターシャ」

 

 

そう言ってウィドウへ声を掛けたのは。

 

最も誠実で、強く、誇り高きヒーロー。

 

 

『キャプテン・アメリカ』だった。

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