ポケットモンスター 拳 〜超強い俺の嫁とめちゃくちゃに弱い俺の話〜   作:おしゃべりデブ

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連続投稿月間3日目 いやぁ、よく続いてますよね?これ

最近睡眠が上手くできないんすよね。
夜眠れないし、朝起きれないし、睡眠不足で仕事中に寝そうになるし、寝れない理由がわかんないんすよね。あ、そろそろレートバトル潜らないと。

あ、今回結構長いです。


『最強』

 

その2本の角は白く鋭く伸び、鞭のような三本のしっぽを振り回しながら四足歩行でどしんどしんと地響きを鳴らしながら歩く森の奥から現れた複数のケンタロスの群れ。

 

どの個体もつい先程まで戦闘をしていたようで、身体中に生傷が見える。

 

「あれは......まさか。ケンタロスっ!?んぐっ!」

 

驚きで声を張ろうとしたサイトウの口元をまた手で塞ぐ。

 

「シーっ!喋っとったら見つかる!......アイツらは目の前にあるもん見境無しにぶつかりよる。突進力に関してはここいらで最強や。」

 

「......最強...ですか.....あれが....。」

 

サイトウはそう呟くと、今までにない真剣な目で目の前の怪獣たちを見つめる。

 

おれはいつにも増して真剣なサイトウに目の前の怪獣たちの危険性を伝える。

 

「せや。そのくせ、分厚い筋肉のせいで半端な攻撃やったらまともなダメージにすらならん。脚も早いし、小回りも効く、そんで群れで居るから一匹に見つかったら二十匹は相手にせなあかんと思とけ。おれもこっちに来てすぐの時に出くわしたけどえらい目にあった。」

 

「...最強。......最強......。」

 

サイトウは俯き何度も反芻するように呟く。

 

「?おい。聞いとんのか?」

 

おれはサイトウの肩を叩き声をかけるも、まるで届いていないようで先程から「最強......最強......。」と同じ言葉を繰り返している。

 

そんな不審な言動を不思議に思っていると、他のケンタロス達が道を空けるように広がり、頭を垂れると、一際大きく身体には歴戦の傷跡が刻まれた片角のケンタロスが森の奥から出てくる。

 

「来た。...《キング》や。」

 

「......《キング》......?ちょっと見せてくださいっ!」

 

「ちょっ!?おま、危ないやろが!見つかったら終わりやぞ!!」

 

サイトウはおれの呟きを聞くや否や、警戒するおれを押し退け食い入るようにそのケンタロスをまじまじと観察する。

 

「あれが......《キング》。......ここからでもヒシヒシと伝わります。プレッシャーが、あのケンタロスの強さが...。」

 

サイトウは値踏みをするかのように鋭い視線を《キング》に向ける。

 

「おま、何しとんねんボケぇ!ほんまに、お前頭イカれとんのかアホだらボケコラ!静かにせぇ言うとるやろが!...ちっ!........あいつは、この群れん中でもこの山ん中でも一番強い。今日はコイツらが別の群れ倒して戻ってきたその凱旋日やったんや。...しくじったな。...しばらくはここで様子見や。しばらくしたらコイツらもここ離れるし、そんときにずらかる。」

 

「最強......最強......,この山の中で一番強い...。あのポケモンがいれば....私も.......。」

 

「?おい。ボケ女!なんかあったんか?おい!」

 

「くぅん。」

 

おれがそう言い、サイトウに声をかけてみるが、何故か様子がおかしい。

 

同じ言葉を何度も何度もぶつぶつと呟きながら、背負ってきていた自分のリュックに手を伸ばす。

 

「強く....強く.....最強に......私は、最強に....ならなければ......っ!」

 

そして、リュックの中身をゴソゴソと探り、取り出したのは赤と白の二色の......。

 

っ!?こいつっ!!?まさかっ!?

 

「お、おい!お前何するつもりやっ!!待てぇ!おいっ!!!」

 

「最強......最強......に。最強になるには......私が、あのポケモンを手に入れれば.........私は....最強に..........っ!」

 

「わふっ!?」

 

っ!?あかん!!こいつ、イカれとる!目の焦点が定まってないっ!!

 

必死にその球を投げようとする腕を止めようとするが、判断した時には時すでに遅く。

 

 

その右腕から投げられたモンスターボールはクルクルと回転し、そのまま《キング》の右肩に命中した。

 

《キング》は当たる瞬間こちらの存在に気付いたようで、ギロリとこちらを睨めつけたあと、その身体は青白い光に包まれ球の中に収まっていく。

 

突然、自分達の群れの王が消えたケンタロスの群れは、王を捕らえたその球の軌道を辿り、至極当然におれ達の姿を見つける。

 

そして、その視線は段々と異物を見る警戒の視線から、自分達のボスを攻撃した外敵を見る攻撃の視線に変わる。

 

 

「っっっっ!?なにしとんねんっっっ!こっっっっっのドアホっ!!!!」

 

「っ!?痛っ!!...な、なにするんですかっ!!!」

 

 

思わずこの馬鹿女の頭に思いっきりゲンコツをぶちかましてしまった。

 

 

「自分が何しとんか分かっとらんのかこんボケアホっ!!だあああっ!!クソっ!!何さらしてくれとんじゃこの怪力イカれロボット馬鹿女!!」

 

「なっ!!心外です!今すぐその言葉を訂正しなさいっ!!さもなければ私があなたをっ!!」

 

「上等やコラァッ!また顔ぐちゃぐちゃになるまで泣かせたるから覚悟しろやボケエッ!!!」

 

 

グッグッグッ......パァン!!

 

おれ達が顔を見合せて言い合いをしていると、先程、サイトウが投げたモンスターボールが3度震え、その後炸裂する。

 

 

「わふっ...グルルルッ!」

 

「くっ!ざんねんです。もう少しで捕まえられたのに!!」

 

「...ええジョークやな。面白くないということを除けばな。」

 

 

炸裂したモンスターボールから現れた普通の個体よりもふた周り程巨大な身体を持つ片角のケンタロス《キング》は、おれ達を睨みつけ、そして。

 

 

 

「ブフルルモオオォォォオッッ!!」

 

 

 

「「「ブンモオオオオォォォオッ!!」」」

 

 

 

雄叫びを上げて、群れをなしてこちらに突撃してきた。

 

「キャウンっ!」

 

バディがその威圧にビビり散らかして、おれの足の間に隠れた。

 

「ビビりのくせに無理すんなバディっ!」

 

土をハンマーで叩きつけるような大きな足跡を鳴らしながら、次第に頭を下に傾けて、角を突き出しこちらを目掛けてより一層速度をあげる。

 

そして、今まさに魚雷のように目標めがけて突進をしかけた。

 

ケンタロスの先鋭隊の狙いはどうやらサイトウらしい。

 

サイトウは...っ!?逃げる気が無いっ!?

 

いや違う、反応できてへんっ!? 自分が真っ先に狙われとることに気づいてないんか?!

 

このままなら真っ先に命中する、そして......っ!

 

っ!だあああっ!!!クソがっ!!

 

「どらぁクソっ!!避けろやっ!!」

 

「わふっ!?わんわんっ!?」

 

反応が遅れているサイトウに体当たりし、衝突寸前のところで間一髪回避する。

 

自分を守っていた盾が無くなったバディは慌てておれの後ろを着いてきた。

 

「っ!?ひぃ、きゃあっ!!何をするん...っ!?」

 

 

ドゴォンッ!!

 

ベキベキベキベキッ!!

 

 

突き飛ばされ尻もちを着いたサイトウは、一瞬おれを睨みつけるが、その後自分の立っていたところを通過するケンタロスが衝突した自分の後ろにあった木がメキメキと聞いた事のない音を立てながら圧し曲がる様子を見て青ざめる。

 

 

「...あっ。ああ......っ。」

 

 

つい先程まで自分が立っていた場所の後ろのあった木が、途轍もない破壊音を出しながら、ボロボロにへし折れる目の前に光景に完全に戦意を喪失し、声にならない声を漏らしながら、腰を抜かして立ち上がれないでいるサイトウ。

 

そうこうしている間にも第二陣の突撃部隊が準備を開始するケンタロスの群れ。

 

クッソっ!!面倒ばっか起こしよってこの単細胞怪力馬鹿女!!

 

 

「おいっ!バディ!!そこでいい!隠れとけっ!!おいロボ女っ!!ずらかるぞさっさと立てぇ!!」

 

「わ、わんふ!」

 

 

サイトウは未だに放心していて意識がはっきりしない。

 

「あ......ああ...。」

 

「おいっ!!アホっ!!呆けとらんでさっさと立てぇ!!死ぬぞっ!!」

 

「あ...はっ!は、はいっ!いっ......つつ。くっ。」

 

 

ハッと気を取り戻して、座り込んだ状態から立ち上がろうとするサイトウ。

 

...だが、中々立ち上がれない。

 

刻一刻と迫るケンタロスの突撃部隊。

 

「お、おい何しとんねんっ!って...お前......その足...っ!なんで先言わんねんボケェっ!!」

 

 

用意の遅いサイトウに苛立ちを感じながら言い放つと、サイトウの右足首は真っ赤に腫れ上がっており、今まで立っていられたのが不思議なくらいの炎症を起こしていた。

 

 

いつから...

 

っ!あの時か!そういえば、斜面を登っていた時コイツ変な転び方しとった!!

 

 

こんな怪我やったら、立ち上がったとてまともな回避なんかできるわけが無いやんけ!

 

 

「ブモオォオオオオオッ!!!」

 

 

そんなことを考えているうちにも、第二部隊が突撃を開始する。

 

クソっ!考えろっ!頭ぶん回せっ!

 

何とかこの場を逃げ出す方法......。

 

っ!確かこの先の岬......。

 

あそこなら多分!!

 

今日の満潮......あああ!クソっ!家出る前に確認しときゃ良かったっ!

 

クソっ!!このままじゃいつかは確実に当たる。

 

木をへし折る程の突進......当たりゃ確実にお釈迦や。

 

だったら一か八かっ!

 

 

「おい!抱えるぞアホ女っ!!バディ!!しっかり着いて来いよっ!!」

 

 

座りこんだまま立ち上がれないサイトウの腕に首を通し、腰と足をもって抱え上げる。

 

 

「ひぃ!?な、なにをするんですか!?これって、お姫様だっ......っ!?離してくださいっ!!」

 

「暴れんなやボケェっ!!てか、おっもっ!!鍛えすぎじゃ無駄筋女ァッ!!」

 

 

歯を食いしばり、想像以上の重さのサイトウを抱え上げたまま走る。

 

 

「んなっ!?訂正しなさいっ!!私は!」

 

「んな事しとる場合かボケェッ!!死ぬ気かッ!!黙って捕まっとけアホナスッ!!」

 

 

「ブルルモオオオオッ!!!」

 

 

「キャウンッ!?ワンワンワンッ!!」

 

「オワアアアッ!?あっっっかんこれ死ぬっ!?!?」

 

「ッ!?来てます!!」

 

 

衝突寸前に本能で危機を感知したバディの合図で、サイトウを抱えたまま横っ飛びで回避する。

 

 

一秒も立たぬまにおれが元いたところを全速力で走り抜けるケンタロス。

 

走り抜けた後は土が抉れ、割れ、複数の蹄の後が所狭しと刻まれている。

 

バディが合図せんかったら今頃......あかんあかん考えたらあかんわ。

 

 

「ッ!!後ろッ!!また来ますッ!!」

 

「クッソ、マジかっ!?おい!しっかり捕まっとけっ!!俺に考えがあるっ!!」

 

「は、はいっ!...っ!?そっちは逆方向では!?」

 

「だァァァあっ!!うるさいわボケ分かっとる!!喋っとったら舌噛むぞッ!」

 

 

襲い来るケンタロスの突進の猛攻を何とか躱して凌ぎつつ、サイトウを抱えながら森の中を突っ走る。

 

「ああ!くそっ!持ちにくいっ!!ッラァッ!!」

 

抱え上げていたサイトウがあまりにも暴れて持ちにくいので、右肩に担ぎあげるように持ち替える。

 

勢いよく持ち替えたので、サイトウはおれの右肩にお腹を圧迫されておえっと吐きそうな声を漏らす。

 

「そんな?!うっ!この!!人を物みたいに扱わないでくださいっ!」

 

「じゃかぁしい!!文字通り()()()じゃお前は!!めんどくさい問題起こしやがってっ!!」

 

「それに関しては!!......申し訳ありませんでした!!」

 

「素直か!?やりづらいんじゃボケェッ!!」

 

「ひい!?後ろっ!!来ますっ!!ぶつかるっ!!!」

 

「おわっ!?お前!初めて役に立ったなっ!!その調子で頼むわ!!」

 

「くっ!!残念ながら全て事実なので何も言い返せません。屈辱ですっ!」

 

 

後ろを見ていたサイトウが危険を知らせたので大きく右に方向転換して走ると、すぐ側の木が音を鳴らしてへし倒されて行く。

 

 

「キャインっ!!キャインっ!!」

 

「っ!?ひぃやあああ!!あっぶなっ!!死ぬわっ!?!?」

 

 

その様子にビビりながら、バディの合図で攻撃を躱しながら走る。

 

走って走って走った先に見えた明るい陽の光、そこに辿り着くと、少し開けた岬に出た。

 

 

「追い込まれてしまいましたよっ!?大丈夫なんですか!?」

 

「はぁッ!?馬鹿にも程があるやろお前なぁッ!大丈夫な訳あるかボケェ!!生きるか死ぬかの逃亡劇はもう始まっとんねん!!最初から詰んどるんや!このクソゲーはっ!!お前が!!ボールを!!《キング》にぶつけた瞬間からっ!!」

 

 

サイトウは目を見開き、唖然とする。

 

 

「そ、そんな......私は...そんなつもりじゃ...」

 

「どんなつもりやろうがやった事に背は変えられん!!!反省は生きて帰ってからや!生きて帰れたらやがなぁッ!!」

 

 

自分のした事の重大さに気づき、落ち込むサイトウを放置しながら、岬の下を覗き込む。

 

この崖先から海面までは十数メートルはあるであろう高さが見て取れる。

 

担いでいたサイトウからそのあまりの高さに唾をゴクリと飲み込む音が伝わる。

 

......潮は...くそっ!若干引いてやがる......あそこまで飛んで届けば無傷で帰れる可能性は高い。

 

 

「ブルルモオオオオッ!!!」

 

「くぅぅん。」

 

「っ!?もう......ここまで来て...」

 

 

ちらりと後ろを確認すると、ツタやら枝やらが絡まった角をブンブンと振りながら、こちらに突進を仕掛けるべくと助走をつけようとしているケンタロスが数匹。

 

完全に囲まれとる。

 

......逃げ道はここしか無いみたいやな...。

 

...すぅ......ふぅ、よしっ!

 

 

「おいロボ女。...舌噛むなよ。」

 

「はい...?」

 

「っ!?キャウンッ!?くぅぅん!くぅぅん!」

 

 

サイトウはおれが何をしようとしているのかさっぱり分からないようだが、バディはおれのしようとしてることに気づき、首を振りながら悲しげな声を上げてズボンの裾に噛みつき必死に止める。

 

おれは、岬の崖に向かって助走の姿勢をとる。

 

 

「ふぅぅぅぅう......っ!よしっ!行くぞッ!!なんの神様でもええから祈っとけ!!生きて帰れますようにってなぁ!!!」

 

「へっ!?へぇっ!?ま、まさかっ!?ま、待ってっ!!」

 

 

サイトウもおれが何をしようとしているのかに気づき、必死に止めにはいるがもう遅い。

 

しっかりととった助走距離を踏みしめて、全速力で走り出した。

 

 

「死ぬなよアホォッ!!うぉぉぉぉおおおおおおっ!!!!」

 

 

重いサイトウを担ぎ上げながら、走れる限りの全速力で崖に向かって駆け出した。

 

 

「え!?うそ!?ひぃぃい!?やだやだやだやだいやだっ!?ぃいやぁぁぁぁあああ!?!?!?」

 

 

担ぎ上げていたサイトウが敬語を崩してまで足をバタバタと動かし暴れるが、助かる道はこれ以外思いつかない!

 

刻一刻と(ジャンプ台)がすぐそこまで迫ってくる。

 

腹くくれ!行くぞっ!!

 

 

 

「どりゃあぁあああああっ!!!!」

 

 

「わぉぉおんっ!?!?!?」

 

 

「いやあぁぁぁぁああああああっ!!」

 

 

 

 

より一層固くサイトウを押さえつけて、助走の勢いそのままに岬から飛び立った。

 

 

 

ドッボォォォオンッ!!!!

 

 

 

 





俺がキングだ!キングに道を開けろ!!バロロロロロロロロロウッ!!
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