玉衡の元から逃亡したら千岩軍が追いかけて来ていた件について 作:久遠とわ
まず、アンケートを締め切りました。
協力してくださいました皆様方、ありがとうございます。
結果と推移を見て、五千字(月4回・展開早め)と一万字(月2回・展開普通)を行ったり来たりしていたので、取り合えずの目安として、七千字程度(月3回・展開やや早め)を目安に進行させていきたいと思います。
※尚、実際に出来るかは不明です…。リアルの事情等もありますが、最大限努力はします。
また、今回も別のアンケート(設定集・考察集に関わるもの)と、多少の解説(本作と原作の違い)がありますのでよろしくお願いします。
それでは今回から、前回の予告通り『【番外編】第1幕・仙獣の法律家と変動する璃月港』を開始します。
今回は、そのプロローグです。
商業都市“璃月港”と仙獣の法律家
「いらっしゃい、何かお探しでしょうか?」
「すみません、こういったものを探しているのですが取り扱っていますか?」
「さっき仕入れた魚だ!!新鮮だし安いよ!!」
「おい!!うちの方が新鮮だ!!魚は鮮度!!値段は負けるが鮮度は負けてないぞ!!」
「寛!!おもちゃ欲しい!!」
「だから寛じゃなくて、パパと呼びなさい!!」
「是非とも冒険者協会に入会を!!とっても楽しいよ!!」
「すまないが、商品は全て品切れだ。また今度にしてくれ」
「そうですか、困りましたね…」
とある日の太陽が真上辺りに昇ったことによる陽気に、商人達や店の者達に客やそうでは無い者達の活気ある声が街中から響き渡る声。街を彩る美しい黄葉や紅葉、それに璃月三千年以上の歴史を持つ伝統ある国家の中心的な都市である大都市の街並み。テイワット大陸最大とも評される商業都市、“璃月港”。
かつて魔神戦争が勃発する前、おおよそ三千七百年程前に多くの仙人達や友好関係を結んだ魔神達、そして璃月を建国し統治することになった岩の魔神、岩神“モラクス”。そして後の璃月の民となる当時の民と結んだ彼の「世の塵を払い、民を守る」という、璃月最古の契約。
その契約に従って、彼もとい岩の魔神モラクスはかつての魔神が跋扈した時代や、“天空の島”にある“七つの神の座”を巡って、地上の無数の魔神達が互いに争いを始めた“魔神戦争”時代。妖魔達が世に蔓延った事により、海が妖魔に侵され山が螭に奪われた時、彼らを打ち倒しかつての平和な世を取り戻さんと決心した彼によって招集された仙人達等、彼と彼の元に集った彼らで妖魔達に戦いを挑んだ“仙魔大戦”時代。彼は長い年月を重ねながら、彼の元に集った仙人達と共に協力してこれらを鎮圧や封印を行い、友好関係を結んだ魔神達と協力しながら「璃月の民を守る」ことに力を尽くしてきた。
そうして最終的に一人また一人と“友”や“自分を慕っていた者”達を失い、別れ続けてきた彼はそれでも尚、三千年以上という非常に長い時間もの間、またその魔神戦争中や仙魔大戦中に“帰離原”から“帰離原の南方”へと帰離原にいた民を移したことがきっかけにより、結果的に“現在の璃月港”に璃月の都を遷都した事に繋がった後も、璃月の守護神として君臨し続け、その力を人々の為に振るい続けたのだ。
そしてその結果として、自分の民を守るために自分と敵対した魔神達と熾烈に争い続けた“魔神戦争”、敗れた魔神達の残骸が撒き散らした怨嗟によって産み出されて世に蔓延してしまった妖魔達を仙人達や夜叉達、そして後の“千岩軍”の前身となる岩王帝君の信者達が自発的に結成した“千岩団”の者達と協力して凄烈に闘い続けてきた“仙魔大戦”、そして今より500年前に発生した“かつての古国”からテイワット全土へと解き放たれ、テイワット七国に襲い掛かった数々の“漆黒の厄災”や、地上や大空からの進撃、地中から侵攻してきたあまたの数の“鋼鉄の悪意”達との激烈な徹底抗戦、このように彼は仙人達や夜叉達、そして彼の元に集った千岩団もとい千岩軍達と共に璃月に襲い掛かったありとあらゆる災害や厄災から璃月を守ってきたのであった。
それ故、「契約の神」や「武神」、また他にも「商売の神」や「歴史の神」と言った様々な呼び方がある彼は、後に彼が定期的に神託を下しに民衆の前に姿を見せていたことから、民衆から敬意を込めて「岩王帝君」と呼ばれたのである。
そしてその彼こと岩王帝君が、自らが建てた港湾都市。それがその“璃月港”であり、その巨大な商業都市は貿易と富が有名であること、また一年に一度「迎仙儀式」が開催されるほか、毎年初めての満月の日の夜には「海灯祭」が盛大に催されるという事などでテイワット大陸にその名を轟かせていたのであった。
「よし、これで今日の仕事は終わりだな。それにしても___」
そうしてそんな商業都市、璃月港の街を一人の少女が歩く。その少女は翡翠の瞳に、薄めの朱の髪。2本の鹿角に金の装飾が施された赤い帽子に、璃月の薄着を身に纏った活発的な雰囲気を放つ少女。数多くの調停を行ってきた実績を誇り、璃月港で引く手数多の法律家である彼女であり、実はその身には仙獣である“獬豹”の血が流れている聡明な少女。そしてその彼女の腰に“炎の神の目”を身に着けた彼女、“煙緋”は満足そうな表情を浮かべて、隣を歩く“彼女”に笑みを浮かべていた。
「___“忍”さん。貴女はもう立派な法律家だ。まさかあの案件をあそこまで上手く丸く纏められるとは思いもしなかったよ。しかも私の一番苦手な、ああいう感情的な問題である民事訴訟の案件でな」
「いえ、ありがとうございます。煙緋先輩。あれは偶然思いついて、何とか上手く行けただけです。ですが、そう言って頂けて嬉しいです」
そう嬉しそうに笑う、煙緋の隣を歩く女性。キリッとした稲妻のような紫の瞳に、黄緑の髪。お腹を曝け出すことでどこかワイルドさを感じさせる全体的に紫色の格好、稲妻でいう女性の忍者である“くの一”という呼ばれる者達の格好を模した姿のようなもので、またそのスタイルの良さは、男も女も見惚れる程の美人。そして彼女の肩にある肩甲に装着している“雷の神の目”の保持者である美人な女性、“久岐忍”は謙遜するように首を横に振っていた。
「いやいや、謙遜する必要は無いよ。何せこれは紛れもない事実だからな。あの場でああいう機転を利かせられるとは…流石だ。…忍さん」
煙緋は忍の名前を呼ぶと少しだけ真剣な顔になり、続けてこう呟いた。
「忍さんは本当に法律家にはならないのか?忍さん程の実力があれば、必ず一流の法律家になれるだろうに……」
「うーん、その件の事ですか……。煙緋先輩、確かに私は法律について様々な事を学び、また煙緋先輩の元で学ばせて貰って様々な経験や知識を得ました。そしてその事で、私自身に自信を持つことが出来ています。でも、やはり思ったのです。この業界には制約が多くて向いていない、だから私の天職は他にあると……。すみません」
「そうか、まぁ仕方がないさ。それに無理強いをする訳にもいかないからな。…しかし、もし気が変わって法律家の道を選ぶ時が来たら、その時は是非とも相談してくれ。歓迎するぞ。それに私と忍さんの仲じゃないか。遠慮する必要はないぞ」
「はい、ありがとうございます」
煙緋の言葉に、笑顔を浮かべながら頭を下げる忍。そして、忍はふと海の方に目を向ける。するとそこには綺麗な海や港、それに船が沢山浮かんでいて、どこまでも広がる水平線の向こうを見えていた。
「……」
「…ふむ」
(なるほどな__)
だが忍はその水平線の先、彼女の故郷である稲妻の方角に目を向けていると、煙緋は何かを察したように、彼女に声をかける。
「___“稲妻”の事を考えていたのか?」
「えっ!?」
「分かるよ。故郷が恋しくなる気持ちは、誰だってあるものだ。それに今の稲妻は…」
煙緋は少し悲しそうな顔をして、遠くを見つめるようにしながらそう言う。
忍の出身国である稲妻は、稲妻を統治する稲妻幕府とその稲妻幕府の頂点に立つ“雷電将軍”、即ち雷神“バアル”によって発令された、誰であろうと国内外の出入りを禁ずる「鎖国令」と、神の目を強制的に徴収する「目狩り令」を行っている国であり、彼女は発令された内の一つであるその「鎖国令」の所為で、家出したとはいえ稲妻に残された家族の事、またそれに彼女の友人や知り合いに、そして“荒瀧派の者達”との再会も出来なくなっていたのだ。
「はい、分かっています。…ですから今は、璃月で頑張ろうと思います。稲妻の鎖国が解除されるまで。それに大丈夫です。家族なら、私以外は“神の目”を誰も持っていませんので「目狩り令」の対象外ですし、私の所属している“荒瀧派”は、何かあれば私の知り合いや友人が面倒を見てくれたり、ある程度は融通を効かせてくれるとのことなので、心配はいりません」
忍はそう言いながら、自分に言い聞かせる様に微笑んだ。
実際、忍の知り合いや友人である“九条裟羅”や“鹿野院平蔵”は稲妻幕府、しいてはその稲妻幕府を統べる雷電将軍の行政機関に所属する人間である事。
またその行政機関の内訳は、主に警察機能や公安関連に軍事関係等を担当する九条孝行を首領とする“九条家”の「天領奉行」、主に商務や財政にその他等の金融関連に関わる物を担当する柊慎介が首領である“柊家”の「勘定奉行」、主に儀式や祝賀行事に神社仏閣の管理等の稲妻の文化関連の事柄を担当する神里綾人を首領とする“神里家”の「社奉行」、これら三つの奉行を総称した「三奉行」となっており、先ほどの“九条裟羅”や“鹿野院平蔵”は、その“九条家”の「天領奉行」に所属する人物なのだ。
特に“九条裟羅”に至っては稲妻の治安維持を司る天領奉行の九条家当主でもある九条孝行の養女であり、裟羅本人が「天領奉行」の大将、つまり「幕府軍」の大将として稲妻の治安を守っているのである。
また“鹿野院平蔵”は裟羅みたいに何かの役職に就いているという訳ではないが、彼自身が天領奉行所属の天才探偵である為、稲妻内で起こる難事件や珍事件を独自の推理で解決したり、場合によっては三奉行に依頼されて捜査や調査等の協力を行う事もあるのだ。
それ故、彼らは稲妻幕府の中でも絶対的な影響力を持つ、いわばエリート中のエリートであるため、万が一“荒瀧派”に何かがあれば、彼らを通じて何かしらの便宜を図ってくれる事だろう。
「……」
忍はそう思いながら、遠くに見える水平線の向こうにある稲妻、“鳴神島”の方角に目を向ける。
“荒瀧派”の親分である“荒瀧一斗”は“岩の神の目”を持っている。その為、稲妻幕府と雷電将軍によって発令された「目狩り令」の対象者だ。
確実に荒瀧一斗、しいては“荒瀧派”と九条裟羅率いる稲妻幕府の“天領奉行”との間でいざこざが起きている筈であり、忍としてはその事を憂いていたが、幸いにもその幕府軍の中では最高権力者の一人とも言える幕府軍の大将の九条裟羅とは、忍の顔見知りであり友人であるため、彼女や平蔵が上手く融通を効かせてくれたり、何とか穏便に済ませてくれていると信じていたのだ。
「まぁ何にせよ、私はこの璃月で頑張ります。それに今は、こうして頼れる先輩がいますからね」
「そうか、嬉しい事を言うではないか。だが、困った事があったらいつでも言ってくれ。微力ながら手伝わせて貰うぞ。それと、もし法律家の道を選ぶ時が来たら、遠慮なく相談してくれ。私が、必ず力を貸してあげるからな」
「はい!その時はよろしくお願いします」
煙緋の言葉に笑顔を浮かべて、忍は頭を下げた。
「すみません!!そこの荷車!!止まってください!!中身を確認させてください!!」
「おい!!またかよ!?璃月港の入り口で既に千岩軍の検問は受けたんだぞ!?これ以上何をするつもりなんだ!?」
「すみません!!ですが、もう一度荷台の確認だけはさせて下さい!!現在、璃月七星の玉衡“刻晴”様によって出されました璃月全土を対象とする“戒厳令”に従い、璃月港内の物資の輸送等に関しては、積荷や身分証明等の検査を厳しくしておりまして……」
「くそっ……、仕方ねぇ!!ほれ、さっさとしろ!」
「ありがとうございます。では、失礼して」
「すみません、失礼します。早めに終わらせます。おい、俺はこっち側やるから、そっち側を頼む。手早くな」
「はっ、了解しました」
突如、聞こえてきた男達の会話の内容に、思わずそちらに視線を向けた煙緋と忍。彼らの視線の先には、停車している大きな箱型の荷車を取り囲むようにしている複数の千岩軍の兵士達の姿があり、どうやらその荷車の中身を確認しようとしている様だった。
「ほぉ、また千岩軍の検査か」
「あの人達も大変ですね…。朝早くから、こんな慌ただしく……」
そんな事を言いつつ、二人は少し離れた場所でその様子を眺めていた。
「…本当に、今日は千岩軍の兵士達がいつもより出て、そして忙しそうですね」
忍は改めて周囲の様子を確認する。すると、普段よりも多くの兵士が街中を駆け回っていた。
「うむ、そうだな。…今朝のあんな大騒ぎ。『璃月七星の天権、“凝光”が暗殺未遂に遭って、意識不明の重体』って話が璃月港中を駆け巡ったからな。当然といえば、当然だろう。…まぁ、最終的にはこれは演習であるから心配する必要はないという事だし、そういうお触れも本当に出したのだから、間違いない…本当に良かった、安心したよ」
煙緋は胸を撫で下ろしながら安堵の息をつく。
いつもなら、朝方の煙緋法律事務所は比較的静まり返っているのだが、今朝は外がとても騒々しく、しかも千岩軍の兵士達が只事ではない雰囲気で走り回っているため、事務所内の雰囲気もどこかピリついているのを煙緋は感じ取っており、そしてその極めつけが千岩軍の兵士達が叫んでいた『とにかく、まずは璃月港の出入り口を全て封鎖しろ!!詳しい事は知らんが璃月七星の天権“凝光”様を暗殺しようとし!!あまつさえ、あの御方を意識不明の重体に追いやった犯人が、この璃月港内を逃亡中だ!!万が一、その者が璃月港内からモンドやスメール、フォンテーヌにでも国外逃亡などされたら、大変な事になるぞ!!絶対に犯人を逃がすなぁ!!急げぇ!!急げぇえ!!』という言葉であった。
この言葉を聞いた煙緋はおろか、商人達や璃月港の住民達は皆一様に顔を青ざめさせ、更にはそれが原因で街全体が殺気立っていたり、騒乱に巻き込まれそうになったりと、とにかく今朝の璃月港の街は大混乱に陥っていたのだ。
ただ幸いにも、直ぐに別の千岩軍の兵士達や月海亭の職員達、璃月七星が管轄している七星八門の総務司等の公的機関から『この件は全て演習である』という正式発表があったため、街の住民は少しずつであるが落ち着きを取り戻していったのである。
「確かに、それを聞いて私もほっとしました。……璃月で、まさかそんな事が起きてしまうなんて、とても思いませんでしたし信じられなかったですしね」
「全くだ」
煙緋は忍の言葉に同意するように首を縦に振る。そして改めて慌ただしい千岩軍の兵士の様子を見ながら口を開く。
「しかし、あれだけ慌てているとなると、千岩軍が総出で捜索、いや演習を行っているのか?それにあそこにいる者達のそれら…」
煙緋は忍と歩きながら千岩軍の兵士達の様子を伺う。
璃月港にいる彼らの装備にはそれぞれ違った特徴があった。
例えば怪しい者達や気になった者達に声をかけ続けている兵士達は剣や槍を手にしているのだが、その役割ではない兵士達、具体的には桟橋や船着き場などを担当している兵士達は璃月港の上空や周辺の海上を警戒するように空や海の方に顔をむけており、その中の一部の兵士達が手にしている茶色の細長い筒や双胴になっている筒のようなものを手にしていた。
「…あれは“単眼鏡”や“双眼鏡”か?」
煙緋はそう呟く。それの正体、それはテイワットに現存する国家の中でも有数の機械技術を有している技術国家フォンテーヌの“単眼鏡”や“双眼鏡”。
即ち、水神”フォカロルス”が管理する領域であり、“正義”という理念を掲げている、他の六国より発達した法制度と司法の下で厳格な統治が敷かれている法治国家でもあるフォンテーヌより、璃月の千岩軍向けに輸出された物の一つである、フォンテーヌ製の“単眼鏡”や“双眼鏡”を手に取っていたのであった。
「…ふむ」
煙緋は改めて考える。
あのフォンテーヌ製の単眼鏡や双眼鏡は主に千岩軍の兵士達が遠方の監視、探索や索敵等に使用されるものであると推察できる。そしてそれと同時にあのとてつもなく高価である筈のフォンテーヌ製の製品を、フォンテーヌ製の製品である単眼鏡や双眼鏡を大量に輸入した璃月の経済力、そしてそれを決断した璃月七星達の懐の深さに感心した。
煙緋は現在、璃月の有名な法律家として活動しているが、それ以前は一流の法律家になるべく、日々あらゆる法律に関する勉学に明け暮れており、その過程で法制度や司法制度の先進国とも言えるフォンテーヌの法律や実際にフォンテーヌを訪れた経験もある。
その過程でフォンテーヌ製の機械も見たりしたのだが、煙緋は決して機械技術に精通してはいないのでよく分からない事が多いものの、そのフォンテーヌの機械技術の水準の高さには目を見張るものであり、それと同時にその機械の価格もとんでもない額であったことも記憶に残っていた。それ故、先ほど見た単眼鏡や双眼鏡をきっかけに、かつて煙緋がフォンテーヌを訪れた際のあの機械達を思い出したのだ。
そして現在の演習の設定上、意識不明の重体であるために動けなくなっている天権である凝光の代わりに、玉衡の刻晴の指揮下にある千岩軍達が現在追いかけている、暗殺犯役としてモンドに国外逃亡した“彼”曰く、璃月の今後の未来の為、いずれ来るであろう“人間が統治する時代”という未来への一種の投資として、名高い機械技術力を持つフォンテーヌ製の製品や武具を千岩軍向けに輸入を行い、輸入されたそれらを千岩軍で新たに創設したそのフォンテーヌ製の技術製品等の実験・検証部隊の創設、並びに璃月七星が管轄している現在の七星八門の業務や職務にも、この事を反映させたりしているとの事らしい。
つまりは、今の璃月七星の方針の一つとして、まずはフォンテーヌの技術を輸入することで、その技術を吸収し習得させる事によりその習得までの過程でその技術そのものや、その技術に付帯する概念や考え方等の中で自分達に合っているものや必要になりそうなもの、それらを璃月七星や千岩軍は取り入れていこうと考えており、場合によってはそれらを軍事転用等を行ったりすることで、更に自分達流のものへと発展させようとしているのではないかと、煙緋は考えたのだった。
「なる程な……にしても……まぁ、災難であるな。“瞬詠”にとっては……」
煙緋が独り言のようにポツリと呟くと同時に、そのある意味機密事項、下手すれば最高機密かもしれない輸入したフォンテーヌ製の製品までをこの演習に用いてきた千岩軍に、彼らのこの演習に対する本気度を察し、そしてそんな彼らに演習とはいえ逃亡犯として追いかけられる“彼”こと“瞬詠”に少しばかり同情し、同時にこんな状況で逃げる羽目になってしまった瞬詠の不運さを思った。
「…そう言えば、煙緋先輩」
すると、そんな時、忍が不意に煙緋に話しかけてきた。
「ん?どうした?」
「はい、実はふと気になったのですが、モンドに逃亡した逃亡犯役である彼、瞬詠と煙緋先輩って一体いつからの関係なのですか?少し気になってしまいまして」
「あー……そういう事か。ふむ……そうだな」
忍の言葉を聞いた煙緋は顎に手を当てながら考える。確かに言われてみると、確かに煙緋と瞬詠はいつからの関係だろうか?と、煙緋自身も改めて考えてみた。
「…そうだな、忍さん。まず彼との初めての出会いは甘雨先輩が瞬詠を連れて私の事務所にやってきたのがきっかけであったな。それで__」
そうして煙緋はゆっくりと思い出すように、語り始めたのであった。
次回は煙緋の台詞通り、彼女目線の甘雨・瞬詠回です。
尚、アンケートの件ですが、アンケートは前書きにある通り設定集・作品で使われた考察集に関わるものについてです。
現状、瞬詠のプロフィール設定やその他に関する設定集に加えて、感想から需要のありそうだと判断した作者的神の目の考察(内容のサンプル自体は【全てを思い出した時、狼少年の背中に“それ”が現れた件について】の後書き)やガイアとカーンルイア関係等の原神で公式・正式設定では無い、推測・憶測で使用した本作の設定(詳細は【狼少年は見届け、北風騎士の前に“彼ら”が姿を現した件について】の本編と【北風騎士・闇夜の英雄・裏切り者“達”はアビスの使徒達と相対した件について】の後書き)に関する考察集をどのように展示するかにするという事です。
当初は、本編第一幕の前に設定・考察集の章を作って一纏めにしようと考えたのですが、各幕事に明かされた設定や考察設定を一纏めにして最後尾に置くことで、ストーリーと連携させる。若しくは、こういう考察関係は地雷の人もいる可能性があるので、それを考慮してその考察設定集のみに関しては本作品のあらすじの所で“チラシ裏”にある考察集にアクセスできるようにし、設定集のみを本編第一章前か各幕最後尾に置くという幾つかの方法の案を考えました。
その為、どの案が良いか皆様にお尋ねしたいのでアンケートを取らさせて頂きます。
期限は次回投稿の直前とし、今のところは実際の反映を次回の分の投稿後から次々回の分の投稿直前の間に行おうかと思っています。
そのため、またになってしまいますがアンケートのご協力をよろしくお願い致します。
―――
◎解説(本作と原作の違いの件について)
・久岐忍について
→本作品の久岐忍は鎖国令の為に稲妻に帰国できずに璃月に滞在しておりますが、原作では鎖国令発令前に稲妻に帰国しています(忍の“神の目”にある文章の“「目狩り令」の時、久岐忍は自らの意志で神の目を渡した。”という記載内容から)。当初は純粋に帰国に間に合わなかったと作者はそう認識していたのですが、その文章を見逃しており、その間違った設定を元手におおまかな番外編のストーリーのプロットを築き上げてしまいました。その為、もう一度再構成となると時間が掛かりすぎてしまいますので、“オリジナル設定・オリジナル要素”として忍を引き続き、煙緋の後輩兼助手として行動を共にさせていきます。
追記1
・アンケート設定が誤っていたため前回のアンケートが反映されていましたので、設定の修正を行い正しいアンケートに修正しました。
追記2
・九条“裟”羅を九条“紗”羅と書いてしまっていたため、修正を行いました。“円周率で猫好き”さん、誤字報告ありがとうございます。
追記3
・文字間隔の調整を行いました。
“設定集・考察集”の展示方法はどのようにしたら良いでしょうか?
-
設定・考察集:第一幕の前
-
設定・考察集:各幕の最後尾
-
設定集:第一幕の前_考察集:チラシの裏
-
設定集:各幕の最後尾_考察集:チラシの裏