ウィザーディング・ロイヤル 古き王家と穢れた血   作:ただの杖振り

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シュロモ・メルフォティート
マーリン勲章大勲等(予定)、サンダーバード勲章第一級勲章(予定)ソロモン勲章大叙位旭章、エジプト・フェニクス勲章勲1等→後にエジプト魔法大臣と同等の勲特等が授与される予定。
エルサレム魔法王継承権第一位継承者、国際クィディッチ競技連盟名誉会長、マグラメント議会総帥、エジプト魔法省特別諮問魔法使い



今世紀もっとも偉大な魔法使いと、もっとも尊い魔法使いの密会

 クィディッチとは、魔法界において広く愛される普遍のスポーツのことである。その人気たるや、国境を超えて東は極東の日本国魔法コミュニティ、西は合衆国魔法コミュニティまで世界中の魔法使いたちを魅了してならない。

 遠く離れたエルサレム魔法社会ですら、クィディッチが流行ってるのだからその人気は世界的といえる。  

 

 さて、そんなクィディッチだがシュロモも実は密かに熱中している。箒どころか絨毯の才能すらないシュロモだが、見る分ならクィディッチ愛好家と言っても過言ではない。

 だから、マルフォイに寮対戦のクィディッチを見ないかと誘われてシュロモは非常に嬉しかった。しかし、そこでシュロモはある問題に直面したのだ。即ち、ハーマイオニーのいるグリフィンドールを応援しハリーを応援するのか、それとも我らがスリザリンを応援しするのか、である。

 彼女と友人の属するチームを応援するのは吝かではない。ないのだが、親友と母寮を応援するのもやってみたい。だからシュロモはどっちにも付かないで、純粋にクィディッチを観戦することにしたのであった。

 ちなみにこのどっちつかずの対応に、シュロモの関係者は賛否両論の感想を漏らしたという。

 

「君らしいといえばらしいか」とはマルフォイの感想で。

「……優柔不断ね」とはハーマイオニーの苦言である。

 

 

 

 クィディッチの競技場は、狭い校内とは言え中々に広くそして熱狂に包まれていた。

 グリフィンドール対スリザリンの試合は寮の特性が如実に出ていた。正々堂々、騎士道精神のプレイの獅子寮グリフィンドールと、勝利に貪欲で狡猾なプレイを繰り広げる蛇寮スリザリン。相反する、二つの寮の対戦は泥臭く熱い。

「流石はスリザリンだね。蛇寮だけあって粘り強い」

「そうだろう? 蛇はすべてのことに手を抜かないんだ。栄えあるスリザリンは常に勝利に貪欲であれ」

「素晴らしい訓戒だ」

 

 と、雑談が弾んでいた所で、事件は起きた。

「ハリーの箒の挙動、可笑しくないか?」

「……確かに。おかしいな」

 

 シュロモとドラコの目と鼻の先で、まさにハリーの箒がおかしな動きを見せたのである。突如として、制御を失い、暴れだしたハリーの箒。それはまるでハリーを振り落とそうとしているようにも、ハリーを殺そうとしている様にも見えた。

 シュロモはさっとハリーに向かって手を掲げた。少なくない日々を共に過ごしたドラコは、シュロモが魔法を使う気であることに気付き、行動を咎める。

 

「何するつもりだ?」

「呪いを解いてみようかなと」

「何で君が?」

 友が、不倶戴天の天敵ハリーを助けると聞き、ドラコは露骨に不機嫌になった。

「誰か死ねば魔法省が俺の近辺にしゃしゃり出てくる。闇祓い(オーラー)に纏わり付かれた学校生活を送るのは君も嫌だろう? 私は、嫌だ」

 ただでさえ、ロンドンに滞在していた時、シュロモの近辺で厳戒態勢が敷かれていたのだ。シュロモの近くで、それこそハリーが死ねば間違いなく英国魔法省がしゃしゃり出て来るに決まっている。

 そうすれば、シュロモが夢見るゆったりしたスクールライフをおくれなくなる。最もな理由で、早口にまくし立てるシュロモ。ドラコのシュロモを見る目は冷ややかだ。

「本音は?」

「ハーマイオニーにかっこつけたい。……それと、私の呪文が何処まで通用するか試してみたいというのもある」

「まったく君という奴は……」

 

 極力、ドラコを視界の端に追いやり、シュロモは呪文を唱える。

「フィニート・マレディクティオ(呪いよ終われ)」

 フィニートの呪いに限定した最上位呪文であったが、ハリーの跨がる箒に変化はない。相も変わらず暴れ牛の挙動だ。

 聞いていない……というよりも。

「……弾かれた?」

 シュロモは空かさず、手を握って開く。すると掌の中に、金色の鱗粉を纏う杖が現れた(・・・)ので、シュロモは杖を握り締めて。

 

「レヘラヘム・クララ(呪いよ失せよ)」

 

 杖の先から光が迸り、白の光線が放たれる。放たれた光線が、ハリーの箒に吸い込まれる様に当たるも、呪文は箒の表面で弾かれ霧散してしまう。

 

 わかってはいたことだ。箒という高度な魔法が掛けられた道具に干渉するのに並大抵の魔法では適わない。闇の魔術、それもかなり高度な術でないといけない。

 杖無しでは解除出来ず、杖を使い上位の呪文を唱えても解除出来ない。シュロモの力量は1年生としてはずば抜けていても、まだまだヒヨッコの域を出られずにいるのだ。

 力量不足を痛感したシュロモは素直に観客席を見渡す。術者を見つけ出し直接叩けば、呪文は止まるはずだ。

「クィリルか、寮監か……」

 怪しいのは二人に一人。じっと瞬きすらせずにハリーを睨みつけるスネイプ教授を怪しむべきか、それとも同じくハリーを一心に瞬きせずに見つめるクィレル教授を疑うか。

 片やハリーを嫌う者で、片や授業すらままならぬ臆病者。瞬時に考えを張り巡らせたシュロモは狙いを定め、杖を構える。

「ヴェンタス(吹き飛べ)」

 杖の先から風が巻き起こり、旋風になるとクィレル教授を吹き飛ばした。途端に止まる箒の挙動に、シュロモは胸を撫で降ろす。シュロモの勘は正しかったのだ。

 その直後にスネイプ教授の座る近くでボヤ騒ぎが起こり、シュロモは思わず吹き出した。近くで栗毛を見たからだ。

 

 ハーマイオニーですら迷わずに疑ってしまうとは、我らが寮監の人望は思ったよりないようだ。

 

 

「スネイプ教授、折り入ってお願いがあります」

 

 奇しくもグリフィンドールに敗けた、夕方のこと。シュロモは、スネイプ教授に紙切れを手渡した。

 

 

―――――――

 

 

 

 その日の夜、シュロモはある魔法使いの元に訪れた。

 その魔法使いは、シュロモと同じく不死鳥を飼っている。

魔法使いは、シュロモと同じく不死鳥を飼っている。

「君とはこうして、直接会って話しがしたいと思うておったよ、ミスター・シュロモ」

 

 マーリン勲章勲一等。大魔法使い、大魔法戦士長、そしてウィゼンガモット会員及び主席魔法戦士。そして国際魔法使い連盟最高魔法指導者という華々しい肩書きを持つ、グレート・ブリテンでもっとも偉大な魔法使い。

 

「俺としても会って話がしたかったですが、こう言う形になるとは思ってなかったです、アルバス」

 

 アルバス・パーシヴァル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア。ホグワーツ魔法魔術学校現校長その人が、半月メガネを奥で目を柔らかく細めて笑顔でシュロモを歓迎するのであった。

 

「さて、今宵はこの老いぼれに抗議したいことがあるようじゃの? スネイプから聞かされておるよ」

 青い目で、シュロモをじっと見つめるダンブルドア。シュロモも、ダンブルドアから目を逸らさず睨み付ける。

「ホグワーツの警備体制について、厳重な抗議を。ハロウィンにはトロール、そして今日は競技用の箒を狂わされるほどの術者が校内にいることが判明しました。一体全体、警備はどうなってるんですか?」

「まったくもって耳が痛い話じゃの。じゃが、事態は儂の想定を超えておらん」

「……では明らかに教授として不適格な点があると知りながら、敢えて教授に雇用し、そのままでいると認めるんですね?」

「ほう。君が不適格と思う教授の名を聞かせて貰えるかの?」

 ここで初めてダンブルドアは目をすっと細めた。

 気のせいか空気が張り詰めている気がする。だが、シュロモから放たれている気迫も引けを取らない。

「……クィリナス・クィレル。図書室の利用履歴を遡ったところ、彼は学生の頃、相当闇の魔術に傾倒していたようだしまず間違いないでしょう。彼がハリーの箒に呪いを掛けていたところをこの目で見ましたしね」

「正解じゃ。クィレルは休暇中にとあるモノと遭遇してもうての……そこからおかしくなってしまったのじゃ」

「彼を解雇するつもりは無いのですか? その権限が貴方にはあるでしょう?」

「事態は儂の想定から外れておらぬ。それで手打ちにしてはくれないかの?」

「俺はアルバス、貴方を信じたからこそマクシームやカルカロフの誘いを蹴ってホグワーツに来たんだ。我らが一族と縁あるこの城で魔法を学ぶ為に。なのに、俺の信心に対しての返事がこれなら余りにお粗末ですよ」

 怒りに塗れたシュロモの言葉に、ダンブルドアは眉一つ顰めることはなかった。

 シュロモが本当は何に対して怒っているのか、知っているからだ。

「君が何を恐れておるのか儂には検討がついておる。その上で言わせてもらうがのシュロモ。君が恐れる事態は来ぬよ」

「その根拠を示せと俺は言ってるんですが?」

 堂々巡りの問答に、苛立ちが抑えられず言葉に、明確な怒りが込められる。

 しかし、半月メガネの老魔法使いは、若人の激情を穏やかに受け止めた。

「君が居るからじゃよ。彼女には、あらゆる危険から守ってくれる騎士が付いておる。そして然るべき者以外に危険が降り注ぐことが無い様、儂が万全な準備と体制を整えたのじゃ。信んじられぬか?」

 ハーマイオニーがどんな危険に遭おうと、シュロモが守ってくれる。

「亡き妹君に誓えますか?」

 亡き妹、のところで一瞬ダンブルドアは息を呑んだが、

「君が大切に思うておる娘に、一切危険が及ばぬよう最善を尽くすことをアリアナに誓う。そして儂の名誉に懸けて君が命を落とすことが無い様に儂はあらゆる手を尽くそう」

「……魔法省に訴えるのは取り止めにします。それにハーマイオニーたちに漏らすのも。まったく、俺をアテにするなんてアルバスはどうかして……何がおかしいんですか?」

 ハーマイオニーが無事な根拠に、シュロモをあげるなんてどうかしている。だが、ダンブルドアに認められてるようで嬉しくもあり、シュロモは複雑な気分になった。

 ふと顔を上げると、にまにました顔でシュロモを見るダンブルドアと目が合った。シュロモが詰問すると、ダンブルドアは朗らかな笑顔を浮かべる。

「1年前から随分変わったと思っての。この世の全てを憎んでおった子が今は一人の人間の為に一喜一憂する、これほど好ましい変化はないじゃろう。しかし疑問じゃの。君がミス・ハーマイオニーに並々ならぬ情を向けておることは食事の様子を観察すれば分かるのじゃが、どうしてそうも投げ打てるのか儂には分からぬ」

 その言葉に、シュロモは衝撃を受けた。

 まさか、スネイプ教授がダンブルドアに話していないとは夢にも思わなかったのだ。

「スネイプ教授、寮監から聞いていないんですか?」

「悲しきことにセブルスは儂に君の男女の機敏を教えてくれんのじゃよ。君が無鉄砲である等と言った愚痴なら良く聞くのじゃがのう」

「言葉を飾らずに言うのなら俺はハーマイオニーに恋をしました。彼女は、ハリーの友だと言う。ならば俺は、ハリーの側につく。……夜分遅くに押し掛けたお詫びに1つだけお願いを聞いて差し上げましょう。メルフォティートに出来ることなら何でも致します」

「ならば、彼を付け狙う邪悪な闇の魔法使いの手からハリーを守ってくれんかの? その代わりと言っては何じゃが、儂も3つまで君の願いを必ず叶えよう」

 

 シュロモはダンブルドアの言葉に、深く思慮を巡らせる。3つの願いを何にするか、ではない。

 邪悪な闇の魔法使いと言った理由についてだ。

 

 ダンブルドア程の魔法使いが「邪悪」と呼ぶような闇の魔法使いがクィレルの他に居るのか。クィレルがそうならそうと言えば良いのに、何故ダンブルドアは「邪悪な闇の魔法使い」と個人を限定しなかった? 

 邪悪な闇の魔法使いは個人でない? ハリー・ポッターを狙う闇の魔法使いと言えば、思い当たるのは死喰い人(デスイーター)だ。しかし、犯罪者、悪しき者がそう簡単に侵入出来るかと言うとホグワーツの魔法防御が万全なであるならば不可能である。

 ともすれば当て嵌まるのは……。

 まさかな、とシュロモは否定する。だが、もし予想が当たっていれば、なる程死喰い人(デスイーター)などと名付ける理由も分かる気がする。 

 

「アルバス。ひょっとすると貴方の言う邪悪な闇の魔法使いとやらは、ヴォルデモート卿のことですか?」

 

 シュロモの推測にダンブルドアは、表情を変えない。

 

「おっと、うっかりしてたらこんな時間になってしもうた。若き学生は流石に眠らねばならん時間じゃ。また次の機会にゆっくり話そうかの。シュロモ、有意義な時間じゃったよ」

 

 だが、ウィンクした茶目っ気のある顔が、シュロモの推測が正解であることをこれ以上なく物語っていたのであった。

 

 

 

 目の前が燃え上がったと思ったら次の瞬間。

 

 シュロモは校長室でなく、湖の地下スリザリン寮の自室にいた。強制退室されたのである。シュロモはそのままゆっくりと深い眠りについた。




オリジナル呪文一覧

・強制解呪呪文
詠唱「Finite maledictio(フィニート・マレディクティオ)(呪いよ終われ)」
色 無色 分類:反対呪文
 呪い全般の反対呪文。術者の力量と相性で、効果は大きく変わる。

・闇の魔術を描き消す呪文
詠唱「לְהֵעָלֵם קללה(レヘラヘム・クララ)(呪いよ失せよ)」
色 白い光線 分類:反対呪文
呪い(カース)は確実に、呪詛(ヘックス)は相手の力量次第で消せる。シュロモの祖父が発明した。
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