女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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何故かこれが多かったので




ある男が路地裏で煙草を吸っていた

大通りは赤の光が覆っている

その男が大人しく出てくるように叫ぶ声もある

しかし、男は気にせず煙草を吹かす

 

なぜなら、まだ見つかっていないから

 

男は太腿のホルスターから愛銃のM500 ロングバレルを抜く

スナイパースコープとレーザーポインターが付いている

グリップは握りやすく滑りにくい材質だ

そのリボルバーをくるくると回す

 

男の服装は奇天烈だった

今で言う奇天烈だ

 

ミリタリージャケットを着込み、迷彩柄のジーパンを履いている

手には人差し指と中指に親指の先がない手袋をしている

背中には黒の鞘に入った刀、柄の先にある包帯が風に揺れる

 

その顔は眉間に皺が寄せ、怒っているかのようだった

口を一文字に噛み締めている

目は獲物を睨む鋭い目をたたえている

 

男の名は、気桐 霊覇(きぎり れいは)

 

全てを気力と底力で解決する、いわば脳筋である

 

「…そろそろだな」

 

弄んでいたリボルバーを戻し、歩を進める

女達の声がどんどんと遠くなっていった

 

 

 

 

 

1つ、話をしよう

 

この世界は終わっている

 

とある病原菌が流行り出し、問答無用で男だけを殺したのだ

 

それに対して免疫を持つものだけが生き延びた

 

政府、国は彼らを厳重に保護した

 

…一部にとって、それは気に入らなかったのだろう

 

あるものは言論で、あるものは武力で

 

それらを抑えながら管理をしていた

 

ある時爆発事故が起こり、男達は逃げ出した

 

女達は必死で追いかける

 

これが、今の世界だ

 

 

霊覇は山を登っていた

状況確認もあるが、ただ単に景色を見たいというのもある

 

「…ここらでいいかな」

 

かなり登った所で腰を下ろそうとする

その時に後ろを見た

 

「…階段?」

 

そこには石造りの階段があった

それを視線で追うと、1番上に鳥居が見えた

 

「行ってみるか」

 

霊覇はM500を抜くと、階段を登り始めた

後ろからは相変わらず小さな音のサイレンが聞こえる

それを気にせず、彼は登り始めた

 

 

いつまで登ったか、俺には分からない

まだ汗が出る程登ってはいない

 

「…そろそろか」

 

サイレンが聞こえない程小さくなった頃、先は見えた

その鳥居には「博麗神社」と掠れた字で書かれていた

階段の1番上で俺は座る

 

そして、煙草を咥えて火を付けた

 

「格別だな」

 

左手でM500を弄びながら俺は呟く

ハードな事の後はこれに限る

 

それを数秒続けたのち立ち上がる

 

「さて、逃げるか」

 

横道に入り、山をまた歩く

深い森の中に俺の姿は消えていくだろう

明かりを付けていないので辺りは真っ暗なままだ

月明かりのみが命綱だ

そうやって、引き返さなかったのが運の尽きだ

 

俺は、この見た事のない月を全く気にしなかった

 

この時点で、俺は幻想入りを果たしていたのだ

 

 

「…」

 

私は月を見ていた

お酒の入った杯を傾けて飲もうとする

しかし、その水面にを写った素顔のせいでそれは阻まれる

 

スっとしたその醜い顔のライン

 

全てがつまらなさそうな目

 

出来物の無い、不完全な顔

 

私の名前は博麗霊夢

 

この神社の巫女だ

 

「はぁ」

 

私はその酷い顔を見てため息をつく

母も同じような顔だった

そのせいで周りから遠ざけられた

私の友人にも、金髪の醜い同年代が居る

 

それどころか全ての友人が醜い

 

これも、この職に生まれた性だろうか

 

「こんにちわ、霊夢」

 

「う、突然出てこないでよ」

 

目の前の空間が裂け、女が現れる

その女も酷いものだった

 

その体は黄金律から完全に外れている

 

真珠の様に醜い色の肌

 

そして見た者に吐き気を催す顔

 

幻想郷の管理者、八雲紫

 

「今日の異変、お疲れ様」

 

「いつもの事よ」

 

地底の連中がおこした異変

あの八咫烏が面倒事を起こしたのを懲らしめたのだ

地底にいる奴らは軒並み醜い

 

「…あら」

 

と、紫が何かに気づいたようだ

 

「私は先にお暇するわ」

 

「どうぞ、次は賽銭を入れるのね」

 

霊夢はそう言うとまた酒を飲む

そしてその夢見心地な気持ちで呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、誰か私"達"に優しくしてくれる男は居ないかしら」

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