で、俺が生まれたってわけ。   作:あかう

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今回はギャグのはず…はず!


終戦、そして飛鳥

 羅畏也はゆっくりしていた。

 戦争は大和の勝利で終息した。となればやることは一つ。交渉である。

 交渉とは言っても……まぁ分かっているとは思うが、決して公平では──そもそも交渉と言えるかもわからないものだ。戦争後の交渉というものは常に「勝者から敗者への命令」である。

 今回の戦争は元より洩矢の地を求めての戦争であったため、大和が要求するものは、

 一つ、洩矢の国の土地の譲渡

 一つ、洩矢における信仰の譲渡

 一つ、洩矢からの羅畏也の追放および大和への移住

 となった。

 一つ目は問題なかった、主である諏訪子が譲渡すると言えば譲渡される

 二つ目が問題だった。信仰とは“人による無条件の信用”である。

 さて、いきなり戦争を仕掛けられ、多くの命を奪った存在を無条件(・・・)に信用できるか? 

 まぁ無理である。民は反抗する。なので表向きには神奈子を、裏では諏訪子を信仰するということに落ち着いた。

 

 三つ目は完全に神々の恐怖からである。封印しようにも抵抗される上不可能と言ってもいいなのだ。ならせめて遠くの地でコソコソされるよりかは目に見える形にしたかったのだ。

 しかし当の羅畏也はこれを拒否。

 曰く「自由をよこせ」

 そのため渋々洩矢外の、近畿、中国、四国、関東、中部、九州の内において、定期的に高天原、あるいは大和に訪問する限り自由に行動することを許した。

 まぁそんなこと羅畏也が守るわけないが。

 

 

 

「じゃあ、俺、行くわ」

「元気でね〜!」

「た、達者でな……」(二度と来るな)

「ん、お元気で!」

 

 と、羅畏也は走って行った。

 どこに行こうか、と考えた羅畏也は、まず大和へ行ってみることとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 羅畏也はものの見事に大和にハマった。

 思った数十倍程良いところだったのだ。

 そんなわけで羅畏也は大和に定住することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飛鳥の世になり、羅畏也は信仰されていた。

 それはそれは物凄い信仰されていた。

 まぁ考えてみれば当然である。妖神の加護を得れるのだ。妖神たるこの大犬に対して礼をするだけで低級の妖怪に襲われ無くなるのだ。

 妖怪の被害が多かった飛鳥の世においてこの加護は必須のものだった。

 と。そんな中一人の僧が現れた。

 

 

「御免ください。羅畏也大神様はございますでしょうか?」

「……んぁ、呼んだ?」

 

 それは女だった。

 羅畏也は不思議に思った。

 女にしては格好が奇抜すぎるし、自らの加護が人間にしては異様に強いからだ。

 

「貴方様が羅畏也大神様でよろしいでしょうか?」

「いかにも」

 

 羅畏也“大神”という呼び名は基本的に浸透していない。

 大体の人間も妖怪も羅畏也様と呼ぶ。

 なので羅畏也はそこから女が神仏に仕える者だと理解した。

 

「では羅畏也大神様、お願いがございます」

 

 羅畏也はとりあえず話を聞いてみることにした。

 

 

 

「人間への加護をやめてほしいのです」

 

 

「ほう?」

「私は僧の身でありながら死を恐れ下法に手を伸ばし、下法を維持するために妖怪を匿っておりました……そして妖怪達を保護しているうちに妖怪も救われて良いのではないか、と思うようになってしまったのです」

 

 妖怪の救済は羅畏也の目的でもある。

 羅畏也は強く興味を惹かれた。

 

「続けてもろて」

「最近になり、飢餓によって寺を訪れる妖怪が多くなり、何事かとこちらを訪ねさせていただきました。そこで羅畏也大神様がご加護をお与えになられていると知り、このようなお願いをさせていただきにまいりました」

 

 羅畏也は訝しんだ。 

 加護と飢餓の因果関係が分からなかったのだ。

 

「何故俺が人に加護を与えると妖怪の腹が減るんだ?」

「? 妖怪とは人を食べるものです、食料たる人間に加護があると、食事ができないのです」

 

 羅畏也は本気で分からなかった。

 明らかにおかしいのだ。元来妖怪とは何も食わず生きていける。人の食料も食えるし、移住したばかりの頃人間と同じような生活ができるように羅畏也が教えたはずなのだ。

 

「何故、人を食う?」

「人は霊力を持っているのです」

 

 羅畏也は霊力の存在を失念していた。

 霊力とはほとんどの力の根源であり、人間がその命を削ることで発生するものだ。

 なので霊力を人間以外の生物が獲得するには人間を食べる必要があるのだ。

 妖怪が霊力を積極的に食べる存在になると言うことは想定外だった。

 だが、羅畏也は妖神だ。

 眷属の幸せを願う羅畏也は渋々人間への加護を弱めることにした。

 

 

「ん、そーだな。少し加護の質を落とそう」

 

 女が歓喜する。

 羅畏也はその姿を見て少し救われた。

 

「ありがとうございます!」

「ん、達者でな」

 

 羅畏也は女の歩行の速さに驚愕した。

 それから、今後どうしようかなと思案をしながら、人間への加護を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 用明天皇2年 物部氏が滅ぶと同時に妖怪による被害が爆発的に増加、人々は神の怒りだと恐れた

 

 




いやーやっちゃいましたね
この頃から陰陽師が出てき始めます
羅畏也さんは妖神ということは周知の事実だったのですが、
この後に蘇我家による神の排斥により妖怪を操る邪神とされます。
で、焚書が行われ、平安以降の人は羅畏也の存在すら知りません。

太子のくだりどうしよう
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