ポケットモンスター 拳 〜超強い俺の嫁とめちゃくちゃに弱い俺の話〜 作:おしゃべりデブ
後、登場するオリジナルキャラについては基本的に花言葉から名前を引用してます。
シジマの息子
ケベリ 【由来:エケベリア】
花言葉:優美 たくましさ 穏やか 風雅
年齢:18
相棒ポケモン:ニョロトノ
シジマの息子で穏やかな性格。
シジマの跡を継ぐ道場の次期当主として期待されているが本人にその気はさらさらない。
実は、組手に関してはシジマよりも強かったりする。
逆にポケモンバトルに関してはのんびりしすぎてびっくりするほどに弱い。
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「サボ...と言いましたね。あなたに決闘を申し込みます。」
「んぁ?めんどくせえパス。」
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スカート捲り事件のあった翌朝。
シジマ格闘道場では、またもやちょっとした事件が起こっていた。
それは、昨日の事件により有耶無耶になっていた歓迎会の途中の出来事。
「...はぁ。色々とこのクソガキのせいで有耶無耶になってしまっていたが、これからしばらくの間、うちで稽古をつけることになった『サイトウ』ちゃんだ。」
「......よろしくお願いします。」
シジマに紹介されたサイトウが昨日と同じようにロボットのような動きで頭を下げる。
...なんやろ?なんかめちゃくちゃ見られとる気する。
「彼女の親父さんが、わしの昔の師匠でな。しばらくの間、家空けると言うんでうちで世話を見ることとなった。仲良くするように...って聞いておるのかサボ!」
「はいはい。聞いとる聞いとる耳の穴かっぽじってありんこの声聞こえるぐらいにな。っとおあ!?やばい痛いの食らった!」
「わふっ!」
少し古いテレビゲームをプレイしながらぎゃーぎゃーうるさいジジイの声に生返事を返す。
ちらっと横に立つサイトウに目を向けるとやはりというかなんというかじっとこっちを見ているのが分かった。見ているというか睨みつけてるという方が近いな。
パンツ見ただけやのにめんどくさいやつやな。ってやばいやばいやばい!
「ゲームしながら返事するやつがおるかこのバカタレが!」
「やかましいな!今ええとこやねん邪魔すんなやジジイ!!っだぁー!!負けた!お前のせいやぞクソジジイ!!」
「誰がクソジジイだ!このクソガキが!!」
「はいはい、二人ともそれくらいにしてご飯の支度ができましたよ。はい、バディくんも。」
「わん!」
おれとクソジジイが掴み合いの喧嘩をしていると、朝ごはんが出来たようでおばさんが喧嘩を仲裁する。
その間に皿に盛られたポケモンフードをガツガツと急いだ様子で口にかき込むバディ。
......ほんまこいつ食い意地張るようになったなぁ。
「せやかておばさん!このクソジジイが!」
「サボくんももうそろそろご飯の時間だからゲームも程々にね。それにお父さんも子供相手にムキにならないの。」
「だ、だが、そうは言っても母さん、わしはだな。」
「だがもでももありません。はい、お茶。あなたも手伝ってください。」
「う、うむ。」
渋々ながらコップに茶を注いでいくシジマ。
「......あの。」
「なぁに?サイトウちゃん。」
「......普段からこの二人はこんな感じなんですか?」
「そうねぇ......。今日はサイトウちゃんも居るからまだ大人しい方だと思うわ。」
まるで信じられないものを見るかのような表情を浮かべるサイトウ。
「ふわぁ〜、父さん、母さん。おはよう。サボくんもサイトウちゃんも。お!バディくんは今日も元気だねぇ。」
「がうふ!」
「はい、おはよう。ご飯できてるから顔洗ってきなさい。」
「もっと早く起きてこんかケベリ!」
「うっす!ケベリさん!相変わらず頭ボッサボサやな!」
「...おはようございます。」
「は〜い。あはは、大家族みたいで楽しいね〜。ね!サイトウちゃん?」
「......はい。そうですね。」
サイトウは表情を変えずに淡々と返事をする。
こいつ、ほんまに表情変えへんな。感情一種類しか無いんか?
昨日のあの顔はおもろかったのにな。ってぁぁあ!追い込まれてる!!
「だぁぁぁあ!!クソ!!またやられた!!」
「お前はいい加減ゲームを辞めんかサボ!!」
「そうよサボくん。そろそろ辞めなきゃほんとにご飯抜きよ。」
「ぐっ....しゃーないか。次は勝つ!」
GAME OVERの画面が映るテレビの入力を切り替え、食卓の席に着く。
ボサボサだった髪を整えたケベリさんが欠伸をしながら席に着く。
そうして全員が席に着くと手を合わせる。
サイトウもあたふたしながらも手を合わせた。
「「「「いただきます!」」」」
「い...いただきます。」
全員で手を合わせていただきますを済ませると、一番初めに動き出したのはサボだった。
「もーらいっ!」
「んが!?わしのウィンナー!か、返せ!」
「取られる間抜けが悪いんじゃボケぇ!いっただきまーす!うめぇ!」
「そっちがその気ならわしも黙ってはおらんぞ!せいっ!」
「だぁぁぁあ!!俺の目玉焼きっ!?返せ!!クソジジイ!!」
「取られる間抜けが悪いんだろうがこのクソ坊主!うむ、美味い!!」
「あぁ、あー!!食いやがったなお前クソジジイ!!」
「食ったのはオマエも一緒だろうが!!!」
「ウィンナー一本と目玉焼き一個は同じ価値ちゃうやろが!!表出ろやジジイ今日こそ白黒決着付けたる!」
「上等だ!クソ坊主!!その生意気な口二度叩けなくしてやる!」
今にでも互いに殴りかかりそうな程の雰囲気の中、パチンと大きな破裂音が響く。
「良い加減にしなさい二人とも!!今日はサイトウちゃんもいるのよ?いつまでもじゃれてないでさっさとご飯を食べて道場に行ってらっしゃい!」
「だ、だが!ここで引くとわしのメンツが....。」
「せ、せやかて!おばさん!このジジイが!!」
目だけでギロリと二人を睨む視線に二人して思わず竦み上がった。
あっ、あかん。これ本気で怒っとる。
「「.......ごめんなさい。」」
あまりの威圧感に思わず謝罪する二人。
「はい。さっさとご飯食べなさい。」
「....命拾いしたなクソガキ。」
「.....何がじゃデブジジイ。命拾いしたんわおまえの方じゃこのハゲ!」
「なんじゃと...このクソ坊主!」
「やんのかデブジジイ!!」
「......こほん。」
「「..............。」」
いまだに互いに睨み合いながらもご飯を食べ進める二人。
いつも通りのその光景に、ケベリは我関せずといったように欠伸をしながらもぼーっとご飯を食べ進めていた。
そして、唖然とした表情でご飯を食べる手を止め、固まっている少女が一人。
「ごめんなさいねサイトウちゃん。...うるさかったでしょう?いつもこんな感じなのよこの二人。」
声をかけられて思わずハッとしたようで、唖然とした表情をいつものロボットのような無表情に変えた。
「い、いえ。.....こんなにも賑やかな食卓は初めてで....つい、....その、困惑して....いえ、なんでもありません。」
サイトウは口から出かかった言葉を飲み込むように、首を振ってご飯を口に運んだ。
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___それは、ご飯を食べ終えてごちそうさまをし終えたすぐの出来事だった。
「よし......よし.....よし!!今や!!.......っ!っしゃ!!俺の勝ちじゃみたかボケ!!!」
「わんわん!!」
「おう!バディもそう思うか!...ふぅ、すっきりした。ってうわっ!.....何しとんねんおまえ。」
サボがテレビの入力を戻してまたもゲームで遊んでいると、道着に身を包んだサイトウがそのすぐ後ろで正座をして待ち構えていた。
こいつまつ毛長いんやな〜。などとサボが考えていると、サイトウは重々しくその口を開いた。
「あなたは、『サボ』....と言いましたね?」
「ん?.....あぁ。だからなんや?」
返事を返すと、サイトウは徐に立ち上がり、押忍と気合を入れ胸を張って声を強めた。
「.....あなたに、決闘を申し込みます。」
「んぁ?めんどくせえパス。」
「では、道場に.......。え?」
「やから、めんどくさいからパスやって言ってんの。一回で聞けや鉄仮面女。」
わざわざ、話しかけてきたから話聞いたらなんや決闘って。武士かこいつ。
なんでおれがそんなめんどくさいことせなあかんねんアホくさ。
「.....あなたは昨日、私を辱めました。これほど屈辱的なことは今までの人生で一度もありません!っ!あなたには私の決闘を受け入れる義務があります!...ですから、私と決闘してください。」
眉間に皺を寄せ、おれのことを睨みつけながら淡々とそう語る鉄仮面女。
......こいつめんどくさ!昨日スカート捲られたからってここまでするか?相当、プライド高いんか頭おかしいんかのどっちかやな。
でも、こいつが欲しいのはおれからの謝罪らしいし、適当に謝ってなんとかするか。
はぁぁあっとおれは大きく息を吐き、鉄仮面女の拳を指差す。
「ん。」
そして、自分のおでこを指差した。
「?こう?ですか?」
女は首を傾げながらもおれの誘導する通りに、こちんとおでこを小突く。
おれはそのまま後ろに倒れて転げ回った。
「ぐわーー。やられたー。....ヒイー、ごめんなさいー。おれの負けですー。ワンリキーパンツ見たことも、昨日の無礼なこと全部謝るので、許してくださいー。.......はぁあああ。これで満足か?ほな、そういうことで。」
一通り芝居を打った後、むくりと起き上がりゲームコントローラーに手を伸ばして、背を向けゲームの続きを起動した。
これで満足してくれたやろ。はー怖いわー。最近の女はすぐに手ェだす。
「な!?.............ふう....そう来ましたか。」
チラリと、後ろの堅物女を見ると顔を真っ赤にしてぷるぷると震えている。
あり?お気に召さんかったみたいやな。てか、そんな表情もできるんやなこいつ。
日頃からそれぐらい表情豊かにしてたらおもろいのにな。
「なるほど、こんな屈辱は生まれて初めてです。そっちがその気ならこっちにだって奥の手があります。」
「わふっ!?.....くぬん。」
ぶつぶつぶつぶつとしばらく俯きながら呟いた後、何を思いついたのか、おれの目の前まで歩いてきて画面を遮るように向き会うように座った。
「.....おい。邪魔やねんけど?どけや。」
おれのその言葉に堅物女は不敵な笑みを浮かべる。
「....あなたの気持ちはよーくわかりました。こんなことはしたくなかったのですが、やむを得ません。」
.......とんでもなく嫌な予感がする。
「おい。何する気や。っ!?おい!待て!やめろや!!」
鉄仮面女は、確かな仕草でおれがプレイしているゲームのカセットに手を伸ばした。
「私のプライドを踏み躙った罪です!喰らいなさい!.....
勢いよくゲームカセットが引き抜かれ、テレビからは異音が鳴り響く。
「おおおおおおおい!!!!!何しとんねんお前ぇぇえぇぇえええ!!!ああああ!まだセーブしてなかったのに!!やっとボス倒したとこやったのに!!お前!!まじでお前!!何しとんねん!!!!」
「私のプライドを傷つけた罪への罰です!」
おれがコツコツ毎日続けてやっとクリアしたデータが......。
こいつ.....っ!マジで泣かす!絶対泣かす!ボコボコに泣かしたる!
「......おい。.......お前、決闘したがっとったやんな??」
「....そうですね。ですが、受けてくれないようですので、私はこれで失礼致します。」
こいつ....この後に及んでなんと白々しい。ろくな死に方せんぞマジで。
「...表でろや。鉄仮面女。その一種類しかない表情、涙と鼻水でびちゃびちゃにしたるわ。」
「望むところです。あなたこそ、そのねじ曲がった性根を叩き直してあげます。」
こうして、おれとサイトウとの決闘が始まったのであった。