この馬鹿らしいエルデ王に祝福を!   作:ポポァ

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初めての小説初めての初投稿です。
褪せ人主人公のこのすばSSが無かったので書いてみました。
主人公のソウル主人公との被り防止のため素性:侍で葦名パワーを借ります。卑怯とは言うまいな。



プロローグ

 

 

 かつて狭間の地で起きたエルデンリングを巡る戦い*1

 人間と。亜人と。巨人と。蟲と。獣と。デミゴッドと。祝福の導くままに殺しあった。

 遂に異国の地より訪れた褪せ人は神殺しを成し。

 手に入れたエルデンリングを暗月の魔女に捧げ、星の彼方より共に神の手を離れた大地を見守るのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全ッッッッ然発展しないでござる!!!!!!」

 

「ずっと争いを続けてきたのだからな。平和が馴染まぬかもしれんとは思ってはいたが……ここまでとは」

 

 頭を抱えるエルデの王とそれを眺める暗月の魔女ラニ。

 神々の干渉から解放され、狭間の地の人々が神の導きに頼らず歩き出し幾百年が経ち……相変わらず元気に殺し合いを続けていた。

 

 

「かつての故郷、葦名の地でさえ今では民がスタバでスマホいじってるのに!狭間の地では未だに首断っちして壺ぽいしてるでござるよ!不死身同士の殺し合いなんて虚しい争いさっさと止めて文明開化して欲しいでござる…」

 

「他国から来たTVクルーが海岸で蛸共の餌になったのは見物だったな。あれを生放送してしまった以上他国からの援助も期待できまい」

 

「探検!現代に残された最後の秘境の謎に迫る!未知の原生生物の生態を調査せよ!でござったか?4時間SPが上陸して10分で飯テロ動画*2になったのはその最後の秘境の王として誠に遺憾だったでござるよ。まぁかつては拙者も浜で誉と命を落としたもの。骨塚から這い上がる根性を見せて欲しいでごさるな!」

 

 

 狭間の地の長い長い殺し合いはすでに見飽き、現在は新開発した祈祷『エルデの星海通信』を使い、衛星から他国のTV番組を違法視聴したり、こっそり擬態のヴェールを使い買ってきたスマホをいじったりしていた。

 

 

「はぁ~なんか日ノ本では最近異世界転生とかが流行ってるらしいでござるな~。狭間の地にも高校生とか疲れたリーマンとかを送り込めば現代知識チートで発展させてくれないでござるかな?今なら転生特典として夜と炎の剣とかアイテムボックスとか付けてもいいでござる」

 

「それでは狭間の地に褪せ人を送り込んだあの忌まわしい二本指と変わらないだろう。人々の歩みを見守ると決めたのだから、余計な干渉はやめておけ」

 

「まぁわざわざ送り込まなくても流刑地として重犯罪者が捨てられたり、武装した自称冒険者なんかが密航してくるでござるからな。そしてみんなモンスターパニック映画みたいなノリでサクサク死んでいったでござるが。自称冒険者なんかは良質な刃物を持ってるから追い剥ぎや亜人から動く宝箱みたいな扱いされてるし」

 

 

 ピピっとテレビ(電力は雷を帯びた槍に変圧器を繋いだ)をリモコンで付ける。

 画面にはサブマシンガンとロングソードに、手作り感溢れる鎧を装備した陽気な兄ちゃんたちがニコニコしながらボートで上陸し、浜辺で蛸さんたちに追い回され(サブマシンガンはここで使い切った)、草原でニコニコした追い剥ぎたちに追い回され、森でニコニコした亜人たちに追い回され、街道で助けを求めた兵士たちにニコニコしながら殺され死体を漁られる映像が流れた。

 全体的に笑顔に満ち溢れていたが、全体的に血に塗れていた。

 端的に言って全体的に笑顔で肯定できない世界だった。

 

 

「これだもんなぁ…」

 

「まるで成長していない…」

 

「やっぱり律から死を取り除いたままなのが良くなかったのでござるかな?でも死を戻したら不死が失われたことに気付く前に人類絶滅間違いなしでござる。黄金樹教の人たちも黄金樹燃えて絶望してたのに、なんだかんだ死なない事に気付いてからはポジティブに黄金樹の灰信仰に切り替えて殺し合いを再開してるし……」

 

「忌み地過ぎて他国から軍が送られてこないのがせめてもの救いだな。どうせ死なないが」

 

 

 人々は自由を手にしたが、「どうせ死なないし別に殺し合わなくてもよくない?」という発想は何百年経っても広まらなかった。戦争が生んだ戦う事しか知らない悲しきモンスターたちが、結局死なないので戦いを終わらせなくても問題がなかったのだ。「どうせ死なないから殺し合ってもいいじゃん」に反論できる人がいなかった。反論しても殺されるだけなのが分かるくらいには賢かった。

 

 

「いつか殺し合いに飽きてくれるまで見守る事になりそうでござるな。もう何百年もこれ言ってる……」

 

「全部焼き払ってやり直そうという、狂える三本指の考えが少し分かってしまうのが悲しいよ」

 

「拙者はそれでも生き残る奴がいたらと思うと怖くてできぬでござる。……嫌な想像した、なにか気分を変えるものを……」

 

 

 数百年、時間潰しに色んなものを作って押し込んだ収納箱をごそごそあさる。なぜか箱の中がすっきり整っていることに首を傾げているとラニがこちらを見ていることに気付く。

 

 

「私も暇だったのでな。いい時間潰しになるだろうと箱の整理をしたのだが……少し気になるものが出てきた」

 

「それは有り難いでござる。それは……?」

 

 

 ラニの手(かわいい)には小さな布きれが握られている。受け取ってよく見てみると……

 

 

 フィアのパンツ

 

死の呪痕と交換で、

死衾の乙女フィアがくれた、したぎ

本来はやはりしたぎであるが

男の身で、身に着けることはできない

あるいは、まだその時は来ていない

 

したぎを盗んだ侍に、

黙ってエマは、かたなをぬいた

あのしたぎの件は、とてもやばかった

 

このしたぎも、きっと、とてもやばい

 

 

「…………いやいやいや、これは、ちゃうねんでござるよ!そう!褪せ人の収集癖というか!そういう感じのサムシングっていうか!ウンコとか拾うし?じゃあ下着も?的な?」

 

「ほう?そうか……抱かれた感触はどうだった?」

 

「ノーブラおっぱい最こ 獣の瞳が震えている れ、『冷静』!……よよ鎧を着ていたのでな!何も分からんかったでござりょヨ」

 

 

 濃密な死の気配を感じ慌ててキャンセルするも体の震えが止まらない。怖気ゲージと凍傷ゲージがぐんぐん増えていき、空気が凍てつき大地が霜に覆われていく。魔術で精神を整えるも急に賢くはなれない。

 

 

「私の王よ。嘘をつかなくても構わない」

 

 

   FROSTBITE  

 

 肉体が凍え、皮膚が裂け血が噴き出す。恐怖のオーラに後ずさりし、徐々に崖に追い込まれている。

 

 

「ただ、頭を冷やす必要があるようだ」

 

「いや…その…あ、愛しているでござるよ!」

 

「ああ、わたしも愛しているとも。……お前の頭は悪すぎる。少しはどこかで、女心を学んでくるといい」

 

 

 莫大な魔力の奔流、極寒の爆風を浴びせられ、抵抗も許されず崖の先、宇宙の暗黒へと投げ出される。 

 

 

「気が向けば、ここに帰られるよう導きを送ってやる。しっかりと、反省することだ」

 

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

 

 

Tips:祈祷『エルデの星海通信』

 

新たな律、星と暗月の祈祷のひとつ

世界を見守るためのもの

 

星の光の導きにより、彼方の星から電波や光などを写し取る

 

文明の光は、遥か遠くの星にまで届く

人の英知が星さえ輝かせるのだ

狭間の地は、まだ暗い

*1
崩壊寸前の律(世界の法則的なもの)を更新するため、大いなる意志(フ○ムソフトウェア)がプレイヤーを不死身にして、現状維持派と関係者と無関係者を皆殺しにさせるお話

*2
蛸さんたちのお食事風景




主人公のプロフィールなどは後々。
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