モンスターハンター・トータス2   作:綴れば名無し

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 ハジメが戦いを繰り広げている間、一人逃げ延びたレイスはどうなったかというと…

「…それで?」

「ん?―――あぁ!連絡が途絶えてた件っスか?そりゃあ魔王様には申し訳ないって思うスけど…こっちもこっちで色々あったんスよぉ!言い訳くらいはさせて貰えますよね?」

 近くの偵察に来ていたセレッカの”気配察知”に引っ掛かり、こうして出会えた。
ガーランドへの帰国と定期連絡が出来なかった理由を聞いたレイスは周囲にそれらしいモンスターの痕跡がなかった事を伝えた。
一安心も束の間、彼らはショウグンギザミと戦うハジメを遠くから観察している。

「おぉ~前とは防具が違うけど、あれはいつぞや樹海で会った少年じゃないっスか!」

「樹海…例の亜人族の一件に絡んだ帝国側の人間か」

「そうそう、それっス!しっかしなんでまたこんな所に?」

 二人が話している間に戦いも終わりが見えてきた。
ショウグンギザミと一進一退の攻防を繰り広げているように見えるが、回復の手段があるハジメの優勢を遠目に見ているレイス達は察している。

「どうする?奴が疲弊した後で襲うなら容易いが…」

「ん~でも魔王様から極力手は出すなって少し前に命令されてなかったっスか?」

「…お前、少し前ってそれ十数年前の命令だと思うが…」

 あの時の事を二人は…いや、あの場にいた軍の重役達は今でも覚えている。
アダムから突然の招集を受けて集まった者達に言い渡されたハンターを殺すなという命令。
当然そんな命令に納得がいかない将軍フリードや数人が食って掛かったが、アダムは「命令が嫌なら心の片隅にでも留めておいてくれ」と言って聞く耳を持たなかった。
人間達のところへ何時ものように単独で乗り込んでいった彼が酷く落ち込んでいた。
何があったのか…それを聞くことは誰一人として出来なかった。

「じゃあ殺します?隊長は半死半生みたいな状態で寝てるから自分とレイスさんだけっスけど」

「…いや、部下が二人いる。片方は魔王様お気に入りの奴だ…何かあっては示しがつかない」

「フーンお気に入りっスか?会って話してみたいっスねえ」

「…この場は奴を見逃す。責任は俺が取る」

 ハジメが洞窟を出ようとするのを見届けて、ダヴァロスと合流した二人も移動を開始した。



念願のオーダーレイピアを手に入れたぞ!

 

 ショウグンギザミが無理やり通った後で洞窟から外に出る道は少し広々としていた。

雨の音が聞こえてこない…戦ってる内に雨は止んだのだろうか?

外の光に近くづくと、遠くない距離に生き物の気配を感じる。

 

 飛び出してすぐに見慣れた青髪のウサ耳に金色の長い髪、シアとアレーティアの姿を見つけた。

二人が無事だった事に安堵したのも束の間、二人と対峙する形でいる幸利と魔人族の少女が見える。

 

「シア、アレーティア無事か!?」

 

「ハジメ!」

「ハジメさん!私達は平気です!でもその怪我―――」

 

「よう、フューレンで会った時から随分と変わったなハジメ?」

 

「清水…!――――――そりゃハンターだからな、前より強くなってんだよ俺も」

 

 口にした言葉に偽りはない…が、ほんの少し見栄を張ったのは事実だ。

フューレン以降、ティオとの戦いを除いて本格的に一人で狩りをした事は一度もない。

オルクス大迷宮では殆どルゥムさんと教授に助けて貰ったからな。

あれだけで経験を積んで強くなったと言い切れるほど俺は自惚れてない…ハズ。

 

「前より強くなった…ねぇ?それじゃ今からやるかい、こいつとさ…」

 

 そう言って幸利が背後にいる巨大なクルルヤックを指差すと、それに反応して鳴き声を上げる。

改めて見直すと、あのクルルヤックが以前フューレンで見たのと同一個体だと分かった。

体の大きさだけじゃない…総合的な戦闘力は通常個体を遥かに上回っているだろう。

俺一人なら何とかなるかもしれないが…今は――――――

 

「…悪いが、今は別のクエストをやっている最中なんでな…予定が合わん」

 

「…そうか。なら仕方ない」

 

「ッ!清水様、敵を前にして戦わないと仰るのですか!?」

 

 幸利が納得してウンウン頷く横で魔人族の少女が食って掛かる。

話を聞くうちに彼女の名前が”フラウ”というのは分かったが、気安く名前では呼べなさそうだ。

彼女の言う通り俺達は人間側で、向こうは魔人側…今が戦時中だしこんな風に出会ったら問答無用で殺し合いが当たり前…なんだけど、幸利にその気はないようだ。

 

 俺がいない間にどうやら自己紹介程度の会話はしてたらしく、幸利がアレーティアに尋ねる。

確かに彼女はハンターじゃないし、俺やシアを守る為に戦うつもりでいた。

どうやら幸利達から見てもアレーティアの魔法の強さは規格外のようだ。

数分もしない内に話し合いは終わり、幸利は移動するぞとクルルヤックに促す。

 

「―――てな訳で、俺達は逸れた仲間と合流したいんだが」

 

「構わないぞ。俺らは最初から戦うつもりなんて無いからな」

 

「そうか、そりゃよかった。それじゃ―――「清水!―――なんだ?」

 

「…また、何処かでな」

 

 こんな形でしか会えないかもしれないが、それでも幸利とは友人だ。

たとえ次は殺し合いになると分かっていても、再会を願わずにはいられない。

あいつの隣にいたフラウが驚いた顔で俺を見るが、あいつはニヤリと笑って言葉を返す。

 

「…あぁ、また何処かで会えたらな」

 

「次はとっ捕まえる準備しておくから、今から覚悟しておくんだな」

 

「抜かせ、こっちも万全の状態で襲うさ。命乞いの練習でもしておけよ」

 

 悪意はないが敵意はある、そんな状態でお互いに笑顔を向けながら別れを告げる。

横に居たシアとアレーティアが向こうの彼女と同じように驚いた様子で俺を見ていた。

幸利達の姿が居なくなったのを見届けて、ようやく一息つけると木の切り株に腰を下ろす。

 

「…フーッ…やれやれ、ようやく落ち着けるな」

 

「ハジメ。洞窟にいたモンスターは…?」

 

「きっちり仕留めて来たさ。来るのが遅くなって済まなかった」

 

「いえ、そんな全然!私の方こそ逸れて助けに入れず、申し訳ないですぅ」

 

「気にするなシア。お前がアレーティアと一緒にいてくれたから、幸利も手を出さなかったんだ」

 

 二人も木の切り株に腰掛けて、お互いどんな状況に置かれていたかを話す。

俺は話をしながら、アイテムポーチを漁って回復薬を一瓶取り出して飲み始めた。

既に自然治癒力のお陰で傷の殆どは塞がっているが、完全に傷を治す必要があった。

 

「清水さんから聞いたんですが、ハジメさん髪の色は元々黒かったって本当なんですか?」

 

「ん、あぁそういえば言ってなかったな。俺の見た目は帝都の集会所でギルドのアイルーに変えて貰ったんだよ。同期との宴会の余興でな、目の色も違う」

 

「…そう…」

 

 目に見えてアレーティアが落ち込んでいた…同じ目の色だったから親近感があったのだろう。

ちょっと申し訳なさそうに微笑んで彼女の頭にポンと手を置くと、少し照れ臭そうにはにかんだ。

横でシアが不満そうに頬を膨らませている。…慰めるつもりでやって深い意味はないんだけどな。

 

「…それと、幸利からハジメ達の苦労聞いた。…大変だったって」

 

「ハジメさん!私と出会う前にそんな苦労してたなんて…!」

 

「…まぁ、過ぎた事だから。あんまり気にしないでいいぞ?」

 

「それは無理」

「そうですよぅ!」

 

(…二人も俺より激重の過去持ってんだろ…っては触れないでおくか)

 

「それで、これからどうする?」

 

「清水はああ言ったけど…もう一人の魔人族がどうするか分からない以上、長居は出来ない」

 

「…でも狩猟対象のガミザミ、まだあと数匹残ってますよ?」

 

「最低限そいつらだけでも仕留めて戻るぞ。洞窟の鎌蟹は…諦めよう」

 

 ちょっと苦労したから剥ぎ取りくらいはしたかったけど、あそこに戻るのは一番リスクが高い。

幸い俺達が通ってきた湿地帯のエリアならガミザミが沸いてる可能性はある。

ベースキャンプからそう離れていなければ何かあっても対処出来るだろう。

…もう一つの心残りがあるとするなら…俺は少し前まで双剣を握っていた両手を見つめる。

 

(…初めてだった、双剣を使ったあの感覚…あれはまるで―――)

 

「ハジメ?」

「どうしたんですか?」

 

「ん、いや…何でもない。―――さぁ!クエストの残り時間も少ない、急いで終わらせるぞ!」

 

「了解っ!」

「了解ですぅ!!」

 

 

 こうして俺とシア、二人でパーティーを組んだ初クエストはアクシデントもあったが無事終了。

ゲブルト村へ戻った頃には雨も上がり、空が色鮮やかな黄昏の時を迎えていた。

ギルドで査定する間、俺は狩猟の神様(仮)に祈る形で報酬を待った。

結果は―――――

 

湿地帯で獲得した素材一覧

・鎌蟹の小殻×14個    ・とがった爪×8個    ・黒真珠×4個

 

「ぃいよっしゃああああああぁぁぁぁーーーっ!!!」

 

―――と大声で吠えた結果、巡回をしていた通りすがりの帝国兵に怒られてしまった。

ギルドの受付嬢にはまた軽く引かれて、遠目に見ていたリーナ達に呆れられた。

そんな事があっても俺の心はフリーダム、おやっさんの工房目指して猛ダッシュ。

 

「師匠、師匠!!持ってきましたよ黒真珠、これで作れますよね師匠!?」

 

「あ、あぁ分かった分かったから!ちったぁ落ち着けハジメ!」

 

 この後、工房の奥へ引っ込む前に師匠から一発拳骨落とされてようやく落ち着きを取り戻した。

これで念願のオーダーレイピアを作れるが、ツインダガーとはお別れになる。

 

(また別の武器を作る機会があったら…よろしく頼むな)

 

 それから暫くの間、師匠が金槌を振るう音や真っ赤に焼けた武器を水につける音を聞く。

工房の奥から師匠が出てきて、バッと立ち上がりカウンターの方へ駆け寄る。

 

 ”オーダーレイピア”…元は都市部を守護する騎士が儀礼等に用いる細剣だという。

ハンター用に改良された二振りの剣は、飛竜の硬い甲殻をも易々と穿つ力を纏っている。

 

 遠目に見ると同じ見た目だが、左右の剣にそれぞれの特徴があった。

右手に持つ細剣の刃は薄いピンクの色を帯びて、左手の方は刀身が幅広で薄紫色になっている。

性能的に違いはなく、このオーダーレイピアには色合いに相応しい水属性が宿っていた。

 

「お、ぉ…!か、っけえぇ…!!」

 

 このデザイン考えた奴は神だろ!いやマジで神様ありがとう、ありがとう御座いました!!

流石に室内でチャンバラごっこよろしく振り回す訳にはいかず一先ずは鞘に納める。

それからツインダガーの代わりに背中で交差して装備するんだが…

 

 これで全身真っ黒な装備に着替えたら完璧なんだよなぁ。

あぁ~でも、そうするともう片方の剣は黒くないと違和感あるよな。

風の噂で聞いた事がある。武器の性能はそのままに、見た目だけを変更する竜人の秘術。

それでどうにかしてこの剣の片方だけを真っ黒な片手直剣にしてくれねえかなぁ~。

 

「…ハジメ、完全に自分の世界に入り込んで私達のこと忘れてる」

 

「あはは…なんというかハジメさんのああいう所を見てると、微笑ましいですよね」

 

「…同意。でもちょっとはこっちに気づいて欲しい」

 

…後ろから聞こえてくる声ですぐ正気に戻って二人に謝ったのは言うまでもない。

 




 世間のモンハンプレイヤーがサンブレイクへと突入する中、ハンターランクを上げてる上位止まりのプレイヤーが居るらしい()
その一環で高難易度バルファルクに挑戦しましたが、二~三回失敗して太刀に切り替えてからようやっと倒せました。
早くサンブレイクで実装された新技使いたいなぁ…(遠い目)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
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