で、俺が生まれたってわけ。   作:あかう

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月!月を忘れていた!ボコボコにしなきゃ!


完成、からの月面

 ついに……ついに俺の神社が完成した! これでやっと働かなくても良くなるぞ! 

 

 羅畏也は喜んでいた。やっと羅畏也を祀る神社が出来たのである。かつて飛鳥の世に一回作られてはいたが割とすぐに邪神認定されて追放されてしまい、そこから数百年越しにやっとである。

 この幻想郷ならば邪神認定はされど追い出されることはないだろう。羅畏也は安住の地を手に入れたのだ!

 神社の名は『博麗神社』と言うらしい。「羅畏也神社」や「幻想神社」と言った候補もあったが、どちらもなんか違うということで没になった。

 

 と、ご満悦な様子の羅畏也さんだったが、少々して仕事がやってきた。

 ある日。八雲紫が現れ、「月の進んだ技術を奪いに行くので、付き添いとして来て欲しい」と言ってきた。

 正直、羅畏也は乗り気ではなかった。かつて月人のことを一度見たことはあるが、あんな赤青半々の服を着た変人のいる国の技術など奪ったら、とんでもない事になってしまうのではないか。と、非常に心配だったのである。

 しかし、変人だと言うことは裏を返せばとんでもない天才なのかもしれない。そう考えた羅畏也は月へ一緒に行く事にした。

 そして、ふと思い出した。月とはとんでもなく離れた場所にあったはずだ、と。そこで羅畏也は紫にどうやって行くつもりか、と尋ねた。なんと、水面に映った月と現実の月の境界をいじり、月へ移動出来る様にするらしい。

 そんなこともできるのか、と羅畏也は感心した。(驚いてはいない)

 

「かなり集まっているな」

「はい、幻想郷中の妖怪が集まっております」

 

 幻想郷中の妖怪を集めるとこんなにもいるのか。自らの加護が密集しているとはかなり気分がいいものである。集まった妖怪を見ているとかつて無理矢理此処に引っ張ってきた花の妖怪の姿もあった。

 とても良い笑顔をしている。若干周りの妖怪達が引いている事に気づいてはいるようだ。なかなかに良い性格をしているらしい。

 

「あの妖怪は……」

「彼女は風見幽香と言うようです。どうやらこの場所が気に入ったようで満足してもらっています」

「なるほど、それは良かった。で、いつ出発するんだ?」

「はい、すぐに」

 

 と、紫が手を叩き、こちらに注目を集める。大半の視線は俺に向けられている。まあ妖神だからな、仕方ないな。

 

「────皆、最近暴れ足りないんじゃない?」

 

 え? あれ? 凄い反応がある? この前めっちゃ暴れてたと思うんだけど。

 

「私は今から、月に侵攻しようと思っているの。月には様々な物があるの。酒に、娯楽に、──強い敵」

「もし皆が暴れ足りないって言うのなら、私に力を貸して頂戴?」

「しかも今回は羅畏也様も着いて来て下さるの。活躍出来たら──────何かご褒美があるかも知れないわね♪」

「そこの池に月への道があるの。参加の意思が有れば、そこに飛び込んで」

 

 

 物凄い勢いで池へと飛び込んで行く妖怪達。

 本当に凄い勢いである。

 あー、あー、あんま押さないでやれよ。中間くらいにいるやつが潰れてるぞ。

 

「では、私達も参りましょう?」

 

 

 あー、そうね、行くか。

 

 ────────────────

 

 ふ─む、なんもない! 

 

 見渡す限り一面の白い砂漠。所々大穴が空いているものの、特に何も見当たらない。

 いや……アレは……人? 

 

 ぬ!? 

 

 なんだアレは!? 人が一斉に現れたぞ!? 

 

 何も無かったはずの月面、そこに一瞬にして軍隊が現れる。

 そしてその軍隊は──────珍妙な格好をしていた。

 服については何もおかしくはない。だが、頭に良くわからぬ被り物をしている。どうやら兎を模しているらしいが何故なのだろう? 

 そして……手に謎の棒……筒? を持っている。全員が持っている所を見るに、武器だろうか。

 

 ドドドドドドドドと。音が鳴る。そして──────

 

 ──────死んだ。妖怪達が。

 

 大半の妖怪達が全く理解できず混乱し、死にゆく中、羅畏也は冷静だった。

 羅畏也には攻撃が効かない。そして羅畏也は高速で飛来してくる小さな塊が見えた。撃ち落とそうと思ったが、やめた。

 見えるのは羅畏也だけではない。見える者が妖怪達を守りに入ったのだ。まずは鬼だ。鬼──かつて諏訪大戦に於いても活躍していた種族。その時の個体もちらほらと見える。良く見ると鬼子母神もいるようだ。飛来する塊は鬼の強固な肌を貫けず、そこらに散乱している。

 次に天狗だ。妖怪においてカマイタチの次に速い種族であり、何体か撃墜されてはいるものの回避して、風で塊を押し返している。

 他には、紫に、幽香に、山姥に──九尾? 九尾なんていつの間にいたんだ? 

 紫、あの九尾は……そんな余裕は無さそうだな。

 まあ良い。

 

 今は奴らに殺された眷属の恨みを晴らさねば。

 

 ────────────────

 

 玉兎達は侮っていた。

 突如として鳴り響いた訓練以外で初めて聞く警報に緊張が走ったが、その正体が地上の妖怪だと分かるとその緊張は消し飛んだ。

 教官も「いい訓練相手が来た」などと言っていた。「どうせ雑魚だ」「とっとと終わらせよう」とも。

 思った通り地上の妖怪は弱かった。何十かの妖怪が守りに入っているが、前にいた多くはすぐに死んだ。地面に血が広がる。大地を穢された事に怒りが湧いて来る。守っている奴もすぐ殺す。

 そんな時だった。突如として視界に大犬が現れた。

 一瞬は驚いた。だがその大犬はすぐに蹲った。それを見て誰かの弾が当たったのだろう。と思った。

 だが……違った。

 大犬の影が膨らむ。一瞬のうちに大犬は巨大な怪物へと変化した。

 その金色の眼からの視線が体を貫く。

 拙い。そう思った。

 

 

 ────その瞬間、月面に破壊が降り注ぐ。

 

 怪物が一歩進む毎に地震が起きる。

 

 怪物が腕を振るう毎に雷が落ちる。

 

 怪物が跳ぶ毎に大地から溶岩が噴き出す。

 

 怪物が鳴く毎に暴風が巻き起こる。

 

 “蹂躙” その言葉でしかこの惨状を表現できない。

 1秒のうちに幾つもの命が消し飛ぶ。

 今まで唯の訓練しか受けていない、教官によって与えられる恐怖以上の恐怖、教官から受ける折檻以上の痛みを知らぬ玉兎は────────逃げた。

 偶然かな、逃げるその姿は被り物と名が模しているように、まるで兎のようだった。

 普通の──自然に発生した災害であれば逃げることが出来ただろう。

 だが、ラスボスからは逃げられないのはこの世の法則(定理)

 

 一人は地割れに落ちた。

 

 一人は炭になった。

 

 一人は宇宙空間に放り出された。

 

 一人は舞い上がり、地に叩きつけられた。

 

 一人は刺身になった。

 

 一人は地に怪物の足跡を残すための朱肉となった。

 

 

 断末魔は絶えることなく上がり続ける。

 兎は大地の振動に恐怖しつつ、逃げる。逃げる。逃げる。

 

『都に着きさえすれば』

 

 そんな願望を抱き、走る。

 

 無知というのは優しく、残酷なものである。

 知らないからこそ希望を抱ける。

 いくら逃げようが、逃げられないと既に決まっているのに。

 

 ──────────────

 

 八雲紫は戦慄していた。

 月の技術を侮っていたわね……! まさかここまで圧倒的だとは思わなかったわ…! 

 妖怪達が死んで行く。鬼や自分の式である藍が守っているけど、多くの妖怪が死んでしまった。羅畏也様は、羅畏也様はどうしたの!? どこにいるの!? ……いた! 見つけた! 

 その瞬間、羅畏也が蹲る。

 嘘でしょう? 妖神が? ……いや、有り得ないわね。この程度で死ぬハズがない。

 

 ほら、始まった。

 

 羅畏也の体が巨大化する。圧倒的な存在感と威圧感で押し潰されそうになる。周りの妖怪達も、月の連中も、動けない。

 動き出す。厄災が。破壊が。死が。

 渦巻く。火が。雷が。大地が。風が。

 死に行く。月の連中が。奴等が私たちにしたように。

 逃げ惑う。あれ程進んだ技術を持った月の民が。

 

 あれが……最強。

 

 あれが……神。

 

 彼の加護を持っている自分が誇らしくなってくるわね……。

 

 ……ねえ、大体殺したけど、いつになったら止まるの? 

 

 




 次回!月の都、死す!デュエルスタンバイ!

 ちなみに羅畏也さんは途中まで姿を消してました。
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