盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題) 作:樽薫る
月面、プトレマイオス基地の上空。
月軌道上を行く
あまりの予想外の事態に、聞いてはいたものの瞳を鋭く尖らせた。
正面からそんなロマを見れば、新兵なら怯えて竦んでモビルスーツの性能もいかせないことであろうが、正面に映るのは、漆黒の
ムルタ・アズラエルの座るシートを掴んでいた彼の右手に力が込められる。
「おや、君にぴったりですね」
「ええ、よもや───」
アークエンジェル級三番艦、
「───赤い戦艦、とは」
その後は赤き戦艦、セラフィムのハンガーにて、アズラエルと別れたロマ。
所要を済ました後に、クロト、オルガ、シャニ、そしてハイータの四人を連れてよく知る構造の戦艦の中を行く。
赤い制服などロマぐらいのもので、一目見るなりクルーたちが敬礼をするので、ロマも軽く返しながら移動していき……ブリッジへと辿りつくなり、そのドアを開く。
そこには、見知った顔。
「なっ、たい……大佐っ」
「久しいな、バジルール“少佐”」
フッ、と笑みを浮かべてそう言うと、アズラエルと話をしていたナタル・バジルールは敬礼。
お互いに手を降ろすなり、ロマは背後に視線をやれば“オルガに背負われたハイータ”が軽く手を振り、ナタルは眉を顰めながら笑みを浮かべる。
なんとも言えない表情なのは、これもまた仕方の無いことだろう。
ロマはアズラエルの方を向く。
「どこまで話を?」
「お互いの紹介まで、ですね。本題はこれから、です」
本題。否、問題はこれから、である。
「本題、ですか……?」
「ええ、私たちはこれから、アークエンジェルを討ちに行くんです」
「えっ……」
ナタルが驚愕しながらロマの方を向くが、ロマは……。
―――とりあえず笑っとくか。
困ったので不敵に笑みを浮かべておく。
彼女の印象としては、彼は包容力のある頼りになる大人、というものだ。
自分やマリュー、ムウももちろん大人ではあったが、彼はまた違うタイプであったように思う。しかし、それと同時に研ぎ澄まされた刃のような雰囲気を感じることもある。
故に、彼がアークエンジェルを討つということを、ありえないという風にもまた感じない。
「頼りにしているよ。ナタル艦長」
「は……はい」
戸惑いながらも、ナタルは頷く。
そして、オペレーターとしてナタルと同じくセラフィムに配属された赤髪の少女、フレイ・アルスターもまた、驚愕に表情を歪めるのだった。
◇
L4宙域、メンデル。
C.E.68年に発生したバイオハザードにより、多数の死者を出し放棄されたコロニー。
そんな縁起の悪いコロニーに、三隻の船。
オーブから無事脱出したアークエンジェル、クサナギ。
そして、ザフトの歌姫ことラクス・クライン率いるクライン派が、ザフトから奪取した最新鋭艦エターナル。
紆余曲折あり、三隻はこうして共にある。
現在、エターナルのブリッジにはアークエンジェルからキラ・ヤマト、マリュー・ラミアス、ムウ・ラ・フラガの三人がやってきていた。
ラクス・クラインの隣にいるキラは、顔をしかめている。
理由はといえば、操舵手を務めている“彼”の言葉故、だろう。
「……なんでコーディネイターを討つのが、青き清浄なる世界の為なんだか……そもそも、その青き清浄なる世界ってのが何なんだか知らんが、プラントとしちゃあそんな訳の分からん理由で討たれるのは堪らんさ」
砂漠の虎“アンドリュー・バルトフェルド”の言葉も、尤もなことなのだろう。
「しかし、プラントもナチュラルなんか既に邪魔者だっていう風潮だしな、トップは……当然防戦し反撃に出る。二度とそんなことのないようにってね。それがどこまで続くんだか」
撃ったから撃たれて、撃たれたから撃つ。
そういうものなのだ。それを終わらせることなど……。
マリューが悲痛な表情を浮かべ、ムウの服の袖を掴む。
「酷いものよね……」
「ああ、本当にいつまで……」
そんなムウのぼやきに、ラクスはキラの腕を掴みながら口を開く。
「でもそうしてしまうのも、また止めるのも私達、人なのです。いつの時代も、私達と同じ想いの人も沢山居るのです……創りたいと思いますわね、そうでない時代を」
「うん、そうだね」
ラクスの言葉に頷くキラも、確かにその志を持つ同志なのだ。
導いたのは彼女ではあるが、選んだのはキラ自身であり、そんな彼と同じくアークエンジェルの者たちもクサナギの者たちも、今、此処に在る。
ふと、ムウはキラに視線を向けた。
「それとこれから、連合と戦うことになるとすれば……いずれまた、アイツと会うぞ」
「っ……ロマさん」
悲痛な表情で拳を握りしめるキラを、ラクスは心配そうに見つめる。
彼女はどことなくそんなキラの表情に、自らを責めていた頃の彼を思い出したからだ。しかし、それでもキラはすぐに表情を変えた。
そして強い瞳で、ムウに対して頷く。
「そうか……すまん、これで嫌って言われても返す言葉なんて考えてなかったんだけどさ」
「ムウ……?」
「はははっ、ロマみたいにはいかんね、どうも」
ムウもムウなりに、キラを支えようと思っていたのだろう。それを察してか、キラもマリューもおかしそうに笑みを浮かべる。
慣れないことはするもんじゃない、と笑うムウが次に視線を向けたのは“左腕を失った”バルトフェルド。そしてそんな彼の隣にやってくるのは、“右腕を失った”女性。
二人にとって、いま話に出たロマ・K・バエルは自身の仇、でもあるのだ。
「僕かい? いやぁ、どう思うアイシャ、君は?」
「んー……戦争ですもの、誰かを討つ理由なんて、誰にでもあるし、誰にだってないでしょう?」
「……ってことさ」
バルトフェルドとアイシャが笑うと、キラは口元を綻ばせる。
「……ありがとう、ございます」
「な~んで君がお礼言うのかな?」
「……それでも」
言わなければいけない、そんな気がした。
◇
宙域を行く真紅の戦艦、セラフィム。
その艦の艦長であるナタル・バジルールは休憩時間に、艦内の展望デッキへとやってきていた。と言っても、視界に映るのは宇宙と星々の光のみだが……。
だがそれでも、落ち着くことは確かなのだろう。
帽子を取って首元も空け、ドリンク片手に無重力空間に浮くナタルがいるそこへ、誰かがやってきた。
「おっと失礼、ナタル艦長……?」
「た、大佐っ!」
やってきたロマに驚きながら、いそいそと首元を閉じようとするが、ロマは微笑を浮かべて平手を出す。
「構わんよ、今は休憩時間だ。私もな」
「大佐……」
「アズラエル理事は、ブリッジか」
ぼやくように言う彼が踵を返そうとすると、ナタルは少しばかり悩むような表情を浮かべた。
ロマの背を見やりながら、口を開こうとするが……止まる。
だが、その瞬間―――扉が開いた。
「きゃっ!」
「む、すまんな……フレイ・アルスター」
「っ……だ、大丈夫、です」
「フレイ・アルスター……?」
そこにやってきた赤髪の少女、フレイ・アルスター。
「あ、その……」
「前はありがとう、挨拶もなしに去ってすまなかったな」
「あっ、いえ……」
前回のパナマ基地防衛の際での戦闘でオペレーターを務めたのはフレイだ。といっても、単騎先行故に最初と最後以外はほぼ仕事はなかった。
彼女は、こうして再び共に戦うなど夢にも思わなかっただろが、ロマはこうなるパターンもある程度予測していたので、それほど驚くこともなく、今に至る。
少し退くが、フレイはロマの前を通り過ぎる気配なく、彼に不安げな視線を向けるのみ。
―――え、なにか致したか俺?
「どうした。なにか言いたいことが?」
心の中では不安になりながらも、至って冷静にそう問いかける。
「あの……アークエンジェル、本当に、倒すつもり……ですか?」
どこかぎこちない敬語に口元を綻ばせるロマ、それに対してフレイは質問を笑われたように感じ、少しばかり不満そうな表情を浮かべる。
だがその誤解を理解し、ロマは平手を出してフレイがなにかを言おうとするのを留めさせ、軽く床を蹴ってナタルの方へと流れていく。
フレイも床を蹴ってナタルの近くへと移動。
「そうだな、彼らが降伏するのであれば話は変わるが、バジルール少佐。君はどう思う?」
「しない、でしょうね……私と大佐である程度減刑ができたとしても」
「そういうことさ、そしてアズラエル理事は例の二機、フリーダムとジャスティスを捕獲するつもりなのだから、我々がやることはソレだ」
その言葉は嘘偽りに塗れている。
もちろん、捕獲するつもりなどない。そんなことをして、原作を狂わせては、終わる戦いも終わらないというものだ。
ロマの知っている未来通りにことが進むとすれば、あの“三隻同盟”が無ければこの戦争があのような形で終わることもないだろう。
どちらかがどちらかを滅ぼすまで……それこそ泥沼だ。
「キラが守ろうとした。アークエンジェルを本当に撃つっていうの……?」
「アルスター……」
泣きそうな声でそう聞くフレイの肩を、ナタルが抱く。
「……勘違いしているようだな」
「っ、キラはあんたにあんなに懐いてたのに、あんたはキラのことなんともっ―――」
「キラは今も守っているよ。アークエンジェルを」
「───え?」
ロマの言葉に、フレイは唖然とした声を上げ、ナタルも戸惑うような表情を浮かべる。
「フリーダムのパイロットはキラだ」
「なっ……!?」
「交戦したので間違いない」
そうでなくたって、ロマにはわかることだ。
「……それにキラは、この戦争を終わらす鍵さ」
「っ……戦争を終わらす、鍵?」
得てせず、妙な言葉を口走ったロマ。
「少しは信用してほしいが……フッ」
信用できる要素などあるわけもないのだが、ロマは微笑を浮かべてそう言った。
フレイは無言でロマを見やるが、彼は困ったような笑みを浮かべてナタルの方に視線を向ける。
静かに息をついて、頷いた。
「少し話しすぎた。私はこれで……君らも落とされたくなけば全力でやるしかあるまいよ。彼らを殺さずに、としたくとも、あくまで自分が生きていなくてはどうにも、な」
「ハッ、理解しています!」
そう返事するナタルに、ロマは笑みを浮かべて頷いた。
フレイは相変わらず鋭い瞳をロマに向けているが、彼とて話し始めた時からそうなることは想定済みというものである。
故に、静かにその部屋を出ていく。
そんな飄々と出ていくロマとは反対に、一方のフレイは苛立つような悲しむような表情をして、両手で顔を覆う。
「キラっ……」
「今作戦、参加はとりやめるか? 君であればそれも可能だと思う。ブリッジを出て居住区にいても……」
ナタル・バジルールからそのような言葉が出ること、同じアークエンジェルのクルーであった者が聞けば驚くことだろう。
同時に、彼女自身もそんな自分に驚いている。
しかし、ロマもマリューもおそらく納得はするだろう。アークエンジェルの状況故にあのような立場になってしまっていただけで、他の規律がしっかりしていればきっとこれが本来の彼女だったのだ。
そんな彼女に、フレイは驚くでもなく、両手を降ろして涙を流しながら首を横に振る。
「でも、私……どうしても会いたいんです。みんなと、会って今度こそちゃんと話……それに、生きててくれたキラともっ……」
フレイの目的上、同行するだけでも十分ではある。だが、それでも、彼女はこの艦でやるべきことをやると、そう決めたのだ。
それがいかなる道であろうと、ナタルと……癪ではあるがロマを信じるのであれば、アークエンジェルを“余裕ある状態で倒す”必要がある。
だからこそ、自分が戦場にいたいと、そう思う。
「大佐を信じて、共に戦うしかないさ、今の私達には……」
ナタルはそう言うと、そっとフレイを抱き寄せた。
部屋の外、扉の傍に背をつけて聞き耳を立てていたロマが微笑を浮かべ、床を蹴ってそこから離れていく。
盗み聞きなど褒められた行為ではないし、自分自身で下種なことをしていると理解はしているが、それでも確認が必要だったのだ。
彼女らが“アークエンジェルを捉える”ために“自分に協力する”かどうか……。
───さすがにナタルとは目標を統一しときたかったしな……。
戦場で味方をも警戒しなければならないなど、今のロマにする余裕などない。
しかも、すっかり“戦士として完成した者たち”を相手に、だ。
キラもアスランも、もちろんムウもディアッカも、これまでの相手の比ではないのは自明の理。
本気で戦って勝てないような相手だが、あのクロトとオルガとシャニの三人がいれば、それもまた違ったものになる……だが“勝ってしまう”こともまた問題である。
勝たないようにしつつ、余計な被害が出ないようにしつつ、ただしそれでも進めなければならない。
―――戦争の終わり、までか。
「……私はまた、阿漕なことをしているな」
インカムを付けると、そのまま壁に付いているベルトコンベアに触れそのまま廊下を流れていく。
「チェシャ、聞こえるか?」
『あ~ら私のあなた、聞こえないはずがなくってよ!』
「なら結構……ディザスターは?」
『もーまんたい、ですわ!』
月基地でようやく受領できた専用機、ディザスター。
そして、その機体を操るのにどうあっても必要になるのが、支援AIである『チェシャ』であり、かのAIは先日のパナマ防衛線での戦いで不調をきたし、再調整並びにメンテナンスということでしばらくは預けていたのだが、問題なしということでディザスターと共に帰ってきたのである。
ウィンダムを使用してでの彼らとの戦いは、“
不確定要素も多少なりとも改善されたと、そう思いたい。
『あら、暗いですわね。どうかしまして?』
「……どうかしてるさ」
『はぇ~よっぽどですわね。しかし安心なさいませ、この私が戻ってきたからには近づく敵はまとめて……』
―――溜めるなぁ。
『星屑にしてあげますわ! してやりますわよ、スターダスト・メモリーに!』
「……フッ」
『え、今の決め台詞に面白要素ありまして?』
お前がおもしろい。などとは言えるわけもなく、一言だけ礼を言ってからチェシャとの通信を切ってポケットにインカムをしまう。
それから少しばかりして、ロマは重力が効いている居住区画の与えられた自室へと入るが……既に部屋の主でない者がそこにいた。
ブロンドの髪をなびかせる女性、ムルタ・アズラエルが、スーツのジャケットは壁にかけ、シャツなどは着崩して椅子に座っている。
さらにベッドに寝転がっているクロトとそのベッドに腰掛けているオルガとシャニの三人は揃ってゲームで遊んでいるようだった。
ロマが戻ってくることに気づくなり、四人がそちらに視線を向ける。
「おかえりおにーさん!」
「やっとかよ」
「おにいさん、ちゃんと休まないとお仕事の時間になっちゃうよ?」
「そうだな、それは困る。しっかり休んでしっかり働かねばな」
───前の世界の俺に聞かせたいな……社畜的なことだ。
思わず心の中で自嘲した。
「ホント、ちゃんと休んでくださいよ?」
「理事、ご心配いただかなくても……」
そんな風にロマが笑いながら言っていると、手洗いのドアが開いて車椅子に乗ったハイータが出てくる。
「アズラエル理事も、ちゃんとロマ君を休ませてあげてくださいね?」
「……あなた、言うようになりましたねぇ」
赤い顔で眉をピクピクとさせながら言うアズラエルと、してやったりな表情で笑うハイータ。
ずいぶんと気安い仲になったなとも思うが、ロマとしてはそれは良いことである。自分になにかがあっても、きっとハイータはアズラエルらと上手くやっていけるだろう。
故に……。
「しかし、プラントからの情報……強奪されたフリーダムとジャスティスか」
「貴方もこれ、信用してないんですか?」
「いや、ナタルはハイリスクは避けるタチだ。そういう発想をするのはわからんでもない……だがL4宙域にナスカ級が三隻向かっている。ともなれば我々がやることは一つさ、それがなんだろうとな」
ザフトが罠をしかけていようと、ある程度であればこちらの戦力で充分押しつぶせるはずだ……。
いや、しかしそれが本当の情報だということをロマは知っている。そして、その情報を流した男の存在すらも……。
「さて、どうなるか……」
―――俺は、どうするか……。
◇
L4宙域、コロニーメンデル。
戦艦レベルの大型の熱量を捉えたアークエンジェルが出航し、遅れてクサナギも出航を始める。
最終調整のため、エターナルは未だ出撃できない。
コロニーの港から離れ、第一戦闘配備という状況下にクルーたちが、気を張っているせいか、独特の緊張感に包まれるアークエンジェル。
それは、敵に再び“彼”が現れるかもしれないという恐怖からか……。
「イーゲルシュテルン、バリアント起動。艦尾ミサイル発射管全門装填!」
その号令をかけ、いつでも戦闘が始まっても問題ないようにと備えるが、その瞬間―――通信。
『こちらは地球連合軍、宇宙戦闘艦セラフィム。アークエンジェル聞こえるか?』
聞こえる声、当然それに驚愕するアークエンジェルのクルーたち。
『本艦は反乱艦である貴艦に対し、即時の無条件降伏を要求する』
「ナタル……」
「バジルール中尉……」
『この命令に従わない場合は貴艦を撃破する』
その言葉がしっかりと届き、アークエンジェルには動揺が奔る。
「艦長、敵艦の光学映像です!」
ミリアリアの声と共に映し出されるのは、
「アークエンジェル!?」
「同型艦か……っ」
近づいた影響でモニターには、懐かしい顔が映る。
セラフィム艦長、ナタル・バジルール。
『このような形でお会いすることになって、残念です』
「……そうね」
本当にその通りだと、マリューは返事を返す。
ナタルの顔を見れば、マリューでも彼女は戦うことに対して不本意な念を抱いているのは理解できる。
しかし……。
『アラスカでのことは自分も聞いています。ですが、どうかこのまま降服し、軍上層部ともう一度話を。私も……バエル大佐も及ばずながら弁護してくれると約束してくれました。それに、本艦の性能は、よく御存知のはずです』
彼の名前が出て、それに弁護するという言葉に少しは思うことがあるのだろう。
再び、アークエンジェルに僅かな動揺が奔った。
「……ありがとう。でもそれは出来ないわ! アラスカのことだけではないの……私達は、地球軍そのものに対して疑念があるのよ。よって降伏、復隊はありません!」
『ラミアス艦長……』
『アークエンジェルっ、降伏して……!』
突如として第三者の声、ナタルの隣に顔を出すのは赤い髪の少女───フレイ・アルスター。
「えっ!?」
「フレイ……?」
「どうして……」
マリュー、サイ、ミリアリアが驚愕に表情を変える。
『あの人がっ、ろ……ロマさん、が出撃しちゃうっ! そうなる前に降伏しなきゃっ』
『……ラミアス艦長、それでも、降伏してはくれませんか』
だが、ここで降伏するわけにはいかない。
自分たちに託したウズミのためにも、自分たちのためにも……。
故に、しっかりとマリューは画面の向こうのナタルを見据えた。
「……ごめんなさい」
『っ、なんで……』
落胆したように、酷く沈むフレイに、心が痛むマリューたちだが、決して答えは変わらない。
『はぁ……言って解ればこの世に争いなんて無くなります』
知らぬ声に、アークエンジェルは再び混乱する。
だが確実にセラフィムのブリッジにいる誰かの声で、それはもちろんロマではない落ち着いた女性の声にして、どこか優雅さや気品を感じ取らせた。
その容姿が映るわけではないものの、確かにその女性は存在感を放っている。
『解らないから敵になるんでしょう? 元お仲間の艦長さんたちが、ここまで言ってダメということは、敵なんですよ……そして敵は、討たねば』
『アズラエル理事っ……』
その名を理解してる者は、驚愕。
『カラミティ、フォビドゥン、レイダー、ディザスター、発進です。不沈艦アークエンジェル……沈めて差し上げる』
その声を最後に通信は切れる。
オペレーターであるミリアリアは、理解がいまいち追いついていない。
「アズラエルって……?」
「ブルーコスモスの盟主! それでなくたって“赤い悪魔”のことで有名!」
「それって……」
アーノルド・ノイマンの言葉に、次はサイが首を傾げる。
「つまり、バエル大尉の主様だよ……くるぞ、赤い悪魔が!」
「くっ、大尉……」
◇
戦艦セラフィム。
カタパルトから射出されたレイダー、カラミティ、フォビドゥンの三機、さらにストライクダガーが数機発進する。
そして、カタパルトにセットされる他とはまったく違う機体。
レイダー、フォビドゥンも異質なタイプとされるが、それらとはまったく毛色が違う異質なモビルスーツ、キラから言わせればガンダムと呼ばれるタイプの機体ではあるが、それにしてはやけに禍々しい。
パナマ攻略戦時にもちかえられた映像を見た者は震えあがるであろう、その機体のシルエット。
異様に長い前腕、特徴的なウイングバインダー、やけに鋭い顔、大型ビームライフル、灰色の装甲。
そのコックピットで、いつかと同じ赤銅色のパイロットスーツを身に纏った男。
彼はその色違いの双眸で、往くべき
漆黒の宇宙で視界に見える光は、星々の光だけでなく……文字通り、彼にとっての“
『進路クリア、GAT-X300D……発進どうぞ!』
CICからの声に、頷く。
「ロマ・K・バエル、ディザスター……
リニアカタパルトにより、勢いよく赤い戦艦から射出されたモビルスーツ、ディザスター。
邪魔にならぬようにしていたウイングバインダーをしっかりと斜めに開くと、PS装甲が展開し機体は赤銅色を纏う。
ストライクダガー部隊を追い抜いてレイダー、カラミティ、フォビドゥンに並ぶ。
コックピットで、モニターに映る白い戦艦、アークエンジェルを見やる。
「不沈艦アークエンジェル、これでエンドマークだ……!」
そして、誰とも一致しないであろう、“彼の目的”を果たすための戦いが始まる。
こんな感じでメンデル編スタートです
……たぶん変なところはないはず
現時点でかなり改変はありませんが、ロマの思惑通りですね
問題はNJCとかですが、ロマの暗躍がはじまる……といいなぁ
ようやくディザスターの出番ですが、キラたち相手にどう立ち回るのか
スパロボとかGジェネみたいなロマとかディザスターのステータスを小ネタで書きたくなったりならなかったり
なにはともあれ、これが放送されてたら完全ボス枠ですねロマ
キラたち視点で考えるとやべぇやつですわ~
では次回もお楽しみいただければと思います
PS、三馬鹿やハイータとの絡みを最近書けてないんですが
メンデル終わったらちゃんとやります