暑い気温
自動販売機
違和感

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一部誤字があったので修整したよん


自動販売機

「暑い」

 

まだ5月だっていうのに猛暑と呼べるような暑さだ。

「暑い」を越えて「熱い」と言えるかもしれない。

 

、、、、過言だった

 

まあ過言してしまうぐらい暑かった

 

常識で言えばまだ5月は春と呼べる時期でここまでの気温は最早異常とも言える。

 

しかも

 

まだ梅雨は来ていない

 

想像するだけで地獄で苦しい。

雨続きでジメジメとしている空気、そこに猛暑が被さればどうなるかは必然的に分かる筈。

 

とにかく暑かったんだ

 

「ハァ~」

 

重たい腰を席から上げる。

今は昼休みで弁当は食べ終わった。

 

勿論、残しはゼロで

 

だがしかし、暑さには負けてしまった。

重い腰を上げて向かった先は1階の昇降口にある

 

  販売機 

 

少し値段は高いが、直にキンキンに冷えた飲料水を飲めるので、欲に忠実な高校生には神様に近い存在だった。

 

3階から1階、それは決して近くはない距離で歩いている途中で普通に汗が出る、まあ気温のせいでもあるが。

 

販売機は2つあった

 

どちらも爽やかな白色。

商品のレパートリーは、コーラからスポーツドリンク、ラテやコーヒーまである。

だが少し微妙な並びなのは否めない。

 

まあ他で見たときがあるが、ドクターペッパーの缶が5つも並んでたのを見つけたときは少し引いてしまった。

ドクターペッパーが5本よりかは圧倒的にマシなレパートリー。

 

何を買うか、販売機の中にある缶やペットボトルの模型達を睨みつける。

 

コカ・コーラもあったが、さっき弁当を食べたばかり、それに昨日飲んだ。

 

「ん?」

 

少し目が止まった

 

  紅茶花伝

 

まあ何処でも見る商品、味はミルクティーで少し薄いがまあまあ美味い。清涼飲料水の中でも人気があるほうだと認識している。

 

その紅茶花伝は何故か今だけ魅力的に見えた

 

黒い財布のチャックに手を伸ばす。

この前コカ・コーラを買ったときに1000円札をバラした100円玉がジャラジャラと音を立てる。

 

紅茶花伝のすぐ下にあった値段を見る

 

130円

 

やはり少し高いと思ってしまう。

だが欲に忠実な高校生だ、迷わず硬貨を4つ入れる。

 

暑さを凌ぎたい。

そんな欲望を嘲笑うかのように販売機は見下げる。

 

  ピッ

 

軽い電子音

 

 ゴトンッ

 

まるで見下すかの様に音を立て乱雑に受け取り口に願いを落とす

そしてその願いを縋り付くように受け取る。

ただ販売機で飲み物を買っただけなのに乞食になった気分だった。

 

受け取った紅茶花伝は、外気に反する様に冷たかった。

気持ちが良い冷たさ、少し痛いともとれる様な冷たさだったが余り気にはしない。

 

口を開ける

 

  カチャッ

 

本物はどうなのかは知らないが、自分の知っている内のミルクティーの匂いがした。

 

 ゴクリ

 

冷たい欲望の一口を大事に飲む。

味はなんか薄いと思ってしまうがやはり美味いと感じさせる。

 

「む」

 

少し視線を動かす。

右側の自動販売機をなんとなく見る。

今飲んでいる紅茶花伝は、左側の自動販売機で買った物だ。

 

選ばなかった販売機

 

少し違和感

 

そこには

 

  紅茶花伝

 

今手に持っている冷たい紅茶花伝が右側の販売機にもあった。

不思議だ、何故右側の販売機にもあるんだろう。

少し動き、販売機の前に立つ

 

「ん、んん?」

 

販売機の前に立ち紅茶花伝を見ると、更に違和感を感じる。

左側の、自分が購入した紅茶花伝と見比べる。

まるで間違い探しの様だった。

 

「あ」

 

決定的な違い。

それは、見てはいけなかった違い。

だがそれは、確実に、決定的な物だった。

 

 120円

 

120と書かれた値札。

だが左側の、自分が購入した側の値札は。

 

 130円

 

脳がエラーを吐き思考を一瞬止める。

止まったのはほんの数秒だったが直に思考が動き始め理解する。

 

 10円分損をした

 

たかが10円じゃない。

 

コンビニや駄菓子屋だったら10円ガムを買える値段。

あのフェリックスとかいう猫っぽいキャラクターが笑っている絵が印刷された梱包紙に包まれたガム。

 

脳内であの笑っている顔を思い出す。

馬鹿にしている様に感じ取れる。

 

しかも、しかもだ。

 

数100メートルや数1000メートル離れた距離の販売機で値段が下がってるならまだ理解が出来た。

ついさっき買ったジュースが、スーパー前の販売機だと安くなってたなんてよくある事。

 

だがコイツは違う。

 

隣の販売機とは数センチ。手が入る様な隙間の距離。

その数センチで10円の価値が動いたのだ。

意味が解らない。

 

たったの、数センチで、物の価値が、下がったんだぞ

 

切れそうだ。

いやもう切れている。

 

コッチは態々3階から長い階段を降りて汗を拭いながら来たんだ

 

なのに、数センチの差で損をした。

腹が立つ

 

10円分の価値が見い出せない。

コッチの方が少し素材が良いのか?

いやそんな訳が無いハズ。

 

変わりのしない少し薄いミルクティーだ。

 

なんでこんな物に馬鹿にされなきゃいけないんだ。

 

飲み干した紅茶花伝の缶は乱雑に、勢い良く、ゴミ箱に入れられた。

 

苛つきと共に入れられた缶は、ゴミ箱の中でカランカランと音を立てて、そして

 

 

動かなくなった。

 

 




実話です

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