この馬鹿らしいエルデ王に祝福を!   作:ポポァ

4 / 9
感想評価お気に入りウレシイ…ウレシイ…

不定期更新ですが、無言で失踪とかはしません一応。




第3話 自分をジェイガンポジションだと思い込んでいる精神異常エルデ王

 

 

 注文したいくつかの料理がテーブルに乗せられ、無言で勢いよく食べ始めるめぐみん殿とアクア殿は一旦置いておき、カズマ殿とお互いのことを話し合う。冒険の始まりの定番のひとつでござるな。

 

 

「カズマ殿は見た感じ拙者と同じ日本人でござろう?うっかり死んでこの世界に転生してきた感じでござるか?」

 

「ああ、その通りなんだけど……同じ?ハザマ…さんも日本人なのか?兜のせいで全然分からないけど」

 

「ハザマでいいでござる。いかにも拙者は生まれは日ノ本の葦名の国。ただかなり時代が違うでござるな。分かりやすく言うと戦国末期くらいの侍でござるよ」

 

「へぇ~時代が違う転生者とかもいるんだな。侍要素は口調と刀くらいしかないけど、その鎧とか杖とかが特典のチートなのか?」

 

「いや、これは持ち込んだ私物でござる。色々あって故郷葦名を捨て、狭間の地と呼ばれる剣と魔法のファンタジー世界に旅に出たのでござるよ。船で」

 

「船でファンタジー世界に行ったの!?俺の知ってる日本から一気に離れたんだけど!そのあしな?辺りからもうちょっと詳しく!」

 

「うむ。元々は侍として内府の密偵を狩る仕事をしていたのでござるが、どんどんおかしくなっていく地元に耐えられなくてな。渓谷を人面機関車が這いずり回り*1、夜空には見知らぬ西洋人の顔が浮かび*2、リーダーが自分の首を斬り義祖父を生やす*3。変わりゆく葦名のノリに全くついていけず故郷を捨てることを決意したのでござる」

 

「ええ……思ったより遥かに俺の知ってる日本じゃなかった!こういうパターンもあるんだな!アクアが世界はいっぱいあるって言ってたし!」

 

 

 いっぱいある世界を観測できるならかなり高位の女神なのか?そんなのが酒場にいるけど実はこの世界結構重要なポジションにいるのか?狭間の地では次元がゆるふわなのか平行世界の観測・干渉は簡単にできた*4が、全く別の世界は観測できなかった。ついでに葦名はその辺全く無かった*5

 

 

「まぁそれで、ファンタジー世界で魔法を学び、装備を整え、悪いヤツらをやっつけて、色々あって女神に追放されて、この世界に降ってきたのでござるよ。いわば不法転生なのでチートとかは貰ってないのでござる」

 

「な、なるほど……大分端折られたけどなんか胸やけするから今は聞かないことにするよ。俺はかなりスタンダードな転生者だったんだな……」

 

 

 なんとも微妙な表情でとりあえず納得してくれるカズマ殿。いつのまにかアクア殿とめぐみん殿も食事が落ち着いていたようで、こちらの話も聞いていたようだ。なにやらめぐみん殿の瞳が少し赤く光っている。ビームを溜めているのか?

 

 

「むむむ。女神に追放された魔法剣士とはやりますね……それでも私には最強無敵の爆裂魔法があります。どんな敵でも粉砕する活躍ができるでしょう!あ、これカードです」

 

 

 赤く光る瞳からビームを出すことなく、冒険者カードを取り出しアクア殿に手渡した。ついでに拙者のカードをカズマ殿とアクア殿の間に差し出しておく。

 

 

「ありがと。……確かにもの凄い魔力ね。アークウィザードなのも間違いないし、本当に爆裂魔法が使えるほどの凄腕ならどんな敵相手にも活躍できるでしょうね」

 

「こっちはバランスよくめっちゃ強いな。上級職も納得の高ステータスだけど逆に知力が俺より低いのが気になる。アクアといいこういうステ流行ってんのか・・・?」

 

 

 拙者の知力男子高校生より低いの?おかしくない?義務教育を終えたらボーナス知力がいっぱい貰えるみたいなシステムでもあるの?中学卒業してるのがそんなに偉いのか?

 これじゃインテリジェンス侍自称して刀仕舞ってメテオ降らしてたのが馬鹿みたいじゃん……!

 

 

「まぁせっかくあのクソみたいな募集でも来てくれた貴重な上級職だもんな。カエルにリベンジついでに実力を見せてもらおうぜ!女神を自称する痛い人との格の違いを見せてもらおう!」

 

「はあああああ!?自称じゃなくて本物の女神なんですけど?カズマのせいで地上に墜ちて超弱体化してさえあらゆる回復呪文から補助に蘇生まで完璧に使いこなせちゃう麗しの女神様ですけど?」

 

「女神に追放された騎士に女神までいるんですか……」

 

「ごめんなめぐみん。こいつ地上に墜ちて頭を強く打っておかしくなっちゃったんだよ。優しい目で見てあげてくれな?」

 

「拙者は信じておくでござるよ。鰯の頭も信心からでござる」

 

「それ信じてない奴じゃない?さぁそんなことよりカエル行こうカエル!」

 

「いや私女神だから!後でちゃんと証明してあげるから!覚えておきなさいよ!!」

 

 

 地上に墜ちて全身を強く打った者としては同情してしまう。まぁ拙者はどこもおかしくなってないけどね?あと多分女神ってのは間違いじゃないだろう。

 

 

Tips:魔術『見えるチ○コ』

 

夜の魔術のひとつ、『見えざる姿』を改悪したもの

 

股間を外側からのみ透過し他者からの視覚を可能とする、分かりやすく変態的な魔術

 

初めてこの魔術を完成させラニに披露したとき、なんか突然死んだ

それ以降、使用を固く禁じられている

これはあくまで寄り道でしかなく、王が目指すはただ一つの至高の頂

すなわち、相手の服を透過する魔術である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャイアントトード。ケイリッドのクソ害獣共のような巨体を誇るカエルのモンスターであり、ただのカエルでありながらその大きさゆえ、ヤギなど家畜のみならず人間も捕食対象とするため相応の危険性があり、繁殖期においては人里にまで現れるため冒険者に多くの討伐依頼が出されている。

 金属を嫌うため装備を整えれば捕食されることもなく、肉が食用とされるため狩って売って2度おいしいモンスターなんだとか。

 

 

「めぐみん殿は魔法に準備が必要とのことなので、先に拙者が近いのを倒して、その後めぐみん殿になるだけ遠くのカエルに魔法を使ってもらおうと思うでござる。問題ないでござるかカズマ殿?」

 

「ああ、特に問題ないしそれで頼むよ」

 

「ではさっそく。魔法でドカーンはめぐみん殿がやってくれそうだから、拙者は侍アピールのために刀でズバンとして見せよう」

 

「口調と刀しか侍要素無いって言われたの気にしてたんだ!なんかごめんね!?」

 

 

 そもそもこの口調だって、葦名では普通に標準語だったのを狭間の地で出会った侍のユラ殿に「お主侍要素無くない?」と言われたから変えたのだ。

 確かに全裸に壺を被って両手につるはし持って飛び跳ねていたのは侍っぽくなかったのかもしれないが、侍とは心の在り方であり、表層的なものの見方だけでは測れないのだ。だからハートが侍な拙者は侍。Q.E.D.

 丁度すぐそこに一人でリベンジを挑んだアクア殿入りのカエルがいるのでこいつを侍アピールの対象にする。刀身が見えない名刀月隠を仕舞い、拙者の侍性を見抜けなかったユラ殿の遺した刀、長牙を取り出し装備する。カズマ殿の期待の籠った目に応えるためわざとらしくゆっくり抜刀。カエルの中からアクア殿の早く助けてという腹話術(真)が聞こえてくる。

 

 

「ではいざ。『奥義・葦名十文字』」

 

 

 わざとらしく抜いた刀を一旦納刀し、疾さを極めた音速の居合切りを二閃。一撃(二撃)でカエルを絶命せしめオロロとアクア殿が口からまろび出てくる。

 

 

「おおーすげー!!これが本物の居合切りかぁ……あ、女神様足止めあざーっす」

 

「ううっ……生臭いよう……気持ち悪いよう……目の前斬られて怖かったよう……」

 

「ちゃ、ちゃんと当てない技術はあるでござるから……ほら!めぐみん殿がいよいよって感じでござるぞ!」

 

 

 凄まじい魔力が空気を震わせ、なにやら詠唱するめぐみん殿から膨大な力が杖の先に流れ圧縮されていく。その注がれた魔力の量に星からポイされた時を思い出して冷汗が流れる。

 

 

「――黒き混沌より出でよ!究極の破壊!これが人類最強最大の攻撃魔法!『エクスプロージョン』ッッッ!!!」

 

 

 杖の先から超圧縮された魔力の輝きが一閃し、遠くのカエルに着弾。隕石でも落ちたかのように大地と大気が震え、凄まじい轟音と共にカエルごと地表が吹き飛びクレーターが生み出された。

 

 

「……すっげーな、これが最強の魔法……」

 

「いやいやいや、これ人間に許されていい威力じゃないでござらんか!?文明に罅が入る強さだろ……」

 

 

 マジで狭間の地にこの魔法が無くて良かったと心から思う。こんなもの耐えられそうなのは全盛期のラダーン将軍くらいのものだろう。城だの砦だの、人が作れるレベルの物でこの魔法を防ぎ続けるのは不可能だ。拙者が使えたなら大ルーンとか巨人の火とか全部無視して黄金樹を圧し折っただろう。

 衝撃が収まり粉塵が舞い落ちてくるようになったころ、地面が揺れた影響か地中で眠っていたのだろうカエルがのそのそと這い出てきた。

 

 

「カズマ殿どうするでござる?狩りを続けるでござるか?」

 

「よし!めぐみん!一旦下がってハザマの後ろから魔法で援護を――あれ?」

 

「ぶっ倒れてるでござるな。危ないからとりあえず回収してくるでござる」

 

 

 ダッシュで近づき落ちてたエサを食べようとしたカエルを切り捨て、魔法を放った後倒れてピクリとも動かないエサ殿を拾い上げる。意識はあるようだが完全に脱力しており酷く持ち辛い。

 

 

「ふふふ……爆裂魔法は究極無比の攻撃魔法……!よってその魔力消費もまた究極……!つまりもう魔力を限界まで振り絞ってしまったので全く動けません。さぁ私を安全な所まで運んでください!あと鎧が痛いので持つ人交代お願いします!」

 

 

 動けないくせに威勢の良いめぐみん殿の言葉にカズマ殿はとてもげんなりとした表情だ。とりあえず嫌そうなカズマ殿の背中にめぐみん殿を預ける。そしてカズマ殿はカエル汁と粉塵に塗れてうめき声を発するアクア殿を見てからこちらを向き笑顔で宣言した。

 

 

「よし!今日はいい時間だし帰るか!俺はめぐみん背負ってるからハザマはアクアよろしくな!」

 

「あっずるいでござる!」

 

 

 

 

Tips:葦名の思い出

 

下着を盗んだ罰として机に括り付けられ開腹手術の練習台にされそうになった侍は、名前を俎板之上鯉太郎に改名することで許しを得た。しかしそれは、葦名の地に潜む鯉ガチ勢*6の刺客との長い戦いの始まりであった……

 

*1
ぬしの白蛇をきかんしゃトーマスに変更MOD

*2
月をニコラスケイジに変更MOD

*3
公式

*4
血痕や協力などのマルチプレイ要素のこと

*5
後にアプデで追加されている

*6
鯉に生まれ変わって永遠の命を手に入れようとする邪教徒




ギルドで絶賛され、度々スゴイと描写されるアクアの魔力よりめぐみんの魔力が2.3倍程高いという事実(アニメ版)。多分この世界はパッシブスキルの性能がぶっ飛んでるんじゃないかなと思います。
めぐみんが助かったせいでアクアが相対的に可哀想な目に。筆者は普通にアクア好きです。なんだかんだ優しいとこいいよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。