「…なぁ」
「分かってるぜ」
ヘリは何故か追撃されなかったので、現在空の旅である
それの疑問を燦莉は霊覇にぶつけたが、彼はそうでもないらしい
それどころか、嬉しそうだった
燦莉には理解できなかった
そんな彼に霊覇があるものを見せる
「これ、コレ見てみろよ」
「あん?…お前いつの間にそんな端末を」
霊覇が見せたのは改造されたタブレットだった
そんなものを彼が元々持っている訳でもない
画面には何やら文字が書かれてある
…確かこれは
「…インダス文字?」
「そうだ、あの解読されてない奴」
そこには人を象った物やパンケーキのようなもの
果てにはよく分からない称号のようなものまであった
今に至るまでこの文字は解読された事がない
だが、のメッセージの送り主はそれを知っている
…男の軍勢か、それとも政府か
分からない、分からない
「ところでそれは政府のか?」
「いや、男の軍勢だ、ほらこのマーク」
タブレットの右上を指さす
そこには剣と翼の紋章が刻まれていた
画面上では無く、タブレットのカバーに
それはあのニュースで見たものだった
「…でもこれ分かんねぇよ」
燦莉の言ったことは間違いなかった
インダス文字、世界の脳が分からなければ自分達が分かるはずがない
そう言って、燦莉は項垂れる
だが、霊覇は違うようだった
「いや、分かったね、意味が」
「…は?」
燦莉は霊覇を見る
彼は前を見ずにタブレットに視線を注いでいた
「なるほど座標…この位置か」
「おい待て、なんの話を」
「サイファーだよ」
燦莉は絶句した
まさか、そんなことは無いだろう
「この一角一角を変えていくんだ」
あ、という文字の一文字、それを別のものにする
例えれば、か、と言う文字の斜線にすればいい
最初の文書をバラバラにして、意味のない物に構築しなおす
インダス文字なのは、最高峰に面倒なものなのだろう
「本当にだるかった、面倒、面倒!」
「で、何処だ」
「ここだ」
タブレットの地図情報を出す
そして、ここから少し遠い所を指さした
県境、いかも内陸で山脈がある
「身を隠すにはいい場所だ」
「そうだな」
霊覇はタブレットを戻し、操縦桿を握った
そしてにやりと笑う
「超特急で行くぜ」
「落ちんなよ」
「カプコン製じゃあるまいし」
「最近は物騒だ、飛ぶだけで落ちてやがる」
ははは、と笑い合いながらヘリを飛ばす
その機影は赤と緑のランプが光っていた
それは
〇
ヘリのスピードは早い
もうすぐにでもその座標につきそうだった
だが、直接着陸することは出来ないだろう
「あれじゃないか?」
「あれだろうな」
少し見えたのは廃工場だった
ツタに覆われ半ば半壊した基地としては使えなさそうな場所
だが壁などは比較的新しく見える
というよりツタがあまり生えていない
ヘリはドンドンと降下していく
「衝撃に注意しとけ」
それと同時に大きく機体が揺れる
森に無理矢理着地したのだ
木に機体が引っかかり、多分もう飛ぶ事は出来ないだろう
見てみればブレードが曲がっている
「行くか」
燦莉はM4を背負い、地面に飛び降りる
「…」
霊覇はカーゴからいくつかの武器を持ち出すと、同じように飛び降りた
〇
森は鬱蒼としていた
夜なのもありろくに前も見えない
夜目を効かしてなんとか前を見ているだけである
燦莉も流石にサングラスを上げていた
「見えてきたな」
僅かなタイヤ痕
そこの先を見るとヘリから見た廃工場が確かに合った
歩く速度を早め、どんどんと進む
「閉まってるじゃないか」
その門は閉まっていた
5メートル程の高さがあり、ツタが絡まっている
「おーい!誰か居ないか!」
叫ぶが、応答は無い
どうやら人が居ないらしい、ただの廃工場だったか
霊覇はその固く閉じられた門のツタを見る
そのツタはあまりに細く、人の体重には耐えられないだろう
霊覇はそう思い、壁をうろつく
(廃工場なら穴の一つくらいある筈)
そう思い、辺りを見ていた
すると、川と直通している水路がある
工場としての名残か、だが今は何も流れていない
侵入するには丁度良かった
「ここだ」
「汚水か?」
「多分水銀、もしくは産業廃棄物か」
饐えた匂いはそんなにしない
多分、下水では無く鉱物に関わるものだ
水路内は暗い
両端に鉄の足場があり、それから移動できる
そもそもとして少し屈むくらいの狭さだった
ここでの戦闘は不利となるだろう
「これ、何処に繋がるんだ」
「分からない、人が居ない以上、変な事は無いはずだが」
すると、水路が半壊している場所に辿り着いた
そこから上に行ける、行き止まりでは無い
そこから上に這い上がる
「跡地ってか?戦闘があったらしい」
門から入ってすぐの広場に出たらしい
そこには何故廃工場が半壊していたかの理由が分かるものがあった
地面に突き刺さり、爆発しなかった爆弾があったからだ
他にも壁に弾痕が大量にあり、爆発痕も多い
火災も発生したらしく、火災痕も見受けられた
「全滅か」
「――誰だ、お前ら」
不意に声がした
声がした方向を見ると、廃工場の入口から誰かが顔を覗かせていた
その顔はやつれ、傷まみれだった
「生き残りか?」
「そうだ、俺を含め20数名しか居ない」
ソイツはハンドガン…1911コンパクトをこちらに向ける
「アンタら、本当に何しに来た」
「政府からヘリを強奪して、この端末を奪った
それでこの暗号を解いた訳だ」
「…総司令のか」
彼の目付きが変わる
「ああ、インダス文字のな」
「あんたのはそれか…分かった、少し助けてくれないか」
ソイツはそういうと、廃工場の中に入った
他に特に選択肢がある訳でもない
ここに留まる訳には行かないので、彼に着いて行ったのだった
自分の作品ってスターシステムとかクロスオーバー多いですね