この話からは地の文では名前の敬称をほぼ省きます。説明と心象で分けるつもりでしたが、ごっちゃになるし間違えて表記揺れ不可避なので。クエストを終えて急に馴れ馴れしくなったと思って下さい。
カエル狩りを無事に終え、めぐみんを背負ったカズマと、ルーンから出した台車で運ばれていたがカエル汁に慣れたのか自分で歩き出したアクアと共にアクセルの街に帰還し、冒険者ギルドへの道を歩いている。
「しかしまぁこのロリっ子がたった1発魔法を使って動けなくなるようなポンコツだとは思わなかったよ。ハザマがいなかったらコイツも汁漬けだったんじゃないか?」
「おいロリっ子呼ばわりはやめろ。爆裂魔法の素晴らしさを思えば動けなくなるくらい些細なことでしょう!」
「あんなとち狂った魔法を使っておいて元気なほうがアレでござるがな。まぁ今回はあくまで爆裂魔法のデモンストレーションでござろう?」
「確かに実力を見せてくれって言ったのは俺か。先に動けなくなるって言って欲しかったけどな!まぁ切り札があるってことはいいことだし、普段は普通の魔法で戦ってくれるんだろ?」
「いえ私は爆裂魔法しか使えませんよ。爆裂魔法こそ私の全て!私の人生!爆裂魔法を使う事だけが私の生き甲斐であり、私のスキルポイントは全て爆裂魔法とその強化に使い切りました。爆裂魔法が究極的に素晴らしいので他の魔法なんか知りませんよ」
「素晴らしいわ!そのロマンの為に自分の人生全てを捧げる姿勢!この私水の女神アクアがあなたの生き様を認めましょう!」
自分が一発打ち切りの特攻野郎スタイルであることを宣言するめぐみんに、何に感動したのかそれを全肯定する汁の女神アクア。
「じゃあ何か?こいつは一発ドカンと撃って荷物に変わるか、後ろで棒立ちしてるだけのアークウィザード(笑)ってことか?……今日はお疲れ様でした。貴方の今後のご活躍をお祈りしています。ハザマこれからよろしくな!」
「ちょっと!パーティーに入れてくれるまで離しませんよ!延々と背中に貼り付いて毎朝爆裂魔法を撃ってやりますからね!美少女一人の衣食住を賄うだけで毎日爆裂魔法撃てるんだから安いものでしょう!」
「爆裂魔法が必要となることなんて無さそうだし、広い外以外じゃ棒立ち確定じゃねえか。毎日爆発する荷物の為に金使いたくねぇんだけど!」
「何言ってんのよカズマ!こんな良い子を放り出すなんてありえないわ!男の甲斐性見せなさいよ!」
めぐみんの採用について意見が分かれている。個人的にはロリ美少女魔法使いは一つの鉄板メンバーであると思うので、既婚ゆえ手出しはありえないにしてもパーティーを華やかにするためぜひ採用して欲しいので助け船を出す。
なによりもこんな筋金入りのやべー奴を野放しにしていては危険すぎるので目の届くところに置いておきたかった。具体的には詠唱始めたら黙らせられる距離。
「前に魔王を倒すと言っていたでござろう?魔王軍に打ち込むミサイルの維持費用と考えれば人間一人養うくらいは安いでござる。外で狩りしててうっかり消し飛ばされる可能性を無くす意味でも手元に居てもらった方がいいのではござらんか?」
「あー魔王は忘れてたな……そうなると切り札は必要かー。でもどちらかと言えば後者の方が重要だな。居ても居なくても迷惑とか疫病神か何か?もう間に合ってんだけど」
「今もしかして私の事疫病神呼ばわりした?水の女神様なんですけどー!信者沢山抱えてるこの世界の主神と言っても過言じゃない有り難い存在なんですけどー!!」
「つまり私もパーティーに入れてくれるってことですね!?これは爆裂魔法を習得しているお蔭でパーティーに入れたと言っても過言じゃないですしやはり爆裂魔法は最高ですね!」
「もうそれでいいよ……まともな前衛が来てくれただけでもよしとする……」
カズマががくりとうなだれ、ここにめでたく新たな冒険者パーティーが結成された。ゲームならファンファーレが鳴らされる場面でござるな!!
〈カズマside〉
生臭く汚れた元女神を連れ歩いていると街の人たちの目が痛いので、ギルドにクエスト報告に行く前に風呂に入りに行くことにした。
驚いたのは、脱衣所で全身鎧を一瞬で脱いだ侍のハザマが物凄いイケメンだったことだ。びっくりして褒めると「イケメンに産んでくれた義母上に感謝でござるな」とさらりと返される。なんだかイントネーションがおかしかった気もするが対応もイケメンだ。しかし全身と顔に酷い火傷痕があり、それを隠す為に街中でも全身鎧を脱がないのかもしれないが、あえて聞くのはやめておいた。
「そういえば、ハザマは本当によかったのか?その実力があれば俺たちみたいな駆け出しなんかよりもっといい条件のパーティーに入れると思うんだけど」
「そのことでござるか。前に拙者は女神に追放されて来たと言ったでござろう?それゆえ、機嫌を取りなすような何か*1を欲しているのでござるが、皆目見当つかぬ。それで、女神であるアクア殿から何か学べないかと思ってな。金銭も名誉もさして必要ないゆえ丁度良かったのでござるよ」
なるほど。というかマジでアクアの事を女神だと認識しているのなこの人。他の女神の事を知っているみたいだし、女神特有の判別方法があるのかもしれない。あの駄女神を見て本当に女神だなんて信じられる訳ねぇもんな。
ふと見れば多くの傷跡が残る手、その左の薬指に指輪が嵌っている。
「あれ?ハザマってもしかして結婚してるのか?指輪してるけど」
「む?ああこれでござるか。どこの指に指輪をするのが既婚者かなどはその地の文化によってまちまちでござるが、確かに拙者は結婚しているでござる。日本人ゆえ現代日ノ本の流儀に則った感じでござるな」
「へえー、まぁそんだけイケメンなら結婚もしてて当たり前か。奥さんは元の世界にいる感じか?」
するとハザマはその蜥蜴みたいな鋭い目を細め、指輪を撫でながら遠い目をして言った。
「いや……今は、遠い星から、見守ってくれている*2でござるよ。拙者はそう信じているでござる」
……やっちまった。すげー気まずい。この可能性を考えていなかったのは俺のミスだ。
周りのおっさんたちも即座に顔を背けこの空気から逃げ去っていく。
ハザマも周りの空気が沈んでしまったのに気が付いたのか、何か言おうとしたが結局止めてしまった*3。これはきちんと謝っておかなきゃいけないよな。
「すまん、ハザマ。考えが足りなかったよ。悪い事聞いちゃったな」
「いやいや全く気にしないで構わないでござる!いつか*4再会することも約束しているのでな。気を使われるとむしろ申し訳ないというもの」
幸いハザマは大人の対応をしてくれた。死んだ奥さんとの再会の約束を信じているなんて素直にカッコイイと思う。俺もせっかく異世界に来たんだし、こんな強くてカッコイイ男になりたいもんだ。
「さんきゅーな。この後はどうしようか?あとはギルドにクエスト達成の報告するくらいだけど、別に俺一人でも十分だし。今日はこのまま解散にして明日の昼にでも冒険者ギルドに集合でいいか?」
「分かったでござる。拙者は適当にその辺ぶらついてから休むとしよう」
予定も決まり、一緒に風呂から上がり外で別れる。この後はギルドに行ってクエスト完了の報告をするだけだ。
カエル狩りの報酬は死体の売却込みで10万ちょっとの金額になるだろう。四人で割ると少ないが、ハザマのお蔭で命の危険は無さそうだしレベルも上がると考えれば割には合う。あとは俺が強くなってもっと稼げるクエストをこなせるようになればいいだけだからな。
なかなか明るい未来を想像し、足取りも軽く冒険者ギルドへの道を歩く。
この時の俺は、この後また新たな頭のおかしい女にまとわりつかれる未来は想像もしていなかったのであった……
Tips:超イケメン侍ハザマエルデオー
彼は元々故郷、葦名において極めて平凡な、無双ゲーの拠点兵長みたいな容姿をしていた
潜入任務などに向くと評価されども、高身長イケメンばかりの周囲にイヤミか?と劣等感を抱いていた
そして狭間の地にて満月の女王レナラの生まれ直しによって、モテモテのイケメン侍に成ったのだ
しかし共にイケメンに生まれ変わった針子のボックの死に、深く涙することになる
いつも読んで下さりありがとうございます。
ストーリーの進行はかなりゆっくりめ。
着けてる指輪は自作した暗月の指輪レプリカです。
そしてこいつはスキルの説明をおっぱい見てて聞き逃したので理解しておらずまだ1ポイントも使ってません。
次回あたりでスキルを所得するかもですが、本編で言ってるとおり不自由してないのでパッシブ重視になると思います。