女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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愛?知らない物だ

博麗巫女

 

俺は当初霊夢の事を浮いて居ると思った

基本、怠惰で、自分に害が来るまで動かない

 

彼女は仕事の為に生きていると思った

 

素っ気な態度、興味なさげな顔

博麗巫女として他人と絡むのは良くない事だったのだろう

 

人に曰く、外からの来訪者

 

妖怪の賢者が、素質ある者として連れてきたのだと

 

外の世界は戦闘が多く、素質ある者は多いだろう

その中で、1番優秀だったのが霊夢だっただけだ

 

式神と賢者に育てられ、妖怪を倒す事を習った

妖怪と人の間に立ち、平行を保つ

 

いつまでも、そうなるべきだった

 

ただ、彼女は人間だった

 

故に、人との繋がりを完全に捨てれなかった

 

夢に見た

 

己を良く思う、男人が現れないか

それは此処には絶対に居ない

 

外から、同じように来るもの達

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────外来人

 

その1人が、俺だった訳だ

力を持ち、価値観も良い

 

醜いと言われ続けた巫女の心を動かすのは時間の問題だった

とはいえただの外来人ならここの価値観に染まる

 

価値観に囚われない、意志の強き外来人が要る

 

それが、霊覇と、燦莉

 

2人は誰の意思に寄ることも、強要されることも無い

 

ただ、相手が悪かったか

 

「…霊、む…」

 

「ね、お兄ちゃん、こうやって会うのは久しぶりだよね」

 

"あの頃"のような笑顔を俺に向けてくる

だが、目は笑ってなく、相変わらず深淵のように深い

 

やはり、変わっていない

 

「この程度でこれなんて…やっぱり貴方は弱いんだから」

 

クスクスと笑い、近くにしゃがみ込んだ

何をされたか、多分神経系等を弄る何かだ

そう思っているのも、あまり芳しくない

 

「ふふふ、初めて見た時はすぐ分かったけど…

 まさかお兄ちゃんが分からないなんてね

 

 

 

 

 でも、検討はついてたでしょ?」

 

そう、最初から分かっていた

見た時にあの妹だと、分かってしまった

 

彼女は女らしく育ち、変わっていた

 

でも、変わっていなかったかもしれない

 

こうやって、兄に対して無邪気なのも

 

その、笑い顔も

 

「でも、お兄ちゃんも変わっちゃったなぁ」

 

ホルスターにあるリボルバーと顔を見比べながら言った

確かに、俺は変わった

 

ウイルスが蔓延して

生き残る為、と俺は嘯いて組織に入った

 

友人も居た、それと手柄で俺と燦莉はかなりの座についた

 

色んな任務をこなした

 

人質、誘拐、狙撃、暗殺

 

どれもこれも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹を探すため

 

悪く言えば、組織、燦莉も利用していた

全ては居なくなった妹の為に

 

だが、見つからなかった

 

それもそのはず、俺は忘れられていなかったから

 

高校生活をして、普通に暮らしていたのだ

路地裏の記憶なんて、真っ赤な嘘

 

あれは己の妄想、自己暗示に過ぎなかったのだろう

 

家に帰ると、妹が居なくなっていた

手紙が置かれてある訳でも無かった

部屋中をひっくり返しても、何処にも居なかった

 

あのころはまだ、幼かった

 

全て叔父がやっていたような、そんな感じがする

 

自分はあの頃から自分を偽るようになった

陽気な、気さくな、イイヤツみたいな

 

元々、若干いい加減だったけど

 

「気に入らない」

 

霊夢が首元の包帯を解いていく

そこに、多分歯型がついてるのだろう

 

仰向けにされる

 

「気に入らない」

 

憎悪

 

ソレを見た時そう感じた

思ったのでは無い、瞬間的に感じたのだ

 

瞳の奥、深淵の中

その中で燃え上がる怒りを見た

酸の如く、全てを溶かしてしまいそうな、怒り

 

奪われた、怒り?

多分それだろうか

 

「貴方はあいつの物じゃない、私のもの」

 

兄弟愛は時に友のソレを超えるという

だが、当時にそれは禁忌の愛でもある

なんたって、許されたものでは無いから

 

「貴方が拒否しても、意味ないから」

 

「拒否の言葉も出ないでしょうけど」

 

意識は、鮮明に

 

身体は、曖昧な

 

過去級に不味い状況である

だが、俺は、俺の心は

女を前にしてこの状態でも何も変わりない

 

それどころか、リラックスしている雰囲気まであった

 

妹と、久しぶりに呼べたことか?

それとも、こうやって跨って来ていることか

 

こっちにきて、新しい事が多い

 

もうなんというべきか

 

はは、疲れるなぁ

 

「拒否したって、私は止めないから」

 

手を頬に当てながら言う

 

笑顔

 

能面のような顔は既に無く、笑っていた

口角を上げて、目を細めながら

 

だが、その目の奥にあるは深淵

 

深い、この夜の闇より深い

 

抵抗も満足に出来ぬ

 

いや、しなくいいのかもしれない

 

最初から気付いていて、何も言わなかった己への罰かもしれない

神のイタズラか、神隠しか

 

何にせよ、己が許される訳が無いのだ

 

ならば、煎じて飲もう

 

この快楽(苦痛)も全て

 

彼女を、全て受け入れてやろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね、貴方?幸せ?」

 

彼女は快楽に顔を染め機動しながら言った

 

俺は、なんと答えたのか

 

 

 

 

 

「────、──」

 

 

 

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