で、俺が生まれたってわけ。   作:あかう

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 茨歌仙プロローグ!
 


腕、それと仙人。

 霊夢は困っていた。

 というのも先程、参拝者から奉納物を受け取ったのだが、それの扱いをどうすれば良いかわからなかったのだ。

 ちなみにどんなものを受け取ったかというと、「河童の腕」と書かれた箱に入ったマジックハンドだ。

 詳しいことはよくわからないが、おそらく「よくわからない腕みたいなものが落ちていたので、河童の腕だと思った」とかそんなところだろう。

 そんなわけで霊夢はどうするのが良いか羅畏也に意見を聞くことにした。

 

 ────────────────

 

 全く……本当によくわからないものを……

 羅畏也なら多分何か知ってると思うけど……

 羅畏也様は────いた。寝てた。

 

「ねぇ羅畏也様」

「……ん。なした?」

「このガラクタ、何なの?」

 

 と、手に持ったこの謎の……腕? を羅畏也に見せる。

 すると羅畏也は興味深そうに答えた。

 

「お、マジックハンドだな。最近じゃ見ねぇし、忘れられて入って来たんだろう」

「ふーん……見た感じ手の届く範囲を広げるには便利そうだけど、皆使わないの?」

 

 ウチで使えないかしらコレ。

 

「そもそも使い時が無ぇ。手でとった方が早いし、届かないなら歩いたほうが早いからな」

「そうなのね……」

 

 つまり需要があんまりなかったってことね? 

 まぁよく考えたらそうね。

 ウチじゃあ使いたい物は物の方から来てくれるし……外の世界も似たような感じなんでしょ。

 じゃあどうしようかしらコレ……

 魔理沙にでもあげようかしらね……

 

「なぁ霊夢、それの扱いに困ってる感じか?」

「ええ。どうしましょ、コレ」

「じゃあそれ高天原に送っていいか?」

「え? なんで?」

 

 こんなモン送ったところでどうするのかしら? 

 

「いや何、最近アマテラスが多忙で手が足りないらしいとスサノオが言ってたからな。それ送って「ホレ、手が足りないんだろ?」と言ってやりたくてな」

「アンタ性格悪すぎない?」

 

 それ所謂悪魔の所業ってやつじゃないの? 

 それの報復で幻想郷から太陽が消えるとかになったら大惨事よ? 

 

「大丈夫大丈夫。そん時は俺が太陽作る」

 

 できそうなのが怖いんだけど。

 ……ん? 来客? 

 結界が反応した。反応的に妖怪っぽいわね。

 ウチは危害のない妖怪なら客として扱うけど……どうかしら。

 

「ん?」

「来客よ。行ってくるわね」

「OK」

 

 腕を羅畏也様に預け、神社の正面の方に回る。

 さて、鬼が出るか蛇が出るか……

 あれ? 人間? 

 ……いや、精巧に気配を隠しているけど妖怪ね。

 でも一応、友好的そうではあるわね。

 

「ねぇ、アンタ」

「!!」

「ここに何の用? ってか誰?」

 

 思った以上にびっくりされたわね。

 確かに気配は消したけど。

 

「え、ああと……私は茨華仙、ただの行者です」

 

 行者? 妖怪が? 

 

「ふーん……なかなか珍しい行者もいたものね。で? 何の用?」

「いえ、ここに河童の腕なるものがあると聞きまして……どのようなものか見せていただきたく参上いたしました」

 

 アレが目的? 

 妖怪が? 何のために? 

 まぁ……いいか。

 

「良いわよ。今から取ってくるから、待ってて頂戴」

 

 と、羅畏也様のところに戻って羅畏也様から箱を受け取る。

 羅畏也様が来客がどんな人か知りたがっていたが、後で説明するとだけ言って戻る。

 羅畏也様にこういうことを教えると基本質問攻めにされるので後回しにする方が得策なのよね。

 

「待たせたわね。これよ」

 

 と、箱を渡す。

 華仙は早速箱を開けて……顔を驚愕に染めた。

 

「えっ? ……これが……河童の?」

「マジックハンドって言うんですって。少なくとも河童の腕ではないわね」

 

 そう告げると華仙は項垂れた。

 すると、

 

「お前、見たことあるぞ」

「「!?」」

 

 羅畏也が神社の屋根から見下ろしていた。

 

「お前、鬼だろ?」

「ッ……」

「え? アンタ鬼だったの? 妖怪ってことはわかってたけど……」

「……いや、元・鬼といった方が正しいか?」

「……羅畏也大神様。何故、貴方が此処に?」

「何故? 俺がここの主神だからだが?」

「っ! 成程……」

「さて、ではお前も何で此処に……と聞くのは無粋だな。その腕だろう? ……なんだ? その顔は。俺は妖神だぞ? 一度見た眷属は忘れん」

 

 あ、会ったことあるのね? 

 

「で? すっかり邪気が抜けきったようだが……もう一度鬼に戻りたいか?」

「……ご冗談を。ただ自分の腕は自分の近くに置いておきたいだけですよ」

「ハハッ。まぁそうか。じゃあ引き続き腕探し頑張ってくれや」

 

 ……行ったわね。

 

「何? アンタ。アイツと面識あったの?」

「まぁ……ね」

「……まぁ、何か困ったことがあったらウチに来なさい。羅畏也様のお客さまならお茶くらい出すわよ」

「じゃあ、そうさせてもらいましょうか。……また来るわね」

 

 と、言うと帰って行った。

 鬼ってあんな大人しいモンなのかしら? 

 でも羅畏也は元、とも邪気がぬけた、とも言っていたし……

 うん、あんまり深く考えない方が良さそうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スサノオ。アイツの腕を探してこい。放置するわけにゃあいかん」

「了解っス。でも良いんスか?」

「いい。俺は妖神だぞ?」

「はいはい。久々の物探し、骨が折れそうっスねぇ」





羅畏也様は眷属が苦悩していることを放っておけません。
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