とある室内
辺獄にある特に大きな建物の1つ
ここには先程の兵士達が蠢いていた
あるものは酒を飲み
あるものは賭事をし
あるものは殴り合い
そんな所に、2つの赤い雷が降った
雷は天井を貫通し、床に突き刺さる
そこに墓標のように岩が生成された
そしてその岩は中からこじ開けられる
岩のような手
岩石で補強された下顎
岩片が張り付いた左腕
辺りを見る、灰色の建物だ
どうやら比較的大きい建物に飛ばされたらしい
…スケールが、だ
扉が身長の2倍程ある
なんだあれ、ここには巨人でも住んでるとでも?
壁の隅にあるパイプもこれまた太い、胴体くらいある
「…」
ガチャンとドアが開く
そこから霊覇と同じくらいの身長の兵士が顔を覗かせた
霊覇の姿を視認すると飛び出して銃を抜こうとする
「…嘘だろ」
瞬間そいつが巨大化した
大きさは丁度そこのドアと同じスケール
霊覇が巨人の世界に迷い込んだ小人のようだ
ソイツは直ぐに撃ってきた
元がデザートイーグルだったからか凄い襲撃音だ
耳はヘッドホンで覆ってあるのにそれを貫いてくる
「うる…せぇ…よ!」
ナイフを抜き、そいつの喉元に一閃
エイムが酷すぎて避けるのが簡単すぎる
どちらかと言えば幻想郷の弾幕ごっこに慣れすぎた
あれに比べると銃撃はほんのお遊びに過ぎない
真っ直ぐ進む亜音速の玉なんて避けやすい
ナイフを突き刺して殺す
そしてデザートイーグルを奪おうとした
「でっか…掴めねぇ…!」
それはグリップで腕ほどの大きさがあった
その引き金を引くのも不可能で、というのりあの反動だと吹っ飛んで行くだろう
ナイフなどの刃物や鈍器なら使えるかもしれない
だが、こいつらのスケールの銃は確実に使えないだろう
早く警棒くらい持ってこないか
だが敵は警棒のような鈍器を持ってこない
銃口に吸い込まれそうな感覚を覚える
「くそっ」
銃を蹴り上げ敵に拳を振る
握力が上昇しているようで簡単に敵を吹っ飛ばせる
その吹き飛ばした敵が壁にめり込む程だ
何とも凄まじい、石化した拳を握り直す
空中で回転、サマーソルトキック
顎を蹴り砕き、血を辺りに散らす
奇妙な連中だ、巨大化しても構造は変わらないらしい
唸るような声を上げて攻撃してくる
携行しているナイフも奴らには小さすぎる
奴らの持っている武器が一番だが…
敵を殴り殺しながら次の部屋に入る
そこも敵が居た、撃たれる
さっさっと躱して攻撃をぶつける
そうして敵を倒していた時のことだった
「…?」
ガチャり、とドアが開いた
そこから姿を現したのは一人の女だった
大剣と盾、右腕が石化した白狼天狗
だが、その顔には覚えがあった
「お前はさっきの…」
先程戦った女
この世界ではこいつ以外に妖怪というのを視認していない
そういえば現実世界じゃ将棋の相手だったような
そんな覚えもあったが、敵が現れた瞬間に興味を失った
現れた敵の顔面に回し蹴り
歯が折れた感触が靴越しに伝わる
敵を転がして踏み潰したり削り殺したりする
あらかた殺し終えた後女を見た
女は盾を少し握り直していた
「アンタ、椛だろ
なんでこんな所にいるんだ」
「何故私の名前を?何処かで会いましたか?」
彼女はまるで面識が無いかのような発言をする
俺からすればよく分からなかった
彼女と知り合ったのはかなり初期で、仲は良かった
それなのに面識が無い?
「いや、頻繁に将棋を…
…そうか、ここは"そういうところか"」
一つ、思いあたることがある
ある時稗田とかいう名家の書斎を漁っ…拝見したことがある
あの頃は最初の頃でもあるから仕方ない
幻想郷というのを知る為の行動だった、としている
そこの本を読みふけっていると平行世界という記述があったのだ
なんでもこことは少しだったり大幅に違う世界らしい
強い人妖が居たり反転していたりと多種多様
その世界が交わることは滅多に無いらしい
…目の前の"椛"は別世界の人物
「…成程、貴方は違う所から来た者か」
どうやら、彼女も同じ結論に達したらしい
「やれ、面倒な
取り敢えず邪魔をするな、俺は用がある」
そう言うと近くの窓から飛び降りた
何かを奴は言おうとしていたが知った事では無い
外は崖だった、断崖絶壁の
もしかして奴はそれを警告しようと?
まぁ、そんな問題では無いが
よく下を見れば足場が見える
そこに着地すればいいだけなのだ
――着地
そこに居た敵兵に思い切り乗っかり、持っている銃に手を伸ばす
正確にはその引き金だ
ドゥラララララと凄まじい音を立てる
マズルフラッシュもいつもより何倍も眩しい
反対側には足場があり、そこにも兵士がいた
そいつらを弾丸がぶち抜いていく
やはり口径がおかしいのだろう
「そしてお前は用済みだっ!」
弾丸を撃ち尽くしたのを確認した後兵士からジャンプする
倒れるそいつから離れて壁から突き出た鎖に着地
その鎖は倒れかけたそいつを突き抜けた
宙ぶらりんだ、鎖を掴んで移動しようとしている
そいつの前に立ち、サングラスを奪った
かなりでかいが付けれないわけじゃ無い
「ら、ららーらら〜」
そいつの前でクルクルと踊る
厄神の踊り、というには少し不格好だが…
あらかた踊り終えると敵の顔面を蹴飛ばす
あちらを壁に埋まる
「…ふー」
ふと思いふけっているといつの間にか両側から兵士が現れる
流石にこの量で集中砲火は不味い
霊覇はそう思い、鎖から下へ飛び降りた
そこには、自然の足場のような物があった
幸運だと思った、霊覇は顔を拭った