盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題)   作:樽薫る

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紅に燃える

 

 空港、滑走路にて直接輸送機を降りるのはロマ。

 遅れてクロトとオルガが、さらに遅れて眠気眼を擦りつつシャニが降りてくる。

 

 ロマの視界に黒いスーツを着た女性が見えて、軽く片手を上げれば会釈を返してきた。彼女も士官学校時代からの付き合いということもあって、ずいぶんと気安い。

 そしてその横には、同じぐらいの付き合いである車。

 後部座席のドアが開くなり、降りてくるのは白いスーツの美女。ブロンドの髪を靡かせ、キラキラと輝く笑顔を浮かべ、その背後に鬼を浮かべているようにすら思える怒気を纏った───ムルタ・アズラエルだ。

 

「お久しぶりです、アズラエル理事。ご迷惑をおかけしました」

「……」

 

 まさかの無言に、ロマは混乱する。だがそれでも、口を開く。

 

「勝手な行動を、それにオーブに機体まで」

「ええ、しかし……言いたいことは、それだけですか?」

 

 ニコニコしているが、明らかに“キレて”いる。

 

 ───なんでこんなに怒ってらっしゃるの!?

 

「帰還いたしましたが……」

 

 言い淀むのはプレッシャー故だろう。誰だって圧を感じるぐらいには激怒しているようで、視線を逸らしてスーツの女性の方を見るが、無言で目を逸らされ、背後からの援護防御は期待できない。

 ともなれば素直に謝罪をするべきなのだろうと、ロマは理解した。

 

「Xナンバーのマイナーチェンジ機とはいえ、オーブに情報まで」

「え、それだと思ってます?」

「……へ?」

 

 思わず、動揺する。マズイと思い、落ち着くために深呼吸。

 あまりにらしくない行動に、スーツの女性が驚くのが横目に入るも、仕方も無いことだ。自らが落ち着いたことをしっかりと理解して、頷く。

 そしてなにかを言おうとするが、アズラエルがほんのりと頬を赤らめ、視線をロマから逸らした。

 

「……ん?」

「いえ、とりあえず帰りましょう。いいですね?」

「ええ、しかし“チェシャ”が」

「別ルートで持って帰りますよ」

 

 目を合わせないままそう言うと、再び車に乗り込むアズラエル。スーツの女性が手をスッと動かしたのを見て、頷くと同じくロマも乗り込む。

 クロトとオルガとシャニの三人は、後ろにやってきた別の車で帰るようだった。

 運転席に女性が乗り込むなり、アズラエルは手元のボタンを押す。おそらく音を遮断したのだろうと理解し、何が起こるのかと“内心だけで”ビクビクとするロマ。

 

 だが、ここでなにも言わないわけにもいくまいと口を開く。

 

「……その、ですね」

「お前ぇ!」

「うおっ!」

 

 ロマ自身、気を抜いているのかもしれない。驚いたとはいえ、ロマがこのようなリアクションをすることもそうは無い。

 基本的に驚こうとも、ロマの“仮面”が剥がれるなどよほどのことでもない限りないのだ。

 

「こっちがどれだけ心配したと思ってんの!」

「お、落ち着け!」

 

 思わず素でそう言うが、二人きりでなによりである。

 

「落ち着けぇ!? 貴方よくほざきやがりますね!」

「待て待てっ、本当に申し訳ないと……し、しかしオーブにあの程度の情報が与えられたところでっ」

「そっちじゃないって言ってんの! 心配したって、言ってるでしょ!?」

 

 それで察せるほどできた男ではない。ではなかったはずなのだが……アズラエルの顔は真っ赤だし、涙目だしで、さすがに長々と共にいた相手のことを理解できないロマではなかった。それほど“人間離れ”していない。

 故に、ロマは静かに息を吐いた。

 

 ゆっくりとしたその動作に、アズラエルも落ち着きを見せる。

 

「私の……俺の帰る場所はムルタ、貴方の元だけですって、そう言ったでしょう。帰ってきますよ」

「だから、心配するなと?」

 

 ジトっとした目で見られて、思わずサングラスの奥で視線を逸らす。だが、即座にアズラエルによってそのサングラスが奪われ、顔を吐息を感じるような距離まで近づけられたことにより、ロマは思わず赤面する。

 所詮は小僧、坊やなのだ。

 

「そうは言わんさ。俺は弱いからな。それでも帰ると言っている。それに嘘はないさ」

 

 弱くは無い。だが、それでも……。

 

「さらに、だが……貴女の隣を歩いていいのは、俺だけ、なんだろう?」

 

 そう言いながら、その青と赤の瞳を真っ直ぐにアズラエルの青い瞳へと向ける。

 アズラエルの赤い顔がさらに赤く染まっていくが、決して瞳は逸らさない。

 

 ―――ぐおっ、アズラエル理事はいま、俺を試しているっ! だが、捨てられるわけにはいかぬっ!

 

 明後日の方向に努力する男である。

 

「わ、わかってるなら……それでいいですからっ」

 

 バッ、と視線を逸らし真っ直ぐ前を向いて、腕と足を組むアズラエルは赤い顔で冷静さを装う。

 

「……次はなしですよ。私、なにもできないまま貴方失うの、凄い……その、損失なので」

「ああ、わかってる。しかし、伊達に君の懐刀と言われてないさ」

 

 そう言って正面を向き、口元に笑みを浮かべるロマ。そんな彼を横目で見つつ、アズラエルはため息を吐いた。

 

「ホント、わかってないですね」

「ん、なにがわかってないって?」

「黙って反省しといてください」

「……はい」

 

 ―――アズにゃんつめてぇな……。

 

 

 彼女とのやり取りに懐かしさを覚えて、やはり酷く安心をしているのか再び眠気が襲う。

 欲に負けてゆっくりと目を閉じていると、薄れ行く意識の中でアズラエルがいる方の腕に少しばかりの重みを感じるが、別段気にすることも無く、その穏やかさに意識を委ねる。

 

「ほんと、心配ばかりかけて……」

 

 すぐ傍から聞こえる声も、微睡の中に消えゆく。

 

 そして車は真っ直ぐ、帰路を行く。

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 オーブの工場にて整備されているジン・アイズには変化があった。

 本来装備されていた両前腕が外され、代わりにプレディザスターのものが装備されている。シルエットはだいぶ変わっており、異様に長いその前腕が異形感を増していた。

 

 そして、そんなジン・アイズのコックピットから出てくる影。

 現れたのはオーブの作業服に身を包んだハイータであり、彼女は狭いコックピットに長い間いて窮屈だったせいか、勢いよく背を伸ばす。

 もちろんその豊満な胸が張るので、集めるのだ……視線を。

 

「ん~っ」

「おい、もうちょっと気をつけろよ」

「へ、カガリちゃ……さま」

 

 ジトっとした目でハイータを見たのは、いつの間にやら横にいたカガリ・ユラ・アスハ。

 

「“さま”はやめろ、“ちゃん”でい……いや良くない。普通によべ」

「普通に呼ぶと“ちゃん”なんですけど、やっぱり“さま”しか」

「……じゃあ、“ちゃん”で良い」

 

 そんなに“さま”付けが嫌なのかと、ハイータは小首を傾げた。オーブの姫なのだから当然とは思うが、ハイータはあまり言及しなかった。

 カガリについて特に“変”な人、という認識なのはレジスタンスに入ってドンパチもやっていたからこそだろう。

 とりあえず、ハイータは話を戻すこととした。

 

「ところで、気をつけろって?」

「いや、お前その……ほら、大きいだろ」

「……身長が?」

「いや乳だよ! 胸! 見られてるって!」

 

 食い気味に突っ込むカガリに、ハイータがビクッと驚いてから胸を押さえる。

 

「え、えぇ~そんなこと言われてもぉ、私なんて誰も」

「お前もうちょっと自覚持てよ」

 

 そう言われても、どうにもこうにもである。ナチュラルまみれの場所にいればコーディネイターは容姿がすぐれていて当然という考えもあり誰も口にしなかった故、だろう。

 見た目を重視していなければコーディネイターと言えどそれほど極端に容姿端麗とはいかないのだが……。

 

「ま、まぁ見た目の話は良いじゃないですか……セクハラ、ですよ?」

「セクハ……ってなんで私がそんなこと言われ、違うだろ今のは!」

 

 良いリアクションが返ってくるのがおかしいのか、ハイータが楽しそうに笑う。

 

「まぁ、ロマ君ったら、ほんっと~にたまにですけど良い反応してくれるので、これはこれで」

「ロマ、あいつなぁ……」

 

 どこか遠くを見るカガリに、ハイータがハッとする。

 

「……あげませんからね?」

「いやちげぇよ! そうじゃなくって、なんていうか……キラもどことなく、寂しそうだなって」

「ロマ君、すっかりお兄ちゃんでしたからねぇ」

 

 そう言いながらハイータはロマとその妹分三人を思い出す。

 あの三人娘とアズラエルとロマ、揃っていると家族のようにも見えて、疎外感を感じもするが、それ以上に心が温かくなる感覚をハイータは覚えていた。

 その中に、自分も違和感なく入れていれば良いと思う。近所のお姉さん的な立ち位置でも良い……。

 

 ―――いえ、どうせなら不倫愛人枠でも可。

 

 ハイかローかのテンションの違い、薬が無くても頭は多少イッちゃってるのがハイータなのである。

 

「そう、なんだよな……なんか、兄貴っぽいんだよな。いたことはないけど、さ……」

「……え、妹ポジションに収まるつもりですか!?」

「な、なに言ってんだお前!?」

 

 カガリの猛抗議、ハイータの誤解。

 

 そんな姦しい二人を、離れた場所から見ているキラとムウ。

 

「いいねぇ、こっちまで元気貰えるよ」

「ムウさん、なんだかおじさん臭いですよ」

「う゛っ」

 

 ムウは顔をしかめた。

 

 

 

 

 

 

 いつもの研究所、というよりすっかりアズラエルの別荘。

 

 仕事もなんでもここでほぼこなすものだから、ほぼ職場と言っても過言ではない。そんな場所で、ロマは本日の仕事であるシミュレーターをこなした。

 撃墜音と共に画面が暗転、立ち上がったロマがいつも通りに微笑する。

 

「フッ、こんなものか」

「やられてるじゃないですか」

 

 隣にいたアズラエルの言葉にも、ロマは表情を変えない。

 

「あの三人が相手ではこんなものだよ」

 

 クロト、オルガ、シャニの三人を同時に相手、“原作”でキラすらできなかったことをできるわけがないという圧倒的な説得力。しかして、ロマはそれを口に出すことなどできない。

 実際に誰もその三人を同時に相手などできはしないのだが、ハイータがいい線を行ってしまうのでロマとしては立つ瀬がない。

 

 しかし、三人娘を相手に勝つことができないなど、アズラエルはわかっている。そこではないのだ……。

 

 ニヤリと笑みを浮かべたアズラエルがロマの顔を覗き込む。

 

「えぇ~? はっや~い、前より全然撃墜時間早いですよ~散々戦ってきたくせにぃ~?」

 

 ―――懐かしいなメスガキムーブ! この三十路!

 

 口が裂けても言えない。

 それに負けたのはやはりシミュレーションをしばらくしていなかったというのもあるだろう。実戦とソレとではロマの戦い方はあまりに違いすぎるし、そもそも感覚に頼った戦い方になってしまっている。

 至る所で、シミュレーションでの戦闘では能力を発揮できない要素が多すぎる。

 

「まさかぁ実戦じゃないからとか言いますぅ~?」

 

 ―――う゛っ。

 

 ロマは顔をしかめそうになった。

 

「……まぁ砂漠の虎倒してますからそれも一理ありますか」

 

 意外、それは譲歩。アズラエルがまさかの納得、さすがのロマも言葉を失った。少しこのメスガキムーブが嫌いではないロマがいた。

 もちろん、そういう趣味があるわけではないが……。

 

「なんですか、意外でした?」

「いやまぁ、言い訳はしませんが……フォローを入れてくれるとは」

「私だって貴方のこと、これでも理解してるつもりですよ。貴方、実戦だと背中に目がつくタイプじゃないですか」

 

 否定はしない。悪意を感じ取るという意味では……だ。まぁあくまでそれも、“殺し合いでなければ意味がない”のだが。

 少し離れた場所にあるシミュレーターから、クロト、オルガ、シャニがやってくる。

 ドヤ顔しているクロトに、オルガはどこか不機嫌、シャニはいつも通り。

 

「これまた手酷くやられたよ。これでは隊長は務まらんな」

「ま、隊長はボクらの後ろで守られててくださいよ~」

 

 してやったりな表情のクロトの頭を軽く撫でる。

 オルガが不機嫌そうに腕を組んでいるが、ロマの動体視力をもってすれば、寄せてあげられた胸をチラ見するなど造作もないことである。あまりに早いチラ見、普通は見逃してしまう。

 ちなみにシャニは見逃さなかった。

 

「んな正面きって戦いましょうなシミュレーターで、お前の力を計れるかよ」

「過大評価だな、お前たちならカバーし合うことで私の戦術だけでは勝てんよ」

 

 事実、どんな突飛な戦術や不意打ちをしたところで、目の前の三人を相手にロマは勝つことはできないだろう。故にそう言うが、オルガはどこか気に入らなさそうである。

 視線をシャニに向けるが、彼女は特になにを思うでもないのか、逆に首を傾げられた。

 

「……おにーさん大丈夫? おっぱい揉む?」

 

 ―――揉む!

 

「ふっ、大人を揶揄うものではないな」

「ん、いつでも、いいからね?」

 

 ―――やめろシャニ、それは俺に効く……やめてくれ。

 

「おいシャニ、この痴女!」

「おにーさん相手だとシャニって頭のネジ飛ぶよね」

 

 このままではまた三人が小競り合いを始めかねない。しょっちゅうであるが……。

 

「あ~君たち、よくできましたということでいったん休憩にしましょうか、少し早いけど食事にしましょう」

「おひょ~休憩だって! ラッキー!」

「チッ、いくぞシャニ」

「はぁん、またあとでねおにーさん」

 

 アズラエルの一言により、三人がシミュレータールームから出ていく。お腹でも空いてたのだろうか、食堂に一直線のようだった。

 遅れて部屋を出て歩く、ロマとアズラエルの二人。

 そうして二人で歩くことも珍しくはなく、こういう時は大体アズラエルがいつも話を始めるが、いかんせん今日は雰囲気が違うことに気づく。

 

「プラント評議会の議長、パトリック・ザラで確定だそうですよ」

「ほう、それはまた……厄介なことだな」

 

 彼にはわかってはいたことだ。

 こうなるとアズラエルもブルーコスモスも黙ってはいられないことも理解している。もちろん連合も、だ。確実に歴史は動いているのだから、ロマは“オペレーション・スピットブレイク”が近いことも悟る。

 そしてそうなれば、その前に、“閃光の刻(キラとアスランの決着)”があるはずだ。

 

 戦力が多少増強されていようと、ハイータもいる。問題なくあの二人が決着をつけ、“痛み分け”になればそれでいいのだ。

 

「強硬路線は確定、だな」

「……体調悪いんですか?」

「え?」

 

 思わず、素で返す。この研究所でアズラエルや三馬鹿娘と一緒にいると、ふとした瞬間に素が出ることも珍しくなくなってきている。

 そしてそんな彼に疑問を抱くでもなく、アズラエルは足を止めて手をロマの頬に当てた。

 少しばかり眉が下がっており、ロマは彼女が心配しているのだと理解する。

 

「いえ、だって……なんだか」

「……っ」

 

 理解した。ロマは自身の心がそれほど強靭なものではないと理解しているからこそ、今なぜそうなったのかを理解した。

 彼らが“死する未来”を望んで、導いた自分に対する嫌悪。燃えるような怒り。そういうことだろう。

 しかしそれでも、そういうものを飲みこんででも、導きたい未来があるのだ。

 

「大丈夫さ……話を戻そう」

「ホントですか? 今日はお休みにします?」

 

 ―――めちゃめちゃ心配してくれるなこの盟主、かわいい。

 

「本当に大丈夫さ……それよりブルーコスモスは、大西洋連邦の方針は?」

「あまり変わりませんよ。私は変えるつもりありませんし」

 

 プラントが屈服するまで戦い続ける……量産型MSの開発も進んできているし、当然だろう。

 ロマとしてもここで折れるという選択肢は当然ないと思っている。彼の望む未来であれば、譲歩できて連合の勝利、できるならばアズラエルと三人娘とハイータを生かすという上での原作通りがベスト。そういう考えだ。

 だからこそ、変わらないという言葉を聞いて安心した。

 

「私は、アズラエル理事についていきますよ」

「……二人きりですよ?」

 

 そう言って少しばかり拗ねたような表情をするアズラエルに、苦笑するロマ。

 

「ムルタ、貴女についていくよ。俺の居たい場所はそこ、だからな……」

「っ……」

 

 拗ねた表情でロマをジトっと見ていたアズラエルが、赤い顔で視線を逸らす。

 

「……まぁ、その、よろしい。及第点です」

 

 否、120点の回答である。

 もちろん、ロマの言葉は三人娘やハイータも込みでの言葉だが、それを理解できないアズラエルではない。それを理解した上でも構わないと思っている。

 どちらにしろ、アズラエル自身も彼女らのいない日々をあまり想像していない。すっかりロマのせいで絆されたということだろう。それが悪いことか良いことかはともかくとして……。

 

「おっと、私は“アチラ”に顔を出してから行きますよ」

「ん、わかりました……それでは食堂で」

 

 アズラエルと別れて別の道を行くロマ。

 

 ―――顔出さないと拗ねるだろうからな。

 

 エレベーターを使い地下へと向かう。

 

 目的の階層へと到着して扉が開くなり、さらに目の前にあるドアをキーカードで開いて歩く。

 奥にある扉をくぐれば、巨大なコンピューターが並べられた部屋。その部屋の、さらに先にある部屋が、透明なガラスの向こうに見える。そして、その部屋の中央には縦横1.5メートルほどある正方形の重厚感のある黒い箱。

 その黒い箱は、下部分が機械に設置されており、そこからコードが何本も伸びていた。

 

「あ、バエル大尉。お疲れさまです」

「ああ、いつもありがとう」

 

 白衣を纏った研究者八名ほどが、その正方形の機械をコンピューターでモニターしており、さらに三名ほどが、黒い箱のある部屋にて小型端末でなにかをしている。

 ロマはさらに歩き、除菌室にてミストを浴び除菌をしてからガラスの向こう側の部屋へと入った。

 入ってきたロマに気づき、三人の研究者が軽く会釈をする。

 

「いらっしゃいませ大尉、そろそろだと思っていました」

「すまないな」

「いえ、大尉のおかげでこちらも助かってますよ。きっとこの子も……では、ごゆっくり」

 

 研究者たちが出ていき、部屋に残されるのはロマと黒い箱。振り返りガラスの向こう側に軽く手を上げると、頷いてなにかをする。

 ロマは理解して指示したのだ。防音システムの作動である。

 

 黒い箱の、ロマから向かって丁度正面の中心には赤い点が一つ存在していた。それに手を当てれば、次の瞬間───それを中心に十字に亀裂が入る。その上部分が左右にスライドし開けば、黒い箱の中には、大きな楕円形のガラス。

 

 その中には緑色の液体。

 

 そして、そこに浮かんでいる───“脳髄”。

 

『あ~まったく、暇でしたわ!』

 

 黒い箱の傍のスピーカーから聞こえる聞きなれた声。

 

『もうちょっと頻繁に会いに来てくださってもよくってよ?』

「私も仕事があるものでな」

 

 苦笑するロマに、スピーカーからは不満そうな声。

 

「さて“チェシャ”、新型機についての話といこうか」

『出番ですわね!』

 

 それは元気な声が、ロマと“脳髄”と無機質な機械だけの部屋に響く。

 

 

 





ちょっと詰め込み過ぎた気がします

アズにゃんとの再会、飛んでハイータとカガリ、さらに飛んでアズにゃんとイチャつき
さらにチェシャ、なんかごちゃごちゃしてる回でした
なんというか分けると文字数少なくなるし、でこんな感じに

一応伏線みたいなのはちょくちょく張ってはいたんですが
本人が楽しそうなのでチェシャはそんな暗いことにはならないという
ただそういうものだよって説明と言うかなんというか

ここからは案外サクサク進むようなそうでもないような……
時系列的にはここからジョシュアまで一月もあるっていう

では、次回もお楽しみいただければと思います

アウルとスティングは……?

  • 女の子だよ!
  • 男の子だよ!
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