エロゲなんてくそくらえだ!!〜モブですらないのに本編に巻き込まれる奴って居る?笑笑〜 作:デルタイオン
一騎当千。
それに相応しい物とは何か?
装備、技術、知力、力。
そうではない。
そうじゃない。
その言葉にあるのは地獄絵図だ。
美しく舞い、その道に死体を築き上げ、その世界には一騎のみが生き残る事を許されたかのように存在する。
「その存在なのだよ。このHBMは、貴様のような愚民ではなく。騎士のように高らかに勝利を謳う。謳歌する」
恐怖で機銃を乱射する獣に銃床で躾ける。
「俺はな?主人公のように綺麗ではないんだ。残念だな。今度生まれ変わった時は、彼に当たるように祈れ。愚民」
最後の一発を容赦無くコックピットへと撃ち込んだ。
残念ながら、彼は綺麗じゃない。人が変わったかのようにこの芸術を魅せつけるように戦場で踊り、例え悪と見られようと芸術が存在していれば良い。
彼は狂信的なメカ好きで、ストーリーなど関係無い。あるのは芸術と、それを魅せる技術。そして、その芸術のストーリーを語る時間だ。
相克。利益のみを狙う事を指すこの言葉だが、彼の利益とはそれ即ち『芸術』であり『自己満足』なのだ。
「さて、もう用済みだな。内部を観光していくか」
その足取りは軽く。満足した者のように鼻歌交じりに光り輝く基地へと向かっていった……
***
上空で旋回しつつ情報を収集していたペーパー11だが、あの機体のパイロットから出るアウトデッドスペースプールの波長が乱れている事に気が付いた。
アウトデッドスペースプール……超能力と言った方が世間的にはわかりやすく、異常破綻者と言えば医学的にわかりやすい。
人間として何かを失い、何かを得た。その得た何かを呼称として『アウトデッドスペースプール』としており、それには法則的な脳内から放出される特殊な熱放射による原子の生成がある。
その熱放射から能力を推測するのが今回の試験内容だ。
しかし、今。ペーパー11から計算された数値には法則性に基づかない謎の数値が出ていた。つまり、彼の能力は特殊。
「……思っていたよりも彼は凡人じゃないみたいだな」
「あのフツメンでこの不可解な数値。どう思う?」
「どうもなにも。新たな被験者として受け入れるしか無いだろう?」
映像ではただ単に戦闘をしているだけだ。
ただ、芸術的。非効率な戦い方で通常効率戦闘機動よりも素晴らしい戦果を上げている。無駄ながら無駄ではない。
「……なにか普通のよりも別の意味での能力なのかもな」
そう考えなければ、この数値はなんなのだろうか?
モニターで爆発する敵基地を見て何かがスッと腑に落ちた。