ウィザーディング・ロイヤル 古き王家と穢れた血   作:ただの杖振り

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※未成年の魔法使用の妥当な制限に関する法令(未成年制限法)※
原文 Decree for the Reasonable Restriction of Underage Sorcery
の作中での扱いと作者なりの解釈。
まず英語を「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令」と訳すのに自分は違和感を覚えるので、本作ではオリジナル訳を使用します。

 本法律は、グレート・ブリテンの未成年魔法使いが、ホグワーツ校の外で魔法を使用を禁止する法律で、国際機密保持法の為に制定されたと思われる。完全に禁止する訳でなく「魔法族の家庭で子供が魔法を使う場合魔法省は親が子供を従わせるのに任す」、とあるので厳密には魔法コミュニティ外での魔法使用を制限しているのだと思われる。魔法族のみで構成された集団あるいは、マグル生まれの場合国際機密保持法の例外が適用される親族内を魔法コミュニティと魔法省は判断し、コミュニティ内での呪文使用を黙認しているのではと作者は考える。 
 そう考えるとドビーや叔母の件で警告が来たのに映画版でハリーがルーモスを使っても警告が来なかった疑問が解決する。「匂い」の正体も、未成年魔法使いの周囲で何処でどんな呪文が行使されたか検知する一種のセンサー的呪文と定義する。「匂い」が作動したのが魔法コミュニティ内ならセーフ、コミュニティ外なら違法行為に適用し警告が来るのだろう。
 どうしても未成年がコミュニティ外で呪文を行使する場合、本人あるいはマグルの生命を守るために止むをえず行使するなど特例を除き、成年魔法使いが魔法不正使用取締局に事前に申請し監督を宣誓することで「匂い」が反応しても無視されると本作では設定する。不死鳥の騎士団ではハリー護送も解決できる。


グレート・ブリテン外出身の場合、母国法で未成年なら法律が適用されるが、シュロモはエルサレム魔法大臣就任が決まっているで、外交特権で法令が適用されない。しかし、本人がエルサレム魔法界での成人である15歳になるまで一切の権限を放棄しているのため適用される。が、しかし、シュロモの場合常時闇祓いが1人以上警護するので申請手続きが省略されて、どこでも呪文が使用できる、という設定。


つまり――何が言いたいかというと。

本作ではシュロモが特急内で魔法を使おうが、非魔法界で魔法を使おうが問題ないのだ!!!!



ホグワーツ特急 (前書きに未成年制限法の作中設定あり)

 野暮用のせいで、キングス・クロス駅に着くのが大幅に遅れてしまったシュロモは、ホグワーツ特急に乗り込むのが時間ギリギリになってしまった。

 急いで乗ったせいで息も上がってるし、とにかく疲れてる。見た感じ、コンパートメント内はどこも満席で何両も見なきゃいけないのかと、軽く絶望しかけた矢先たまたま空いている席を見つけた。

 

「失礼、色々とトラブルがあって列車に乗るのが遅れてしまったんだ。ここに座らせてもらっても構わないかな?」

 

 赤毛でそばかすのある男の子と、くしゃくしゃの黒毛の眼鏡の男の子が二人座るコンパートメントだった。

 

 

 

 ロン・ウィーズリーは、ハリーが座っていいよと促すのを尻目に、目の前の『獅子』に魅入っていた。

 ハリーとは対象的に整えられ黒毛は艶があり光り輝いている。肩まである長い髪を後ろで束ね、ポニーテールにしていた。

 鼻は高く凛としていて、青い目は鋭い意思を感じさせる。

 気品と自信に満ちた佇まいに、引き締まった表情は強い誇りを思わせる。おそらく純血なのだろうけど、こんなに気品あふれる魔法使いはこれまで見たことがない。

「僕はハリー・ポッター。ハリーでいいよ。君は?」

 ハリーが差し出し手を、男の人が握り締める。

「なるほど、君がイギリス魔法界を救った若き英雄か。私はシュロモ。シュロモ・メルフォティート。君と同じ、奇しくも生き残ってしまった男の子だよ」

「メルフォティートってエルサレムの純血の!?」

 ロンは驚いた。ヨーロッパの魔法使いじゃないことは一目で分かったが、現存する魔法界最古の純血だとは思いもしなかったからだ。

 非魔法界でも高名な彼の大魔法使いソロモン王の血を受け継ぐ、最も古い一族。

「あぁ、そのメルフォティートで合ってるとも。それで君は何処の誰かな?」

 シュロモと、そう自己紹介した男はハリーから手を離すと、ロンに手を差し伸べた。

マーリンの髭!*1 あ、ごめん。僕はロン、ロン・ウィーズリー。ロンって呼んで」

 有名人が二人もいることに茫然としていたロンは、ふと我に返って慌てて手を握った。

 

「ロンにハリー、どうぞよろしく」

  

 ハリーの気前の良いおごりっぷりに、シュロモとロンはありがたくご相伴に預かり、3人はお菓子を食べながら談笑していた。そして、丁度エルサレム魔法界について話しているとき、一人の少女がやって来た。

 

 

 

「ねえ、あなたたち。ヒキガエルを見なかった? ネビルのカエルが逃げたみたいなの」

 くしゃくしゃな栗毛の少女は、出っ歯がチャーミングな魔女である。

 小さな魔女は、室内にカエルが居ないか見渡すと、魔女の視線に気付いて”やあ”と言いたげに片手を上げるハンサムな魔法使いと目が合った。

「やあ、ミス・グレンジャー。5日ぶりだね」

「シュロモ! 会いたかったわ!」

 ハーマイオニーは嬉しそうに言うと、勝手にシュロモの隣に座った。シュロモは咎めることはせず、むしろ嬉しそうで、ハリーとロンは少しだけ居心地が悪そうだ。

「色々と話したいことは山々だけど、その前にヒキガエルを探さないとね」

「そうだったわ。ねぇ、貴方はネビルのカエルがどこか知らないの?」

「知らないが、私たちは魔法使いだ。魔法を使えば大抵のことは解決できる」

 シュロモが右手の人差し指をドアに向けて横に振ると、入る時にハーマイオニーが閉めた扉が開いた。初めて見る杖なし呪文(ワンドレス・マジック)にハリーとロンは、とても驚いた様子で、ハーマイオニーは再び見る魔法に目をキラキラと光り輝かせている。

 それが面白いのか、あるいは心地良いのか、とにかく3人のリアクションに気を良くしたシュロモは、気取ったように見せびらかすように右手を掲げるとぎゅっと握り、手を開く。

 すると掌に、金色の鱗粉をまとった杖が現れたではないか。

 その杖は、13センチでとても細く、柄にはキリンと不死鳥が彫られている。

 シュロモは杖をしっかりと握ると呪文を唱えた。

 

アクシオ(来い)・ネビルのカエル

 

 シュロモ目掛けてヒキガエルが飛んでくる。それをキャッチすると、ハーマイオニーに――、

「これが探していたネビルのカエルかな?」

 と手渡した。

「ええ、そうよ。間違いないわ」

 

マーリンの髭! 君、杖なしで魔法使えるんだ!」

 ロンは興奮した様子で話し掛けてくる。

「どちらかと言うと杖の方が珍しいからね、私の故郷では。と言っても高度な魔法の時は杖を使うけどね」

 シュロモは片目を閉じると恥ずかしそう言う。

「凄くカッコいい杖だね。それもオリバンダ―の店の杖なの?」

 そしてハリーは、シュロモが今しがた仕舞った杖に興味津々のようだった。

「その質問に対する答えはイエスでありノーだ。先祖代々、2000年以上もの昔から受け継いできた特別な杖でね。とても珍しい木を材料に、特別な芯が使われている。初代オリバンダーの作品だよ」

 シュロモは慈しむように杖を撫でた。この杖はシュロモにとって一族の誇りであり、シュロモの誓いの証でもある。手入れを一日たりとも欠かしたことはなかった。

 しかし、知識欲の権化であるハーマイオニーにとっては、杖も気になるが、それよりもヒキガエルを呼び寄せた呪文の方が重要であった。

「ねぇ、シュロモ。これからネビルのところに戻るんだけど、あなたも一緒に来てくれないかしら? さっきの呪文、教科書に載ってないし教えて欲しいわ」

 目をキラキラとさせるハーマイオニーに、シュロモは強く出れない。

 決して、ハーマイオニーと手が触れちゃったから、という理由で断じてはないのだ。

「ハリーとロン。申し訳ないけど、ミス・グレンジャーのところに行っても良いかな?」

「あぁ……、僕はいいけどロンはどう思う?」

 ハリーは少し寂しく感じたけど、楽しそうな女の子の邪魔をするのは気が引けたのでロンに任せることにした。

「うん、いいと思うぜ」

 初対面だけど、少しハーマイオニーが苦手になったロンは、とくに思うことなく頷いた。

「ありがとう。二人と話せてとても楽しかった。二人とも、それじゃ、また」

 ハリーとロンと、握手するとシュロモは席を離れた。

 

 

 

「ごめんなさい。私ったらつい夢中で。良かったの? 私と一緒についてきて」

 

 列車の中、シュロモと並んで歩くハーマイオニーは、しゅんとして謝った。よくよく考えたら、楽しそうに談笑しているのに割って入って、さらに我儘を言って引き離すなんて、なんてことをしたのだろう。

「気にすることはないさ。確かに楽しかったけど、女の子と。それも知的でステキな女の子と話す方が何千倍も楽しいに決まってる」

「あら、ありがとう。そう言えば、さっき聞いたんだけどもう直ぐホグワーツに着くから、コンパートメントに着いたら着替えた方がいいわよ」 

 シュロモの口説き文句に、頬を緩めつつハーマイオニーはスルーした。シュロモは息を吐くようにお世辞を言うのだ。いちいち気にしていたらキリがない。ハンサムに面と向かってステキと言われれば、多少ニマニマしてしまうがそれだけだ。

 悲しきかな、シュロモの本当の言葉は、カッコつけたがりな性格と言動が災いして、ハーマイオニーに届いていなかった。

 

「着替えのことならお気になさらずメシハ―。何度も言うが、魔法使いには――魔法がある。

 

ヴェスティメンティア(服よ)

 今度は杖を出さずに、指を腰から胸までなぞるように這わせながら呪文を唱えた。

 するとシュロモのフロックコートが上の方から、崩れていきみるみるホグワーツの制服に変わっていった。

「シュロモ、あなた凄いわ!」 

 早着替え魔法を見て、当然ながらハーマイオニーは目を輝かせる。

「これも教えてあげるよ」

 ハーマイオニーの純粋な尊敬の眼差しに、シュロモはちょっとだけ照れた。

 狙ったとは言え、女の子からの尊敬の眼差しは男としてとても嬉しいものだ。

 

 

 

 二人は、ホグワーツに着くまでの僅かな時間をとても楽しく過ごすのであった。

*1
魔法界の驚嘆を表現する慣用句。ロンはおったまげーでなくMarlin’s beardと言っているが何故か日本語版では無視してまったく別の日本語に翻訳される。英語圏のOh my godと同じノリ




オリジナル呪文集パート1

①扉を開ける呪文
詠唱 「Aperi ianuam(アぺーリ・イアヌアム)(扉よ開け)」
色:白 分類:チャーム
 扉を開ける呪文。鍵がかかってる場合は鍵を解除してからでないと意味がない。非常に簡単な呪文故に、魔法的防御に弱い。反対呪文は、クロウド(閉じろ)。

②早着替え魔法
詠唱 「Vestimentia(ヴェスティメンティア)(服よ)」
色:白 分類:変身術
 服を着替える呪文。完全に着替えるのでチャームではなく変身術に分類される。ただし元の服が消えたわけでないので、いつでも元の服に戻れる。
※ファンタスティック・ビーストの、杖で服装をガラッと変えるシーンがイメージ。というかそれを元にした。
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