女嫌いのあべこべ幻想郷入り   作:回忌

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守谷の巫女

「ヒィヒィ…」

 

家の中で膝立ちで息を正す

あそこからノンストップで走り続けてきた

むしろこうならない方がおかしい

追いつかれれば捕まるのは確定している

白い方は何とかなりそうだが、黒い方は…

 

「考えたくも無い」

 

俺は煙草を咥え、火をつけた

 

「まぁ、妥当な成果か」

 

周辺の情報が手に入った

それに加え哨戒天狗程度なら相手に出来る

 

「yippee-ki-yay、今日はもう寝よう」

 

俺は布団を取り出すと、床に敷いた

 

「全く、女は信じられないな」

 

と言っても信じられる女はこの世に2人存在する

もう顔しか覚えていない、アイツと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室で、浮世離れしていた、緑髪の彼女

 

名前は…確か、東風谷早苗

 

 

 

 

俺の貴重な同胞だ

 

 

 

「はぁ…」

 

私は男が嫌いです

男というのは己の事しか考えていません

私のような…外の世界でいう美しい人はオカズにしか見えないのです

 

…もっともここに来てから全てが変わりましたが

 

最初は困惑でした

己が不細工と呼ばれる不思議

 

次は…理解でした

何度も試してようやく分かりました

 

この幻想郷、醜美が逆転していると

 

それからは私は幻想郷"の"住民として振る舞いました

 

ここなら外の世界にある政策に絡まれることは無い

私は箒で境内をぱさぱさと掃いていました

 

「…」

 

境内には数十人の人が居ます

お参りに来てくれた信者さん達です

彼らからの贈り物…貢物?を貰うのもささやかな楽しみでしょうか

 

「はぁ…」

 

"彼"が私を見れば変わったな、というでしょう

そのご友人も同じ事を言うでしょう

 

既に政府に捕まっているかもしれませんが

 

ここに来るまで、貴方が捕まったという話は聞いていません

 

それだけで、安心です

 

「早苗?」

 

「あ、諏訪子様」

 

声の方向に向くと、子供がいました

カエルの目の様な飾りがついた帽子を被る子供

こんな姿であっても神様です

 

「ちょっと考え事をしていただけです」

 

「…彼かい?」

 

「…そうですね」

 

私は正直に答える

彼の事は忘れられない

 

私の貴重な同胞ですから

 

初めてであった時の事はよく覚えています

まだウイルスが流行っていない頃、ですね

あの頃に転校しました

 

クラスの奇怪な視線は今でも覚えています

 

でも、そんな目で見なかったのが、彼とそのご友人

 

『人は誰も同じさ』

 

『楽くて面白けりゃいいんだよ!HAHA!』

 

思慮深い性格の霊覇

 

豪快な性格のご友人

 

その2人の言葉が今でも刺さります

 

「こんにちはー!清く正しい射命丸文でーす!」

 

「帰れドグされ」

 

諏訪子が文に怒鳴る

後ろから追従した椛が謝る

 

「ごめんなさいこんな上司が居て…」

 

「後できっちり伝えておくよ」

 

「いやー!こっちも面白いものがあったものですよ!」

 

文はニヤニヤと笑う

何が面白いのだろうか

 

「んー?何かな?」

 

「男ですよ!外の世界のおと――」

 

「服装は?どんな感じですか?」

 

早苗は思い切り文を掴む

その様子に辺りが騒ぐ

神社から赤い服装の女が現れる

彼女は八坂神奈子、軍神だ

この守矢神社の二柱の内1つである、片方は諏訪子

 

「なんだ?…早苗?」

 

「早く!言え!」

 

早苗の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた

 

「お、落ち着け!早苗!」

 

「えーと!緑の軍っぽい服に迷彩柄のズボンを――」

 

「…そうですか、ありがとうございます」

 

早苗はいきなり力を弱める

そしてどこか遠くを見る

 

「…あの、彼女どうしたんです?」

 

椛はヒソヒソと諏訪子に聞く

諏訪子は少し悩んだ後、にっこりと笑う

 

「何、思春期さ、気にする事はない…おめでとう、早苗」

 

「彼がここに…忘れられた?」

 

二柱は双方別のことを考えていた

だが、早苗が幸せなら、そんなことどうでもいいだろう

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