女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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遅れてすまぬす


思い

「…」

 

目を開けると知らない天井があった

あの本部の白い病室ではない

それよりももっと古い木目が視界にあった

 

「あ、起きた」

 

「…あぁ」

 

その声で目が覚める

ここは博麗神社、幻想郷の要…らしい

視界を動かすと霊夢がすぐ側に膝立ちになっていた

 

「寝坊か?お前よりは早起きだと思うが」

 

「そうね、今は昼前位よ」

 

「…は」

 

嘘だと思って視線を外に向ける

お天道様は既にほぼ真上に移動しているらしい

 

かなり、長く寝ていたようだった

 

「こりゃ情けないねぇ」

 

俺は体を起こす

霊夢が面白そうに笑う

 

「あなたでも寝坊する事があるのね」

 

「意外か?」

 

霊覇はそんな事か、と言う感じで尋ねる

霊夢は少し笑って言う

 

「あなたなら、きっちり起きると思ったのだけど」

 

「俺とて万能では無いさ、寝坊くらいする」

 

「結構、可愛い顔するのね」

 

霊覇は軽く笑うと立ち上がる

そしてグイっと背伸びをした

 

「少し朝の散歩でもするかね」

 

「その前に朝食でしょ」

 

霊夢が呆れたように言うと、障子に向かう

そして開けて、こちらを見た後歩いて行った

 

どうやら、着いてこいと言うことらしい

 

「…はぁ」

 

軽くため息をついて歩き始める

何処で手に入れたか忘れた黒刀とM500を取る

寝る時に脱いでいたミリタリージャケットもだ

 

ちなみに彼女は既にいつもの服装になっていた

 

霊覇のズボンも綺麗に布団の横に畳まれている

ジャケットを着て、ズボンを履き替える

脱いだズボンを持って彼女について行く

 

「幻想郷には慣れたかしら」

 

「ぼちぼち、天狗とかやらの面倒事はあっても、快適だな」

 

以前の暮らしよりは断然マシ、と付け加える

 

「天狗との面倒事?」

 

「いやなに自分の住処が天狗の縄張りを若干犯しているとかで…」

 

「まぁ彼処は保守的だからねぇ、分からないことは無いわ」

 

霊夢はしみじみと言う

 

「何だかんだ技術は提供してもらってるがな」

 

「それは良かったわね、それとご飯は出来ているわ」

 

霊夢は一室に入る

そこにはちゃぶ台が置かれてある

その上には鮭の塩焼きと味噌汁、ご飯が二人前あった

湯気を立ててとても美味しそうだ

 

見ているだけで腹が減る

 

「見てないで食べたら?」

 

霊夢が座る

霊覇も向かい合うように座る

正座で食べるというのもキツいものだ

 

手を合わして2人で合掌する

 

「「頂きます」」

 

そこからはご飯が美味しかった事しか覚えていない

途中正座がキツくなって足を崩した

特に何も言われなかったので何も問題無い

 

「こいつは美味い、お前さん練習でもしてたか?」

 

「いえ?そんな事はしてないわ、私本来の力よ」

 

「そら…家事が出来る奴はいいな」

 

霊覇はポツリと呟く

霊夢は嬉しそうに笑う

 

「…ありがとう」

 

「…?どうも」

 

そう言い終わると同時に2人は食べ終わっていた

 

「ごちそうさん」

 

「ご馳走様、これからどうするの」

 

霊夢の質問に霊覇は少し考える素振りをする

 

「帰らせてもらう、長居をする気は無い」

 

霊覇はそう言うと立ち上がる

荷物を持って出ていこうとする霊覇を霊夢は止める

 

「ちょっと待って」

 

霊夢はそういうと棚から御守りを取り出し、こちらに投げた

それを手で掴み取る

 

「これは…」

 

「せめてもの気遣いよ、持っておきなさい」

 

「ありがとよ」

 

そういうと霊覇は境内の靴を履き直して、飛ぶ

行先は己の家だ、結構開けていた気がする

 

そうでもないか

 

 

「…行っちゃった、あーあ、行っちゃった」

 

私はため息をつくかのように言う

実際、自分は行って欲しくなかった

 

もっと

 

もっと此処にいてほしかった

 

彼の言葉のあたかかみが好きだ

 

彼のその澄んだ瞳が好きだ

 

私は本当に彼が好きだ

 

私は彼が好き…すきすきすきすきすき、他の事が考えられないくらい

こんな感情、今まで出たことも無い!

 

外の世界の路地裏で兄といた時もこんな感情は無かった

 

いや、少しはあったのだろうが生きるので精一杯で分からなかった

あのまだ希望を持っていた瞳を見て、諦めた方が良いと笑った

ダサいと何回も言った

 

でも、兄は諦めなかった

 

そしてあのスキマに連れられてここに居る

 

また、兄に会いたいな

 

あぁ、また心が疼いてきた

 

体も、興奮してきた

 

少し、落ち着かないと

 

私は自分の部屋に行って、布団を敷く

そのまま、布団の中に潜り込んだ

 

 

霊夢の赤いスカートが宙に舞う

 

更に暑いと思ったのか、着ている物全て脱ぎ捨てられた

布団はモゾモゾと止まることを知らずに動く

 

嗅げば顔をムッとさせるような匂いを外に出しながら

 

永遠に

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