女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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敵…?

「…ふむ、こんなところか」

 

あれから山の反対側を探った

山から流れる川がやはりある

だが、嬉しくないこともある

それが湖に繋がったのは良しとしよう

 

その向こう側の湖畔に不気味な紅い屋敷があったのだ

 

湖自体に問題はない、問題はアレだ

 

その館から不気味な視線を感じて、引き返した

 

他は特に無い

上記が1番デカい情報と言おうか

俺は家に向かった

 

「さて、何事も無ければいいんだが」

 

ここでまた捕捉されればシャレにならない

M500のグリップを強く握った

そこからは拍子抜けというか、特に無かった

 

 

「完全に撒いたらしいな」

 

俺は背伸びをする

あれから舐めつけるなような視線も感じない

これなら安心し…

 

「There you are!」

 

視線を感じた方向に迷わず発砲する

それは森の木を縫うように進み、何かに当たる

 

それが女の悲鳴と分かると直ぐに走り出す

…犬みたいな悲鳴だな、おい

 

「くそっ!」

 

捕捉された

恐らく妖怪だろう、用の無い者はここに来ない

 

…そしてあんな可愛い声の持ち主がここに来る訳が無い

 

それが理解出来たので俺はスピードを早めた

草むらを掻き分け、靴を泥まみれにしながら走る

大きな木の根っこを乗り越え、そこに身を潜める

M500を1発リロードする

大きな薬莢が1つ地面に落ちた

 

「…ふぅ」

 

少し顔を出し、辺りを見る

先程の視線も無いいつもの森に戻っていた

 

「全く、なんだったんだ――」

 

振り返ると、何かを突きつけられていた

目の前に刀の切っ先がある

 

「動かないで」

 

そいつは厳しめな口調で言う

銀髪、赤い目、獣耳、尻尾

俺の知る人間とは思えない可愛い顔

盾と刀を持った、女

先程の弾丸だろうか、右頬に赤い線が見える

 

だが、それが女だったのがいけなかったのかもしれない

 

…いや、女に制止される、という事だろうか

 

俺は電撃的に彼女の刀を掴む

この行動を予測していなかったのか、目を見開く

 

「な――」

 

「せい!」

 

そのまま右肩を引っ張り刀を奪う

刀を奪われると彼女は盾で応戦する

 

…しかし

 

「きゃ」

 

刀の峰で足を払う

足を取られた彼女はパタリと地面に仰向けになる

その衝撃で盾を手放した

すかさず手放した盾を掴み、刀をそいつの首筋にあてる

 

「よくこれで今まで生きていけたもんだ、えぇ?」

 

「油断しすぎましたか…」

 

俺は油断すること無く構えを続ける

…また気配を感じた

 

「はっ」

 

「おっとぉー、野蛮ですねぇ」

 

後ろを斬る

おどけた様子でそいつは避けた

 

黒い翼

 

「成程、お前さんらは天狗と言ったところか」

 

「じゃあ、どうします?」

 

「口封じだ、生かしてロクな事は無い」

 

俺は即答する

敵軍の女を生かしては裏切られる

少しの同情に奴らは漬け込むのだ

 

「むぅ…簡単に殺せませんよ?私は」

 

「1人持っていけるならそれでいい」

 

俺は盾を構える

今まで感じたことの無い殺意が体に刺さる

銃弾で蜂の巣にされた時でもこんな痛みは感じなかった

 

 

「…分かりました、わーかーりーまーしーたーよー」

 

そいつはやれやれと首を振ると獣耳っ娘に、近づく

 

「ほら、帰りますよ」

 

「…それ、返してください」

 

彼女はこちらに手を差し出す

 

「断る、じゃあな」

 

差し出して睡眠薬を投入された回数はもはや覚えていない

油断した所で殺られる可能性を否めない

 

「あ!ちょっと――」

 

「There you are」

 

腰からスタングレネードを取り出し、ピンを抜いて投げる

俺は振り返らずに走り出した

 

直後響く爆音と光

 

「HAHA!yippee-ki-yay!」

 

俺は笑いながら家に向かって行った

 

 

「…逃げられた」

 

椛は悔しそうに言った

 

「まぁまぁ、これは私達の秘密ですから」

 

「貴様と共有なんてしたくもないね」

 

そう言いながら椛は右頬を触る

そこには肉を抉った線があった

 

思い出すと身震いがする

 

あれに当ると"また"失明すると感じた

 

本能で避けた…

 

「また…?」

 

椛は困惑した

文は少し驚いた顔で椛を見た

 

「どうしま――!?」

 

風景がフラッシュバックする

 

ボロボロな椛が大剣に縋って寝ている

辺りは真っ暗で見えずらい

 

ただ、地面に文自身が倒れているのは分かった

 

文は彼女の顔を覗き込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは黒い眼帯をした、白狼だった

 

 

「ひ…!?」

 

「どうかしたか?」

 

椛が不思議な顔で文を見る

 

「…いえ、なんでもありません」

 

そういうと文はとんだ

 

「…変な奴」

 

椛はぽつりと呟くと同じようにとんだ




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