この馬鹿らしいエルデ王に祝福を!   作:ポポァ

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お蔭さまでお気に入りが遂に千人を超えました。これはランキング上位勢のすんごい人たちと比べると大したこと無いように思えますが、実際千人という数はスゴイ数です。イナバの物置だって余裕で破壊できます。

今回はちょっと長めです。


第7話 キャベェェェツ フェスティボーウ!!

 

 

 何故か全財産を失い、いつの間にか新たな装備を手に入れた爽やかな風の吹く午後。

 何故か装備が変わっていたのでいつもの装備に着替え、裏路地の祝福から冒険者ギルドに移動する。

 ギルドの中に入ると、何故か宴会芸をしているアクア、食事を終えたっぽいめぐみん、全然知らないスパッツを履いていない女盗賊と知らない女騎士の二人組と一緒にいるカズマとすでに全員揃っている。

 

 

「やあカズマ殿。拙者で最後のようでござるな」

 

「ああ、ハザマか。そうだ、昨日のクエストの報告がちょっと残ってるから来てくれよ」

 

 

 どうも討伐証明が一部不明ということで拙者の冒険者カードの討伐記録を受付に見せる必要があるらしい。カズマと一緒に受付に行き、カードを見せ、カズマから報酬の四分の一を受け取る。

 

 

「これでよし。大した金額じゃないけど初心者PTがリスク無く稼げるなら十分だと思うぜ」

 

「堅実なのはいいことでござる。せっかくの異世界冒険者生活だし、のんびり楽しめるくらいが丁度いいでござろう」

 

 

 報告を終わらせ酒場に戻ると、宴会芸を止めたアクアとめぐみんがこちらを待っていた。

 

 

「ハザマも来たのね。それでカズマ!ちゃんと芸を見てないとダメじゃない!これはあんたに教えてあげようとやってるんだからね!……それでさっき一緒に入ってきたこの人はどうしたの?なんかすごい落ち込んでるけど」

 

「それは私が説明しよう。クリスはカズマにぱんつを剥ぎ取られた上にあり金を要求され、さらにそこに謎の男が乱入してきて、色々あってスパッツまで取られたのだ」

 

「いやあんた!間違ってないけど、ちょっと前半は待て!大体あってるけど、俺のほうは待て!」

 

 

 どうやら拙者が知らないうちにカズマが女の子に非道な行いを働いたようだ。引くわー。酒場のみんなでカズマに冷たい目を向ける。

 しかし落ち込んでいたクリスという少女はすぐに顔を上げた。

 

 

「公の場でいきなりぱんつ脱がされた挙句変態にスパッツ奪われたけど、いつまでも凹んでてもしょうがないね。結果的にお金は取られなかったし、気分転換になにか臨時でダンジョン探索でもしてくるよ。じゃあダクネス、なにか適当に遊んでいてね。私は行ってくるよ!」

 

 

 そういって冒険者募集の掲示板に行ってしまった。女性冒険者たちがカズマにさらに冷たい目を向けている。

 

 

「ダクネスさんはついて行かないのか?」

 

「……私は前衛職だからな。前衛職なんてどこのパーティーにも居て有り余っている。クリスはダンジョン探索に必須の盗賊で、しかも盗賊は有能な割に地味で数が少ないからどこにでも需要があるのだ」

 

 

 なるほど。確かにダンジョンで罠と敵が探知できるなら心強いことこの上ない。

突然の火炎放射や角待ち畜生共の場所が分かるならかなりストレスフリーだ。めっちゃいて欲しかった人材である。

 正確には盗賊自体は掃いて捨てた程いたけど全員敵だった。話になるのはパッチくらいだったが、絶対裏切るあいつと一緒に探索なんてとても考えられなかった。

 

 

「なるほどなー。俺も敵と罠を探知できるようになったし、ダンジョンなら結構役に立てそうだな」

 

「おや?カズマは何かスキルを習得できたんですか?」

 

「ふふん。見てろよめぐみん。『スティール』ッ!」

 

 

 カズマがめぐみんに向かって手を突き出しスキルを発動すると、その手に黒い布が握られる。

 ぱんつだ。即座に見抜くが流石に今は何も出来ることが無い。

 運命とは何時だって残酷で、いたずらに人を傷つける。かつてはそんな運命に逆らい、神さえ斬ったものであるが、流石にここでカズマからめぐみんぱんつを奪いとるなんてキ○ガイムーブするわけにいかない。どうせぱんつ奪っても凍死するからインベントリに保存できないし。

 

 

「なるほど。レベルが上がって冒険者から変態にジョブチェンジしたんですね。……スース―するので早くぱんつ返してください……」

 

「あれっ!?おかしいな!?これランダムで相手の何かを奪い取るスキルのはずなのにっ」

 

 

 素早く魔術『内から見える兜』を使用し、もじもじとスカートの裾を抑えるめぐみんを後方ベガ立ち騎士面で顔を向けずにガン見する。

 恥じらうノーパンミニスカ美少女は歴史的に極めて重要な資料なので、視界に映る映像をメモリ・ストーン*1に記憶する。元々記憶してあった映像は、拙者のアンチでありやたらと悪評をばらまく失地騎士の顔だ。半年程粘着して殺しまくったら大人しくなったのでもうこの映像は消していいだろう。

 ダクネスが今のやり取りに突如興奮して盛りながらパーティーへの加入を希望し、上級職のクルセイダ―であることを理由にアクアとめぐみんが彼女の加入を肯定する。しかしこれ以上パーティーにアレな女を増やしたくないカズマはそれをなんとか取り下げようと必死だ。

 拙者としては、金髪巨乳変態女騎士とか世界の運命的に加入しないはずがないと確信しているので特に口は出さない。それに味方を守る戦いとか今までほとんどやったことないので、盾専の加入は普通に歓迎だし。

 カズマがこのパーティーは魔王を討伐するための集まりであり、危険で険しい道のりを行くのだとダクネスに脅しをかけるが、むしろ魔王にエロい目に遭わされたいと逆効果だ。

 しかし昨今は魔王が実は美少女でヒロイン化するパターンもよく見る。複数転生者モノでクズ勇者なんかが現れると高確率でそうなるが、その場合は女魔王とエッチなことするのだろうか?それだと最高でござるな。

 魔王というワードに反応しためぐみんが勢いよくマントを翻し、あ、ポーズを取ったから手がスカートの裾がひら

 

 

【この先、絶景があるぞ】

 

 は??????????突然目の前にクソデカメッセージが表示され視界がガッツリ奪われる。なんじゃこれ?この世界の大いなる意志の干渉を感じる。

 しかも明らかに今は全くスカートの中が見える感じでは無かった。一瞬見えそうでもまだまだ絶対見えないと言い切れるタイミングでさえ妨害入るとか、希望を抱くことさえ許さないという強い意志表示を感じた。

 こっちは検証*2の結果、能動的に女性に直接エロいことしようとすると不思議な力で即死するのが分かっている(いや浮気になるからどのみちしないけどね?)から、こちらの意志の介在しないエッチなToLoveるを待つだけの身なのになんて仕打ちだ。今なら憎しみで神だって殺せるだろう。

 見たいものも見えないこんな世の中に内心毒づいていると、突然街中に大音量のアナウンスが響きだした。

 

 

「緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!」

 

 

 緊急クエスト?ハンターランクが上がるヤツか?周りの窺うがどうも不安気なのはカズマだけのようで、他の人たちはむしろ嬉しそうな表情だ。どうやら緊急クエストの内容に察しがついているようだ。

 カズマが他の人に問いかけると、ダクネスがそろそろ時期なのでキャベツの収穫だろうと教えてくれた。

 ……キャベツ?

 

 

「なんでキャベツ?もしかしてそういう名前のモンスターなのか?」

 

「カズマはキャベツも知らないのですか?緑色の丸い、しゃきしゃきして美味しい野菜ですよ」

 

「そんな事知っとるわ!つまりあれか?緊急クエストだーつって、冒険者に農家に手伝いさせようってのか?」

 

「あー……カズマと多分ハザマも知らないんでしょうけどね?この世界のキャベツは………」

 

 

 アクア曰く、この世界のキャベツは収穫の時期が近づくと食われてたまるかとばかりに空を飛んで逃亡するらしい。街越え草原越え、やがて大陸を越え海を渡り、人知れぬ秘境の地で朽ち果てるのだという。

 いや次代を残せよ。生存本能が種の保存を放棄させるとか本末転倒では?いや秘境で繁殖するのか?それなら他の生き物と遭遇しにくいから逃げる生態なんか身につかないだろう。こんな訳の分からない生命体を食べていればそりゃあレベルも上がろうというものである。

 巨乳受付嬢さんがクエストについて冒険者たちに大声で説明を始める。内容はキャベツ収穫で合っていたようで、今年のキャベツは特に出来が良く一玉一万エリスと引き換えで、設置された檻に納めればいいらしい。親切隊長はキャベツ三十玉分の金しか持っていなかったと考えると少し面白かった。

 馬鹿みたいなクエスト内容にテンションの下がったカズマ率いるパーティーで街壁の外、門の前まで移動する。バリエーション豊かな装備の冒険者たちも一緒だ。

 

 

「あの空の向こうからカッ飛んでくる緑の()が全部キャベツでござるか……」

 

「イナゴみたいで普通にキモいよな。俺この世界少し嫌いになったもん」

 

 

 押し寄せるキャベツの群れ。フレッシュで栄養豊富な緑の奔流が街に向かって流れてくる。気色悪(きしょ)っである。

 だが見てくれがアレな敵なんぞ今までうんざりするほど戦ってきたので、今更外見がどうなどという理由で刃が鈍ったりはしない。腐敗毒とか呪いのゲロとか吐いたりしないんでしょ?

 空を飛ぶ奴が相手なら、重力魔術を使わざるをえない。ゲロビで薙ぎ払うこともできるがキャベツが消し飛んでは勿体ないし。

 いつもの武器を収納し、輝くルーンから2本の特大剣を取り出し両手に持つ。

 

 

「おお……なんかすげーごつくてカッコイイな。それはなんか伝説の武器だったりするのか?」

 

「うむ。これは"星砕き"の異名を持ち重力を自在に操る剛毅なる将軍、ラダーンというデミゴッドが使っていた双剣でござる。降り注ぐ隕石を重力魔法でとっ捕まえて斬り砕き、遂には隕石側がびびって降ってこれなくなったという伝説の持ち主でござった。死ぬほど強かったでござるよ」

 

「思ったより遥かにやべー伝説だったわ!ナチュラルにゴッドとかでてるし、しかも戦ったのか……やっぱ怖いな、ファンタジー世界」

 

「くっ……かなりカッコイイじゃないですか!しかし!この私も爆裂魔法がありますからね!隕石だって砕けるに違いありません!負けませんからね!」

 

 

 瞳を紅くぎらつかせためぐみんが伝説トークに素早く反応しぴょんぴょんしている。反応そのものは可愛いけど目が赤いと気が狂ってそうですげー怖い。葦名だと不死化の人体実験の失敗作が赤目になってたけど、もしかして紅魔族もそんな感じの由来なのだろうか?頭おかしいと評判みたいだし。

 

 

「まぁ詳しい話は、興味があるならまた時間がある時にでも聞いてくれれば話すでござる。今はその伝説の一端、隕石を捕えた重力魔法をお見せしよう!」

 

 

 いよいよ街まで近づいてきた飛翔するキャベツの波、その群れの先頭に向かって複数の重力弾を飛ばす。何十ものキャベツを捕えたのを確認し一気に引き寄せ、破壊すると値段が落ちそうなのでそのまま冒険者ギルドの用意した檻の中に投げ込んだ。どーだ!?

 

 

「いや…………ごめん、やっぱキャベツだと絵面がダメだわ。凄い事やってるんだろうけど、キャベツだから……」

 

「…………あーあー!隕石でも降ってこないかなー!!!宇宙の悪意さーん!!!こっちですよーーーー!!!!」

 

「いやごめんて!でも仕方ないだろ!キャベツだぞ!!盛り上がろうにもキャベツなんだよ!!」

 

 

 畜生。もう隕石も自分で降らせてマッチポンプしてやろうか?星出し砕きしてやろうか?でももういい大人だからムキになんてならないからな!

 心無い言葉に傷つけられたので、無言でせっせと重力を操作しキャベツを次から次へと捕まえ檻に放り込んでいく。よく考えたら星砕きの大剣も別に使わないので仕舞って杖に持ち変える。オラッ重力ッ!

 

 

「ああっいじけて無言で金策モードに入っちゃったよ。俺もキャベツ捕まえるか……」

 

「フフフ。どうやら次は私の出番のようですね!爆裂魔法は見栄えも威力も人類最強。いざ必殺の……『エクスプロージョン』ッ!」

 

 

 足元にドでかい魔法陣を描き、頭おかしい量の魔力を杖の先にぎゅんぎゅん圧縮すると上空のキャベツの群れに向かって一閃。着弾地点から百m近い爆発が巻き起こり数百玉のキャベツを消し飛ばした。

 いや捕まえよ?でもまぁ金にはならないけど経験値稼ぎとしてなら悪くはないのか……?

 

 

「フッ……やはり爆裂魔法しか勝ちません。異界の神話恐るるに足らずです!」

 

「神話に居て欲しくないタイプの魔法使いなのは確かでござる。しかし拙者のせいで狭間の地が侮られる訳にはいかん。現役の神話勢として、後で名誉挽回してしんぜよう!」

 

 

 ぶっ倒れためぐみんを回収し、比較的安全な冒険者ギルドの職員たちがいるスペースまで移動。インベントリから取り出したゲーミングチェアに座らせる。

 周りを見渡すと、カズマは気配を消しながらキャベツの動きを読みスティールで捕まえている。早速手に入れたスキルを有効に活用できているようだ。

 アクアはなぜか少数紛れ込んでいたレタスばかりを追いかけまわしている。レア物狙いなのかな?実は価値が高いとか。

 ダクネスはキャベツに負けそうな冒険者たちの盾として仁王立ちし、降り注ぐキャベツをその身に受け止め続けている。服が破れていくのを男たちに見られているのに興奮しているが、男たちは素直に庇われていることに感動しているので温度差が凄い。個人的には服ビリ自体はエロいけど恥じらいが無いのは大きくマイナスだ。服が破れていやーんてなっても内臓までポロリしたらエロくなくなるように、ただ服が破れて肌が見えればいいってもんじゃないのだ。

 とりあえず全員大丈夫そうだ。気を取り直し、杖を仕舞い両手に竜餐の印を宿す。赤黒い光を放つ紋章に周囲からの注目度が上がる。

 

 

「なんですかそれ!?めっちゃかっこいいじゃないですか!破壊神でも封印してたりするんですか!?」

 

「これは竜餐の印と言って、竜を討伐しその心臓を捧げ食らうことで竜の力を体に宿さんとする竜餐教の紋章でござる。拙者も数多くの名の有る竜を屠り、その心臓を食らい力を宿して只人を超えた、ドラゴン・ハーティドと呼ばれる者の一人!」

 

 

 ビシっとカッコイイポーズを取りつつ説明をすると、ノリの良い冒険者やギルドの職員たちが拍手してくれる。ゲーミングめぐみんの瞳もピカピカだ。

 

 

「狭間の地の神秘、己の存在をも塗り替えるドラゴニック・パゥワーを見よ!『竜体化』!デュワッ」

 

 

 赤黒い竜血の輝きが全身を覆い尽くし、そのまま一気に膨れ上がり燃え爆ぜる。そして炎の中から紅い雷を纏い、全身に輝石を生やした青黒い飛竜が現れた。

 

 

GRRRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!

 

 

 突如鳴り響く竜の咆哮に、キャベツと事情を知らない冒険者たちがパニックに陥る中、力強く羽ばたき飛翔。空を飛び交うキャベツたちを凍てつく冷気のブレスによって蹂躙していく。

 僅かな時間で戦いの流れを決定づけ、キャベツが逃げ去る者と強者に屈服し食べられるのを待つ者に分かれたあたりで地上に降り変身を解いた。

 

 

「さぁ勝鬨を上げるでござる。収穫の時間だ!!」

 

 

 びっくりするくらい誰ものってこなかった。

 

 

 

 

Tips:祈祷『竜体化』

 

竜餐の祈祷のひとつ、その極致といえるもの

 

己が姿を僅かな時間完全な竜となし、取り込んだ全ての竜の力を使用できる

 

数えきれないほどの竜餐を行い、その上で人の器を保ち続けたことで可能になった秘儀

新たな世紀、一人の竜騎士が竜血に呑まれ竜と化し*3、けれど不死の祝福を失わなかった

後はお察しである

*1
本来は魔術や祈祷を記憶して使用することができる秘宝

*2
エルデの王を簡単に殺害する方法として狭間の地で女体攻めが流行った時期があった

*3
竜餐は人のまま竜の力を得るのが目的なので竜になりきってしまうのは失敗




色々悩んで時間がかかったけど私は元気です。
原作にムダ毛を生やすタイプの2次創作なのでネタ切れだけはほぼないのが救い。

ハザマエルドラゴンのイメージは輝石とか色々生やした青黒いアギール(汚)。青黒いのは各色混ぜた結果のドブみたいな濁った感じ。サイズは普通です。

資格取得のため次はさらに遅くなるかもです。更新してたら勉強サボってると思って下さい。
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