レイヴンであった”アレン” ”サリオン”らはそんな戦術人形を従えるグリフィン&クルーガー社で巨大鉄血兵器を狩るため、再び”レイヴン”として働いていた…
それでは本編をどうぞ
闇夜に照らされた光があった、本来であるならば静寂であるはずのここ“S09地区”では人型機動兵器“アーマードコア”が2機が人類に仇名す機械人形、“鉄血工造”が生み出した兵器と戦い互いの機動音や銃声のやかましい音で一杯であった。
「アレン、神は世界創生の1日目で“光あれ”といって光を作って闇を照らしたんだとよ。なんの光だと思う?」
軽量二脚ACを操る男がマシンガンで多脚戦車“マンティコア”を攻撃しながら四脚ACを操る男に聞いた。
「…“お日様”の光か、サリオン?」
空中で飛びながらグレネードキャノンを逆関節兵器“ニーマム”に発射して、アレンと呼ばれた男は答えた。直後、ニーマムにグレネード弾が直撃し機体が爆発した
「違うね、“火薬”の光だ」
サリオンは左手に備えられた投擲銃を発砲し答えた。放たれた弾は放射線を描き吸い込まれるようにマンティコアの胴体に命中し爆発四散した。
<作戦目標クリア システム 通常モードに移行します>
周囲に反応が無くなり敵をせん滅したことを確認したら両ACの頭部に備え付けられたコンピューターが戦闘終了を告げた。
…人類が“大破壊”と呼ばれる最後の国家戦争が終わり国家という概念が消失し企業による支配体制に移行したのはもう何年前の話なのか分からない、愚かな人類は母なる大地を汚し地下での生活を余儀なくなれた。そんな世界で活躍したのはACを駆る傭兵、「レイヴン」である。報酬さえあれば合法非合法問わずその力を振るう彼らは企業の先兵として利用され地下世界をさらに混沌に陥れた。しかしそれでも秩序はあった。それもこれもAIによる仕業であったことは誰も知る由もなく人々は地上と変わらぬ生活を送っていた。そんな中一人のレイヴンがこのAIを、企業を破壊。人類は再び地上に出ることとなる…
だが人類は未だ愚かであり戦いの場所が変わっただけにしか過ぎなかった。戦いの駒はレイヴンからAIの反乱による新勢力、鉄血とそれに対抗するためのIOP社が作り出しグリフィンが運用するアンドロイド兵器“戦術人形”バトンを渡され、地上を汚染しながら人々は生活を送っていた
「じゃあ何故、また俺ら、レイヴンが必要になったのか。分かるかアレン」
「…さっきみたいなクソデカ兵器が鉄血に出てきたからだろ」
「そうだ、たかだか1mしかない戦術人形が自分よりも高い身長の兵器を相手にするなんざ正気の沙汰じゃねぇ。だからまたACが、レイヴンが必要になったのさ」
「その結果が…これか?」
先の戦闘から戻った二人はACをガレージにいれ整備班に預け、ATMから報酬を受け取りまグリフィンの寮でカップラーメンをすすりながら話していた。
「…あの頃はもっとうまいのを食えていたし、こんなカップ麵だけの晩飯だなんてありえなかったぞ」
「…報酬がけち臭いのが難点だがレイヴンが今更他の職業に就けると思うか?」
「戦後復興の手伝いとかは?」
「あんなのMT(マッスルトレーサー)のパイロットに全部取られちまってるよ、それにだ。俺らはレイヴンで人様からいろんな恨みを買って生きている。ハッキリ言って表社会で生きていくだなんて不可能だぜ。こうして飯が食えて、寝れるところがあるだけありがたいと思えよ」
「…分かった」
時計はもう午前2時になろうとしていた。カップ麵を食べ終えた二人は部屋に備え付けられているベッドで寝ることにした。
目覚めた時は時計はもう9時を指していた。眠たい目をこすりながら端末を開き依頼が来ていないかチェックする。レイヴンの仕事は昨夜のように大型兵器が来た際の緊急の依頼や戦術人形の防衛の依頼、戦術人形と協力し鉄血の基地への強襲といった依頼がある。だがいずれの任務も連絡は来ていなかった。
「…暇だな」
アレンが端末の電源を切り呟いた
「2日に1回ぐらいしか任務が来ないからな」
「そりゃまぁACより人形の方が運用コストが低いしメンテも楽だからなるべくなら僕らに頼りたくないのは仕方ないが…」
「何でもIOPも大型兵器に対処可能な人形を作ってるんだとよ、今のうちに転職考えるか?」
「冗談だろ、僕らにそういう道がないってことは昨日君が言ってくれたじゃないか」
「…冗談だよ」
その時、端末からコール音が鳴った
「ほーらおいでなすった!飯のタネだぜ」
サリオンがいそいそと端末を開き依頼内容を確認する
<緊急の依頼につき早急に出撃してもらいたい。S10地区で任務にあたっていた戦術人形30機が一瞬にして半数以上の数が消失した。おそらく殆どはダミー人形なのだろうが鉄血の巨大兵器が出現したことには間違いない。至急出撃して残りの戦術人形を保護するとともに巨大兵器を排除してくれ。尚、敵の戦力はほとんど未知数だ、十分注意してくれ>
「一瞬で半数が消し飛ぶなんざ穏やかじゃねぇな、マンティコアの大群でも現れたか?ならアセンを考えねぇとな」
「同感だ、俺の“バードイーター”にキャノンだけじゃなくミサイルも取り付けておくことにする。ミサイルは君の“ステイヤー”じゃ荷が重すぎるだろ、とは言えできる限りの武装は積んでおいた方がいいと思う」
「オッケー、さてハンガーに行きますか」
2人は走って寮からすぐのハンガーへと向かいそれぞれの機体の前へ行く。その近くには初老の男性が立っており2人を見るなり近づいてきた
「おやっさん!急いで出撃しなけりゃいけねぇアセン出来るか!?」
「あたりめぇよサリオン、アレンも組みなおすか?」
「うん、今回の任務、的の戦力が全くの未知数だからさ。よろしく頼むよおやっさん」
おやっさん…平賀というその男性に2人はアセンのリクエストをし間もなく作業は開始された。といっても変更するのは武装だけであり肩の接続ジョイントにクレーン車で上げられた武装を接続するだけなので時間は数分しかかからなかった
バードイーターは
・マシンガン(1000発装弾)
・投擲銃
・グレネードランチャー
・小型ミサイル
ステイヤーは
・マシンガン(500発)
・ブレード(エネルギー発射型)
・チェインガン
という装備になった
「ステイヤーはこれで重量ギリギリだ!チェインガンの弾が切れたら遠慮なくパージしろ!バードイーターは弾切れの心配は皆無に等しい、思いっ切り暴れてこい!」
「おやっさん、ありがとう!」
「…輸送ヘリがきたぞサリオン」
「よっしゃ行くか…!」
2機の輸送ヘリにそれぞれACが乗り離陸する。この場所からS10地区までは約10分である。
「今回の依頼、一応戦術人形の保護も兼ねているんだよな。あと10分、持つと思うか?」
「どうだろうか、我々としては持ってくれないと困るんだが…」
「人形なんだから賢い知能はあるんだろ。ACが向かっていることは人形らも知っているだろ、余計なことをせず隠れてくれればそれでいいんだ」
「…彼女らの指揮官が優秀であることを祈るよ」
「指揮官ねぇ、俺もそういう職業に就きてぇよ。無理だと分かっていてもさ」
「駒から駒を動かす方にか、そういうの一番似合わないんだよ。レイヴンって仕事に就く人間は」
「…んなもんは俺がよーく知っている。夢を語ったまでだよ」
「まぁ俺もそういうのには憧れているからさ…いつかはレイヴンをやめなきゃいけない時もくるんだ。そういうのを視野に入れても悪くはないか」
『…ご歓談の所すまねぇな、あと少しで目標地点付いてあんたらを下ろすから。今のうちに準備と化しておけよ』
ヘリのパイロットに促され2人は機体のチェックを行う。頭部搭載のCOMによるスキャンは一瞬で終わりオールグリーンと結果が出た。
『…目標地点に到着、レイヴン、派手に暴れて来いよ』
2体のACが地上10mから投下され派手な着地音を響かせる、すぐに通信が入ってきた。どうやら彼らの近くにいる戦術人形達のうちの1人からのようだ
『…サンキュー、レイヴン。助かったわ』
『君は…』
<音声データ照合開始…ハンドガンタイプの戦術人形、グリズリーです>
アレンのACのCOMボイスが通信主を話したところで再び彼が口を開く
『グリズリー、すまないが状況を教えてくれ』
『…半数が減って大半はダミー人形なんだけど第二部隊のスコーピオンが本体をやられちゃって、あぁでも心配しないで、コアはやられていないから復活は出来る。そう考えると一応被害なしみたいなもんかな』
『…こちらサリオン、ついでにお前らを襲った敵部隊についても教えてもらいたい』
『…完全に把握出来たわけじゃないけど攻撃を受けた瞬間に分かったのは“マンティコア”が3機、ニーマムが4機…正確な数は分からないけど逃走するときに榴弾らしい攻撃があったからジャガーもいると思う。』
『妙だと思わないか、サリオン。彼女が挙げてくれた敵は確かに強いけど一瞬で部隊の半数を減らすほどの瞬間的な火力は持っていない』
『…確かにそうだ、おいグリズリーどうなんだ』
『確かにそこのお兄さんの言う通りだよ、私としてもあいつらの攻撃でやられたとは思っていない、でもそうとしか分からないんだ。ごめん、レイヴン』
『やはり未知の戦力がいるかもしれない、サリオン』
『同感だ、まずは速攻でアイツが教えてくれた兵器を倒す。ACにとっちゃあんなのはMT程度の脅威でしかないからな、その後で付近を捜索する。それで破壊する、ボーナス狙おうぜアレン』
『レイヴン、今からスコーピオンの本体の写真を転送するよ。損壊状況でどういう敵か分かるかもしれない。幸運を』
『協力に感謝する、グリズリー』
そこで通信を切り、人形達が彼らを運んだ輸送ヘリに乗り離陸したのを確認して2機のACが武器を構える
<<メインシステム 戦闘モード 起動します>>
COMボイスが戦闘の開始を告げ、間髪入れず2機ともOB(オーバードブースト)を起動させる。人類が地上に進出してから開発されたACに搭載された緊急移動用ブースターシステムがジェネレーター、ブースター両装備のリミッターを一時的に解除されることでACは通常の速度をはるかに超えた速度で移動することが出来る。少し上空に富んでから起動させたので今2人は僅かながら飛んでいるのだ、モニターに表示されるエネルギーゲージが恐ろしい速度で減少していき半分にさしかかったところでレーダーに敵が表示される
『敵確認、情報通りだ!…まて、奥の方にもう2機目視出来るあれは…!』
アレンがそう言いかけた瞬間ACはマンティコアやニーマムらの上を通過していた、突然やってきた敵に反応に遅れ攻撃するが恐ろしい速度で移動しているACには当たらない
『ジャガーだ、まずはやつを撃破してから反転して今の奴らを撃破するぞ!』
『よし!』
エネルギーゲージが底をつきかけたところでOBを終了させ、着地しながら2機のFCS
はジャガーをロックオンしていた
(奴がこちらに照準を構えて撃つまでには数秒かかる、悪いがそれまでにキメさせてもらうぞ!)
バードイーターがマシンガンを発射し20発を叩き込む僅か0.5秒の間にジャガーは撃破された。ステイヤーも敵との距離が0にならないうちにブレードのエネルギーを発射させて砲門に命中させていた。高熱により砲門は融解し最早兵器としての機能は失われていた。僅か数秒の間に2機の鉄血の兵器を破壊した2人は反転して再びOBを起動、敵との距離まで10数メートルという場所まで一瞬で移動した
『マンティコアは俺がやる、グレネード使うから爆風に巻き込まれないでくれよ』
『分かった、逆関節野郎は俺の仕事だ。これだけの数、一瞬で蹴散らしてやる』
バードイーターがブーストを吹かし空中へ飛ぶ、マンティコアは地上の敵しか対応できず故に頭上から高火力な武装で攻撃すれば一方的に蹂躙することが可能なのだ。だが空中で肩武器で攻撃することは不可能である、反動により空中でバランスを失う危険性やそもそも空中で肩武器を発射出来ないようにACのコンピューターが制限をかけているのだ。だから彼が今行おうとしていることは不可能なのだ。そう、彼が普通のレイヴン、普通の人間であるならば…
「悪いな、俺は普通の人間じゃない。こいつは“俺”なんだ」
…アレンの体の神経はACの機体センサとコネクターを介してリンクしている。つまり彼の体は今、ほぼバードイーターと同調していると言える。自分の身体がバランスを崩しても余程の事がない限り立て直すのは容易である、そして制限を解除するのもお手の物だ
空中から放たれたグレネード弾がマンティコアの上部装甲を貫通して内部で爆発する。たった数秒で鉄の塊が一瞬でスクラップと化した。強襲に気づいたニーマムがバードイーターを攻撃しようと砲門を空中に向けるが
「俺のことを忘れてくれるだなんて冷たい奴じゃないか」
ステイヤーのマシンガンがニーマムの脚部に命中しバランスを崩し前に倒れる、すかさず右腕のボタンがついているレバを押しながら前へと押しエネルギー波を発射する、エネルギー波は斬首するがごとくニーマムの砲塔を切り裂き何も出来ない地面でうごめく生きる屍と化した。ステイヤーはそれを見届ける間もなく膝立ちの状態になり肩に装備していた折りたたまれたチェインガンが展開しステイヤーの頭部と横に並ぶ
『俺はここで逆関節野郎を潰す、アレン!お前のグレネードで俺までミンチにしないでくれよ!』
『分かってるよ』
バードイーターは正確に素早くマンティコアにグレネード弾を命中させ、ステイヤーはニーマムの攻撃を受けながらもチェインガンを命中させていく。チェインガンは弾速こそ遅いものの安定した火力を連続で命中させることが出来る武器であり機動力が遅く装甲が厚いニーマムとの相性が良かった
『一機…二機撃破、AP(機体の耐久力を数値化したもの)が減っているがこれぐらいなら問題ない、よし残り一機だ』
『バードイーター、四脚の全滅を確認』
そう言ってバードイーターがステイヤーが最初に攻撃し動けくなったニーマムの上に着地した。同時にニーマムが圧力に耐えきれず圧壊し、ショートした火花を散らす。バードイーターの下にはまるで血のようにオイル溜まりが出来ていた。
『こっちも逆関節野郎を全滅させた…なぁグリズリーの情報が正しければこれで任務は終了、だよな?』
『そのはずだ、だけどやはりこれで終わりじゃない気がするんだ。今、彼女から送られてきたスコーピオン本体の損壊状況を確認しているんだけど…この人工皮膚のただれ具合、実弾兵器の攻撃を受けて“焼かれた”というよりは“溶けた”という表現がしっくりくる』
『…同感だ、それに写真の左手を見て見ろ、小指と薬指が溶接されたようにくっついている。これはエネルギー兵器でやられたんじゃないか?しかも極めて高火力な…』
『現段階において、鉄血がエネルギー兵器を利用している兵器は少ない。』
『ドリーマーとかいうハイエンドモデルがその保有が確認されているが…奴の兵器ではこうはならんはずだ。奴の持っている兵器は収束されたエネルギーを発射するもので“溶かす”というより“穴をあける”という表現がしっくりくる兵器だ』
『…エネルギー兵器を保有する新型大型兵器による攻撃という可能性が高いということだね』
『…あるいは』
<<高エネルギー反応急速接近中 危険です>>
2機のCOMボイスが敵の乱入を告げる、このボイスに2人は聞き覚えがあった。まだレイヴンが今以上に地下世界で羽ばたいていた時に散々聞いた機械音声が聞こえた
『そうか…そうだよな、そりゃあそうだ…俺らはレイヴンなんだ。なぁアレン』
『…今日まで戦わなかったことが不思議なんだ、久しぶりにレイヴンとしての本領を発揮できそうだね』
『…お客さんだぜ、アレン』
<高エネルギー解析…ACと断定>
<敵ACのデータ解析…該当するデータがありません。新型と思われます>
『すごい速度で接近している…OBを使ってるのは確定だけどそれにしたって速い』
『…俺と同じ軽量二脚タイプのACかもしれん』
『EN兵器持ってる可能性も高い、気を付けて!』
モニターから表示された景色の奥から淡い緑色の光が見えてきた、そして2人が構えた瞬間、青白い光が飛んで二人の間入り通り過ぎる
『…!』
二人が散開した直後、二機の足元それぞれにレーザーらしき光が降りかかる
『ENライフル撃った直後にもう2発かよ!敵もダブルトリガーか!?』
『…にしてはあまりにも正確すぎる、OBの最中に出来る芸当じゃ…来た!』
アレンの通信が終わった直後、2人の前に一体のACが姿を現した。それは、真っ白でいたって普通の軽量二脚のACであった。・・・ACの周辺にヘッドパーツと同じぐらいのサイズの衛星がなければ
『なんだあれは、知ってるか?アレン』
『何処かで見たことがある気がするんだが…今はそんなことを気にしている場合じゃない。サリオン、敵はどうやらEN兵器オンリーで戦っているみたいだ。ステイヤーの機動力で撃たせまくって奴のジェネレーターを空にしてやってくれ。お前が翻弄してEN切れになったところでOBで接近して至近距離から叩き込む。俺は対EN兵器のオプションパーツを装備しているから多少の被弾は問題ない』
『…分かった、お前はあの衛星に気をつけろよ』
通信を切り、バードイーターがステイヤーの援護をするため白いACから距離を取る、すかさず白いACがバードイーターを追いかけようと彼の方角を向くがその瞬間にステイヤーから放たれたエネルギー波に気付きそれに逃れるためバードイーターとの距離を取らざるを得なかった。
『…貴様もこの大地を汚す者か』
オープン開戦で白いACのレイヴンが口を開く
『いいだろう、貴様もレイヴンならば私が…この“ガイア”が処刑してやる。この大地に代
わってな!!』