女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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宴会

「さて、帰るか」

 

太陽が赤くなってきた

そろそろ、主人の時間帯だろう

とはいえ今日は宴会がある

時間帯もクソもないだろうな、うん

 

そうして、空を飛んで帰っていた時のことである

 

視界の端に、何かが居たような気がした

 

「?」

 

そこを見ても、誰もいない

 

「なんだよ」

 

おぶりながら燦莉はため息をついた

こういう時はろくな事は無い

早く帰るのが吉だ

 

 

「美鈴はいつも通りか」

 

「起きてますよ」

 

「おっと、失礼」

 

美鈴が壁に背を持たれていたので、寝ていたかと思った

燦莉は意味ありげにサングラスをちょいとする

 

「そうやっていつも働けばいいものを」

 

「えー、だって疲れるじゃないですかぁ…」

 

と、美鈴がこちらをチラチラと見始めた

なんだ、何かついているのか?

 

「何か…変な気があなたに付いてます」

 

「怨霊でもついたかね?」

 

どうやら彼女の能力で俺に変な気がついているのがわかった

とはいえ、よく分からないものだ

 

「先に入らせてもらう」

 

「はーい」

 

燦莉はズレた帽子を直しながら門をくぐって行った

迎えるのは庭園だ

ど真ん中にレミリアの像がある

 

…ナルシストな…

 

まぁ、どうでもいいだろう

屋敷の扉を開け、閉める

 

目に刺さる赤が燦莉を迎えた

咲夜が目の前に現れる

 

「お帰りなさいませ、それで…」

 

「ああ、これだ」

 

団子を渡す

咲夜はそれをしっかりと受け取った

 

「霊覇には?」

 

「出会えた、少し心配事が減った」

 

「心配事?」

 

「死なれるよりかはマシって事さ

 …何を堪えてるんだアンタ」

 

霊覇はそう言うと、大図書館に向けて歩き始めた

彼の姿が見えなくなると、咲夜は笑いを零す

 

「ふふふ…そんな"帽子"被ってたら誰でも笑うわ

 どこからどう見ても、貴方に似合ってないもの」

 

そう言って、その姿を消した

 

 

「よっこらせ」

 

おぶってたソレをソファーに置く

そして軽く背を伸ばした

 

「帰ってきたの?」

 

「ああ、今な」

 

「貴方、それ似合ってないわよ」

 

「あ?」

 

燦莉は首を傾げた

本から目を離さず、パチュリーは言う

 

「その黒にリボンが巻かれた帽子、ダサいわよ」

 

「…は?俺こんなの被ってたか?」

 

燦莉はいつの間にか被ってたソレを取る

いや、待てよ

 

俺はさっきソファーにナニを置いた?

 

ソファーに目を移す

そこに居たのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはー!初めまして?古明地こいしちゃんだよ!」

 

「…U"g"h"」

 

緑髪の、ふわふわとした女の子

1番不機嫌な声が口から漏れた

 

 

「何?お前は地底から抜け出してきたと?」

 

「そこでお兄さんが見えてね?

 面白そうだったから抱っこしてもらったの!」

 

燦莉は無意識にタンクトップの端を引っ張っていた

子供一人の気配に気付かないとは、未熟だ

べっと帽子を乱暴に被せる

 

「きゃっ」

 

「彼女、警戒するだけ無駄よ

 無意識を操る彼女を見つける術は無いに等しい」

 

パチュリーがずぞぞと紅茶を飲む

それお茶じゃないから下品なんじゃないか…?

 

「んな無茶な能力な…」

 

燦莉はため息をついた

 

「こいつ置いて宴会にさっさと行こう」

 

「…既に居なくなってるじゃない」

 

彼女の居たところを見ると、何も居なかった

その能力とやらを使用したらしい

 

もしくは、勝手に消えたか

 

「どうだっていいか」

 

「はぁい、準備できてるかしら?」

 

レミリアが髪先を弄りながら入ってきた

燦莉はグッとサムズアップする

 

「もとより」

 

「私はここに居させてもらうわ」

 

「どこに行くの?」

 

「宴会、きっと楽しいさ」

 

そうして、紅魔館5人、宴会場に向かった

 

 

さて、最近博麗神社に泊まることの多い事多い事

家に帰るのがかなり遅い気がする

 

ま、知ったこっちゃないが

 

「わきち、これを運べばいいんですか?」

 

「そうだぜ!酒樽をそこに…」

 

あの水色の服を着た妖怪は傘の付喪神

誰のかというと俺が拾った奴である

 

…知らなかったよ、あんなん居るなんて

 

いつの間にやら同居人が増えていた訳だ

 

「さて、今回の宴会はどうなるか…」

 

首筋を擦りながら呟く

 

「霊覇?」

 

「お?霊夢、どうした」

 

声が後ろから聞こえた

霊覇は振り返る

 

…んえ?

 

「ち、近いぞアンタ…」

 

目の前に目があった

黒い、深淵の様な深い黒の目が

 

まて、俺なんかしたか

 

お互いの鼻が擦れる

 

「その、首…」

 

「ん、あぁ?いや何でも…」

 

「包帯なんて巻いて、どうしたのかしら」

 

目の色変えず、声色変えずに言う

ハッキリと言おう、とても怖い

 

それ以前に近過ぎる

 

「いや、妖怪相手に少し手を焼いてな」

 

「そ、油断でもしたの?」

 

「そうだな」

 

「…嘘つき」

 

霊夢はポツリと呟いた

言葉が出なかった

 

何故?嘘が簡単にバレたからだ

 

霊夢が手を霊覇の顎に添える

 

「貴方みたいな用心深い人が油断?

 そいつ、どんな奴だったのかしら」

 

「い、いや…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉーい!霊夢ー!霊覇ー!何処だー!」

 

魔理沙が叫ぶ声がした

 

「宴会ぃー!宴会始まってるぞー!」

 

「…はぁ」

 

霊夢が深くため息をついた

そして、くるりと背を向ける

 

「ほら、早く行きましょ」

 

「あ、あぁ…」

 

霊覇は、少しまごつきながらも霊夢について行った

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