あれから警戒は解かない
山方面に行くことは無くなった
彼女らの警戒が高まったのは確かだ
下手に刺激したくはない
殺られるのはこちらだ
見た限り仲間意識が高いと思われる
「はぁ」
政府からの追跡が終わったかと思えばこれだ
今もなお戦闘をしている男達には分からないだろう
何をするにしても面倒事が絡む
「まぁいいか」
それだけでこの生活を送れるなら嬉しいものだ
面倒な制約もないので自由に暮らせる
個人的平和に過ごしたいとも思っているのだ
「ハロー、こんにちは」
と、思っていればこれである
すぐ横にスキマが展開され、中から紫の顔が覗く
「帰れ」
「あらやだ平和に暮らせているのは誰のお陰で?」
俺は頭を抱えた
確かにこいつがいるおかげで生活は出来ている
足りない物はこいつから貰っているのだ
スタングレネード、釣竿、M500の弾薬
それを考えると悪く思う訳にはいかない
…だが女というのがなぁ
「はあ…何用だ」
俺は煙草を咥えて火をつけ――
「宴会に来て欲しいのよ」
「ヴォエ!ヴェ…!?」
思わず噎せる
「どういうことだ」
思わず紫を睨んだ
何処吹く風だ、紫は
「私の貴重な友人…しかも男よ、呼ばない訳がないでしょ」
「却下、これ以上女とは関わりたくねぇ」
「あら?天狗と関わってたじゃありませんか」
「見てたのかこの野郎」
こいつの能力だろう
変な視線や雰囲気を時たま感じるのだ
「あれも報告済みでしょう?」
「だろうな、組織故の性か」
「あ、私も既に言ってありますわ」
「しね阿呆」
なんということをしてくれたのでしょう
こいつはここで万死にしても文句は言われまい
「俺は参加しない、いいか?参加しないからな!」
これ以上は御免だ
流石に俺の精神が持たないだろう
主にトラウマが蘇る
…あぁ身震いしてきた
「そう、じゃあ来てもらうから…今夜」
「よし逃げてやらぁ」
死ぬ気で逃げてやろう
これでもかくれんぼは得意なんだ
「まぁまぁ、楽しみにしてなさいな」
そういうと紫はスキマの中に消えていった
俺はため息を吐いた
「…ブービートラップを作るか」
俺はそう言うとグレネードを数個と紐を持って外に出た
ブービートラップとは有名所で言えばベトナム軍が使ったものだ
ジャングルの地面を掘って落とし穴を作ったりする
無論ただの落とし穴のはずがない
そこには無数の釘や竹槍が待っているのだ
落ちれば即死もしくは地獄の苦しみを味わう事となる
ウチでもよく使ったものだ
今回のものはグレネードのブービートラップだ
手頃で何かが通りそうな場所を探す
そこに2つの木があれば最高だ
その木に杭を刺し、それを糸で巻く
そしてその糸をグレネードのピンに括り付けるのだ
この貼った糸を気づかずに足で蹴ると、爆発する
妖怪にどんなダメージが通りか知らない
まぁやらないよりかマシだろう
「…あ」
今気づいたが奴はスキマで簡単に探してくるんだった
…これ自分の首を絞めいているだけでは?
〇
「こんにちは幽々子」
「あら、いらっしゃい紫」
その頃紫は友人の元へと向かっていた
その名は西行寺幽々子、亡霊である
何故亡霊になったかの経緯は省くことにする
「紫様、お茶です」
「ありがとう」
「それで、何しに来たのかしら」
幽々子が聞いた
暇では無いだろう、地底の後片付けもある
「宴会かしら?」
「そうよ、私、友人を呼ぼうと思うの」
それを聞いて幽々子が驚いた
「貴方、まだ友人が居たの?」
「失礼ね…最近会ったばかりよ」
「あぁ、なるほどね」
幽々子は納得した
たが、それを伝えるほどでもあるのか――
「実は男性なのよ」
「男――!?」
「あらまあ、冗談は大概にしてよ紫」
妖夢が声にならない声で叫ぶ
幽々子が茶化すように言う
だが、紫の目は変わらなかった
それで幽々子は察した
「…本当かしら」
「ちょっと面倒な性格…もといものだけどね」
「何か訳あり?」
「トラウマ、調べてみたら女へのね」
「…今日の宴会、荒れそうね」
紫は早めに言った
「殺害は起こらないでしょうけど…怪我はするでしょうね」
「トラウマなら仕方ないわ、まぁ婿にするけど」
「大概なのはどっちかしら」
あはは、と笑い声が響いた