「大丈夫です――!?」
最初の犠牲者は妖夢だった
酷い様子だった彼に手を貸そうとした
瞬間手を捕まれ、首の辺りも掴まれる
「な…!」
それを振りほどこうとするが
既に後ろに倒されていた
「く!――は!?」
後ろに飛び退く
己が居た場所が斬られて驚く
彼はいつの間にか白楼剣を握っていたのだ
先程腕を掴まれた時に捻られ、思わず手を離したのを思い出した
「せいやーっ!」
魔理沙が後ろから箒で突く
彼は刀を上に投げ、その滞空時間の合間に箒を掴む
そして無理やり引き取り、後ろから来ていた美鈴を突いた
「嘘!?」
気配を消していたのに気づかれた事に驚く
箒を放り投げ丁度落ちてきた白楼剣を掴もうとする
しかし、それは弾幕によって飛ばされた
「させないよ人間」
勇儀が突っ込む
鈴仙が手を銃の様にしていた
霊覇はそれが弾幕を撃ったと認識する
「はっ」
「…」
勇儀がしなる様に殴る
瞬間のそれは直ぐに避けられ、足払いで勇儀はよろける
「強――」
「死ね」
ナイフを即座に抜いて勇儀の胸に突き立て――
「はぁ!」
「――早苗」
早苗が霊覇の腕を掴む
そのまま地面に叩きつける様に動く
だが、霊覇は手で地面に突いてそれを回避する
「早苗?それは…」
「…CQCです、彼から教わりました」
早苗の近接格闘術に違和感を抱いた神奈子が質問した
早苗からの答えに少し諏訪子は驚いた
「驚いた、そんなの教わっているなんて」
「痴漢対策したいって言ったら教えてくれまし――た!」
霊覇の拳を掴み、その腕に打撃を加える
彼は少し苦痛で顔を歪ませた後後ろに退く
「捕らえろ!」
勇儀の声に咲夜が応答する
ナイフを霊覇の足元に刺す
彼は少しだけ目を見開いた
「そこ!」
「甘い」
掴みかけた早苗の手を霊覇を掴み、地面に叩きつける
「きゃあ!?」
「おいおい、CQCなら俺の方が上だ」
冷笑を霊覇は浮かべる
その顔を早苗は見た事は無かった
「戻って来てください!霊覇君!」
「お前もそっちに堕ちたか?」
霊覇は嗤う
瞬間彼の顔が真っ青になった
彼は一瞬で刀を抜いて腹を刺す
「ぐ…!」
「霊覇さん!?」
「え!?目が消えた!?」
1番驚いていたのはフランだった
うるさかったのでドカーンとしようとしたら目が消えたのだ
「畜生面倒な事を――」
「いてっ!?」
M500を足にぶち込む
それはフランの足の骨を粉々にした筈だが、そんなに痛がってない
まぁ動けなくするだけでも儲けものだ
「化け物め」
その言葉は心を深く切り裂く
「止まってください!霊覇君!」
「燦莉も居ないじゃないか、お前に殺られたか?」
「ちがいますよ!」
「まぁいい」
そう言うと霊覇は飛んだ
そしてある人物に着地する
「ひゅい!?人のカバンを勝手に漁らないでよ!?」
それはにとりだった
霊覇はあるものを見つけ、左手に装着する
「それは…!」
左腕に付けられたのはウェアラブルコンピュータの様なものだった
画面もついている、良いものだ
「行くぞ」
そういうとカチャカチャと弄る
瞬間霊覇の姿が消えた
「透明化…」
「面倒な物を積んでるなにとり!」
「ロマンだよ!」
「ぶべら!?」
透明化を活かして攻撃を加える
その目に見えない攻撃はどうしようも無かった
「そこね」
ただし、感の鋭い博麗霊夢はある場所に針を投げる
それは正確に霊覇の左腕の装置を貫通した
解ける透明化
「ぐぐぐっ!?」
装置から散る青い火花
霊覇はそれから出る電流に感電していた
「ああああああああぁぁぁ!?」
瞬間、彼は浮いた
「へ…?」
そこに立っているのに、気配が無い
目の前に居るのに、居ない
「そ、それは…」
「…アンタ」
それは博麗霊夢を思わせた
「…ぐ」
数秒後彼は戻ってきた
そして、今度は閃光手榴弾を手に取る
「させない――?」
それは彼の手から自然に落ちた
彼も限界が来ている、その足はプルプルと震えている
「…っ、はぁ、はぁっ」
「…眠れ」
幽々子は立ち上がり、扇子をあおる
瞬間、蝶の濁流が霊覇を襲った
「幽々子さん!?」
早苗は叫んだ
「なんて事を…」
「大丈夫でしょう」
霊夢の呆れた声に笑顔て幽々子は返した
霊覇はうつ伏せで倒れていた
早苗は嘘とぽつりと呟いた
「――じゃなあああああああああぁぁぁい!」
バネの様に霊覇は飛び起きた
「…え」
それに驚いたのは幽々子以外、誰でも無かった
「反魂蝶が効かない…?」
霊夢は信じられない顔で呟いた
早苗も同じだった
死へ誘う蝶が、効かない
だが、それとは裏腹に足の震えは強くなっていた
「…残念…ながらそうはいかない」
少し苦しそうだ
何が彼をここまで支えている?一体何が…
「あ…」
気力だ
女に屈服しないという気力が彼を支えている
それは死さえ受け付けない、無茶苦茶なものだった
「…少し眠りなさい」
それを理解した幽々子は一匹だけ反魂蝶を飛ばした
ひらひらと舞い、霊覇の肩に留まる
「っあ」
彼の顔が苦痛に歪む
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
怒号
地獄からの咆哮が響く
それはどこか狼を思わせる声だった
先程もこうやって叫んでいたのだ
それが反魂蝶にかき消されていただけで
声が枯れた後、彼は仰向けに倒れる
その胸板が小さく動いていることから、生きているのが分かる
「…終わったぁ」
へなへなと彼女達は膝をついた