で、俺が生まれたってわけ。   作:あかう

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釣り、それと河童

 羅畏也達は釣りに興じていた。

 いつも通り吸血鬼達が神社に来ていたため、外に出なければならず、暇をしていたのだ。構図としてはイケメン三人が並んで川に釣り糸を垂らしている状況である。────ちなみに三人とはスサノオと人化した羅畏也と連れてこられたツクヨミである。この三人、無駄に顔面偏差値が高いのだ。

 

 ──────────────────

 

「……しかし釣りか……久しぶりだな」

 

 実際久しぶりだ。何百年振りってところだな。最後に釣りをしたのが……確か……海だったな。うん、釣りすぎてワダツミのやつに怒られたんだったか? あのケチめ、生態系を破壊したわけでもないのにあんなに怒りやがって。ウミサチが止めてなきゃあ殺してたぞ。

 

「僕は最近やる機会が多いな」

「俺は高天原にいた時もよくやってました!」

 

 へぇ、そうなんだ。ツクヨミ君は最近地上によくいるからわかるな。うん。まあ俺の所為なんだが。でもスサノオ君よ、高天原で釣りはちょっと……大丈夫なのか? 

 

「お前……高天原でって……大丈夫なのか?」

「僕も初耳なんだが? あそこ釣りなんてできたモンじゃないだろ?」

 

 流石の俺でも高天原で釣りというのは勘弁願いたい。それだけ高天原での釣りというのはキツイのだ。……まず、全くかからない。本当にかからない。これは次の理由にも繋がってくるのだが、奴らは頭がいい。そのためかかるのは精々馬鹿くらいである。次に……こちらが主なのだが……奴らは喋る。釣ったら釣ったですごいうるさいのだ。俺はサクッと仕留めてしまうので別にいいのだが……仕留めるとそこの周辺の魚が物凄い責めてくるのだ。俺としては全員殺していいのだがあそこの魚殺り過ぎると割と実際の海にヤバいダメージが行くのだ。一匹一匹が神獣のようなものなので一匹殺す毎にその種の魚千〜十万匹近くが死ぬと考えて欲しい。というわけで高天原での釣りはやるだけ面倒くさいのだ。

 

「いや、あそこの(わに)*1との格闘結構楽しいんスよ」

「は!? 鮫!?」

「おい、大丈夫か? アマテラスのヤツに怒られるんじゃねぇのか?」

 

 高天原の鮫は強い……だけならいいのだが、奴ら太古から生きている個体がほとんどであり、割と洒落にならないレベルの神力を持っているので下手に殺すと周囲の魚────つまり獣神が神力を取り込み、その取り込んだ魚の種が超強力になり、生態系の破壊が起こる可能性がある。俺が言えた事じゃないが流石にヤバいんじゃないか? 本当に俺が言えた事じゃないが。

 

「大丈夫っス! 殺す寸前に現世のでっけぇ山にぶん投げるんで!」

 

 でっけぇ山……富士か! だからあそこあんなに神力溜まってたのか! ようやっと謎が解けたぞ! 

 

「お前……! 現世に高天原の生物放り出すって……ヤバいだろ……」

「問題ないぞ兄貴。あんな所登れる人間いねぇから」

「いたぞ?」

 

 いたぞ? 普通に。今じゃあもう皆“人生で一回は登ってみたい”みたいな感じになってるぞ? 

 

「……マジスか?」

「おう、まぁ神秘は今めっちゃ薄れてるから。今後も続けてokだ」

「やめてくれ、怒られる」

 

 ……別に良くね? 俺たちの事なんて此処(幻想郷)くらいでしか認識できないんだから。

 

「おっ」

「んお」

「あ?」

 

 何だ? 

 

「かかりました」

「お、マジか」

「網どこやったか……」

「ホッと」ザパー

 

 ………………何だ? コレ。なんか青い人の水死体……じゃねぇな、妖怪だ。生きてるし……いや生きてるわけじゃないんだが……ってか何つーもん釣ってんだ……ヤベェぞこの光景……側から見たら男三人が釣竿に吊るされた水死体を眺めているって感じだぞ……これは間違いなく犯罪者です本当にありがとうございます。

 

「……とりあえず陸まで持ってこいよ」

「あ、ハイ……よっと」

 

 ビターン

 

 うわあ……顔面からいったぞオイ……もっと優しくやってやれよ……

 

「おい、ツクヨミ君」

「あー、はいはい」

 

 妖怪を癒すツクヨミ。相変わらずなかなかにチートだなソレ。

 

「うーん……此処は……?」

「おい、誰だお前」

「え? ……ヴェッ!?」

 

 おおう……すっごい震えてる……俺ら今そんなに威圧してn思いっきりしてたわ。スサノオ君。ちょっとやめて。

 

「あー、ツレがすまんな……お前は?」

「えっと……川城にとり……河童です……」

 

 河童か。なんだ? 正しく河童の川流れだ〜ってか? 

 

「お恥ずかしながら……ちょっとやらかしてしまいまして……」

 

 そうだったよ。

 

「何で」

「外から来た道具の実験を……ちょっと……」

 

 あー……まぁ河童だしな。技術厨だから仕方がない。

 

「外の道具が何で此処にあるんスか?」

「ちょっと結界が薄いところから入ってくるんだと」

 

 無縁塚とかそうだな。あそこは色々ある。まあ俺は自由に出入りできるが。

 

「ま、頑張ってくれや」

「あ、はい。では私はこの辺で……」

「ん」

 

 帰った。外の道具がこちらで使えるようになったら便利そうなので非常に頑張っていただきたい。使えなかったら俺が何とかするし。

 さて、釣るか。

 

 

 ────────────────────

 

 

「あ、また釣れた」

「俺もだ」

「俺もっス」

 

 何だこの川、めっちゃよく釣れるんだが? …………龍が。

 何でこんなにいんのコイツら。小さいし……もしかして奴ら繁殖した? 

 龍って鯉が滝登ってなるモンじゃないの? もしかしてその辺も龍が力失ったことに関係あったりするのか? 

 

 ま、いいや。サクッとサクッと……お、いい鱗してんじゃーん。コレは今日のお土産決定ですね。

 いやー霊夢の反応が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃の龍神

『アァァァァァァ! 眷属がァァァァァァ!!』

 

 

 

 

 

*1
サメ




第三の苦労人:龍神
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