女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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耐久戦

この戦いは総司令部から早く応援が来る事にかかっている

廃工場は政府の攻撃に耐え切れる状態では無い

敵がなだれ込んでしまえば敗北は確実な物と化すだろう

 

ここで倒れる訳にはいかない

 

しかしまぁ、敵も本気なものである

この廃工場に居ても微かに聞こえる駆動音

それは1つ2つなんてものでは無い

いつしかの火力演習で耳にしたものである

 

―――恐らく、戦車

 

75だったか74だったか忘れたが、どっちにしろ脅威だ

辺りを見回すが、有効兵器が無いのかアサルトで対抗している

ここには運良くRPGが有る訳では無いらしい

この500口径もあんな装甲に敵うはずがない

 

とはいえそれは装甲の話である

 

弾を発射する為の砲口、そこを狙い撃つ

ただこんなアイアンサイトでは狙いにくい

出来ないとは言えないが距離が遠い

 

微かに聞こえる程度だ、遠すぎる

そう思い、廃工場の屋上に上がる

 

そこからは辺りの景色がよく見えた

戦車はマメくらいの大きさの物が三両程見えた

 

スナイパーライフルがは必要だ

それもとびきり威力が高いもの

政府から奪った武器類を確認する

彼らが使っているものよりハイテクなものばかりだ

こちらが使っているものには古きAKもあった

 

がさりと探しているとバカでかいライフルを発見する

一際大きく、一際太いバレル

人が持つには大き過ぎて、さらに重すぎる

バレットという対物スナイパーが普通のサイズに見えてしまう程の大きさ

 

アンツィオ200mmライフル

 

弾薬はおおよそビール瓶程の大きさ

見るに弾薬は2マガジンしか無いようだ

とはいえ十分である

使用痕がどこにも無く、新品とよく分かる

変に改造されている訳でもない対物ライフルだ

 

屋上に戻り、伏せ撃ちの体制に移る

 

こんな大砲の様なライフルを腰撃ちなぞ出来るはずが無い

そんなバカみたいな奴はアイツだけでいいのだ

 

バレットを撃ったことは無い

500口径のM500以上の反動が肩に来るだろう

ただそれに見合う威力はある

本来ならば装甲の薄い所を撃つが、正面からでは砲口以外無い

 

もしくはキャタピラーを打ち壊すか…

 

だが破壊が1番だ

この場にはあの戦車は要らない

ぶっ飛んでもらおう

 

引き金を引く

耳は塞いで無いのでその爆音を受け止める

鼓膜を貫通するかのような衝撃が痛みと共に突入してくる

 

ただそれに似合う威力は確かにあった

弾丸は砲口にするりと入り、そのまま火薬庫を攻撃する

戦車のハッチや覗き窓から火を吹き、戦車は弾け飛ぶ

見事な火柱だ、森を照らすほどの光が吹き荒れる

 

引き金を3回引く

 

それぞれが綺麗に爆発する

大きな薬莢を排莢し、立ち上がる

戦車が進む音はせず、変わりにローター音が聞こえてきた

仲間たちは森に潜む敵に集中砲火をしている

時間稼ぎである為、バカスカ撃っている訳では無い

馬鹿でかい対物ライフルを放置し、移動する

 

横に立て掛けてあるFA-MAS G2を使用する

某玉葱国の軍が使用するアサルトライフルだ

プルバック方式のライフルで機関部はストックにある

その形が似ている為、「トランペット」とも言われる

 

性能はピカイチとは言えない

だが、それは十分信頼に達するものである

 

かチャリとコッキング、味方の元に走り出す

戦場はかなりシンプルなもので無事な者と負傷した者に分かれていた

燦莉は後者には居らず、反撃を続けていた

 

壁にもたれ掛け、音を聞く

発砲音と銃弾が飛来して、壁に命中する

 

その音で位置を特定、引き金を引き、確実に仕留める

 

かなり長く感じる

本隊が来るのがかなり遅い

 

森にはマズルフラッシュがどんどんと増えていく

その数はこちらを圧倒し最早顔を出す事も出来なくなってきた

 

その時

 

「本隊が来た!引くぞぉー!」

 

あの男が叫んだ

瞬間に皆が戦線を離脱する

怪我人は背負い、中央の工場に走り出す

 

その中には既に完全武装の味方が居た

 

燦莉と霊覇は中に飛び込む

 

「ようやっと来たか」

 

FA-MASのストックを支えにして起き上がる

そこには野戦病院のような所で、ベッドには兵士が寄り添っている

至る所に兵装の違う兵士が何人も居た

 

「こいつらは」

 

「味方、本隊だよ」

 

そう誰かが後ろから言った

 

その声の主を見ようと後ろを見る――

 

 

 

衝撃

 

後ろから恐らくストックで首を殴られた

キィンと酷い耳鳴りがして地に伏す

赤い視界で見ていると、燦莉もまた地面に倒れた

目の前に2本の足が見えた

 

僅かに顔を上げると、それはガスマスクだった

いや、ガスマスクを付けた男の顔だ

 

「どうしてこうするのか?こうするしか無いからだよ」

 

そいつはくぐもった声でそういうと、仲間たちに連れて行けという

こんな耳鳴りがした時であっても、発砲音は耳から離れなかった

 

むしろ、それは耳にこびりついてしまっていた

 

 

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