ポケットモンスター 拳 〜超強い俺の嫁とめちゃくちゃに弱い俺の話〜 作:おしゃべりデブ
超強い俺の嫁とめちゃくちゃに弱い俺の物語。
『大変長らくお待たせいたしましたっ!!予選大会から激闘続きのこの大舞台っ!!その結末を決める戦いの火蓋が切って落とされました!ガラルスタートーナメント決勝戦がまもなく開始致しますっ!!』
実況者がマイクを片手にそう言い放つと、観客席からは大きな拍手と歓声が響き渡る。
スタジアムは煌々と輝き、新しい芝生の爽やかな匂いがツンと鼻腔をくすぐった。
その独特の緊張感、高揚感に心臓が波打ち全身に煮え滾るような血液が循環する。
「すぅ......はぁ。......いよいよですね、サボ。」
俺の隣でユニフォームに身を包んだサイトウが深呼吸をして笑いかける。
俺は汗がじっとりと染みでるくらいに握り締めたロケットペンダントを懐にしまい、ポケットからスカーフを取り出す。
「ああ、......それにしても、昨日の試合には驚かされたよな。」
ボロボロに履き古した靴の靴紐を結びながら、頬をペチペチと叩き気合を入れているサイトウに声をかける。
「ええ、......まさかあの二人がダンデさんとマスタード師匠のタッグチームに勝つとは...ふふ、まぁ、それぐらいは予想の範疇ですね。」
「へへ、まぁな。俺達もキバナさんとネズさんのタッグチームに勝ってここまで来たんだ。不思議じゃない。...もっとも、あっちには歴代最強のチャンピオンがついてるしな。負ける方が難しいだろ。」
ちらりと目だけを動かしてアイコンタクトを取り、強ばった表情を互いに崩す。
『まずは、Aブロック決勝進出タッグのご紹介ですっ!!』
目の前の控え室通路の入口から煙が吹き上がると共に二人の少年少女が登場する。
『元最強のチャンピオンダンデの実の弟であり、現在はポケモン博士の資格を取るために猛勉強中!のびのびとした自由な戦法が印象的です!ジムチャレンジの時とは違う飛躍した実力をとくとご覧あれっ!!背番号189番 自由爆発 ホップ選手ッ!!!!』
少年は歓声に応えるように大きく手を振り、スタジアムのセンターラインへと駆け抜けた。
『続いてっ!ガラル地方でこの名を知らない人は誰もいないでしょうっ!!かつて絶対王者と呼ばれていたダンデ選手を退き、見事その王座を奪い現在も公式戦無敗記録更新中っ!!!小さな背中に秘めた大きな力は正しく無限大っ!!現ガラルチャンピオンっ!ユウリ選手ッ!!!!』
少女は歓声にジャンプしながら応え、そのままの勢いでセンターラインのホップに並ぶ。
へへっ、あいつらはいつまでも眩しいなちくしょう。
「へへっ、久しぶりだな?あの二人と戦うのは。」
俺のその言葉にサイトウは口角を上げ笑って答える。
「そうですね。なんだかんだありましたが、あの二人は見ていて眩しいくらいに強くなっていきます。私達も、負けてられませんね!」
「今日こそはあのクソガキ共をボッコボコにして二度と舐めた口聞けねぇようにしてやる。」
俺の言葉を聞きはぁっとため息を吐くサイトウ。
「全くサボは......いつになってもその口の悪さは変わりませんね。」
「うるせぇなぁ。しょーがねぇだろうが育ちが悪いんだから。」
俺の言葉に、もう一度深くため息をつきながら口を尖らせてサイトウは呟いた。
「はぁ....全く。......もうすぐ父になるというのに、子供が変な言葉覚えたらどうするんですか?」
「わーたよ!辞めればいいんだろ?辞めれ......ん?おい今なんて言った?へ?嘘やろ?マジ?」
突然の重大報告に、思わず動揺してしまう。
「ふっ、あははは!またコガネ弁が出てますよ!...ちなみにもう性別も分かっていますが、それは試合の後という事にしましょう!ほら、サボっ!!入場しますよ!」
いやいやいやいやいや。待て待て待て待て。
いや、ちゃうやん?それ今言うことちゃうやん?
「は!?いや待ってって!全然納得できてへんてっ!おかしいやろ!?だっ!?待て」
『続きましてっ!!Bブロック決勝進出タッグのご紹介ですっ!!』
実況者の挨拶とともに噴き出す白煙が焦る俺の顔面に直撃した。
「ぶぅぅぅっ!?ゴホッゴホッヴッッゲホッっ!!」
白煙が肺の中にまで侵入し、思わず咳き込む。
その様子を見たサイトウは先程までの呆れ顔が嘘だったかのように笑った。
「ふふふ、あはははは!ほら!先行きますよサボ!」
『先日、結婚の報告により世間を騒がせました注目の的!!今現在、連続決勝戦進出の記録更新中!!ガラル空手の申し子っ!!背番号193 戦乙女 元ラテラルタウンジムリーダー サイトウ選手ッ!!!!』
押忍っと気合を入れ観客席にお辞儀をして入場するサイトウ。
くっそこのやろう...言い逃げかよ...。
だーっ!くそっ!もうやけだやけっ!試合を終わったら一から百まで全部聞いてやるからなっ!!
いつの間にかボロボロになっていた青色の道着に身を包み、固く握り締めていたスカーフを頭に巻く。
頬をペチペチと叩き屈伸を2回ほど繰り返して伸びをする。
そして、未だに眩い光を放つ芝生の弾力が心地よいスタジアムに、今、一歩踏み出した。
『最後の紹介ですっ!!絶対に諦めないソウルフルな戦い方にチャンピオンを押し退けファン人気No.1!今なお絶賛ファン増員中っ!!数多の挫折をバネに今日もスタジアムを震わせるっ!!その逸脱した発想力と奇想天外な戦術で、今度は何をするのでしょうか!?サイトウ選手との結婚報告により今最も注目を浴びている!!島国から来た鬼才っ!!背番号292番 不死身の爆炎 エンジンシティジムリーダー サボ選手ッ!!!!』
一際大きな歓声が響き渡る。
迷いの無い足取りで俺はセンターラインのサイトウの隣に立ち、目の前でイタズラな笑みを浮かべるガキ共と対峙する。
「えぇー、サボさんとサイトウさんとバトルぅーっ!!」
「サボさんと戦うの変に怖いからオレ嫌だぞ!」
ガキ共がブーブーと不満を垂れる。
こっちだってお前らと戦うことほど怖いものは無い。圧倒的な才能。俺達が一歩二歩と固く踏み締め歩いてきた道を自転車で軽々と通り過ぎていくお前らに恐怖を覚えないわけが無い。
「ふふ、2人共相変わらず元気そうですね。でも......今日は絶対に負けません!!」
サイトウが微笑みボールを取り出す。
思えばここまで色々なことがあったよな...。
感慨にふけながら服の上から、懐にしまったロケットペンダントを撫でる。
頭に巻いたスカーフを締め直した。
これで視野が狭まり、バトルに集中しやすくなる。
それに.........今はまだいいか。
「どうしました?サボ?」
黙りこくる俺にサイトウは心配そうに声をかける。
そんなサイトウを愛おしく思いながらも、目の前のクソガキ達に舐められないようにいつも通りの悪人面で俺は笑いかけた。
「いや、なんでもない。ふぅ......おいガキ共っ!!ションベン垂らして泣いても知らんぞっ!!今日こそ俺達が勝つっ!!」
「うわぁ!相変わらず口悪いぞサボさんっ!!」
「ふっふーん!その言葉そっくりそのまま返しますよサボさんっ!!行くよ!ホップ!!」
「おう!俺達の最強タッグパワー見せてやるぞ!!」
「やりますよっ!サボっ!!」
センターサークルから距離を取り、それぞれがボールを構えた。
その瞬間、スタジアムの歓声がより一層大きくなる。
響き渡る歓声に呼応するかのようにカメラロトムが勢い良くクルクルと宙を舞う。
『Battle......START!!!』
そして、歓声に負けないほどの大きな声で開戦の合図を放った。
「行けっ!!バイウールーッ!!」
最初にポケモンを繰り出したのはホップ。
「行っておいでっ!!エースバーンっ!!」
そして、ユウリ。
「行きますよっ!カポエラーっ!!」
次に、サイトウ。
「ふう......最初からフルスロットルで行くぞ相棒っ!!行ってこいマックッ!!!!」
最後に、俺。
今日こそ俺達は栄冠を手にする。
少々長引いてしまったが、これまでの話をしようか。
これは、超強い俺の嫁とめちゃくちゃに弱い俺の物語。
「言わずとも分かるよな相棒っ!!先手必勝っ!風も音も光も追い越し撃ち抜けっ!マッハパンチだっ!!」
2年前:
ぼく「ちょっと遅れちゃったけどポケモン剣盾楽しそうだな!やるか!」
ぼく「うそっ!?このサイトウちゃんってキャラめちゃくちゃ好き!!可愛いな!ポケモン歴割と長いけど初めてここまでキャラクターの事好きになったかもしれん。」
ぼく「う、嘘やん!?サイトウちゃんって彼氏おんの...マジかよ......そんな......ええっ。...嘘やん。どんなヤツや!許さんぞ!」
ぼく「左肩ちょびっとしか写っとらんやんけ......恨むにも恨めんとか...。ん?」
ぼく「俺が彼氏になれば良くね?」
______________________________________________
ということでこの物語が生み出されてしまったわけでございますが、
いかがでしたでしょうか?
このお話を考えに考えた期間なんと1年間。
構成を練り終えて1人で読み返しながらうひゃー満足満足と思っていたら、こう、人に見せつけたい欲が出てきてしまい、深夜に低確率で出現する変態露出狂もこんな気持ちなのかなと思いを馳せながら我慢出来ずに妄想を垂れ流してしまった訳ではありますが。
不思議と清々しい気持ちでございます。開放感というかなんというか。
タグにも付けてあるように完全に不定期更新でございます。
有難いことに感想をいただいたり、私めの露出癖が暴走した際には割と高頻度の投稿になるとは思いますが、気分が乗らない場合は一年とか二年とか割と長く投稿期間が空く可能性がございます。
こんな妄想垂れ流しの稚拙な文ではございますが、楽しんでいただけたなら気長に投稿を待っていただければ幸いです。
それでは、また次回お会い致しましょう。