約13もの鎮守府が合同で敵の本拠地を掃討したため、人類と深海棲艦の戦いは終止符を迎えたはずだった。
しかし、その後も深海棲艦は大きな司令塔的存在こそ確認されていないものの未だに増え続け、艦娘は日々戦いに明け暮れていた。
だが、海軍側が新たに立案した戦闘方法により、轟沈数や大破数は大きく減少していた。
あの戦いのあと、私は深海棲艦として多数の艦娘や提督に目撃されてしまった為に軍法会議にかけられたが提督の必死の弁護の末、提督の辞職といった形で騒動は収まった。
私もすぐに軍を脱退して、提督と二人暮しを始めた。
幸いお互い貯金は有り余っていた為何不自由なく生活できた。
数ヶ月も経たないうちに私は提督のプロポーズを受けた。
断る理由など微塵もなかった。
艦娘と提督の結婚は珍しいことではなかったが、話が大きくなってしまい、結婚式当日は多くの軍関係者や友人が集まる形となってしまった。
その夜私達は一夜をともにした。
次の日私達は途中で花を買ってから鎮守府へと向かった。
本来なら民間人は入れないのだが、現在の此処の司令官は元々提督の同期で親友だったので特例ですんなり通ることができた。
懐かしい人や艦娘達と会ってたくさん話をしたが私達にはこの鎮守府へと来た目的があった。
鎮守府の外れの丘を登り、桜の大樹の根本まで来た。
そこには、石碑が静かに佇んでいた。
数々の轟沈者を出したあの戦いの慰霊のための石碑だ。
私達は目を瞑って黙祷をした。
色々な思いや懐かしい思い出が目の前に浮かぶ。
目を開けてそっと石碑に花を添えた。
また、来ます。
そう呟いた。
…………
数カ月後、ある吉報が届いた。
私はすぐさま連絡を入れてその場所へと向かった。
大湊警備府。
初めてくる場所だった。
門の前に行くと憲兵達に何か用事があるのかと聞かれた。
ここの司令官に会いに来ました、というと話は聞いている、身分を証明出来るものは?と簡単なチェックだけで優しく司令官の場所まで案内したくれた。
途中すれ違う艦娘達の多くは何事だ、誰だと行った視線を送ってきていたが憲兵たちの持ち場にもどれとの一喝ですぐにどこかへ散っていった。
司令室の前まで来ると、憲兵は自分はこれで、と言ってすぐに戻っていった。
ノックをする。
緊張で胸の鼓動が早くなっているのを感じた。
どうぞという女の人の声が聞こえた。
扉を開けるとそこには軍服を着た階級は…大佐だろうか?女性の司令官と横に、軽巡の天龍が座っていた。
横に立っていた大淀が私に座るように促した。
失礼します。
と言って静かにソファーに腰掛け、司令官の方へと目線を向ける。
司令官が口を開く。
「まず、お互い自己紹介から始めましょうか。私は大湊警備府、司令官の冬原と申します。こちらは、軽巡の天龍。」
「軽巡、天龍だ。」
無愛想な自己紹介だなと私は思った。
しかし、このあとの話題を考えると仕方がないのかなと思い直し私も口を開いた。
「元、舞鶴鎮守府所属 秋月型3番艦 涼月です。本日はよろしくお願いします。」
司令官「それで、ご要件は…こちらに在席していた第六駆逐隊のメンバーについてだそうですが…」
そこから、私はありのままのことを語った。
あの子達に救われたことを。
守れなかったことを。
そして…
私のせいで沈んでしまったことも…
司令官の目が徐々に見開かれていき、顔が驚きの表情と悲しみの色で染まった。
話し終える頃には天龍さんも、司令官も両方泣いていた。
「私は、あの子達に救われたました。生きる意味を思い出させてもらいました。なのに…私は守ることができなかった…」
司令官「いえ…涼月さんは悪くないです…あの子達は本当に優しい子達でした…それに私はそのことを知りませんでしたがあの子達は鎮守府でも本当に楽しそうでしたよ。」
司令官「それに…あの子達も出撃するときは艦娘です。覚悟を持ってないと戦えません。教えてくださり…ありがとございました…」
彼女は泣きながら第六駆逐隊が帰ってこなかったときのことを教えてくれた。
心配のあまり寝込んでしまったことも…
毎日どこかで生きていてくれるんじゃないか、そう信じたかったそうだった。
私は持ってきた鞄の中からあのとき回収した遺品を司令官の方へと差し出した。
それを受け取った司令官と天龍は声を上げて泣いていた。
天龍もまた、彼女達と仲が良かったのだ。
鎮守府を出た私は帰路へとついた。
戦争とは悲惨だ。
得る物など一部の人間にしかない。
私は多くのものを失った。
失いすぎた。
だが、それでも私は生きる。
本当の完結