「あらあら、ルゥムちゃん。お久しぶりねえ」
「…………(こくっ)」
やぁ皆、久しぶりの清水幸利だ。
……えっ?前の登場からそんなに日が経ってないだろうって?
それはそうかもしれないな、だが時間の流れが並んで同じ速さと限らない。
俺とフラウがこうして敵対する帝国のハンターの女についていくことになって、まだ二日と経ってもいないがきっと俺達をどこかで見守ってる奴らにとっては何か月……いや下手すりゃ何年も時間が経ってるだろうからな。
俺の物語に興味津々な奴らのために、こうして前回までのあらすじを一行プラスどうでもいい時間の流れについての説明を挟んで文字数稼ぎをしてるってところだ。
「……幸利様、どうされたのですか?」
「ん、いや……ちょっと過去を振り返ってただけだよ」
少し離れたところでハンターの女……ルゥムって呼ばれてるそいつと話してる相手も女だ。
いかにもなゆるふわおっとり系の雰囲気、通りかかった男達の視線を釘付けにすること間違いなしの別嬪さん。カトレアさんのむっちり体型も男のロマンが詰まってるといえるけど、これはこれで万人受けする理想の女性体型って感じd――――――
「……女性をそのような目で見られるのは控えた方がよいかと」
「うぇっ!?ど、どんな目だって?俺は別に何も――――――」
ジト目で見つめてくる副官の指摘に狼狽えてしまう。
クソっ!そんなこと言われたってしょうがないじゃないか!男の子だもん揺れるものがあったら目で追っちゃうのは生物としての生存本能みたいなもので――――――
「……はぁ……もういいです」
「フラウ、フラウさぁん?そんな目で俺を見ないで……人並み以上に傷つくからぁ」
「でしたら、女性の胸や臀部を見るのはお控えになった方がよいかと。殿方は気づかれてないと思い込んでいるようですが、女性はそのような視線に全員気づいておりますので……」
「……マジで?」
「はい、事実です。……まぁ、私のような幼児体型には無縁な話ですが……」
「んん、なんか言った?」
「いえ、何も」
(本当は聞こえてたけど、聞こえなかったフリをしてあげよう……彼女の名誉のためにも)
俺は幼児体型だって気にしない「貧乳はステータスだ希少価値だ!」と〇〇すた☆でも言われてるくらいだからな。ロリコンとか言われるかもしれないが、突起物がない方もそれはそれで大変魅力的なのだ……等と、そんな戯言を口にしたら彼女が無言で腰のレイピアを抜くだろうと分かっているから黙っておく。
そんなことを話していると、会話を終えたルゥムさんともう一人の金髪美女が近づいてくる。
フラウがまたレイピアの柄に手を伸ばしそうになっていたから、こっそり手で制止した。
(ここまでついてきながら警戒してたら向こうの機嫌を損なうかもしれん……やめとけ)
(……承知しました)
「ルゥムちゃんから話は聞いたわ。色々と事情があるみたいね~」
「……お、おう。まぁな……」
(っていうか、そっちのルゥムさん一言も喋ってねえだろさっきから一言も)
それでどうして俺達の事情が把握できるのか分からんが
目の前の金髪美女は”テレサ・ベル”と名乗った。
俺は本名を名乗るべきか迷ったが、チラと背後のフラウに目線を送って――――――
「……ユキトシだ。姓は訳あって言えない」
「……フラウと申します」
「そう~ユキトシ君にフラウちゃんね~。二人とも素敵なお名前だわ~」
……なんだろう、フラウには警戒を表に出さないように言い含めたけれど……
このお姉さんと話してると、なんだか気が抜けるな……いやほんと悪意とかなんもなさそうな……この人が纏ってるぽわぽわ~とした雰囲気に呑まれちまいそうだ。
「それじゃあ暫く寝泊まりできるところに案内するから、ついてきて~」
「お、おぉ……じゃなかった……はい」
「ありがとう御座います」
「いいのよ~。それじゃあルゥムちゃん、またね~」
「……(こくっ)」
テレサさんに手招きされて、街はずれに見える古びた建物へ向かって歩き出そうとしたが
振り返るとここまで俺達を連れてきたルゥムさんは反対方向のライセン大峡谷へ向かって歩き出していた。
「あっ、アンタは!……一緒に来ないのか?」
「ごめんなさいね~ルゥムちゃんは、ギルドの依頼でアンカジ公国に向かわなきゃいけないみたいなの。だから二人には申し訳ないけど、あとは私に任せるって。二人の無事を祈ってたわ~」
(いや、だからそれいつアンタに話したんだよあの人は!!)
町の兵士詰所とかに立ち寄る素振りを見せたら、即座にこの場を離脱するつもりだったが、それは杞憂だった。
もう自分の役割は終わったからと、振り返りもせずルゥムさんは去っていく。
彼女の背中が小さくなるまで見届けて、テレサの方へ向き直り歩き出そうとして――――――彼女は足を止めて俺らの背後に――――――草むらで息を殺していたクルルヤックにも声をかけた。
「あなたもいらっしゃい。大丈夫よ~人に悪さをしなければ、理由もなく狩ったりしないもの」
―――グ、グエエェェ……
怯えてる……あのクルルヤックが、ルゥムさんと出会った時と同じかそれ以上にテレサさんを警戒してやがる。
華奢でぽわぽわ~とした見た目からは想像も出来ない……この人も恐らくはハンターなのだろう。
使役してる俺にだけ伝わってくる……獣の第六感が鳴らす警鐘。
―――危害を加える素振りを見せた瞬間、目の前の女は自分を殺す。
背中に冷たいものを感じながら、落ち着きを払ってクルルヤックへと指示を出した。
「……いいぞ、出てこい。けど声は出すなよ。この距離だと向こうの見張りにバレる」
――――――(こくこくこく)
なんかお前も人間みたいな仕草をするようになったな……変成魔法の影響か?
まぁ、それはいつか暇なときに検証するとして――――――
目の前の建物は教会のようにも見えるが、壁に伝う蔓や伸び放題の庭の草木の様子から察するに教会としての機能を失って久しいのだろう。錆びた鉄の門を押し開けて、彼女に導かれた先で俺達が見たのは――――――
「ギルドの伝書鳥より、帝国宰相の朱印付きの通達文が届きました。――――――宛:アイリス・ハイピスト、アルテナ・ハイピスト、シア・ハウリア、シン・クロノワ、南雲ハジメ、アレーティア・ガルディエ・ウェスペリティリオ・アヴァタール。上記6名、10日後に帝都グラディーウスの迎賓館に来られたし。なお陸路の規制は5日後に緩和されるため、道中で宿に泊まることも踏まえて通達文を受け取った7日後に村を発たれるのがよい。……とのことです」
神経質そうなギルド職員の男性に呼ばれて俺、シア、アレーティア、教授、アルテナとアイリスの母娘がそれぞれ通達文を受け取っていた。口頭で読み上げられた部分は全員共通での連絡事項で、迎賓館で用を済ませてから先は指定されてる場所や内容が異なっている。
「……私は北区の軍部通用門へ向かえ……か」
そう言ったのはアイリスただ一人。
帝国軍の重要施設がある北区に呼ばれてるというのは、何やら不穏な空気を感じてしまう。
隣のアルテナが「お母様……」と不安そうに見上げるが、彼女はフッと笑みを浮かべて「大丈夫だ」と返す。
既に覚悟が決まっている母の姿を見て、アルテナはそれ以上何も言えなかった。
「どうやら私と君達2人は東区のハンターズギルド本部に呼ばれているようですね」
「……そうみたいです。イナガミの件……でしょうか?」
「も、もしかして!?勝手なことをしたからハンターとしての資格をはく奪されるとか……」
さ、流石にそれはないだろシア!……ないよね?大丈夫ですよね教授??なんか言ってください不安になります!
「ギルドが定める狩猟規定を破ったことで罰則が下るのであれば既にギルドから通達が飛んでいますよ。それがいまこの場で彼の口から発せられていないのであれば……少なくともハンターとして活動出来なくなるという可能性は限りなく低いでしょう」
ないって言い切ってくださいよそこはぁ!
ほらぁ、シアがこの世の終わりみたいな顔しちゃってるじゃないですかぁ~!
アルテナまでまた「私のせいで……」なんて自責の念に駆られそうだし。
何度も言うけど、あれは俺が……とか言ったらまた怒られそうだから黙っておこう……
「私のような支部職員にはあなた方の行いを咎める権利はありませんし、そのような事例に関わったことがないので断言は出来ませんが……恐らく”
「古龍観測隊……?」
聞き慣れない単語にシアが首を傾げると、隣にいたアレーティアが簡単に説明してくれる。
「古龍観測隊はその名の通り、古龍と呼ばれるモンスターの動向を観測するギルドの下部組織……だけど、今は古龍だけじゃなく色んなモンスターの研究や出現予測なんかをしてる……そう本に書いてあった。……教授、合ってる?」
「えぇ、その通りです。その始まりは古龍占い師として活動していた竜人族の二人組が起源とされています。予測不可能な古龍の出現を当時の原始的な星読みや”占術師”による未来予知で、人々の生活を守ったそうです」
「……っ」
占術師の名前がここで出てくるとは思っていなかったシアが大きく目を見開いた。
……亜人が持つ筈のなかった魔力を持って生まれ、制御出来なかった”未来予知”に苦しめられた彼女の前でその話題はあまり出してほしくないものだったのだろう。それに全員が気づく直前に、俺は大げさな咳ばらいをして話題を変えた。
「ごっほんごほんっ!――――――失礼しました。すると俺達ハンター3人はハンターズギルドに行くのが確定してるわけだが……アレーティアとアルテナはなんて書かれてるんだ?」
「えっ?あ、あぁ……えっと――――――迎賓館の隣にある皇帝の居城にて戦勝を願う祝賀会が催される。そこで舞踏会に是非とも参加して欲しいと書いてありますわ。ってぶ、舞踏会ぃ~!?」
(戦う方の武闘じゃないよな?……なんて馬鹿みたいな質問はしないでおこう)
「ん、ハジメそれが賢明な判断」
ナチュラルに人の心の声に返答しないでくれませんかアレーティアさん??
慣れてきたとはいえ、素の言葉が丸聞こえなのって結構恥ずかしかったりするんですよ。
俺のプライバシーは?
「そんなものはない。……ふふ、冗談。でも本当に聞かれたくない言葉だったら流石の私でも空気は読んで触れない。今のはハジメが触れてほしそうな雰囲気出してたから、期待に応えてあげた」
「いや出してない出してない。応えなくていいって芸人じゃないんだから」
「……ふふっ♪」
そんな悪戯が成功した子供みたいな笑みでちろっと舌を覗かせてもダメだからね。
あと何でシアとアルテナは「ぐぬぬ」って悔しそうな表情してんの。
張り合わなくていいから、他人の心の声読む読めないで。
「――――――それよりもっ!舞踏会ってことは踊るんだよな……文字通り」
「ん、そう。……でもここには相手のことが一切書いてない」
「ま、まさかっ帝国の貴族の方と……しょ、初対面で踊りますの……?」
「流石にそりゃないだろ……いや俺そういうの詳しくないからなんとも言えんけど」
「わ、私もちょっとそういうのと無縁でしたから。……あと、アルテナさん舞踏会ってことはそれ用の衣装が必要なんですよね?ドレスとか――――――」
「もっ持っていませんわ……!あぁ、どうしましょう!どうすれば!」
急にわたわたしだすアルテナの横でアレーティアは何か考えている様子だった。
アイリスは目線で「……お前にドレスの一着でも用意してやれればよかったんだがな」と伝えているが言葉には出さない。うん、出さない方がいいと思う絶対に空気が重くなるから。
アルテナを落ち着かせながらシアが俺に助けてと視線を送る。
「ちゃんとした貴族御用達とかは分からんが、ドレスっぽいものを売ってる店なら知ってるぞ。……ブルックって途中の町にある店だし、泊まりに立ち寄って相談してみよう」
「ハジメ様ぁ~ありがとう御座います~!」
「流石ハジメさんですぅ!」
「ん、私も気になるからその時はついていく」
三者三様の反応に頷きで返すと、アルテナの背後にいたアイリスが目線で感謝を送ってきた。
頷きだけ返して、俺は会話に置いてけぼりだった教授とギルド職員の方へ目線を移した。
「連絡ありがとう御座いました。もし返信が必要であれば伝書鳥で指示通り7日後に村を発ちますとお伝えください」
「承知しました。どうか道中はお気をつけて」
「えぇ。……それでは私は彼とまだ別の話が残っておりますので、これで一度解散としましょう」
二人に別れを告げると、アイリスも「ではな」と村長宅の自室へ帰っていこうとする。
アルテナが何やら言いたげに視線を送っていたが、諦めて目を伏せシアと俺の方へ向き直った。
「シア様、ハジメ様!この後お時間はございますか?」
「私は空いてますよ」
「俺も予定は入ってないな」
「それでしたら……!3人でお茶を飲みましょう!」
あぁ……ずっと前に交わした約束だったな。
色々あり過ぎて、俺達3人の予定がずっと合わなかった。
アルテナはキラキラとした笑顔を浮かべ、走り出す。
「すぐにお茶とお茶菓子を準備いたしますわーっ!楽しみになさってー!!」
「……ふふっ!はしゃいでますねアルテナさん」
「あぁ。ずっとシアと普通の友達みたいに話したかったって言ってたからな」
その言葉でシアは頬を赤らめ「えへへ」と嬉しそうに笑う。
そんな彼女の姿を見て、俺も少しだけ頬を緩めた。
アレーティアはそんな俺達を見つめながら、フッと微笑み言った。
「……私はちょっと用事があるから。用事が済んだら家に戻ってる」
「あぁ、また後で」
「はいっ!」
勢いが乗っていたので連続投稿
原作でもあったダンス回フラグが立ちました~!
ただし一つ問題が……
以下、本作における舞踏会に対するそれぞれのレベル
ハジメ:原作と違って少女漫画で描いた程度の知識しかない(ソーラン節なら踊れる)
アレーティア:貴族として幼少期より叩き込まれているため完璧(唯一の救い)
シア:知識も経験も皆無、宙に跳ぶだけなら誰よりも高く跳べる(兎だけに)
アルテナ:知識は豊富だが経験は皆無(体力がもやし)
また、ここには載っていないメンバーも……?
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
立ち直ったついでに…
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いっそリメイク
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イラストはどうした?