盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題)   作:樽薫る

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燃ゆる国

 

 

 あの戦いの翌日。

 

 早朝にも関わらず、オーブ本部は慌しい雰囲気に包まれていたが、それもそうだろう。

 今、そこにはブルーコスモス盟主、ムルタ・アズラエルと、その側近たる大西洋連邦特務部隊所属、ロマ・K・バエル大佐の二人がいるのだから……。

 

 その本意でない作戦の最高指揮官であるムルタ・アズラエルは、それでも始まった作戦に手を抜くつもりもなく、結果として連合側の“対話”を無視し続けたオーブからの会談要請を引きだした。

 

 そして、大きな長いテーブルを挟んだ対面に若きブルーコスモス盟主と、オーブの獅子が相対する。

 

「……そちらの要求は理解した。しかし、オーブの理念はご存知のはずだ」

 

 重々しい雰囲気を纏いながらも、オーブの現代表であるホムラの隣で、ウズミはハッキリとそれを口にした。

 しかし、だ。

 肝心のムルタ・アズラエルがそれを聞く必要性も、理由もない。

 

「自分たちの立場、理解してます? こうなっちゃあどうにもなんないことぐらいわかりません?」

 

 刺々しい言い方は、実際にイラついているからなのだろうとロマは理解する。

 無理もないだろう。やりたくもない戦争、挙句に対談を申し出てきて、危険を承知で自身とロマの二人でここまでやってきて、挙句の果てにウズミの言葉は『自分たちは曲げない』ということだ。

 今、こんなところで時間を無駄にしているわけにはいかないし、この戦闘での損害もまた然り、ここでオーブを取り込めなくてはなんの意味もない。

 ロード・ジブリールにやらせなかったという情けをかけた意義も……。

 

「理解はしている。しかし我々が連合についたとなれば……」

「それに、このまま戦うとなれば徹底抗戦になるのは明白でしょう。民間人の避難は? 済んでるんですか? こっちの赤い悪魔、貴方達の“逃がし遅れた民間人”を庇って死にかけてるんですよ? 貴方達の兵隊の“無差別”攻撃で」

 

 その言葉に、オーブの重役たちは苦々しい表情を浮かべた。

 

「徹底抗戦になる理由はわかってるでしょう。貴方達が“逃亡艦”を匿っていることが判明して、挙句に出ちゃいましたからね……ザフトとの関係性」

「それは!」

 

 ホムラが反論をしようとするが、どうせどれも無意味。あったとして墓穴を掘るのが関の山。故にウズミが、手を出して制す。

 このオーブに“ザフトの機体が援護に来ている”と、ロマからの報告を受けたアズラエルが此度の切り札として持ち出した情報。

 

「うちのバエル大佐からの情報ですが、まだこれは公にしていない情報です」

 

 テーブルの上に肘をついて両手を組むと、アズラエルはウズミを見やりフッ、と微笑を零す。

 

「……黙っていてほしければ、降れと?」

「そう取ってもらって構いません。お互い、これ以上に被害を広げないために、最善を打っていくべきだと言っているんですよ」

「だがオーブが降れば次はカーペンタリアからザフトが攻めてくるぞ」

 

 そんなウズミの理屈に、今度はロマがアズラエルの背後から口を出した。

 

「その程度、ですな。この場でオーブが降るのであればオーブの戦力もあり、我々もそれなりの戦力を防衛に回すことも可能でしょう」

 

 ウズミが勢いよくテーブルを叩く。

 

「どうあっても世界を二分したいか大西洋連邦は! 敵か味方かと! そしてオーブは、その理念と法を捨てて、与えられた敵と戦う国となれと言うのか!」

「ザフトが停戦交渉を申し入れるまで、ですよ。我々がここで退いてしまってもザフトはさらなる新兵器を持ち出しかねない……ニュートロンジャマー、エイプリル・フール・クライシスの惨劇は貴方達とてその身をもって味わっているでしょう」

 

 冷静に説いていくアズラエルに、オーブの他の者たちは顔をしかめる。明らかにここから逆転する術もなく、言っていることを徐々に理解してきているからだろう。

 理念だけでやっていける状況ではなく、大西洋連合(ブルーコスモス)が動き出してしまったからには、取るべき道は限られている。

 

「くっ……連合と組めば、プラントは敵。プラントと組めば、連合は敵。例え連合に降り、今日の争いを避けられたとて、明日は」

「陣営を定めなくとも、どのみち戦火は免れませんよ。ウズミ様」

 

 ロマの言葉に、ウズミは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 本当はロマもそのぐらい表情を崩したいぐらい、胃がキリキリと痛んでいるのだが……。

 

「……アークエンジェルはどうなる?」

「当然、こちらで引き取る形にはなるでしょう。ザフトのことはもみ消せても、そちらは多くの兵が見てしまってますからね」

「敵前逃亡で銃殺刑、か?」

「そちらは私が融通をきかせましょう……ある程度、ですが」

 

 大佐の立ち位置で、ブルーコスモス盟主のお付きともあればある程度の権限はあるだろう。しかし、だからといってウィリアム・サザーランドやその他もろもろを黙らせられると言えば怪しい故に、ロマはここではっきりと“大丈夫だ、と言うわけにはいかない”のだ。

 だからこそ、それを“匂わせる”ことに意味がある。

 ウズミは少しばかり俯くが、すぐに顔を上げて頷いて見せた。

 

「……貴君らの要求、今一度、よく理解した。故に、もう少しだけ時間をくれぬか」

「それはウズミ元代表、貴方が私達の要求を呑むと理解して結構ですか?」

「現政権の即時退陣、国軍の武装解除、並びに解体……しかと」

 

 アズラエルはホッと一息吐く……わけもないが、心の中では安堵しているのだろう。それを理解して、ロマは頬を綻ばす。

 頑固者のウズミのことなので妥協しない可能性も考えたが、そうでもないようだ。しかし、このまま素直に投降するわけがないということも理解している。

 彼が“アークエンジェルを見捨てる”という選択肢を取れるはずもない。だからこそ、このあとの展開は容易に想像が付いた。

 

「では、同意書のほうを」

「……オーブの民は───」

「民間人を巻き込むような野蛮な真似、するわけないでしょう」

 

 その当然という風なアズラエルの言葉に、ウズミは深々と頷く。

 そしてウズミと相対するアズラエルの背後で、ロマはあっさりと要求を飲んだウズミを見やりながら、心の中でこの状況に対するハッキリとした違和感を覚え、同時にこの後に“こちらの不都合”が起こることを確信する。

 それで良い。ロマ・K・バエルにとってはそれでいいのだ。

 

 まだこの段階では“劇的な変化”を起こすわけにもいかない。故に───。

 

 ―――これにて今作戦は成功……とは、いかせまいな? ウズミ・ナラ・アスハ……。

 

 

 

 

 

 

 その後、アズラエルとロマが部屋を出ていくなりウズミ並びに官僚たちは頭を抱える。

 戦わずして降伏し、大西洋連邦に降り領地を明け渡し他国を侵略するなどオーブの理念に反する行為。

 だからこそ、許されるわけもなく、なにより自分たちが許せるわけもなく、故に戦った。

 

 しかし結果はこれであり、“協力者(アークエンジェル)”があったとて、オーブの敗北に変わりはない。

 それで被害が減ったとは思いたいところだが……。

 

 ともあれ、結果的にオーブは降ると、そう宣言した───敗戦したのだ。

 

「……ウズミ様、本当にアークエンジェルを引き渡すので?」

「いや、そんなことできるわけがなかろう」

 

 そう言いながら、拳をテーブルに叩きつけるウズミ。

 

「───そうでなくてはな」

 

 瞬間、ドアが開く音と共に周囲の官僚たちが息を呑む音が聞こえた。

 

「っ……赤い悪魔、なぜ戻ってきたのかね?」

「少々確認したいことがございましてな。聞きたいことは聞けたので、これ以上は何も言いますまいが」

 

 アズラエルと部屋を出た後、部屋の外で待機していたクロトと共に帰るところを道中で『トイレ』だとかなんとか言ってロマは戻ってきていた。

 本当ならばウズミの本心を引きだして、この後に“アークエンジェル”を逃がすつもりかどうかの確認を取りたかったのだが、その心配はなかったらしい。

 しかしだ、ロマの思い通りにするのであれば限りなく“知っている未来に近い状態”にしなければ意味がないのだろう。故に彼は、さらにダメ押しをする必要があった。

 アズラエルを待たせていることもあり、早めには済ませなければならないのだが……。

 

「アズラエルに報告するつもりか?」

「いや、そのつもりであれば私一人で戻ることもありませんでしたよ。私の目的は“アークエンジェルを逃がす”ことにありますから」

「なっ……どういうつもりだ!」

 

 その目的はウズミに不都合はないだろう。ないからこそ、わからないのだ。

 

 ウズミ・ナラ・アスハは、目の前の【赤い悪魔】と呼ばれる男が読めないでいた。

 聞けばアークエンジェルに乗艦していたころから、カガリのこともわかっていたのになにも言わず、挙句にレジスタンスに参加していたことすらも言っていないようで、先の様子を見るにアズラエルにすら報告していないことは明らかだ。

 ウズミ自身も理解はしている。今のオーブは叩けば埃が出る状態であり、それが正当だろうと詭弁であろうと、いくらでも責める理由が“彼”にはある。

 

「“アークエンジェルら”はこの戦争を終わらす“鍵”だと、そう確信しているのみですよ」

「……貴君らにとっては逃亡艦、にも関わらずか?」

「だからこそ、だろうさ。故に、貴方にはしっかりと確認しておきたいことがある」

 

 連合の赤い軍服を身に纏った男は、不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

 自らを除いた者たちは既に彼の雰囲気に呑まれていることを、ウズミは察し、しっかりと彼を見据えて口を開き、言葉を紡ぐ。

 本来ならば、連合に知られて良いわけがない話だ。

 

 なぜだか理由はわからない。それでも獅子は、悪魔と相対し、対話を始める。

 

 

 

 

 

 

 オーブ官邸の外、レイダーと“赤い両腕のウィンダム”が膝をついている傍でアズラエルとクロトは立っていた。

 道中でロマが手洗いに行くと言って別れてかれこれ10分、やけに遅いことに不信感を抱いてそろそろ近くのオーブ兵をビビらせてやろうかと考えていると、まだ見慣れない赤い軍服が視界に映る。

 目が悪い者が見て【ザフト赤服】と身間違えられたら困るなとも思いながら、眉を顰めた。

 

 クロトが大きく手を振れば、彼は微笑を浮かべながら片手を上げて応える。

 

「すまない。待たせたな」

「トイレで離脱しただけのくせしてぇ、なにカッコつけて帰って来てんですかぁ?」

「う゛っ……ま、まぁなんとか締結となったんだ。凱旋と行こう」

「誤魔化すのヘタだなぁおにーさん」

 

 ───しょうがないでしょうが必死だったんだからぁ!

 

 とは心の中で思っても決して口にできない。オーブに来てからというものの、彼はずっと必死なのだ。

 重要な者たちを殺さないようにしつつ、うまく立ち回る。

 普通に戦っている方がよほどいい。

 

 そんなことを考えつつ、ロマは“アズラエルと共に”ウィンダムに乗り込む。

 リニアシートの後ろにある狭いスペースに半身をもぐりこませ、アズラエルは上半身をロマの斜め後ろに出す。不満そうな表情で髪をいじりながら、だ。

 

「相変わらず狭いですねぇ」

「仕方ないさ。だから船で来るかという話になってたんだ」

「信用できる相手以外連れてこないという選択肢をとるなら、これ以上はないでしょう?」

 

 違いない。とロマは微笑を浮かべるなり、レイダーが飛び上がったのを確認し、ウィンダムをゆるやかに飛翔させる。

 空中で徐々に速度を上げていき、オーブの港から離れていく二機のモビルスーツ。

 もちろん警戒も忘れていないのは、背後から勝手に撃つ兵士なんかがいてもおかしくないと思っているからだろう。

 

「しかし、ウズミ・ナラ・アスハもあっさりと落ちましたねぇ……助かることですが」

「だが油断ならんだろうさ、オーブの獅子」

「ですね。まぁ律儀に一度は戦闘の意思を見せなければオーブの理念云々も言えませんからね。今後は対ザフトに協力してもらいたいことですが……まぁ期待しないでおきましょう」

 

 だが、オーブが降伏した場合、連合の上層部がオーブを戦力として使うことを推奨しないはずがないだろう。

 現状、アズラエルはかなり危ない立場のようで……ともなれば、それを否定もしづらい。

 色々と悩むことも多いのだろうと、ロマはアズラエルの横顔を見る。

 

 そうしているとアズラエルはその視線に気づき、頬をほんのりと紅潮させて目を泳がす。

 

「……え、いやっ、こ、ここじゃちょっと、ふ、二人きりだからってそのっ」

「え、なんの話?」

 

 あまりに脈絡がないのでロマは思わず素で小首をかしげる。

 ほんのりと赤かったアズラエルの顔がさらに赤くなり、彼女は両手で顔を押さえた。

 

「……忘れなさい」

「……あ、そういうことか」

「忘れろ」

「はい」

 

 藪蛇である。

 

 こういう時は言われた通りにするのがベストだと、さすがにロマとて学習しているのだ。伊達に何年も一緒にいるわけではない。

 

 

 

 その後は何気ない話をしていたものの、ゆっくりと戻っていることもあり三十分ほどかけてウィンダムとレイダーは大西洋連邦の旗艦へと接近、ハッチも開いている。

 ロマは、そろそろかとモニターに視線を向ければ、旗艦の方から連絡が入った。

 表情を動かすこともなく、ロマは通信を入れる。

 

「こちらバエル、どうした?」

『オーブ軍に動きあり、マスドライバーカグヤです!』

「なっ、確認!」

「了解した」

 

 空中で止まったウィンダムをマスドライバーの方へと向け、モニターを操作。

 

 瞬間、マスドライバーから―――アークエンジェルが射出される。

 

「っ……ウズミ・ナラ・アスハ、時間稼ぎに会談を使いましたかっ」

 

 ―――そうだ。それで良いウズミ・ナラ・アスハ!

 

 ロマの思惑通り、ことは進んだ。

 アークエンジェルは宇宙(そら)に上がり、もう少しすれば“クサナギ”も上がるだろう。

 だが、こうなってはどうにもなるまいと、ロマは歯噛みする。ここから先はオーブ軍に期待するしかないだろう。

 原作通りならキラとアスランが出撃するはずだ。いや、出撃させざるをえない、と言ったほうが正しいのだ。

 

 連合側の混乱をよそに、アズラエルは顔をしかめて即座に通信機に声を発する。

 

「全軍、状況開始! 戦闘再開です!」

『りょ、了解しました!』

 

 ───耳元でがなるなよぉ! キーンてなるわ!

 

 通信を切ると、横から耳を押さえられる。

 

「すみません、ちょっと感情的になりすぎました」

「構わんさ、せっかくの会談を無駄にされたんだ。思うところもあるだろう……私は君を降ろして戦場に戻る」

「……それは構いませんけどこの機体」

「先ほどから動かして“両腕に問題はない”ことは確認した。心配ないさ」

 

 そう言いながら、ウィンダムを空母へと着艦させるとハンガーに入り、ハッチを開いてアズラエルを降ろす。

 

「では……」

 

 前へと乗り出したアズラエルがそのままハッチからハンガーへと降りようとするが、振り返るなりロマへと近づいてその唇に唇を重ねる。

 触れるだけのそんなささいな口付け、すぐに離れるアズラエルにロマは微笑を浮かべて頷く。

 アズラエルはというと、小さく頷いてそのままウィンダムから離れる。

 

 それを確認するなり、ロマはハッチを閉じて通信を繋げた。

 

「クロト、オルガ、シャニ……オーブを撃つ。我々は恐らく出てくるであろう例の二機を相手取りつつの戦闘になるぞ」

『へへっ、昨日の強い奴か……!』

『今日こそやらせてもらうよ?』

『ん、殺す』

 

 士気も高いようでなによりだと思いつつも、こうなると逆にあちら二人の方が心配にもなるが……。

 

「……今更か」

 

 呟いて、深く息をついて頷く。また手が震えるものの、どうせ出撃すればそれも収まるのだろうと理解。

 唇に軽く触れて、彼女のどこか不安そうな顔を思い出したが、やはり自分が戦場に出ないわけにもいかない。世界の平和など求めない。自分はそんなたいそうなことをできるタイプでもない。

 だがしかし、自分たちの平和だけは求めていくつもりではある。

 

 歴史そのものを変えるほどのことを自分ができるとは思わない。だからこそ……。

 

『レイダー、いくよ!』

『カラミティ、出るぞ!』

『フォビドゥン、いく……』

 

 三機が出撃したのを確認し、ロマもグリップを握りしめる。

 その手はもう震えていない。

 

「ウィンダム出撃()るぞ……!」

 

 再び出撃したウィンダム。

 昨日とは違い、その腕は真紅であり、ディザスターのものをそのまま取りつけたような歪な機体と化している。

 その異形の機体は空母から飛びだし、カラミティを背中に乗せたレイダー、フォビドゥンと共に飛ぶ。

 

 ―――こうなってくるとゼルトザームとかの類だな。俺はビルド系に転生してた?

 

 やはり三人といればそういう余裕も出てくるのだろう、余計なことを思考しながらも視線の先に“敵”を捉える。

 

 

 

 

 

 

 連合艦隊から放たれたミサイルを、フリーダムとその隣のジャスティスが武装の一斉射にて迎撃する。

 それでもすべてを迎撃することなどできず、ミサイルは二機の攻撃をすり抜けて地上へと落ちようとするが、オーブのサブ・フライト・システム(SFS)に乗ったバスターがそれらを迎撃。

 いくらかがオーブ市街を直撃。

 フリーダムのコックピットでキラは苦々しい表情を浮かべつつも、隣のジャスティスを見やる。

 

「アスラン、ディアッカ……どうして?」

『俺たちにだってわかってるんだ。戦ってでも守らなきゃいけないものがあることぐらい……!』

『まぁ、お前らを死なせたくなくなっちゃったってこと、勝手かもしんねぇけど、さ!』

 

 さらに放たれる攻撃をバスターが迎撃。

 だが、そこで気づく。

 

『きたぜ、例の新型三機! いや……赤い悪魔含めれば四機!』

「ロマさん……!?」

 

 モニターに映る四機を確認し、その中にウィンダムを確認。

 肩のマークと妙な赤い両腕、そんな装備をしている相手はキラの知る限りロマしかいない。ムウも確かに相手はロマだったと確信していた。

 それにロマが乗っていた機体に乗るなんて、並の人間がやれるとも思わないし、少なくとも自分は許可しないだろう。

 

『キラ、やれるのか!?』

「……うん、やらなきゃいけないんだ。守るために、それでも!」

 

 こうなればミサイルの迎撃に意識を向けるわけにもいかない。

 フリーダムとジャスティスとバスターの三機は迫りくる四機へと意識を向ける。

 

 キラとアスラン、二人が極限へと至り、種は弾けた。

 

 

 

 

 

 

 戦闘を始めてから数分……。

 レイダーとカラミティとフォビドゥン、そしてウィンダムが、フリーダムとジャスティス、バスターと戦闘を続けているものの、お互いに決定打となる攻撃は撃てないでいた。

 所謂“SEED”を発動した者たちの動きは異常であると、ロマはウィンダムのコックピットで歯噛みする。

 

 初めて戦うSEEDを持つ者、自らより強いハイータを瞬く間に撃墜したという力……。

 

「しかし、私も“ニュータイプ”のはずだ……!」

 

 フリーダムが放ったレールガンを回避するために、カラミティがレイダーから飛び上がって回避、ジャスティスがすかさずビームライフルをカラミティに放つも、フォビドゥンがカラミティの前に出るようにしてビームを曲げる。

 だがそのフォビドゥンをバスターが連結させた拡散弾で攻撃、衝撃によりフォビドゥンが怯み、防御が緩む。

 そこを逃さぬようにとジャスティスがビームライフルを構えるが、ウィンダムで接近して腕を振るい爪撃。

 

「やらせんよ……!」

 

 怯んだジャスティスを蹴り飛ばして離れると、ビームライフルで攻撃。今度はフリーダムがジャスティスを守るようにシールド防御。

 だが、そんなフリーダムへとレイダーがハンマー(ミョルニル)を射出しぶつけ、シールドの上から怯ませる。

 その隙を見逃さず、オルガのカラミティが背部の二連装ビーム(シュラーク)大口径ビーム(スキュラ)を撃とうとするが、バスターのミサイルが直撃し地上へと落下していく。

 

「オルガ! ……チィ!」

 

 地上へと落下するカラミティへと追撃しようと連結していたライフルを分離させ、拡散弾から大口径ビーム砲へと変えようとするバスターへとビームライフルを放つウィンダム。

 しかし、バスターはそれをSFSから跳んで回避してみせる。

 顔をしかめるロマ。

 

 バスターのコックピットでディアッカはしてやったりな表情で笑う。

 

「ビンゴ! あんたのやり方だぜ!」

 

「しかし、バスターの空中適正ではな……!」

 

 ウィンダムをバスターへと接近させようとするが、敵意に気づき停止し背後へと急加速。

 目の前を通るジャスティスの“背部ユニット(ファトゥム-00)”に肝を冷やしつつ、すぐに下に落ちたカラミティを確認するが、体勢を整え着地し、地上で戦闘を再開しているようだった。

 戻ってきたファトゥム-00に乗ったジャスティスがウィンダムにビームライフルを撃つが、その前に銃口の先からウィンダムは消えている。

 

「私はまだ落とされるわけにはいかんのだよ……!」

 

 ―――ブーステッドウーマン三人娘もな!

 

 真下へとビームを放ち、オルガと戦闘していたM1の一機を撃ち貫く。

 

「まだ終わらんか、この戦いも……!」

『おにいさん、撃つやつがっ……!』

 

 シャニの声に、ロマがそちらを確認すれば、突如バスターが撤退していくが、ロマとしてはありがたいことだった。

 戦力が減るということだけでなく、クサナギの射出準備が進んでいるということをハッキリと理解した故に……。

 フリーダムとジャスティスへとビームライフルを連射し牽制しつつ、通信機に向かって言う。

 

「クロト、オルガを拾って三機で二機とやれ……地上からの援護はいかんようにする!」

『了解っと!』

 

 レイダーが可変するなり地上へと加速。それに追従する形でウィンダムを地上へと向かわせると、一機のM1を踏みつぶすようにして着地。

 すぐ近くのカラミティが飛び上がりレイダーに乗ると空中へと戻っていく。

 

 真下のM1のコックピットを脚部から展開したクローで貫くと、ゆっくりと十機を超えるM1を見やる。

 すべてのM1から感じる明確な恐怖心に顔をしかめたくもなるが、そうもいかない。

 

「私と出会った不幸を呪うがいい……!」

 

 僅かに前屈姿勢の異形の両腕を持つウィンダムが獲物に襲い掛かる。

 

 

 

 死する者たちが最後にその眼に焼き付けるのは、燃える自国に君臨する―――赤い悪魔。

 

 

 







だいぶ間が空いてしまいましたがこんな感じで
とりあえず次回でオーブ編が終了となったりならなかったり

会談でなんとかなると思ったらならなかったので、結局原作通りの道を取るウズミ様
正直そうするしかないので致し方なし

そうじゃなければロマも困るので……原作視点だとロマの内面とか描写されないからロマめっちゃ黒幕に見えるんだろうなぁ

とりあえずこんな感じで次回もお楽しみいただければと思います
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