玉衡の元から逃亡したら千岩軍が追いかけて来ていた件について   作:久遠とわ

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一応、投稿しても問題の無い分は完成しているのでそのまま投稿。

今回も分量や内容的に二話分になりました。今回はお盆休みがあったという事も相まって早めに書き上げられました。
但し、あらすじにある通り、既に随筆中の物が恐ろしい分量に到達してしまい、まとめて投稿すると明らかに長すぎてしまうため(纏めると最悪4万字辺りになるか、それすらも突破する可能性があるため。原因は前回の時点では、西風騎士団の数名程度が登場予定だったのが、実際に書いていたらほぼ全キャラが登場してしまう事になってしまったためです)、今回は『レザー・前編』として投稿します。

尚、あらすじにも書きましたが、今後の投稿予定をそれぞれ「レザー前編(今回)」、「レザー後編」、「アビスの魔術師達戦・決着編、第2幕エピローグ、アビス教団・アビスの指導者(蛍)編」、「番外編」とし、それで第2幕を区切ります(本来なら、この後の瞬詠のモンド城潜入・暗躍等の描写もしたかったのですが、あまりにもレザーに関するエピソードが長くなりすぎる事、また第1幕と違って瞬詠が刻晴に対して反逆の意志を固めつつあることで、区切りも良い事から)

また、今回も全てのタグが発揮されており、今回から未だに原作で登場していないファルカ大団長が登場しておりますが、本作品のファルカ大団長は考察ネタやオリジナル要素やオリジナル設定で固めているために完全にオリジナルキャラの類となります。

そして、前回のアンケートの件ですが、
1位が『煙緋』、2位が『鍾離』、3位が『雲菫』、以降は『タルタリヤ』と『行秋』となっておりました。そのため、番外編の1位の『煙緋』を「主人公」、2位の『鍾離』を『煙緋の「合流者」』として登場させようと思います。
尚、「合流者」の詳細な説明に関しては後書きに置いておりますので、興味のある方はご確認してください。


狼少年の追憶、そして道標となった騎士達の姿の件について

「グルゥ…クゥ」

 

「どうだ?…ははっ」

 

とある樹木が生い茂っている林間地。日が射しこんでくる事が無いほどの深い林の中。そこに赤い瞳に体つきが逞しく、まるで狼の体毛のような長髪の少年と狼達の群れが居た。

 

「グルルゥ」

 

「ははっ」

 

狼はしゃがみながら、気持ちよさそうに喉を鳴らしてその少年に撫でられる。そしてまるで毛づくろいをするかのように、少年に顔を擦りつけると少年は楽しそうな笑みを浮かべた。

 

ここは奔狼領。モンドの蒼風の高地にある樹木が生い茂っている林間地。中にいると恐怖を感じるほど静けさに満ちており、林の間にある影の下には危険な狼の群れが潜んでいると言われ、たとえ狩人たちでも気軽に入ることができない地。その地の一角でその少年と狼達はまるで『家族』のように仲良く過ごしていた。

 

「グルル……」

 

「ん?」

 

しかし突然、一匹の狼が何かを感じ取ったのか低くうなり始める。他の狼達も警戒するように辺りを見回し始める。

 

「……?」

(何かが、近づいてる?)

 

少年もその異変に気づき、そのまま周りを警戒し始めた。すると少し離れた草むらからガサガサという音が聞こえてくる。

 

「ガルルル!」

 

「グオォォン!!」

 

音に反応した狼達が吠えると、それに反応するかのように音のした方角から何かが出てきた。

 

「よいしょっと。おぉ!!…まさか、マージョリーさんが言ってた通り、本当にこんな所に人が居るとはな…」

そう言いながら、草むらから一人の男が姿を現す。その男は背が高い男で、髪の毛が若干ぼさついている男、またその背中には大剣を背負い、氷元素の神の目を身に付けていた。そしてその男は興味深そうに少年を見つめているのであった。

 

「……誰だ?」

 

少年はその男の姿を見て怪しげに見つめる。そんな少年に対して男は笑顔を見せながら話しかけてきた。

 

「あ、あぁ悪い。俺の名前はファルカ。こんなところに人がいるなんて話を聞いて、珍しいと思ったから本当かどうかを確かめに来たんだ。驚かせてしまったなら謝らせてくれ」

 

「……」

 

「「「グルルゥ!!」」」

 

少年は無言のまま男のことを見続ける。そして狼達は敵意剥き出しの状態で威嚇を続ける。

 

「ははは、まいったな……」

 

そうしてファルカと名乗ったその男は少年の反応や狼達との反応を見て困ったように頭を掻いた。

 

「「「ガルルゥ!!」」」

 

そして、狼達はその少年を守るように立ち上がって牙を見せる。

 

「おい、待ってくれ!!別に俺はそいつを傷つけようってわけじゃない!!ただ、ここら辺にいるはずのない人間を見たっていう話を小耳に挟んでここに来ただけなんだ。…頼む、信じてくれないか?」

 

ファルカは慌てて両手を上げながら狼達に弁明する。だが、狼達はまだファルカを疑っているのか睨み、威嚇し続けている。

 

「…坊主、名前は何て言うんだ?」

 

「…………」

 

少年は答えずに黙り込む。

 

「まいったな……」

 

「…名前、名前って、なんだ?」

 

「名前というものが何なのかが分からないのか!?」

ファルカは苦笑いをしながら呟くと、その少年はファルカに向かって聞き返し、ファルカは驚きの声を上げる。

 

「……名前、ない。不便か?」

 

「まぁ、そうだが……。それよりもだ」

 

ファルカはそう言うと狼達に守られている少年に手を伸ばす。

 

「坊主、一緒にモンドに戻らないか?」

 

「「「グルゥァ!!」」」

 

「「「ガルゥッ!!」」」

 

「おっと」

 

ファルカがそういった瞬間、狼達の数頭が一斉に襲いかかってくる。その攻撃に対し、ファルカは危なげなく次々と避けていく。襲い掛かった狼達は攻撃を全て外したことに驚き、その場に止まる。

 

「ははは、元気が良いのは良いことだが、あまり暴れるのは良くないぞ?」

 

「「「グルルゥゥ!!」」」

 

「「「ガルゥゥ!!」」」

 

狼達は悔しそうに鳴き、再びファルカに向けて飛びかかる。しかしファルカはまたもや軽々と避けると、避けられた狼達は地面へと着地しファルカを観察するかのように見る。

 

「ははは、まぁ良いだろう。俺はただ、個人的に本当にこんな所に人なんているのかどうかを確認したかっただけだし、戦うつもりは全くないからな。俺はそろそろ帰るとするよ」

 

「あぁ、その方がいいと思うぜ。ファルカ大団長」

 

「っ!?」

 

「「「グルァッ!?」」」

 

「「「ガルァッ!?」」」

 

ファルカが狼達と少年にそういった瞬間、どこからか声が聞こえた。その声を聞いた狼達は驚いたような鳴き声を上げて聞こえてきた方向を見る。少年は狼達の視線を追うようにしてその方向へと顔を向ける。

 

「なるほど、やはり俺の後ろを付けていたのはガイア、お前だったか」

 

「はっはっは、酷い事を言わないでくれ。大団長だって人の事を言えないと思うぞ。たまたまモンド城内を散歩していて、ふと遠くにあった西風騎士団の本部を見つめたら、窓から大男らしきものが出てきたのをつい見つけてしまってな。しかも俺の見間違えじゃなければ、大団長の執務室からだ。そうして後を付けながらこの奔狼領まで来たら、まさかの大団長様本人だったってわけだぜ」

 

「ははは、それはすまない事をしたな」

 

「まったくだぜ、またそんな脱走した子供みたいな真似をするなんてな」

 

ファルカがそう言うと、その男……青髪で右目に眼帯を掛け、そして氷元素の神の目を持つ男、ガイアが、やれやれと言いながらわざとらしくため息をつく。そんなガイアに対してファルカは苦笑しながら頭を掻いていた。

 

「…」

(…この男)

 

そして、少年はその男、ガイアに釘付けになる。ファルカは気配を感じ取れていたが、ガイアだけは違った。全く気配を悟られずにここまで来れたのだ。

 

「…ん?ほぉ」

 

そして、少年の視線に気づいたガイアは面白そうにその少年の事を見つめる。

 

「…ガイア、ジンにはまだ気づかれてないんだよな?」

 

「代理団長か?まだ気づかれてないと思うぞ。今はまだリサと共にティータイムでもしている頃じゃないか?」

 

「なら、良いんだが……」

 

そして、ファルカは少年の方を見ると笑顔を見せる。

 

「坊主、じゃあな。また、会おうじゃないか」

 

ファルカは屈託の無い明るい表情を見せながら手を振る。そしてガイアと共に歩き出し始めた。

 

「…?」

 

少年は黙って小さくなっていくファルカとガイアの背中を見つめるなか、ふと自分の中に一つの疑問が生まれた。

 

「…」

少年は自覚していた。自分は狼達と共に過ごしてきたが、「狼」とは違うと。

 

「…」

 

少年を守るために前に出た「狼」達の体と腕、そして「自分」の体と腕を見る。そして小さくなっていくファルカ、ガイアの「人」の体と腕を見る。

 

「…オレ」

 

自分は賢くないと知っていたが、この時、彼の中に一つの疑問が生まれた。

 

「オレは狼?それとも人間…?」

 

少年は自分の中に生まれたその疑問に答えが出せず、そのまま黙り込んだ。

 

 

 

 

 

◆◆◆

とある日のこと、少年はいつものように狼達と戯れて過ごしていた。

 

「グルゥ」

 

「ガルゥ」

 

「…」

(…そろそろ、来るか)

 

少年と狼は互いにとある方向に視線を向ける。そして視線を向けた瞬間に遠くの草むらがガサガサと音を立てて揺れ動く。

 

「よぉ、坊主達。久々に来たぞ。ついでに清泉町でドゥラフさんやブロックさんから上等な獣肉を譲って貰ってきた」

 

そこにはそれぞれ大きな猪の肉を布で包みつつ片手でそれらを抱えつつ、またもう片方には釜や串等を持ってやってきたファルカの姿が現れた。

 

「…隣、座るぞ?」

 

「…」

 

少年はコクリと無言でうなずくと、ファルカはその場に座り込み、持ってきた猪の肉の片方の包みを解く。

 

「今日も相変わらず元気そうだなお前達は。ほらよお前たちのだ、喰え」

 

「グルウゥ」

 

「ガルゥ」

 

そして狼達は、ファルカが解きその場に置いた大きな猪の肉に群がるように飛びつく。

 

「はは、美味しそうに食べるな」

 

ファルカは狼達が食べているのを見ながら笑う。

 

少年と狼達、そしてファルカ大団長と初めて出会ったあの日以降、ファルカは暇を見つけてはモンド城を抜け出してここ、奔狼領へとやって来ては少年と狼達に会いに行っていた。当初の頃は狼達はファルカの事を警戒していたが、今ではある程度の警戒心は解けており、それは家族とまでは行かないものの、それなりの信頼関係は築けていた。

 

「…」

 

だが少年は違う。

 

少年はファルカと出会ってから何度も会うようになり、それなりに話すようにもなったが、未だにファルカには慣れていなかった。

 

その理由としては、人間と狼という種族の違いによるものだと思っていた。実際問題、今まで生きてきた中で少年は他の人間とは関わることが一切無かったと言ってもいいほど過言ではない。そのため、他の人間との関わり方や距離感と言うものが掴めず、それが結果として少年にとってのファルカに対する苦手意識になっていた。また、少年は今までに狼達の世界の中で育っていた為、人間の世界に関する知識や常識などが乏しく、ファルカとの会話の際でも、時々自分が知らない言葉が出てくるなど、そのせいで余計にファルカに対しての苦手意識が生まれてしまったのだ。

 

「…ははっ、まいったな」

 

「…クゥン」

 

ファルカはそんな少年の様子を見て少しだけ困ったような表情を見せるが、すぐに笑顔に戻し、少年の隣に座っている狼を撫で始め、撫でられた狼は少し嬉しそうに鳴いた。

 

「あぁ!!いたー!!大団長~!!やっぱりここにいたんだね!!」

 

「あっ!?本当だ!!大団長さま!!」

 

「おぉ!!クレーにノエルじゃないか!!」

 

「っ」

 

ファルカと少年は声のした方向に視線を向ける。

 

視線の先にはそれぞれ、茶色いランドセルを背負いそのランドセルの後ろに炎元素の神の目を身に着け、赤い帽子と赤と白の服に四つ葉のクローバーの服を着た橙色染みた金髪で燃えるような紅の瞳の幼女、『火花騎士』のクレーと、モンドのメイド服と西風騎士団の一般騎士の甲冑をミックスさせた格好で、銀髪にエメラルドのような綺麗な瞳、そして腰辺りに岩元素の神の目を身に着けた『西風騎士団のメイド兼騎士見習い』のノエルが姿を現した。

 

「グルゥッ!?…グルゥ」

 

「ガルゥッ!?…ガルゥ」

 

狼達は急に現れた彼女たちに驚き警戒心を抱くが、ファルカとクレー、ノエルのやり取りを見てファルカの知り合いであると判断し、彼女達をじっと見つめるだけにとどめる。

 

「大団長~!!もう探したんだよ~!!ここ最近、気づいたらどこかに行っちゃうんだからさ!!」

 

クレーはプンプンと頬を膨らませながらファルカに不満をぶつけると、その様子にファルカは「すまん、すまん」と苦笑しながら謝り、ノエルの方に顔を向ける。

 

「ノエル、ありがとう。君がクレーと一緒にここまで来たという事は、クレーは一人で危険な目に遭わずに済んだようだな。ここ最近のクレーは少しやんちゃで元気がありすぎるところがあるからな」

 

「はい、光栄です。ファルカ大団長さま」

 

ノエルは胸に手を当て軽く頭を下げる。

 

「…うん?そう言えば今日、クレーはアンバーと共にモンド城内とシードル湖内のモンド城外の見回りをするって話と聞いていたが、なんでクレーはアンバーではなくノエルと行動を共にしているんだ?」

 

「はい、ファルカ大団長さま。実は先輩のアンバーさまが、見回り途中に騎兵隊隊長のガイアさまに呼ばれたみたいで、その際に私にクレーさまのことをお願いしてきたんです。そのため私は、クレーさまと同行することになりました」

 

「なるほどな。そういう事か」

 

ファルカはノエルの説明に納得する。すると今度はクレーが口を開いた。

 

「ねぇ、大団長~。大団長はここで何をしようとしていたの~?」

 

クレーは興味津々にファルカが持ってきていた釜や猪の肉を見る。

 

「んっ、あぁ、それはな…………秘密だ」

 

ファルカは一瞬考える素振りを見せた後、人差し指を口に当てて答えた。

 

「えぇ~!!何それずるいよ大団長!教えてくれたっていいじゃん!!」

 

「はぁっはっはっ!!」

 

クレーはそう言いながらファルカに抱き着き、抱き着かれたファルカは豪快に笑いながらクレーを撫でる。そんな二人の様子を見ていたノエルも思わずクスリと微笑む。

 

「……ははっ」

 

少年はその光景を見て、自然と笑みを浮かべてしまう。

それは今までに少年が一度も見たことのない、とても暖かいものだったからだ。

 

「はぁっはっはっ!!まぁ、本当はな。前に知り合った狼達と共に過ごしてきたそこの坊主と共に獣肉を焼いて一緒に食べようかと思ってたんだ。どうだ、折角だ。クレーとノエルも食べるか?」

 

「わーいっ!!食べるぅ~!!やったね、ノエルお姉ちゃん!!お昼ご飯だよ~♪」

 

「は、はい。喜んでいただきます」

 

クレーはファルカから離れてピョンっと跳ねた後、嬉しそうに笑顔を見せ、ノエルは戸惑いながらも少しだけ顔を赤くして喜ぶ。

 

「さてと、それなら早速準備しようではないか」

 

「ファルカ大団長さま、私もお手伝いします。それに先ほどファルカ大団長さまがドゥラフさんやブロックさんから獣肉等を貰って離れた際に、念のためにドゥラフさん達から塩や胡椒などの調味料を借りてきていますので、それを使おうと思います」

 

「ほぉ、そうなのか。気が利くな、助かるぞノエル」

 

「はい、大団長さま」

 

ファルカとノエルはお互いに笑顔で会話をし、そして、二人は料理の準備を始めた。

 

「…」

 

少年はその様子を静かに眺める。この温もりとでも言えばいいのか、まるで家族の団らんのような風景を見ていると、なぜか胸の奥が熱くなり、そして、不思議な安心感に包まれるのだ。

 

「ねぇねぇ、灰色のお兄さん!!」

 

「…?オレのことか?」

 

クレーはその少年に近づき話しかける。

 

「うん、そうだよ。灰色のお兄さんの名前はなんていうの?」

 

「……名前…か、オレ、名前はない」

 

「えぇ!?そうなの!?」

 

クレーは少年の返答に驚く。

 

「うーん、じゃあ、クレーがつけてあげるよ!!」

 

クレーは目をキラキラさせながら少年に言う。

 

「えっ?」

 

「うん!!似合うの考えるから、ちょっと待ってて!!」

 

クレーは元気よく返事をすると、その少年の名前を考え始める。

 

「…う~ん、名前が思いつかない!!ファルカ大団長!!ノエルお姉ちゃん!!なんか良い案ないかなぁ?」

 

「んっ、名前か?」

 

「はい、名前ですか?」

 

準備をしていたファルカとノエルは突然話を振られて困惑した表情を見せる。

 

「そうですね…名前というのは大切なものです。自分を指し示すものであります。ですから…その人の名前を名付けるならば、その人との関わり合いのある物や事柄などを参考にするのが良いかもしれませんね」

 

ノエルは顎に手を当てながら答える。

 

「関わり合いかぁ…大団長!!灰色のお兄ちゃんってずっと狼達と過ごしていたんだよね!!なら、それに合った名前を考えてあげようよ!」

 

「なるほどな。確かにそうかもしれないな。狼達、狼の群れ、狩り、うーむ。そうだな」

 

ファルカは腕を組みながら考え込む。

 

「…よしっ、決めたぞ!!では、俺が考えた名前を聞いてくれ!!」

 

ファルカは腕を組み少し考えると、大きく息を吸い込み大きな声で叫ぶ。

 

「『レザー』!!それがお前の名前だ!!!」

 

ファルカは笑顔で少年に告げた。

 

「レ、ザー…?」

 

少年はその言葉に目を大きく見開き驚愕してしまう。

 

「レザー!!いい名前だね!!」

 

「っぅ」

 

クレーは満面の笑みを浮かべながら少年に抱き着く。

 

「レザーですか、良い名前だと思います。因みにですが、ファルカ大団長さま。なぜ彼に、レザーという名前を付けられたんですか?」

 

ノエルは首を傾げてファルカに質問をする。

 

「それはだな、まずレザーという言葉には剃刀という意味があってその剃刀から、あらゆるものを削ぎ落すような鋭さというのを思いついたんだ。そこから、彼と初めて出会った時、彼はまるで狼のように強くたくましく生きていると感じた事や、そして鋭い爪をもつ狼と暮らす坊主の姿が合うのではないかと思ったからだ。どうだ?なかなかいい名前だろう?」

 

「なるほど…はい、とっても素敵だと思います」

 

ノエルは笑顔で答えた。

 

「……」

 

少年は抱き着いているクレーを優しく離すと、ゆっくりとファルカの方へと歩いていく。

 

「どうだ、気に入ってくれたか?」

 

「気に入った…ファ、ルカ…ありがとう」

 

少年は頬を赤く染めながら小さな声で感謝の言葉を言う。今までに味わったことのない感情に戸惑いながらも、自然とその言葉を言えたのだ。

 

「ははっ!!気にするな。うん?いい感じに出来上がって来たか!!」

 

ファルカはそう言うと、ふと美味しそうな匂いが漂ってくることに気が付き、視線を向ける。

 

「ファルカ大団長さま、クレーさま、そしてレザーさん、お肉が焼きあがりましたよ」

 

「わぁ~、美味しそう!!たくさん、食べるね!!」

 

「うまそう。たくさん、喰う」

 

「おぉ、たくさん喰え!!クレー、レザー!!はぁっはっはっ!!」

 

クレーは出来上がったそれらに目を輝かせ、レザーはファルカの隣に立ち、一緒に肉を眺める。

 

「ふふっ」

 

ノエルはそんな三人の様子を見て微笑んでいた。

 

そうして、『少年』もといファルカに『レザー』と名付けられたその少年は、共に焼きあがったお肉に塩や調味料をふりかけ、そして皆と一緒に食事を始める。

 

そうして、レザーは初めて焼きあがったお肉を食べることで体が暖かくなっていくのを感じるのと同時に、人の温もりというものを知ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

「…」

 

晴天のとある日、蒼風の高地の清泉町近くの小さな丘の上、そこに赤い瞳で狼の体毛のような長髪の少年、レザーがほんの少しだけ満足そうな表情を浮かべて奔狼領の元へと向かっていた。

 

ファルカに名付けられたあの日以降、レザーは人並み外れた身体能力と強靭な肉体を持ちながら、人と獣の間にいるかのような不思議な感覚を味わいながら日々を過ごしている。

 

それは、ファルカやクレー達と出会ってから、さらに強くなりつつある。自分が「人」なのか「狼」なのか、それが分からなくなってきているのである。

 

「…人と狼」

 

レザーは独りでに呟く。

 

レザーはあの日以降に人に興味を持ち始め、何もすることがないときに関しては清泉町やアカツキワイナリーの近くまで行って、そこに住んでいる人間の営みや生活風景を眺めたりしていた。

 

レザーにとってそれはとても楽しい時間であり、そして心が安らぐものであった。そしてそれと同時に自分が何者なのかという問いがより一層深まっていくのを感じている。

 

だがしかし、それでもまだ、レザーは人に対する興味が薄れることは無い。寧ろ、どんどんと増していくばかりであり、そしてそれは奔狼領、奔狼領の狼達の主である『彼』に直接尋ねてみたいほどであった。

 

「はぁっ!!はぁっ!!あっ!!レザーお兄ちゃん!!」

 

「うん?」

 

レザーは後ろを振り返る。振り返った先には全力で走っていたのか、息切れをしながらこちらに向かってくる金髪で燃えるような紅の瞳の幼女、クレーであった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

クレーはレザーの隣に止まるとかなり疲れた様子を見せる。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん……だいじょぶ……」

 

レザーは心配になり声を掛けると、クレーは力ない返事をした。

 

「クレー、急に走ってきて、どうした?」

「あ、あのね、今クレーはね。ジン団長とアルベド兄さん達に追いかけられているの!!」

 

「ジン団長と、アルベド兄さん……誰だ?」

 

レザーは首を傾げる。

 

「うん!!ジン団長は西風騎士団の代理団長で、ファルカ大団長の次に偉い人なんだ!!そして、アルベド兄さんは風騎士団の首席錬金術師で調査小隊隊長の人なんだよ!!」

 

クレーはレザーに説明する。

 

「なるほど……クレーは何か悪いことをしたのか?」

 

「うーん……じ、実はね」

 

クレーは少し言いづらそうにすると、意を決し口を開く。

 

「実はね!!清泉町の近くにあった泉の魚を取るために、お魚をドカーンしにいこうと思ったんだ!!だけど、行こうと思った途中でジン団長達に見つかって、それがバレちゃって……。それで、怒られると思って逃げてきたの!!」

 

「……ドカーンか、そうか」

 

レザーはクレーの話を聞いて納得する。そして、レザーは引きつった表情を浮かべた。

 

以前に、クレーが自分の元にやってきて狩りを手伝ってあげるよ!!と言っていたことを思い出し、それが最終的に蒼風の高地の一角にある小さな丘の一つが、クレーのボンボン爆弾によってその丘が跡形もなく弾け飛んだ光景が脳裏に浮かんでしまったのだ。まさかあんなことになるとは、夢にも思わなかった。

 

「それでね!!それでね!!逃げてる途中でエウルアお姉ちゃんとアンバーお姉ちゃん達が帰ってきちゃって、そのままお姉ちゃん達からも逃げなくちゃいけなくなっちゃったんだ!!」

 

クレーは、てへっ、と舌を出す。

 

「…はぁ」

 

そうして、レザーは呆れたように溜息を吐く。そして、レザーは思う。この幼女の行く末が少しだけ、不安になった。

 

 

その時であった。

 

 

「「「ボフッ!!ボホォ!!」」」

 

「「「ヤァッ!!」」」

 

「「「ヤゥッ!!」」

 

「あっ!?」

 

「っ!!」

 

クレーとレザーは目を見開く。どこからか、ヒルチャール達の雄叫びが聞こえたからだ。二人はすぐに辺りを警戒し始める。

 

「はぁ!せぁ!」

 

「ふんっ!はっ!はぁー!」

 

「ヤァッ!?」

 

「ヤゥッ!?」

 

「むこうからか!?」

 

「この声!!ジン団長とディルックさんの声だ!!」

 

「っ!!待てっ!!」

 

レザーとクレーは声が聞こえてきた方向、先ほどクレーが走ってきた方向に視線を向ける。そしてそのままクレーがその方向へと駆け出し、レザーはクレーの背中を追いかける。

 

「…うわぁ!!」

 

「…こ、これは!!」

 

クレーとレザーはジンとディルックの声がした近くの場所、丁度清泉町の出入り口辺りにあるちょっとした丘のある場所に辿り着くと、声のした方向に視線を見下ろす。そして、そこには複数のヒルチャール暴徒を含む数多くのヒルチャール達と交戦している四名の姿があった。

 

「「「イヤァァッ!?」」」

 

「「「ヤァーゥッ!?」」」

 

「「「ギャァァッ!?」」」

 

クレーとレザーの視線の先では、その四名に翻弄されて次々と倒されていくヒルチャール達の姿が映る。

 

 

「火炎よ、燃やし尽くせ!!」

 

一人は分厚い外套を着こんだ赤髪ロングで細見の男、服のベルトに炎元素の神の目を身に着けた男が、自身の燃え盛る大剣をヒルチャール達に振るう。そして、そこから炎の鳥を生み出すと同時にその鳥は咆哮を上げながら前の方に飛んでいき、経路上にいたヒルチャール達を炎の鳥が焼き尽くしながら吹き飛ばしていく。

 

 

「風の神よ、我らを導きたまえ!!」

 

もう一人は、その赤髪ロングの男の背中越しにいる金髪を黒いリボンで後ろに纏めた女性で、宝石のサファイアのような瞳に美しい顔をしながらも凛とした顔立ちをし、背中の腰辺りに風元素の神の目を身に着けた女性。その女性が自分の正面の前で自身の片手剣の切っ先を天に向けながら、祈るようにその言葉を放つ。

 

するとその祈りの言葉が、天に届いのか、どこからともなく現れた薄緑色の風が蒲公英を運びながら、彼女の周囲に渦巻き始めると同時に、その風が彼女や他の三人を守るかのように、彼女や三人の周囲のヒルチャール達に襲い掛かっていった。

 

 

「氷浪の様に唸れ――!!」

 

そしてもう一人は、氷のような水色の髪に金眼で整った顔立ちをしている美人で、肩辺りに氷元素の神の目を身に着けていた女性が、縦横無尽に駆け抜けながら自身の氷のように白銀に輝く大剣を力強く振り、周囲のヒルチャール達を纏めて吹き飛ばす。

 

また更に彼女の周りに彼女の持つ大剣によく似た宙に浮いていた氷の大剣が、吹き飛ばされたヒルチャールに追撃するかのように近くで固まっていたヒルチャール達に突っ込んでいき、その氷の大剣が地面に突き刺さると同時に、強烈な冷波を放ちながら爆発して、そのヒルチャール達が更に吹き飛んでいく。

 

 

「今こそ、誕生の時――!!」

 

そして最後の一人は、青と白の服装に胸元に岩元素の神の目を身に着け、左手に片手剣を手にしたまるでエメラルドブルーのような瞳をした青年が、まるで指示をするように呟きながら右腕を振るう。するとそれと同時に、その指示に従うように青年のすぐ目の前で黄金に輝くような大爆発が発生した。

 

そして、大爆発が起きた地点に星を模したのか、ひし形のような何かの紋章が入った一つの大きな黄金の花が一瞬だけ咲き誇ると、それがたちまち枯れるように消えていくと共に、そこから黄金色の輝きを放つ先ほどの紋章の入った花の形をした物が宙に創造されては、先ほどの規模ではないものの黄金の爆発を引き起こしながら、その爆発によって発生した衝撃が周囲にいるヒルチャール達を襲い、ヒルチャール達を吹き飛ばしていった。

 

 

「……こ、こんな、あ、あっさりと…」

 

レザーは目下の光景をみて、呆然としていた。

 

 

ヒルチャール、それはレザーや狼達に取ってはある意味天敵とも呼べる存在だったからだ。

 

なぜなら、ヒルチャールは単体ではそこまで脅威ではないが、群れどころか数体でもかなり脅威になる。レザーが見てきた中では彼らが扱うのはただの棍棒だけでなく、燃え盛る棍棒で相手を焼こうとする者、普通のボウガンや各種元素反応を引きおこすボウガンで攻撃する者もいれば、さらには自身の武器を錬成したのか盾を扱うもの、また何かを唱える事で、魔法かなにかを利用して非常に強力な元素反応を引きおこす者、また通常のヒルチャールと違って三メートル近くやそれ以上のヒルチャールが自身の大盾や斧などで攻撃をしてくることもあった。

 

それ故にレザーや狼達に取っては敵うことの無い天敵的な存在である。そうであるからこそレザー達は彼らを見かけたら、基本的に狩りの場所を変えるか、一時中断、状況によっては狩りを中止にするといった行動を取っていた。

 

 

しかし、今目の前にいる彼らは違った。自分達よりも遥かに強いはずのヒルチャール達を、彼らは軽々と蹴散らしていく。

 

「こ、これが、西風騎士団、なのか……」

 

レザーは改めてその強さを目の当たりにして、驚きを隠せないでいた。正しく一騎当千という言葉が相応しいような戦いぶりで、しかも普通の人間には扱えない各種元素の力を巧みに操りながら戦う様はまさに圧巻というべきだろう。

 

「うん、そうだよ!!あの金髪の人がジン団長で、水色の人がエウルアお姉ちゃん!!ジン団長は強くて!!そして少しだけ…怖い人…だけどね!!いつもクレーの事やクレーのために色んなことを考えたり、時間のある時は色んな事をしてくれる人なの!!そしてエウルアお姉ちゃんはジン団長並みに強い人だよ!!エウルアお姉ちゃんはモンドにいる時に色んな話をクレーにしてくれるの!!」

 

「ジン、エウルア…」

 

「それで赤髪の人はディルックさん!!ディルックさんはいつも怒ってそうな怖そうな人なんだけど、でも実はとても優しくて良い人なんだよ!!それに元西風騎士団の人みたいで、昔に辞めちゃったみたいなんだけど、もの凄く強い人でモンドを守り続けていた人なんだ!!それに結構上の立場の人だったみたい!!そして、最後の人がアルベドお兄ちゃん!!アルベドお兄ちゃんは賢くて優しくて、そして本当にすごい人なんだよ!!アルベドお兄ちゃんは仕事じゃない時はいつもクレーの相手をしてくれるんだ!…うわぁ!!わぁ!!」

 

「ディルック、アルベド…。な、なるほど…」

 

クレーは興奮した様子で、レザーに彼らの事を説明する。クレーは普段のジンやアルベド達がクレーに見せる事の無かったであろう一面を見て非常に驚きながらも、興奮しているようであった。そしてそんなクレーの説明を聞いて、レザーはクレーの言葉を一つ一つ噛み締めながら、じっくりと聞き入りつつ、次々とヒルチャール達を打ち倒していく彼らの姿を見つめる。

 

「…」

 

レザーはふと、彼らと彼らに襲い掛かるヒルチャール達から焦点を外し、その視線を今度はもっと俯瞰的に全体を捉えるように眺める。

 

「ひぃっ!!な、なんでこんな事に!!」

 

「助けてくれ!!助けてくれぇ!!」

 

「落ち着いてください!!ここは我々西風騎士団にお任せを!!」

 

「こちらの方に集まってください!!その方が我々は貴方達を守りしやすくなります!!どうか、ご協力を!!」

 

「……」

 

その四名から少し離れた場所には八台程の馬車が道のど真ん中で放置され、また道の端の方にも数台の馬車が止まっていた。そしてその近くには西風騎士団の騎士達と思われる人物達が、その周囲にいるその馬車の関係者の人達やたまたまその場を通行していた通行人達などと言った、数多くのヒルチャール達の襲撃に遭って混乱している一般人達に対して、必死に声を掛けて落ち着かせながら避難誘導を行っていた。

 

「…?あ、あれは!?」

(ノエル!?)

 

「安心してください!!私達が付いています!!あっ、危ない!!大丈夫ですか!?」

 

「っ!!すまない、大丈夫だ。ありがとう、騎士団の人」

 

「いえ、礼には及びませんよ。お手をお貸ししますね」

 

「っぅ、本当にありがとう」

 

レザーは思わずその光景に目を奪われていた。

 

あの日、ファルカと共に獣肉を焼いて食べたノエル、大剣を手にしたノエルがその場で他の騎士達と同じように、避難中の一般人や商人達に手を貸しながら避難誘導していたからだ。今のノエルはあの日の優しく和やかな彼女とは違い、一人の西風騎士団の騎士としての顔をしており、凛としていてその瞳は真剣そのものであった。

 

「ヤァ!!ヤァッ!!」

 

「ヤゥッ!!」

 

「ヤァーゥッ!!」

 

「っ!!ヒルチャールが三体接近してきたぞ!!」

 

騎士団の団員の一人がそう叫ぶ。

 

「そうはさせないよ!!」

 

すると、接近してくるヒルチャール達と避難中の一般人や商人達の間を割り込むように、腰辺りに炎元素の神の目をぶら下げ、赤いリボンを身につけた全体的に赤い格好の茶髪の少女が弓を片手に颯爽と現れる。

 

「おっと、っぅ、ふっ、やっ、はっ!!」

 

「ヤアッ!?」

 

「アァゥッ!?」

 

「ヤアゥッ!?」

 

少女はそのヒルチャール達の攻撃を紙一重で避け続け、ヒルチャール達の囮になりながらもすれ違いざまや回避して隙を見せたヒルチャール達に矢を放ち、ヒルチャール達を的確に射抜いて倒れ伏せさせていく。

 

「くそっ!!今度はあそこからヒルチャールが七体も来たぞ!!」

 

「私に任せて!!」

 

騎士団の団員がそう叫ぶと同時に、その少女は弓を構える。

 

「…っ」

 

だが、少女はすぐには弓矢を放たない。それは何かを待っているかのようで、少女は目を細めながら弦を引き絞る。またそれと同時に少女の炎の神の目によるものか、少女が引き絞っている弓矢は炎が纏われ始めた。

 

そしてその次の瞬間、ヒルチャール達は一斉にその少女に襲い掛かって来る。

 

「…っ!!」

 

刹那、そのヒルチャール達とその赤い少女の間に一陣の風が吹き抜け、その少女は咄嗟に炎が纏っている矢を放つ。

 

「「ヤァッ!?」」

 

「「ヤゥッ!?」」

 

「「「ヤァゥッ!?」」」

 

そして少女が放ったその炎の矢は、ヒルチャールのすぐ目の前の草むらを燃え上がり、しかも風が吹いていたことによりたちまちその火は広がっていき、ヒルチャール達とその少女の間に炎のカーテンが出来上がった。そして、自分たちのすぐ目の前で出来上がったそれらを見たヒルチャール達は慌てて足を止めてしまう。

 

「よしっ!!」

 

その少女は小さくガッツポーズをする。

 

「エウルア!!」

 

「結霜せよ!!そして砕け散れ!!」

 

「「「「イギャァ!?」」」」

 

「「「ヤァゥッ!?」」」

 

そしてその少女は託すかのようにとある人物の名前を叫ぶと同時に、その言葉に応えるように、縦横無尽に駆けていた氷のような水色の髪に金眼で整った顔立ちをしている女性、エウルアが立ち止まってしまったヒルチャール達に対して素早く大剣を振るって、そのヒルチャール達を次々と薙ぎ払っていく。

 

「「ヤァッ!!」」

 

「「ヤゥッ!!」」

 

「っ!?」

 

だが、それと同時にボウガンを持ったヒルチャール達が赤い彼女に矢を放ち、彼女は完全に油断していたのか、そのヒルチャール達の攻撃に目を丸くさせる。

 

「させません!!」

 

「ノエル!?」

 

そこにその彼女の前にノエルが立ちふさがる。そして、ノエルは目を僅かに細めながら大剣を一振るいすると彼女の周囲を守るかのように、茶色のシールドかバリアみたいなものが展開されていき、矢はそれらによって弾かれていく。

 

「ノエル大丈夫!?」

 

「大丈夫です!!それよりもお怪我はありませんか!?アンバー先輩!!」

 

「私は大丈夫!!ごめん、ありがとう!!」

 

「はい!!」

 

その赤い少女、アンバーはノエルに礼を言うとすぐにヒルチャール達に向き直り、ノエルはニッコリとした笑みを浮かべながら返事をしながら、ヒルチャール達と相対する。

 

「まさか、後輩のノエルに良い所を見せられると思わなかったよ~。今度は先輩の私が良い所を見せられるように頑張らないとね!!行くよ!!ノエル!!」

 

「はい!!アンバー先輩!!」

 

アンバーはそう言いながら弓を構えると、ノエルは大剣を構えてそのままヒルチャール達に向かって走り出す。

 

「…」

 

レザーは改めて、目下で行われているそれらを見て言葉を失う。西風騎士団の強さか、それとも人としての強さなのか、どちらにせよ、自分とは比べ物にならないほどの強さを持っていることは一目瞭然であった。

 

 

「ジン!!」

 

「はい!!先輩!!」

 

「「「ギャァゥツ!?」」」

 

分厚い外套を着こんだ赤髪ロングで細見の男、ディルックが大剣を持ち直しながら、金髪を黒いリボンで後ろに纏め、宝石のサファイアのような瞳に美しい顔をしながらも凛とした顔立ちをした女性に対して叫ぶ。

 

そしてその女性、ジンはディルックに頷き片手剣を構えなおす。そして、次の瞬間には二人は同じタイミングで駆け出し、ディルックとジンは隙を見せない息の合った完璧な連携でヒルチャール達を圧倒していく。

 

 

「ジャッジメント!!―――堅氷、怨を絶つ!!」

 

「「「イギャァ!?」」」

 

縦横無尽に駆けるエウルアは自身の大剣を両手で持ち構えながら、そのエウルアに襲い掛かるヒルチャール達に向けて横一線に大剣を振り払う。また、エウルアは吹き飛ばされたヒルチャール達に対して更なる追撃を行い、追撃を受けた全てのヒルチャール達は地に倒れ伏させられていく。

 

 

「擬似陽華!!ふっ!!はっ!!」

 

「「「ヤァァゥッ!?」」」

 

青と白の服装に胸元に岩元素の神の目を身に着けた青年、アルベドが左手を天に掲げると同時に左手は黄金の光を放つ星の紋章が宙に現れ、その黄金の光を放つ星の紋章を地面に叩きつける。

 

するとアルベドの目の前で、まるで太陽に向かっていくように一輪の暗い紫色の花が咲き、その花から黄金の粒子みたいなものが放出される。

 

そしてその放出された粒子がヒルチャール達に纏わりつき、アルベドが片手剣でそのヒルチャール達を斬りつけると、アルベドの斬撃に反応したのか纏わりついたその粒子が、先ほどの大爆発が起きた際に現れた紋章が入った一つの大きな花が枯れるように消えた時の、黄金色の輝きを放つ先ほどの紋章の入った花の形をした物が宙に現れ、それらが黄金の爆発を引き起こして、各ヒルチャール達を吹き飛ばしていった。

 

 

「はぁっ!!ふぅっ!!」

 

「ふっ!!はっ!!」

 

そしてディルックやジン、エウルアやアルベド達の四人が討ち漏らし、避難中の一般人達に向かっていたヒルチャール達を、ノエルは少しだけ動きがぎこちないものの、まるでダンスのステップでも踏むかのように、軽やかな動きで大剣を振るって次々とヒルチャール達を撃退していき、アンバーもノエルの動きに合わせるように矢を放ちながらヒルチャール達を撃破していく。

 

 

「…」

 

レザーは目下で発揮されている西風騎士団達の圧倒的な強さに、ただ呆然と見ている事しかできなかった。

 

そして同時に思う。

 

 

この圧倒的な力や強さを誇る西風騎士団を率いているあの男。

 

自分に『レザー』という名前を付けてくれたファルカ、ファルカ大団長の事を。彼の強さは一体どれほどのものなのだろうか、と。

 

 

「「ヤァゥッ!!」」

 

「「ヤァッ!!」」

 

そして、そうこうしている内にヒルチャール達は西風騎士団の面々に背中を見せて逃げ出し始めた。

 

「ふぅっ、はぁっ」

 

「ふぅ、やっと終わったよ~」

 

ノエルとアンバーはヒルチャール達との戦闘を終えると、それぞれ武器を仕舞い、汗を拭うような動作を行う。

 

「……」

 

アルベドは逃げ出したヒルチャール達を見ると、戦いは終わったと判断すると剣をしまい、ヒルチャール達が逃げた先を見つめながら、何かを考えるかのように目を細める。

 

「…どうやら、本当に終わったようね」

 

戦場を縦横無尽に駆け抜けていたエウルアは、未だに周囲の警戒を完全には解いていないものの、ヒルチャール達はもう向かってくる事や襲ってくることはないと判断して構えを解く。

 

「…ようやく、終わったな」

 

ディルックはそう言いながら呟く。

 

「終わりましたね。…あ、あの、先輩」

 

ジンはそれに同意するように言うと、チラリとディルックの方を見る。

 

「…どうした?ジン?」

 

そしてジンの視線に気づいたディルックは、首を傾げながら尋ねる。

 

「いえ、その…怪我とかは大丈夫ですか?」

 

ジンは心配そうに、そしてどこか気まずそうにディルックに尋ねた。

 

「ん?ああ、特に問題はない。ジンこそ、大丈夫か?」

 

「あ、はい。私は大丈夫です…」

 

ディルックはジンの言葉に、改めて自分の身体を見て確認すると、特に問題はなさそうだと感じ取り、逆にジンに確認する。そして、ジンは少し俯きながら答える。

 

「…ジン、礼を言う。助かった」

 

「え?」

 

ジンはディルックの突然のお礼に驚き、思わず聞き返してしまう。

 

「君や君達のおかげで、僕の荷物は全部大丈夫そうだ。…何がどうしてそうなったのかは分からないが、どうやらあそこにいる商人達の商隊がヒルチャール達に襲われたらしい。そして商人達はヒルチャール達から逃げる為にここまで馬車を飛ばして走らさせて、それが最終的にアカツキワイナリーから運ばせていた僕の荷馬車達に合流してしまい、そのまま僕や僕の荷馬車達は巻き込まれたというのが経緯だ」

 

ディルックは後方に止まっている馬車達、そして自分の馬車や荷馬車達に視線を向けながら、ここまでの経緯を説明していった。

 

「な、なるほど……」

 

ジンはディルックの説明に納得するかのように頷いた。

 

「そういう事だ…そしてジンも、大丈夫そうで本当に良かった」

 

「え?…せ、先輩?」

 

ディルックはボソッとそう呟くと、そのまま自分の荷馬車に傷や運んでいた荷物の中身に異常がないかを確認をするために荷馬車の方に歩き始める。そして、ジンはディルックが何かを呟いた事に気づいたが、何を呟いたのかはよく聞き取れなかった。だが自分に関することではあると察して、ディルックに声をかけようとディルックの背中を追いかけた。

 

「…」

 

そして、全てを見届けたレザーは改めて言葉を失くす。西風騎士団の強さはレザーにとって、衝撃的だった。

 

 

 

「…あれぇ?」

 

だが、その時クレーが何かに気づいたのか、不思議そうに声を上げた。

 

「…どうしたんだ、クレー」

 

「ねぇ、ねぇ、レザー。あそこの馬車の近くに倒れている斧を持っている大きなヒルチャールの腕が少しずつ動いてない?」

 

「…は?」

 

レザーはクレーの指摘に、疑問の声を上げる。

 

その次の瞬間であった。

 

「ボフォォッッッ!!」

 

クレーが指摘した倒れていたヒルチャール暴徒が突然起き上がり雄たけびを上げたのだ。そして、手放していた斧を拾い上げて近くにあった馬車に顔を向けた。

 

「ひっ、ひぃぃ!!」

 

「助けてぇ!!」

 

斧を手にしたヒルチャール暴徒が見ていたもの。それは自分達が持ってきていた荷物は大丈夫かどうかの確認を行っていたアカツキワイナリーの者達であった。

 

「ぐっ!!くそっ!!」

 

「っ!!どいてくれ!!」

 

「くっ!!最悪だわ!!」

 

「っ!!しまった!!」

 

ディルックやジン、エウルアやアルベドは急いで起き上がったヒルチャール暴徒に大急ぎで向かおうとしたが、それは叶わなかった。

 

「キャー!!急に起き上がったわよ!!あの大きいヒルチャール!!」

 

「くそっ!!ヒルチャール達は全部やっつけったんじゃないのか!?」

 

「騎士団さん!!私たちは何処に逃げればいいんですか!?」

 

「落ち着いてください!!とにかく落ち着いてください!!」

 

「とにかく、一刻も早くヒルチャール暴徒から離れてください!!」

 

「くそっ!!どいてくれ!!」

 

「邪魔よ!!どきなさいよ!!」

 

「っぁ!!ぐっ!!」

 

「危ねぇ!!転ぶんじゃねえ!!」

 

突如雄たけびを上げながら起き上がった巨大な斧を手にしたヒルチャール暴徒を目の当たりにしてしまった商人達や一般人達は大混乱に陥いり、我先にと逃げ惑ったり無秩序に動き回っているせいでその場に中々近づけないでいたのであった。

 

「っ!!っ!?駄目、これじゃあ狙えないよ!!」

 

アンバーは弓矢でヒルチャール暴徒を狙おうとしたが、大混乱に陥っている人々があちらこちらに動き回っているせいで射線に人が入ってしまい、上手く狙いを定めることが出来ずにいた。

 

「ひっ、ひぃぃ!!」

 

「来るな、来るなぁ!!」

 

彼らはヒルチャール達の群れの襲撃を耐え抜き、何とか無事である事が分かりホッとしていたところに突如として起きた事態に恐怖し、腰を抜かしてしまい動けなくなってしまう。もはや何もかもが既に遅かった。

 

「ボフォッ!!」

 

遂にヒルチャール暴徒が彼らに斧を振り下ろす。

 

「ぁ、ぁぁ」

 

「ぁぁ」

 

彼らの目の前で走馬灯のように今までの思い出が次々と浮かんでは消えていく。

 

 

そして、彼らは全てを諦めて目を閉じた。

 

 

「ふぅっ!!」

 

「ボフォッ!?」

 

その時、とある少女の声、そして驚くヒルチャール暴徒の声、そして鋼同士がぶつかり合った金属音が甲高く鳴り響く。

 

「…え?」

 

「…は?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、一歩たりとも引きません!!」

 

彼らはおそるおそる目を開ける。そして彼らの視線の先にはノエルが大剣を横に構えることで、大剣を盾代わりにしてヒルチャール暴徒の斧の一撃を防いでいる姿があった。

 

「くっ、安心してください!!私が必ず貴方方をお守り…いえ!!必ずお守りきってさしあげます!!」

 

ノエルは顔を歪ませながらも、自分の背後にいる人達を安心させるように力強く言い放ち、彼らを必ず守り切るという決意の元、歯を食いしばりながら必死に踏ん張っていた。

 

「ボフォォッ!!」

 

「くぅっ!!」

 

ヒルチャール暴徒は斧を横に振り払うと、ノエルはそれに合わせて大剣を縦にすることで、凄まじい衝撃に襲われながらもその一撃を何とか受け止めきる。

 

「ボッフォォッ!!」

 

「ぐぅっ!?きゃぁっ!!」

 

そしてまたヒルチャール暴徒は斧を反対側に振り払い、ノエルもそれに合わせて防ごうと試みたが、疲労の限界も相まってかヒルチャール暴徒の一撃を防ぎきることは叶わず、そのまま吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ!!っぅ!!…はぁ、はぁ」

 

ノエルは吹き飛ばされ、地面に叩きつけながらも何とか受け身を取ることに成功する。しかし、吹き飛ばされた際に強く叩きつけ続けられたせいか、息苦しそうに呼吸を繰り返す。だがそんな状態の彼女は、ふらついてはいるものの確かな足取りで大剣を構えなおす。彼女の瞳に宿る強い意志は微塵にも衰えていなかった。

 

「ボフォッ」

 

「ぁぁ」

 

「っぁ」

 

そしてヒルチャール暴徒は腰を抜かしているアカツキワイナリーの二人に完全に興味を失ったのか、吹き飛ばしたノエルの方に顔を向けて彼女の元へとゆっくりと足を進めていく。

 

「くそっ!!」

 

「ノエル!!くっ!!」

 

「ちっ!!このままじゃ!!どきなさいっ!!」

 

「っ!!」

 

ディルックやジン、エウルアやアルベドはヒルチャール暴徒がノエルの方へ歩いていくのを見て慌てる。だが、未だに大混乱の最中にある人々のせいで、どうにか前に進もうとするが混乱した人混みのせいで中々思うように進むことが出来ない。

 

「ノエル!!ノエル!!」

 

アンバーは必死にノエルの名前を叫ぶ。今の状態では弓による援護射撃は不可能であった。アンバーは悔しそうに下唇を噛みしめながら、必死に射撃可能な位置を探す。

 

「ボフォォッ…」

 

その間にもヒルチャール暴徒は斧を大きく掲げながらノエルの元へと向かってくる。

 

「くっ!!」

 

ノエルは大剣を構えたままヒルチャール暴徒を見据える。

 

ノエルの瞳にはヒルチャール暴徒への恐れや絶対的な危機への絶望の色は一切なく、あるのは『不屈』と『覚悟』の意志のみ。ノエル自身、目の前のヒルチャール暴徒が自ら敵う相手ではないという事を理解している。それでも決して折れる事が無いのは彼女の『信念』によるものか、それとも別の何かがあるからなのか……。それは本人にしか分からない事であろう。だが、ノエルは確固たる意志を持って大剣を構えた。それはまるで、例え自分がここで果てようとも、絶対にあの人達、そしてここにいる人達を守り通すと。それが、彼女が彼女たる所以だとでも言うように。

 

「ボフォッ!!」

 

「っ!!」

 

ヒルチャール暴徒がノエルに向かって斧を振り下ろした。

 

「ぐっ!!」

 

ノエルはそれを大剣で防いだが、凄まじい衝撃に思わず苦悶の声を上げる。

 

「…くそっ」

 

レザーは絶体絶命な様子のノエルの姿を見て拳を握る。だが、レザーが出来るのはそれだけであった。今の自分には神の目どころか武器すらも無い。

 

「ぐっ!!」

 

また、レザーは唇を強くかみしめる。一瞬であるが彼の脳裏に、狼達との狩りをしていた時にヒルチャールと遭遇してしまったことを思い出す。

 

そして、最終的に当初はそのヒルチャールを撃退できるところまで追いつめたが、仲間のヒルチャール達に奇襲されてしまい、最終的にはヒルチャール暴徒までやってきて、何かを一つでも間違えてしまえば生死を彷徨うような重傷を負って死にかけるか、本当に死んでいたかもしれないという事を。他にもそれに似た事を思い出し、レザーは恐怖で体が震える。

 

「…っ」

 

「…クレー?」

 

レザーは自分の隣でクレーの身体が震えている事に気づく。

 

「…」

 

「…」

 

レザーは一瞬、クレーも怖いのだろうかと思ったが、どうやら違うらしい。

 

「…嫌だ」

 

クレーはヒルチャール暴徒を見つめる。そして、満身創痍のノエルを見つめて、ヒルチャール暴徒に視線を戻す。今のクレーのその目はまるで親の仇を見るかのように怒りに燃えていた。

 

「ふっ!!」

 

「っ!!クレー!!」

 

次の瞬間、クレーは走り出し、そのまま崖を駆け降りる。

 

レザーは驚きながらもクレーの名前を呼ぶが、そんな事はお構いなしにクレーはノエルとヒルチャール暴徒の間に割り込むように崖を疾走していく。

 

「え、嘘!?あ、あれ!!見て!!」

 

「な、なんだ!?あれは!?崖から赤い子供が駆け降りてるぞ!!」

 

「しかも、あの騎士と大きいヒルチャールの元に向かっているぞ!!」

 

混乱していた一般人達が崖を駆け降りるクレーを指さしながら騒ぎ始める。

 

「なにっ!?うん!?あ、あれは!?」

 

「あれはクレーだ!!『火花騎士』だ!!」

 

そしてその騒ぎを聞いた騎士団の数人は指さしている方向に目を向け、そこにいたのがクレーだと気づき驚愕の声を上げる。

 

「なにっ!?」

 

「クレーだと!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「クレー!?」

 

またその騒ぎを聞いたディルックやジン、エウルアやアルベドの四人は目を見開き、信じられないといった表情を浮かべてクレーに視線を向ける。

 

「クレー!?」

 

そして、射撃位置を探していたアンバーもクレーの姿を見つけて驚きで声をあげて、立ち止まる。

 

「やめて!!やめてよ!!ノエルお姉ちゃんから離れろ!!」

 

クレーは崖を駆け降りながらそう叫ぶと同時に、クレーのランドセルから一冊の本が現れ、クレーの周りに漂う。そして独りでにページがめくられていく。

 

「ボッフォ!?」

 

クレーの叫び声に気づいたヒルチャール暴徒は、足を止めてクレーの方に顔を振り向いてクレーの姿を視界に入れる。

 

「ノエルお姉ちゃんから離れろぉっ!!ノエルお姉ちゃんに手を出すなぁっ!!」

 

クレーがそう叫ぶと同時に、その本がめくられていたページがぴたりと止まり、クローバーの形をした赤い魔法陣がクレーの頭上に現れる。

 

「ボッフゥ!?ボッフォッ!!」

 

そしてそれを見たヒルチャール暴徒は本能的にそれが危険なものだと察知したのか、斧を構える。

 

「ノエルお姉ちゃんを虐めるのは、クレーが絶対に!!絶対に!!許さないっ!!」

 

クレーはそう叫ぶと、赤い魔法陣から赤いレーザーのようなものが照射される。

 

「ボォッフォッ!?」

 

そしてクレーのレーザーを見たヒルチャール暴徒は、ぎりぎりでそれを回避して後ろに下がる。だが、クレーのレーザーが先ほどまでいたヒルチャール暴徒のいた場所に直撃すると同時に、強烈な爆発が巻き起こり衝撃波や爆風がヒルチャール暴徒に襲い掛かった。

 

「くっ!!」

 

そして、その衝撃波や爆風はノエルにも襲い掛かったが、ノエルは何とか吹き飛ばされないように耐え抜き、ゆっくりと目を見開いた。

 

「じゃじゃ~ん!!西風騎士団、『火花騎士』クレー、参上!!ノエルお姉ちゃん!!『火花騎士』のクレーが、爆破支援するよ!!」

 

ノエルの目の前では、クレーがノエルに背中を向けつつも自分の方に顔を向けて笑みを浮かべていた。

 

「クレーさま…いえ、クレー先輩、支援感謝します!!共にヒルチャール暴徒を撃退しましょう!!」

 

「うん!!やろう!!ノエルお姉ちゃん!!行くよ!!」

 

「はい!!クレー先輩!!」

 

そして、ノエルとクレーは横に並んで互いに顔を合わせて笑いあう。そうしてクレーは前を向いてヒルチャール暴徒を見つめると同時に、クレーの宙に浮かんでいる本が独りでにパラパラとめくり始める。そしてその隣に立つノエルも大剣を構え直すと共にヒルチャール暴徒を見据えたのであった。




次回は、「レザー後編(レザーの大剣と鉤爪、そして神の目入手の過去エピソード)」です。

先ほどの「合流者」についてですが、まだ予定段階のため多少の変更はありえますが、「合流者」はその名の通りで、2位の『鍾離』がどこかのタイミングで1位の『煙緋』の元に合流(遭遇?)することで行動を共にする事になります。
また、それと同時に「同行者」というのもあり、こちらは序盤、もしくは中盤辺りから『煙緋』と共に行動しているキャラとなります。こちらは作者が各キャラの交友関係やその場面や状況を考慮したうえで事前に決めています。(例でいえば、今回の場合は『行秋』の場合なら同行者は『重雲』、『タルタリヤ』の場合なら特殊で、同行者のメインは『鍾離』、そして終盤のみ『シニョーラ』になります)また【「合流者」である『鍾離』】にも同行者(※『タルタリヤ』ではありません)がいます(但し、同行者は最初から鍾離と同行しているわけではなく、後に合流する予定)。

以上です、よろしくお願いします。

追記1
・アンケートの投票状態を、投票可能から投票終了に押し忘れていたので修正しました。(※順位には影響なしです)

追加2
・クレーの台詞を一部修正しました(「へっへ~ん!!」⇒「じゃじゃ~ん!!」)

追記3
・ノエルの描写を一部追加しました(『不屈』と『覚悟』の2つから、『信念』を加えた3つに)

追記4
・ファルカの笑い方を修正しました。(「だぁっはっはっはっ!!」⇒「はぁっ、はっはっはっ!!」)

追記5
文字間隔の調整を実施中…
→文字間隔の調整終了しました。
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