で、俺が生まれたってわけ。 作:あかう
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八雲紫は悩んでいた。
何でこんな事になるのかと恨んだ。
羅畏也を。
さて、どうしてこうなったのか。それは海より深く山より高く羅畏也程に理不尽な理由があった。
まず、羅畏也が龍神をボコボコにしていたのである。龍神は創造と破壊を行う日本神話とは別系統の強力な神である。が、羅畏也にとっては雑魚でしかないようだ。羅畏也曰く、「俺に命令してくるとかマジないわ」とのこと。
とまあ、そんなことされては当然龍神も怒る……が、羅畏也がいるので下手に手が出せず、泣きそうになっていた。
丁重に謝ったら許してくれた。そして同情された。なんか惨めな気分になった。
そして次の問題も羅畏也にある。博麗大結界が張られてから二度の巫女の世代交代を経て、三度目の世代交代が終わった、という時だった。羅畏也がなんか山を吹き飛ばしていた。何故こんなことをしたか。と問うと、「修行だよ」と奴は答えた。
紫は憤慨した。お前のような最強の化身が何故修行をする必要があるのか、と。何故修行で山を吹き飛ばすのか、と。
それを問うと奴はこう答えた。「この郷を守るため」と。「眼力を鍛えていた」と。「吹き飛ばした山はツクヨミが直す」と。
紫は胃と頭が痛くなった。幻想郷を守ってくれるというのは嬉しい。嬉しいのだが。眼力て! 眼力て!! 何故眼力で山を吹き飛ばせる!? それにツクヨミ? というのは……うわあ。奇声を上げながら山を修復していく男がいた。早い。とても早い。すごい勢いで山が修復される。しかし狂っている。彼も羅畏也の被害者なのだろう。可哀想に。
これには新博麗の巫女の霊夢ちゃんもびっくり。何をやっているんだと人の身にして羅畏也さん相手にとても刺さるいい口撃をしていた。
紫はそれを見てスッキリした。
と、そんなことをやっていた時、突如として霧の湖の島に真っ赤な館が出現した。
そして、館から数百の翼を持った人型の妖怪? が飛び出してきた。そして周囲の生物達に攻撃を始めた。
そんな中には無論妖怪もいる。妖怪達は羅畏也により一体化を多くしているため、非常に強く、奴等と互角以上の戦いができた。奴等はこのままでは分が悪いと判断したようで、此処の支配者を出せと言ってきた。
妖怪達は困った。どちらを呼ぶか、と。妖神である羅畏也か、創設者である八雲紫か。妖怪達はとりあえず待っていてほしいと答えた。明日此処にこの時間に連れてくると約束をして。
──────────
翌日
八雲紫は霧の湖の畔に来ていた。妖怪達に呼ばれたのである。
(館って聞いたけど……あれね)
視界の先に真っ赤な館が確かにある。あんなもの持ってきた記憶はない。
そう考えていると門が開き、妖怪? と人間が出てきた。中央に居る奴は遠目でも他のとは格が違うとわかる。幼女だが。
(妖怪? ……でも違うわね……鬼*1に近い感じかしら)
奴等は十歩分程度まで離れた位置に着くと、口を開いた。
「貴様が、此処の支配者か?」
「ええ、そうね」
羅畏也はどっちかって言うと守り神──破壊神みたいなことをしているが──であるので、八雲紫が支配者で間違いないだろう。
「我が名はレミリア・スカーレット。此処、紅魔館の主にして、吸血鬼の王だ」
「八雲紫……妖怪の賢者なんて呼ばれてるわね」
(吸血鬼……羅畏也様なら知っているかしら?)
「それで? 目的は何なのよ?」
「ククク……私達の目的か、簡単だ、
どうやら吸血鬼達は幻想郷の支配が目的のようだ。だが、聞き入れられる訳がない。
「もちろん、お断りしますわ」
「よろしい、ならば戦争だ!」
目の前の幼女……の姿をした吸血鬼の王が徐に右手を上げる。すると館から一斉に吸血鬼達が飛び出した。
「ククク……交渉が決裂したのならやることは一つしかあるまい?」
「……そうね」
「まあ精々足掻くがいいさ。もしあいつらを倒せたら私が相手しよう」
そう言って館へと戻る幼女、それを見ることなく紫は神社へ移動する。下手をすると此処が月の二の舞になりかねない。急がねば。
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羅畏也は急に身に覚えがない自らの加護がいきなり現れた事に驚いていた。だが、あまり勝手に動きすぎると霊夢に怒られてしまうため行動を起こさず待機していた。
そこに紫が出てくる。何やら切羽詰まっている。
「羅畏也様! 今吸血鬼という連中が幻想郷を征服しようとしていますが、羅畏也様は絶対に動かないで下さいね! 能力も使わないで下さいね!」
と言って消えてしまった。恐らく月での出来事がトラウマになっているのであろう。
「紫があんな事になるって……アンタ一体何したの?」
霊夢が聞いてくる。
「月に風穴開けて半分消し飛ばした」
「……冗談よね?」
「マジだよ」
「ええ……」
ドン引きしている。確かに俺も少々やり過ぎた気はしているが別に大丈夫だろう。ツクヨミ君いるし。……しかし吸血鬼か、中々に厄介な種族が出たものだ。真祖はいないだろうがそれでもかなり強いと思うが…大丈夫だろうか。
──────────────
八雲紫は大勢の妖怪達と館を取り囲んでいた。
吸血鬼達はあの後様々な場所で数日間暴れ回っていた。その被害はとんでもないことになっていたが、朝が近づくと毎回逃げるように館へ戻っていくのだ。そして日が沈むまで館から出てこない。どうやら吸血鬼達は日光に弱いようである。ならば出てきたところを一気に叩く。何事も根からやった方が早いのだ。
──日が沈む。
門が開く、そして吸血鬼達が出てくる。中にはレミリア・スカーレットの姿もある。どうやらこれで決着をつけるつもりらしい。
「姑息な手を考えたものだな」
「狡猾と言ってほしいわね」
「ふん、此処で貴様を倒せば此処は我が手中に収まるのだな?」
「さあ、どうかしらね」
「では、死ね!」
レミリアが緋色の槍を手元に創造し、投擲する。
速い。だが直線的だ。避けるのは容易い。
遠くで爆発音が響く。それが開戦の合図となった。
──────────────
ドゴォン! と、近くで爆発音が起こる。
羅畏也は驚いた。霊夢も驚いた。
だが、勝手に動くわけにもいかない。反撃を叩き込みたいのをじっと我慢する。
そうだ、寝よう。もう夜だし、後のことは紫がやってくれるだろう。そう思い体を丸くし、瞼を閉じる。
……ドゴォン!
今半分寝てたんだが? 起きたんだが?
……ドゴォン!
まただよ。もういいよ。
……ドゴォン!
「ウボァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
寝ようとすると響く爆発音、流石にこれには羅畏也さんも激おこ。
熱線をやり過ぎないレベルで放つ。
<アアアアアアアアアアアアアアアアア!
なんか聞こえるが気のせいだろう。
霊夢もイライラしていたようで、「よくやった」と言ってくれる。
そうであろうそうであろう。
もっと敬ってくれてもいいぞ?
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「ハアッ!」
「くっ!」
吸血鬼達との戦闘は熾烈なものだった。互いに一歩も引かない。
吸血鬼が吹き飛ぶと妖怪も吹き飛ぶ。
吸血鬼が爆発すると妖怪も爆発する。
妖怪陣営では特に風見幽香や藍が活躍していた。
彼女たちに間合いに入った途端吸血鬼の体が潰れる。そのため彼女たちの近くには吸血鬼がいなくなっていた。
吸血鬼陣営は中国風の妖怪と魔法使いと人間が活躍していた。何故吸血鬼陣営なのに妖怪と魔法使いと人間なのだろうか。
そんな疑問が浮かぶがその三人は非常に強く、多くの妖怪がやられていた。
と、どちらが先に崩れるか、という時、紅魔館が爆発した。
ものの見事に爆発した。
お手本かの如く爆発した。
飛来した熱線により爆発した。
確定である。羅畏也だ。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」
レミリアが叫んでいる。吸血鬼達も混乱している。古参の妖怪達は喜んでいた。羅畏也様が助けてくれた、と。そんな具合に士気が爆上がりし、瞬く間に吸血鬼達を抹殺していった。
新参の妖怪達は混乱していたが。
紫は羅畏也に対し怒りが湧いたが、今はそんな時ではないと判断し、とりあえずレミリア・スカーレットを捕縛した。
「どうしてこうなったのよ……」レミリアの声が聞こえる。流石に同情する。
…………え? アレ? ツクヨミさん?
ツクヨミが真っ白になりながら紅魔館を修復している。どうやら「羅畏也が破壊した=自分が直す」という法則が生まれてしまったらしい。
非常に哀れである。
さて、交渉の時間である。
今回の件にて、紛争やらが起こる度にこの被害はヤバい、との事で物事の解決におけるルールを制定しよう。という事になり、その試験としてレミリア・スカーレットに数年後、異変を起こしてもらう事にした。
それまでは館を隠し、外に出ないことも条件付けた。
そして博麗の巫女や、羅畏也と協議しできたルールが『スペルカードルール』である。これにより幻想郷への被害を最小限にできるだろう。
特に羅畏也からの。特に羅畏也からの!
で、これにて一件落着である。
よかったな、ツクヨミ! これでもうお前は働く必要は無くなったぞ!
……前に比べれば。
アアアアアアアアアアアアアアアアア!原作だああああああ!