モンスターハンター・トータス2   作:綴れば名無し

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 ハジメ達が去って暫く後のこと。
湿地帯最大広さを誇るエリア8、ススキ属めいた植物の群生地にて…

「へーっ、君が神の使徒を裏切った魔王様お気に入りの子かぁ!俺セレッカ、よろしく!」

「あ、ご丁寧にどうも…清水幸利です」

「…ダヴァロス・レヴァナントです。このような所から申し訳ありませんね」

「いえいえお気になさらず…怪我、早く治るといいですね」

 レイス、セレッカ、ダヴァロスの三人と合流した幸利、フラウ。
フラウに治癒魔法の心得があったお陰で移動にも体が耐えられるくらいには回復したが、それでもダヴァロスは現在戦える状態ではない。
彼らがこの見晴らしのいい場所を合流場所に選んだのは理由があった。

「…レイス隊長、周辺にモンスターの痕跡はあります…が、気配は感じられません」

「…あの鎌蟹の仕業ではないな。セレッカの話にあった例のモンスターがやったのか?」

 既に雨が降った後で痕跡は薄れているが、それでも微かに暴れた形跡がそこら中に残っている。
特徴や生態から察するにこれまで魔人族が支配下に置いてきたモンスターとは別格の存在。
ガーランドにある帝国から盗み出した資料等を漁れば該当する名前は出てくるかもしれないが…
この場にいる五人(と一匹)には分からなかった。

「その可能性は十分にあります。…負傷したダヴァロス様をお連れしてガーランドに帰還する事は困難を極めるかと。ここは一つ、ハルツィナ樹海に身を潜めてみてはどうでしょうか?」

「…それこそリスクが高いのではないかと思ったが…成程、考えたなフラウ」

 フラウがハルツィナ樹海へ一時的に移動する事を進言した理由は幾つかある。
一つはダヴァロスの治療に使える薬草などが樹海なら容易に手に入るから。
もう一つはダヴァロス、セレッカの二人が樹海で調査していた事もあり、湿地帯よりは身を隠せる場所に心当たりが多いだろうと思ったからだ。
レイスもそれに気づいて感心したように微笑を浮かべ、チラとセレッカに目線で尋ねる。

「そっすね。樹海ならモンスターだけ気をつけていれば亜人に襲われる心配もないですし」

「…警戒するとしたら…樹海の近くにある帝国の村…ですかね」

(村…か。多分ハジメもそこにいるんだろうなぁ…)

 案外再会するのは早いかもしれないと内心思いつつ、幸利もフラウの提案に頷く。
満場一致で行動方針が固まり、クルルヤックに先陣を切らせて魔人族達の移動が始まる。

 余談だが幸利がハジメ達を見逃した事を、何故かフラウはレイス達に報告しなかった。
どうして彼女がそれを言わなかったのか?
それが聞きたくて幸利は胸にちょっとしたモヤモヤを抱えながら歩いていた。



劇的ビフォーアフター・マイハウス

 

「―――フッ、ハッ!どりゃァ!!」

 

 俺は師匠から許しを貰って、鍛冶屋の裏にある資材置き場で廃材を案山子に見立ててピッカピカの新武器オーダーレイピアの使い心地を確かめていた。

 

 他にもショウグンギザミとの戦いで感じたあの違和感を確かめる為に剣を振っている。

前に突き出して外側に切り開く普段の動きを試してみるが…これじゃない。

 

「シッ!ゼァッ!」

 

 鬼人化してからの多段階斜め回転斬り…これでもない。

あの時、あの瞬間に何を思い、どんな構えでショウグンギザミへ突っ込んだのか…

頭の中に靄が掛かったように答えが出せずにいる。

そんな俺を遠目に見守っていたアレーティアが静かに近づいてきて、双剣を振る手を止めた。

 

「…どうした?」

 

「…もう、日が暮れる…今夜の宿」

 

 言われてふと思い出す。

ゲブルト村で住んでいた事もある俺はマイハウスを持っているが、一緒に来たアレーティアの寝る場所をこれっぽちも考えていなかった。

心配そうな目で見ている彼女に少し罪悪感を抱きながら頭を下げる。

 

「…悪い…ちょっとはしゃぎ過ぎたな」

 

「…ハジメが楽しそうだったから、全然大丈夫」

 

「そう言って貰えると助かるよ」

 

 オーダーレイピアを背中へと交差して納刀し、廃材の案山子を急いで片付ける。

師匠と何か話していたシアも来て、これからどうするかを尋ねた。

 

「シア、俺のマイハウスはまだ誰も使ってないか?」

 

「…あー…えっと、そのこと…なんですけど…」

 

 ん、もしかしてシアの反応から察するに…誰かに使われていたりするのだろうか?

そうなると俺も宿無しになってしまうな。最悪の場合は集会所の二階の宿屋を借りるが…

 

「もう使われてたりするのか?」

 

「いえ…使われてはいないんですが…そのぅ…私が言葉で伝えるより、ハジメさんに直接見て貰った方が早いかも…ですぅ」

 

「???」

 

 なんか引っ掛かる言い方だな…得体の知れない不安感を抱きつつ、シアの後を付いていく。

俺の後ろにアレーティアも続いて三人で鍛冶屋の入り口脇から中に向かって声をかける。

 

「師匠、これで失礼します!色々とありがとう御座いました!」

「…ハジメが来るときに、私もまた来る」

「ヘファイさーん、ありがとう御座いました~!」

 

「おーう、もう暗くなるから足下に気ぃつけて帰れよ!」

 

 煙突から煙が立ち昇っているところを見るに、師匠は夜も仕事をするつもりだ。

もうかなり歳を取ってる筈なのに…疲れの色一つ見せずに金槌を振る姿は流石というべきか…

俺の錬成で少し仕事を手伝いたいと思ったが…多分「お前はお前のやる事に集中しやがれぃ!」って怒られるかもなぁ。

 

 師匠の言う通り、夕焼け空も引っ込んで辺りは暗くなり始めていた。

前よりもゲブルト村に活気がある分、道の灯りは増えたが…それでも道を外れれば真っ暗だ。

後ろをついてくるアレーティアに逸れるなと言おうとしたが…

 

(…たまに忘れそうになるんだが、彼女がこの中じゃ最年長だったな…)

 

「ハジメ、失礼なこと考えてる?」

「えっ!そうなんですかハジメさん!?」

 

「―――気のせいだろ」

 

 女の勘って奴は怖えなと改めて思った。

 

 

 シアにマイハウスの事を尋ねた時、微妙な表情で言い淀んでいた理由が判明した。

俺の住んでいたマイハウス(ワンルームの丸太小屋(ログキャビン))があったところに、二階建ての木造建築物(ログハウス)が建てられていた。

 

 落ち着いて、目を閉じて深呼吸。

瞼を開いて再確認…頭では理解しても心が受け入れてないんだ。

…うん、なんとなく面影あるなと思ったけど間違いなくマイハウス(過去形)だこれ。

 

「…凄くいい所に見えるけど…ハジメの様子が変」

 

「うん、凄く良い建物だと思うよ、うん。…ところでシア、俺のマイハウスは?」

 

「…これです。一から説明する長くなるんですが―――」

 

 そう言いながらシアに先導されて俺とアレーティアはマイハウスの中に入っていく。

入る前にチラっと見たけど井戸は昔のままで、近くに石造の洗い場とか石窯が見えたんだけど。

しかも周りが只の草原だったのに整地されて一部畑っぽくなってるし…

 

 中に入ると前はなかった獣皮の絨毯が敷かれている事に気づいた。

こっちでは家の中で靴を脱ぐという習慣がない事は知っていたが、踏むのに若干躊躇う。

 

 明るい色の木材で作ったばかりの新品であろう大きなの机と同じ材質の椅子が数人分。

机の上には花瓶に入った花…枯れてる様子がないって事は誰かが毎日用意しているのだろう。

衣装箪笥や食器棚等の家具全般が色合いを明るめに統一されていて温かみを感じられる。

 

「この建物を作ろうと提案したのは…実は父さまなんです」

 

「カムさんが?」

 

 村に戻ってきた時に少し顔を合わせたが、どういう経緯でこんな事をしたのだろう。

…いや別に怒ってるとかじゃなく普通に素敵な家だとは思うんだが…

 

「ハジメさんが村を出ていった後、私が戻ってきた時にはマイハウス改装計画の許可をアボクさんから貰ってたみたいで…ハジメさんが戻ってきた時、最初に言うつもりだったんですが…」

 

「色々あって忘れてたと?」

 

「…うぅ、ごめんなさい」

 

「いや、別に謝られる事なんて無いと思うんだが…」

 

 こぢんまりした以前のマイハウスはあれで味があったけれど、今のマイハウスも悪くない。

気になるのは人が住んでいるか否かだが、建物自体は使われている形跡がなかった。

 

「…それじゃあ今日から暫くの間、此処を使ってもいいのか?」

 

「も、勿論ですよぅ!村に来る他からのお客様は別の宿屋を用意してますし、ハジメさんやルゥムさんが使ってたマイハウスはお二人を優先的にと言われてますから!」

 

「そうか。…アレーティア、暫く此処に泊まろうと思うんだが…」

 

「ん、了解」

 

 なんとかアレーティアの寝床問題を解決したと思ったのだが―――

 

「えっ!?こ、此処に泊まるって…お二人一緒にですか!?」

 

「???そうだけど、何か問題ある?」

 

 シアが物凄い形相でアレーティアに詰め寄っている。

…考えてみれば、恋人でもない男女が同じ屋根の下で寝食を共にするのは些か問題があるか…

 

「…俺はギルドの宿に泊まるつもりだが…「えっ」うん?」

 

「…私、ハジメと一緒がいい」

 

「………」

 

…頼むから、頼むから返答し辛いドストレートな一言を放つのはやめてくれ。

シアがもう驚愕通り越して生きる事に絶望してた時の俺みたいな顔になってるぞ…

 

「…あのなアレーティア。大迷宮では他に選択肢がなかったから近くで睡眠を取っていたが、此処ではその必要がないんだ。だからその…俺と一緒がいいって言われるのは男として嬉しいとは思うが、周りからの視線とか色々な…問題があるんだ、分かるだろ?」

 

「気にしない」

 

「いや気にするのは俺の方であって―――」

 

「だ、だったら私もハジメさんのマイハウスに泊まります!!それなら問題ないですよね!?」

 

 シアよ、何をどうしたらそれが問題ないという結論になるんだ。

アレーティアがスッと目を細めて見上げる形でシアをジッと見つめる。

 

「それはどうして?」

 

「ど、どうしてってそれは―――」

 

 どうしてなのか、それは俺も気になるんだがシア…

言葉に詰まった彼女を見つめるアレーティアの赤い瞳がキラリと怪しげに光った。

 

「…ふぅん…」

 

「な、なんですか…?」

 

「…別に。貴女が一緒でも私は問題ない」

 

「…えっ?」

 

 なんか二人の間に漂っていた不穏な空気が霧散しつつあるけど…いや待たれい。

問題はあるよアレーティア、二人がここで寝泊まりするのに問題はなくても俺は問題だらけだろ。

シアも毒気を抜かれて口を開けっぱなしのまま呆けていないでなんか言ってくれ。

 

「…そ、それじゃあ…ええっと…暫くの間、宜しくお願いします」

 

「ん、よろしく。それでシア、寝床はどこ?」

 

「あ、寝床は二階にあるんですよ。案内しますね」

 

「―――よし。じゃあ二人仲良くここで―――「ハジメも来る」えぇ…」

 

 こうして俺、アレーティア、シアの三人共用マイハウス生活が始まったのだった。

…えっ?無理やりにでもマイハウスを出て行けば良かったんじゃないかって?

ぶっちゃけ美少女二人と同棲がしたくなかったと言ったら嘘になりますごめんなさい。

 

 余談だがシアから聞いた話。このマイハウスはもっと大人数でも泊まれるとかなんとか…

…まぁ、そんな大人数で寝泊まりするような事にはならないだろう…多分!

 




 MHW要素マイハウスのランクアップ(ハジメ君も環境生物の全コンプ…しよっか!)ちなみに作者はまだ勲章コンプしてません(攻略情報を見ずに初見で捕まえようとする謎の意地)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
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