ここはどこだ?
冷や汗が垂れる
今まで林で偵察行動をしていたのにこんな所に来てしまった
鬱蒼とした山で、霧がかかっている
樹海と言えるそれはもはや死に場所としか言えなかった
食料も尽きた、水は川のものだけ
畜生、こんなことなら…
特進とか考えずに、大人しくしておけばよかった
指名手配犯を見つけ、軍に突き出して手柄を得る
そんなのを考えなければ良かった
気桐霊覇、霧秋燦莉
その2人の目撃情報はある時から一切消えた
煙のような彼らはもはや空気と化した
私達の中では既に蒸発したのでは?と呟かれていた
事実彼らの事は捕虜達も知らないのだ
行動は、どうした、知らない
何を言おうとも分からないと返す
知らないから
どれだけ拷問しようと、言う口は変わらない
ベトナム戦時のM16の動作確認をする
私のような下っ端にはこんな化石が多い
使えるには使える、荒っぽい使用にも大体耐える
酷い話にはまだレバーアクションライフルを使う奴も居るらしい
気に入っているわけでは無く、"それしか無いから"
聞いた時は本当に哀れだと思った
化石も化石、いつのだよ
それなのに、ハンドガンは最新だ
ベレッタ、グロック、サムライエッジ、ソーコム
殆どがメインウェポンより時代が進歩している
だだ、稀にマカロフ等のオールドガンもある
SAAとか
そう思えば私はまだマシかもしれない
ベトナムで使っていた時そのまんまなM16
ストックに包帯が巻き付けられた、誰かの品
バレルが三角状なのも特徴の1部だろう
サブウェポンはM1911
恐らくこれもベトナム時の物と思われる
グリップに包帯が巻き付けられたまたもや誰かの物
それ以外特にカスタムがされてない
私は空飛ぶ人影を見ながら、ため息をついた
なぜ故にこんなガラクタを…
「…???」
あれ?私はなんて言った?
空飛ぶ人影?
人は空を飛ばないぞ?
視線を戻すとそこには空飛ぶ人がいた
空飛ぶ人、が居た
「!!!!」
気付けば引き金を引いていた
訓練で鍛えられた反射能力で、撃つ
三発程、命中した
ソイツはクルクルと回りながら落下していく
私は全力でそいつの元に走っていた
その顔が、どこかで見たことある顔だったから
マガジンを交換し、走る
○
「えぇ、霊覇さんは外じゃそんな感じです」
「ちょっと信じられませんねぇ…それ」
「事実ですよ」
早苗は射命丸から取材をうけていた
内容は霊覇について
彼の事は知っているようで知ってない事が多い
それは特に人間関係や性格のことだろう
外での人間関係は普通だった
基本人と普通に接する
友と呼べる者は気安く、楽しく
だが、戦争で何かが変わったのだろう
あんなになるとは思わなかったらしい
「ふむふむ、では早苗さんは?」
「私は…宗教のヤバい人と他人に思われてたらしいんですよ」
「ああ…外には神という確信は無いですからねぇ…」
外の世界での神はあくまで想像である
化学より神は居ないと証明されている
それに、「神は死んだ」という言葉もある
それから沢山の宗教が生まれ、消えた
もとより、居ないもの
それを居るとする者は、異端とされるだろう
早苗もそれに含まれていた
「えぇ、そうなんで――」
答えようとした瞬間、久しく聞かなかった音がした
銃声
10数発の発砲音
それは、何故だか嫌な予感がした
とても、良くない予感が
「…!」
私は駆け出した
大切な、何かが死ぬんじゃ無いかと
その、銃声の地点に駆け出していた
○
「が、ああ…いてぇなぁ…」
脇腹のそれと足のソレを見る
久しぶりに銃で撃たれた
この痛み、どれだけ味わった事か
だが、忘れた痛みを直ぐに慣れる程自分の体は慣れていない
こうして木に背をもたれ掛けている訳だ
やれやれ、どうしてこうなった
猟師か?
いや違うな、普通飛ぶ人を撃ったりしないし、単発だろう
今回のソレは10数発聞こえた、アサルトライフルだ
…まさかな
「ここまで来るか…?」
その思いは、見事当たる事になる
「はぁ――ッ」
現れた、タンクトップの女を見たことで
それは確か政府軍の装備だった筈だ
そう思っていると、彼女のライフルが火を噴いた
一瞬だった、空薬莢が地面にぶちまけられる
どうして?
頭に浮かんだのはそれだけだった
普通奴らはここまでやらず、数発撃って戦闘不可能にする
だが、目の前の奴は明らかに殺そうとしている
マガジンを捨て、リロード
「ま――」
待て、という言葉は銃声と赤い血に消えた
○
「は、ははは…」
ぐちゃぐちゃになって判別のつかない顔を見て笑う
体も、銃弾で滅茶苦茶にされ、腸が溢れ出ていた
何故だか、笑いが出た
あの指名手配
あの気桐霊覇を殺すことが出来た
こんな所で
こんな僻地で
「はははは…っ!」
これは吉報だ、本部に連絡しないと
無線機を取り出し、死体を確認し――
「霊覇さんになんてことぉぉおおおおおお!!!」
視界にあったのは、緑の光だった
それらは質量を持ち、私をすり潰した
○
「ああああああああああああああッッッ!!!!!」
ミンチになったそれを確認せず霊覇だった物に駆け寄る
それは赤黒く、生きてないのは確実だった
私は彼の胸に頭を置き、鼓動を確認する
「早苗さーん、そんないきな――」
文の声が聞こえた
気にしてられない、鼓動がなかったら、なかったら
トクン…トクン…トクン…
ある、鼓動がある
「まだ生きてる…!」
「あ、え…?霊覇さん…?ええ…?」
私はそれを抱き抱えると、永遠亭を目指す
この人を死なせてはならない
まだ、死んで欲しくない
○
「お兄ちゃん…?」
「霊夢?どうした…?」
「嫌っ…そんなの…嫌ぁ…!」
「れ、霊夢!どうした!?何があった!?」
「お兄ちゃああああああああぁぁぁん!!!」
それはそうとあべこべ要素少ない気がする
ダメか