モンスターハンター・トータス2   作:綴れば名無し

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 約20年前、帝国とフェアベルゲンが敵対関係だった頃の話。
樹海の中を進む二人組のハンターを、森人族の族長アイリスが部下達を連れて監視していた。

「族長なぜ奴らを殺さないのです!?奇襲するなら好機ではありませんか!」
「この間も冒険者共に他種族の女子供が攫われた。死をもって償わせるべきでしょう!」

「―――阿呆が。お前らの未熟で犬死になど御免だ」

 血気盛んな部下の言葉に対し、彼女はハンター達に冷ややかな目を向けたまま淡々と返す。
最も強い戦士と呼ばれるアイリスらしからぬ言葉に部下達がざわつく。
一方で樹海を進むハンター二人、赤毛の青年が気だるげに前を進む男へ話しかけた。

「隊長、早く帰りましょうよ~姐さんにバレたら俺殺されちゃいますってぇ」
「リンネのことなら心配するな。あいつ昨日の夜、酒樽5つ空けてたみたいだしな?昼過ぎまでに起きてくるかも怪しいもんだぞ」

 隊長と呼ばれた男はガンランスを背負い、岩のような甲殻と紫色の鱗で覆われた騎士風の鎧に、腕と脚だけ金色のゴツゴツとしたパワードスーツのようなものに覆われている。
声をかけられて足を止めた彼は振り返るが、その素顔は王冠付の兜に覆われて見えない。

「逆にヤバいじゃないっすか!?二日酔いの姐さんとかラージャンよりおっかないですよ!」
「そんな事はない。前に似たような状況で話しかけたが、アイツは穏やかに話してたぞ」

 赤毛の青年はヘビィボウガンを装備し、雌火竜リオレイアの素材で作る”レイアシリーズ”で頭を除く体の四か所を固めて赤毛に隠れた耳につけられたピアスが揺れていた。

「そりゃアンタだからですよ!俺とルゥムなら確実に首絞められてますって!!」
「あの時はルゥムの奴も一緒に話してたが全然そんな雰囲気はなかったぞ?」
「あっるぇ~姐さんからの扱いが酷いのって俺だけぇっ!?」

 暢気に会話している二人組に戦士達は敵意を剥き出しにして今にも襲い掛かりそうだ。
だがアイリスだけは彼らを見つけた時から今までにない警戒心を抱いていた。

(あの二人組、赤毛の小うるさい方は気づいていないが……()()()()()()

 木の上に隠れて息を潜めているにも関わらず、隊長は森人族の監視に気づいている。
会話中も隙だらけなようで、兜の奥から彼女達の一挙手一投足を見られているようが気がした。

「――――――そういえばお前、この樹海の近くに故郷があるって話してたな」
「あ…あ~ぁ…まぁ?そう、っすね…はい…」

「???歯切れの悪い返事だな。ひょっとして聞いたら駄目な話だったか?」
「いやー駄目って訳じゃないですけど!…最近、顔出してないんで…」

 そう答えながら、バツが悪そうに俯いて髪をガシガシと搔き毟る青年。
隊長は歩みを再開しながら「余計なお節介かもしれないが―――」と前置きして話す。

「前に聞いた話だと確か…両親を早くに亡くして、お爺さんに育てられたんだろう?なら、そのお爺さんに元気な顔くらい見せてやれ。きっと故郷の人達も喜ぶ」
「…そう…っすか?あ、そういや隊長は――――――」

 いくら彼と親しい間柄であっても、自分の内側に踏み込まれたくない青年は誤魔化そうとする。
逆に尋ねられた隊長は、暫く間を置いてから少し上を見上げてからゆっくりと口を開いた。

「――――――血の繋がった人は誰も残ってない。故郷の集落はライセンの荒野にあったが、数年前にモンスターが暴れて住民が出ていったきり帰らず、廃墟が残ってるだけだよ」
「ッ!!あ、っと…その…すんません…俺―――」

「気にしなくていい。…生まれの故郷はもう無いが、俺にとってはお前とルゥム、リンネと会った思い出のある帝都が、第二の故郷も同然だからな」
「っ~~~!!アンタって人は!!そういうクサい台詞をしれぇ~っと吐くから、面倒臭い女にばっかり好かれるんですよ!?自分が女誑しだって自覚してます!?」

「アゥータ、面倒臭いなんて失礼なことを言うもんじゃない。彼女達もああなりたくてなった訳じゃない、皆それぞれに事情があるんだ。だから俺は、少しでもあの子達の心の支えになれるならと思ってあの子達と話をしているだけだ。神に誓って、疚しい感情はないよ」
「ないから余計に性質悪いんでしょーが!!!」

 青年に突っ込まれながら、隊長はカラカラと陽気に笑って樹海の奥へ進んでいく。
隊長と赤毛の青年、二人のハンターはフェアベルゲンを襲おうとしたモンスターを狩猟。
その時に死にかけだった森人族を助けたことは、助けられた本人しか知る者はいない。
助けた者はこの数年の後、クエスト中に帰らぬ人となってしまったのだから…



少女の覚醒・少年の覚醒

 

 

 教授、リーナ、シアの三人が合流したことで強張っていた体が少しだけ楽になった。

 

(けど……奴の圧は、少しも衰えてねえ…!)

 

 眼前の古龍イナガミはこの場にいる全員にとって未知のモンスターだ。

先に交戦していた教授ですら、奴の動きを全て把握している訳じゃない。

一度の判断ミスが死に直結する相手だと、気を引き締め直して構える。

奴の意識が、咆哮を回避して攻撃を当ててきたシアに向く。

 

「ハ…ァッ!」

 

 怯んだ隙を逃さずシアが横にハンマーを振るうが、イナガミはバックステップで躱す。

直後、彼女の足下の地面が不自然に隆起しているのを見て、大声で叫んだ。

 

「竹が伸びてくるぞ!避け――――」

「ッ!」

 

 俺が叫ぶより先に地面を割って突き出た竹がシアの方へと伸びる。

しかし、彼女はそれを予知していたかのように右へ跳んで竹を躱した。

イナガミが追撃で跳躍し飛び掛かろうとするが―――

 

「せっ、はぁ!」

「なっ―――――――!?」

 

 右へ跳んでから着地して一秒にも満たない間に、視界の外から襲ってきたイナガミの足下を軽やかに転がってシアは攻撃を避けていた。

ハンマー使いとは思えない動き…いや、それ以前に攻撃が来ることを予知して…?

 

(っ!まさかシア…お前…)

 

 森人族に会いに樹海を探索していた時、彼女がモンスターの接近に気づいたことを思い出す。

彼女は天職”占術師”の技能”未来視”によって、強制的に起こり得る未来の光景を見せられる。

あの時は制御に至っていないと、片頭痛に苦しんでいた様子だったが…

 

(未来視の制御に()()()()()()…のか?―――この短時間で?)

 

 憶測の域を出ない考えだが、そうでなければ一連の流れに納得がいかない。

教授が言っていた型の攻撃に入る直前、シアは咆哮するイナガミに一切動じていなかった。

まるで奴が吠えることを、事前に知っていたかのような雰囲気。

 

(…仮にそうだとするなら!?だが確証は―――いいや、今は考える間も惜しいっ!)

 

「っっぅ、っらぁっ!!」

 

 思考を一旦止めて、至近距離にあるイナガミの前足をオーダーレイピアで二度斬りつけた。

イナガミの目がぎょろっと俺の方へ向けられるが、直後に奴の鬣をリーナの放った矢が毟り取る。

 

「交互にターゲットを取って、攻撃を四人に分散させるわよ!」

「応!」「はいっ!」

 

 四人の中でイナガミとの距離が一番離れているリーナは、戦いの場を広く見れる。

彼女の指示通り、イナガミの意識がシア、俺、リーナの順で移った。

その隙を突いて教授が死角から肉迫し、奴の後ろ足を三度斬りつける。

 

「存分に、かき乱して差し上げましょう」

 

―――グルォォッ!

 

 イナガミが唸り声を上げ、姿勢を低くして四肢の位置を低く落とす。

教授はその場から離れずに盾を構え、俺とシアは地面を転がって攻撃範囲から逃れる。

直後、山吹色の巨体が横に一回転すると凄まじい風圧が巻き起こった。

 

「おっと」

「ッ教授!!」

 

 風圧でよろめいた教授にイナガミの前足が当たって後ろへ吹き飛んだ。

ただ俺のように地面を転がるような無様は見せず、摺り足で後ろへ下がりながらバランスを取る。

 

「心配は無用ですよ。貴方達は攻撃に専念して下さい」

 

 奴の攻撃を食らって殆ど傷を負ってない…!

オルクス大迷宮の時も思ったが、俺達とは次元が違うな例外のハンターってのは。

だからこそ、この状況下でこれほど心強い味方はいない。

 

「畳みかけるぞ!シア、リーナ!」

「任せて!」「いきましょうハジメさん!」

 

 まだ奴の体力は半分も削れていないだろう。

だが今は数で勝る俺達に、戦いの勢いが乗ってきている。

時間を掛ければ、攪乱戦法も対策される…そうなる前にケリをつけるんだ!

 

「おおおぉぉっ!」

「ハァッ!」

 

 回転直後の僅かな硬直の間に距離を詰め、イナガミを左右から挟み込む。

打撃と斬撃、更には顔狙いの弓矢による三方向からの同時攻撃。

 

―――グ、グルゥ…!

 

(!!怯んだ…よし、少しでも攻撃は奴に効いてる…!これなら―――)

 

「っ!?ハジメくん駄目っ避けて!!!」

 

 ほんの少しだけ、焦りと慢心が俺の判断を狂わせた。

リーナが叫んだのは、イナガミの狙いが俺に定まっていたから。

その状態で俺は下がるのではなく、一歩前へと踏み込んだ。

イナガミの視線が俺の足下へ注がれる。

 

「――――――ッ!」

 

 足下に感じる、何かが地面の中から伸びて地表を突き破ってくるような感触。

回避は間に合わない。というより、攻撃に集中し過ぎて体の姿勢が前のめりになっているから、左右後ろの何処にも逃げ場はなくなっていた。

 

(どうする…どうすればいい!?甘んじて受けるか?)

 

……いや、駄目だ!別の攻撃を食らったから分かる。

これを食らったら()()()()

死にたくない、どうにか、何か、判断が、道具、手段、方法、何でもいい、から――――――

 

(――――――あれ)

 

――――――高速回転する思考の最中、スローモーションの視界に、光を失ったフェアドレン水晶が目に移り、ふと脳裏に自分の天職と技能が思い浮かんだ。

手は使えない…だから――――――足の裏側に、掌と同じような感覚を纏わせる。

 

(ッ頼む、頼む頼む頼む!間に合え――――――”錬成”!!)

 

 言葉を発する時間もない、だから必死に頭の中で単語を反復させて技能の発動を念じた。

地面から伸びる筈だった竹の切っ先を、変形した絡め取って捻じ曲げる。

イナガミが驚愕で目を見開くが、すぐに切り替えて牙を突き立てようと顎を開く。

 

「ぅ、く、そっあああああぁぁぁぁぁぁ――――――!!!」

 

 まだ攻撃を振る直前で俺の体は動いていない、だから()()()の感覚が蘇る。

地面を蹴る足に捻りを加え、前へと錐揉み回転するように跳ぶ。

ジンオウガの時と同じ、沼地でショウグンギザミを倒した技。

 

双剣狩技・ラセンザン

 

「切り裂け刃!!骨肉残さず塵となれぇぇっ!!!」

 

 




 ORZ  ←全力土下座する作者

 あれやこれやしている内に一か月以上が過ぎてしまいました…
モンハンワイルズのオープンベータも始まってるし、ありふれ三期も始まってる…
勢いで書けばいいのに書けなかった!!穴があったら入りたい!!

 前書きで遂に我慢出来ずに登場させてしまった【隊長】
何故か作中で存在しているかも怪しいゾラマグダラオスと主任の防具を着けてます。
主任はどこかで登場させたいというか、もう登場場所は決まってるよなぁ…なんて

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

勢いで書いていますが、このままで大丈夫でしょうか?

  • 狩れ、この生きる大地と共に!
  • 大丈夫だ、問題しかない
  • 尻尾切って、役目でしょ
  • 絵の練習は…?
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