Vtuber界を駆け上がりたい 作:インスタント脳味噌汁大好き
自分が有名になる際、Vtuberを選んだ一つの理由は天才キャラを作れるからだ。特に音楽は才能が大きいと自分は思っているし、タイミングを掴むのも才能の一種だろう。天才キャラで通せば通すほど、チャンネル登録数やTwitterのフォロワー数などの数字は目に見えて増える。これは今までそう言った人達のフォロワー数の推移を見てきた経験からだ。なお長続きはしない模様。
……いやしかし、これだけバズったのにも関わらず「盗作」や「丸コピ」などのコメントはない。これはマジで世界が入れ替わったとか自分が異世界転移したとかそういうやつなのか。もしくは別世界の自分の記憶を引き継いだか。まあここら辺は考えても仕方ないからありがたくメリットだけを享受するけど。
自分は鶴が恩返しに来た時、好奇心を抑えて綺麗な織物をたくさん貰うタイプだ。好奇心に負けて、全てを失うタイプにはなりたくない。
「あの、これで良いでしょうか?」
「……はい。明日になったらチャンネルに自己紹介動画と共にアップをお願いします。
思っていたよりお上手ですね」
「ありがとうございます」
ディスコードで連絡を取り合っていたエーラさんに歌の合格を出して、1枚絵に歌詞が流れるだけの動画を作成。案の定期待値は超えなかったため、思っていたよりお上手ですねと超失礼なことを言いつつ、エーラさんに動画を送り返す。
この動画に使う1枚絵は藤堂立冬としてデビューする前に知名度の低い絵師さんに2万円を出して書いて貰った。今までの歌動画はMMDのボーカロイドや自分のアバターが踊ってる動画だったけど、更に手抜きをしたということだな。
しかしこの絵師を、自分は元の世界で知ってる。とあるアニメ界隈が盛り上がる前からそのアニメキャラを高いクオリティで書き続けていたため、自然と有名になった絵師だ。塗りが独特なので覚えていたし、この世界ではバズっていないことに驚きもした。絵も若干下手になってるけど、将来が約束された絵師と縁が出来たのは嬉しい。
……さて、ここ最近で調べ上げた元の世界のVtuber界隈と今の世界のVtuber界隈の比較をしよう。現在、Vtuberのトップは世界初のバーチャルライバーという肩書きの
次いで活動休止になってる人や引退した人を飛ばすと2番手が2D3D所属の
まあ元々そこまで詳しいわけじゃないけど。企業勢はトップを2D3Dと玉手箱が争っていて、3番手がアルチライブという元の世界では2D3Dと殴り合っていた企業だ。どこも若い社長が引っ張っている感じだし、界隈全体が若いんだろうな。
……元の世界よりVtuber界が活気づいているし、この世界で後発の企業勢が駆け上がれたら面白いだろうな。せっかくリアルで戦える武器を持てたんだから、使って楽しまないと損だ。
「あ、あの、緊張し過ぎて動画投稿のボタンが押せないのですが……」
「目瞑って有名になる覚悟が出来たら押して下さい。今までの1年半は無かったことにして、新人Vtuberシンガー=エーラとしての人生を始めて下さい」
エーラさんが緊張で吐きそうな声で通話をして来たけど前垢を消した時点で覚悟完了はしておいて欲しかった……。エーラさんに「1年半を無かったことにしろ」と最初に言った時、エーラさんはちょっとムッとしていたけど、無為に過ごしていたから結局伸びずに引退した形だし、これから嫌でも有名になって貰わないとこちらが困るので頑張って欲しい。
企業勢としてVtuberに求められるものは、数字と結果。努力した過程で人を惹きつけられるならそれはそれで構わないが、結果を伴わない努力は何にもならない。
「エーラさんに再度伝えておきますが、Vtuberとしての努力が出来ないなら一時的にバズっても人は継続してついて来なくなり、いずれ底辺Vtuberの海に呑まれて前回と同じように跡形も無く消え去りますよ」
配信者の大半はチャンネル登録数が上手く伸びない。その最大の理由は努力をしないからだ。有名実況者などの動画を見て、『努力せずともお金を稼げる』という勘違いをすると悲劇が起こる。配信をし続けても、一向に面白くならないし人がどんどん離れていく。
まあ人にそんなきついことを言いつつ、自分は楽して稼ぐために歌動画以外は滅多に上げない、配信しないスタイルで行くけど。作詞作曲家兼プロデューサー兼社長ポジションが中身を積極的に見せに行っても、面白くなければ基本逆効果だ。自分の生き様が求められるようになってきたら多少は自我出すし、そのためにVtuberになったわけだけど、実際に配信することはあまり考えてないな。