盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題)   作:樽薫る

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宇宙を奔る星

 

 コロニーメンデル宙域。

 赤い戦艦、セラフィムから出撃したのは四機のGと八機のストライクダガー。

 ダガーたちはセラフィム周囲に配置され、四機のGがアークエンジェルの方へと進行していく。

 

 それに対するアークエンジェルから出撃するのは、フリーダム、ジャスティス、エールストライク、バスターの四機。

 様々な経験から誰もがエース級のパイロットであり、ストライクダガーだけなら数十機用意したところでそれほど意味もないレベルの戦力である。

 

 セラフィムから出撃した“例の三機のモビルスーツ”とは別に、赤銅の装甲を持った機体を、フリーダムのコックピットからキラは視界に捉える。

 その肩部装甲に悪魔のパーソナルマークを確認しながら……。

 

「アスラン、例の三機と……」

『ああ、ロマ・K・バエル、赤い悪魔か……!』

 

 キラの目に映るそれは“前回の機体(ウィンダム)”と比べても、まったく違う類のモビルスーツだった。

 

 それはプレディザスターを思い起こさせ、しかし、その機体はより禍々しく感じられる。

 肩部装甲やウィングバインダーなどで少しばかり大きく見えるものの、ボディは他のモビルスーツよりもやや細く、だが前腕は異様に長く、そのマニピュレーターの指先はプレディザスターの時と同様に鋭い爪となっており、同じような戦闘が可能なのだろうと予測できた。

 脚部はプレディザスターと違いしっかりと装甲を纏っており、爪先は三又に分かれて、より一層悪魔の様相を強めている。

 バックパック上部から伸びるウイングバインダーは、フリーダムほどではないにしろ、その機体の両側から飛びだす程度には大きく、下部から伸びるテールスラスターは機体の膝ほどまでの長さはあるだろう。

 そして、頭部は前に長く、後ろに流れるような鋭い四本のV字アンテナ、さらに頭部前方からブレードアンテナも伸びており、メインカメラ部分の目つきはかなり悪いように見て取れる。

 

 キラもアスランもディアッカも、いやベテランであるムウすらも見たことがないような異様なタイプのG兵器。

 

「アスラン、前とは違うよっ」

『ああ、敵での赤い悪魔ならお前よりも見てきたさ……!』

 

 違いないと、キラは頷く。

 瞬間、敵機ことディザスターが一瞬止まった後に───急加速。

 

「っ!」

 

 四機が同時にビームライフルを放つも、“回避しながら接近してくる”ディザスターに、即座に攻撃を止め散開する。

 離れた四機の間をすり抜けるディザスター。

 

『なんつー速度だよ、ありゃ!』

『おいおい冗談じゃないぜっ……って、おい!』

 

 ディアッカとムウの二人が悪態をつくが、それに次いでディザスターを追うように放たれる連合の三機、レイダー、カラミティ、フォビドゥンからの猛射撃に四機が回避なり防御なりをする。

 次いで、そのままその場で射撃を継続するカラミティ、そして接近しながら射撃攻撃を続けるレイダーとフォビドゥン。

 四機がそれぞれ回避行動をしながら射撃攻撃をするも、それらに当たるブーステッドマンたちではない。

 

 そして、キラがハッとした表情で口を開く。

 

「アスラン! ロマさんが!」

 

 別段、アスランとディアッカとムウとてロマのことを無視して良いと思っていたわけではない。だが、しかし……意識し続けられない状態にさせられたのも事実であり、前回の戦い故に、アスランは三機を意識しすぎてしまった。

 別にアスランの落ち度ではない。そういう風な連携なのだ……。

 だが、それが場合によっては命取りになることもあろう。

 

「どこだっ!」

 

 アスランがロマを探すも、既に見失っていた。キラだけが彼を捉えていたのか、<クスフィアス(レールガン)>とビームライフルを同時に明後日の方へと放つも、キラから通信はない。

 ふと、気づいた瞬間に下から上がってくるように現れる───異形のモビルスーツ。

 ハッ、と息を呑み目の前のディザスターが“手刀”を振るうその瞬間、アスランの集中力が極限へと達し───種が割れる。

 

「えぇい!」

 

 ジャスティスを後ろへと下げて、振るわれた手刀を紙一重で避けた。

 普通のモビルスーツの手刀であれば、いや物理攻撃であればまずは問題ない装甲を持っているジャスティスではあったが、結果的にはその回避でアスランは大打撃を避ける。ディザスターのその手刀、爪の先にはビームの刃が伸びていたからだ。

 故に、回避とて紙一重になってしまった。

 

「くっ、やはり強い!」

 

 だが、ディザスターから離れようとするが、他がそうもさせない。

 ジャスティスの隙を見つけたとばかりに、カラミティが<バズーカ(トーデスブロック)>を打ち込むが、それにも反応したアスランは素早くシールドを使って爆発と爆風を凌ぐ。

 次にカラミティへと牽制射撃を放とうとシールドを下ろしたその瞬間、目の前に現れるのはディザスター。

 

「なっ、ぐあぁっ!!?」

 

「いくら装甲がよかろうと……!」

 

 素早い蹴りで、ジャスティスは勢いよく吹き飛ばされる。

 さらに、追撃としてディザスターは大型ビームライフル<アンフィスバエナ>を“低出力モード”で放つ。細いそのビームはストライクやデュエルと同様の通常のビームライフルとほぼ同出力のものだ。

 しかして、そのビームライフルはフリーダムが庇いシールドで防御。

 ジャスティスが回避した時のためにレイダーが放ったツォーンだが、それはジャスティスの背後を空ぶってそのまま飛んでいく。

 

「やはり、こちらの連携をかいくぐるか……!」

『向こうも連携できますわ───デンジャー!』

「チィ!」

 

 チェシャからのアラートよりも早く、既に動いていた。

 間髪入れずに放たれたフリーダムのビームライフルを上昇することで回避しつつも、後方へと振り返りバスターから放たれたビームライフルを五指の先端から伸びる<ビームクロー>で弾くなり、即座に残りの一機、ストライクのムウからのプレッシャーを感じ取る。

 かなり無理な体勢から、90度機体を回転させ、接近するストライクへと右腕を向けた。

 

 ストライクのコックピットでムウが顔をしかめ攻撃を取りやめてシールドを構える。

 

「なにをしようってんだロマ!」

 

「戦いは常に二手三手先を、しかし、そうそういかんものか……思っていようと!」

攻撃(アングリフ)でしてよ!』

 

 右腕が前腕の付け根部分から───射出される。

 

 その意外な攻撃に対応できずに、射出された右手はストライクのシールドを弾き、さらにその腕を追うように加速したディザスターがストライクの胴体へと蹴りを放つ。

 それを受けて吹き飛ぶストライクだが、即座に体勢を整えてバルカンを放ちながらビームライフルでロマを牽制。

 回避しつつも、腕を回収するディザスター。

 

「やってくれるじゃないの、モビルスーツ乗りの先輩!」

 

「モビルスーツの性能が戦力の決定的差ではないな、ムウ……!」

『戦いは結果のみが真実ですのよあなた!』

 

 放たれるビームライフルの合間を縫いつつ、ロマはフリーダム、ジャスティス、バスターがクロトたちに釘付けになっている内にと、ストライクへと接近して指から伸ばしたビームクローを“低出力”で振るう。

 別に手加減しているだとかそういうわけでもない。どうせ“当たらない攻撃”故に、バッテリーを無駄に消費する必要もあるまい、ということだ。

 予測通り、ストライクは余裕たっぷりで回避してみせるものの、本命はそちらではないと、ロマは即座に操縦桿を操作し、フットペダルを押し込む。

 ディザスターの肩部アーマーとリアアーマー、そしてテールスラスターについたバーニアが一気に点火され、突如として加速。

 ストライクから見て下方向へと一直線に加速し、急停止、からの方向転換しさらに加速。

 離れた場所から見れば線が次々描かれるかのような光景。

 

「ぐぅ……ッ!」

『あなた!?』

 

 ―――きっちぃなぁ!? まぁオーダーだけどさ、俺の!

 

 翻弄されるストライクから一気に離れると、オーブ艦<クサナギ>へとある程度の距離へと接近していくものの、その手前のアークエンジェルから<ミサイル(スレッジハマー)>と<レールガン(バリアント)>が放たれる。

 それらを受けるわけもなく、ディザスターは身を翻しながらクサナギへと<大型ビームライフル(アンフィスバエナ)>を“高出力モード”で放つ。

 

 ―――この一撃で変わる……!

 

「そこか……!」

『なぁにやってますの!?』

 

 放たれたその高出力ビームは、クサナギの横を通って巨大なデブリを破壊した。

 

「外したか」

『外すことがあって!? こんな距離であなたが!?』

「買いかぶりすぎさ、万能でもないよ。私はそこまで……!」

 

 いや、今の攻撃が当たらなかったのは、わざとであるのに違いない。

 本来ならばクサナギはこの後、コロニー建造用のメタポリマーストリングに絡め取られ動けなくなってしまうのだが、それはロマの本意ではなかった。

 だが“原作通り”にクサナギが動けないということになれば、現状では“こちら(アズラエル)”の戦力が“あまりに強力”であるからだ。

 

 だからこそ、“バランスを取る必要がある”のだ。

 

『えぇい、きますわよ!』

「わかっているさ……!」

 

 クサナギの周囲に展開したM1アストレイ六機からのビームライフルだが、あまりに稚拙な攻撃にロマは軽くそれらを回避しつつ、さらに低出力でアンフィスバエナを放ち、その一撃にて一機のM1アストレイを撃破する。

 だが、残り五機の内の三機が加速してロマのディザスターへと接近を試みた。

 

「フッ、お前たちか……余計なことを」

『あなたが鼻の下伸ばしてた小娘たちですわね!』

「事実だな、不本意ながら……!」

 

 ディザスターを加速させ、三機へと対応するために飛ぶ。

 

『ファウスト・ヌルならいつでも起動可能でしてよ!』

「あれはお前を不調にしかねん。まだテストが完全ではないだろう?」

『むぅ!』

「仕方なかろう、“ソレ”以外で同調するとも限らん、使い捨てではないよ。チェシャ……!」

 

 三機のM1アストレイ。アサギ、マユラ、ジュリの駆るそれらの訓練された動きは、他の者たちとはまた違ったようなものを感じるが───その程度に過ぎない。

 

 ストライクを相手にした時のように再び急加速し、三人の視界からディザスターは消える。

 

『なっ、大尉、じゃなくて大佐はどこ!?』

『ジュリ後ろ!』

『えっ!?』

 

 ロマの居場所を確認しようとするが、既に遅い。

 ジュリ機の背後へと現れたディザスターが、アンフィスバエナを手放して、両手の五指から伸ばしたビームクローでその両腕を斬りおとし、蹴り飛ばす。

 吹き飛ばされたジュリ機を、マユラ機が受け止めた。

 

『うあぁぁっ!?』

『ジュリっ、こんのぉ!』

 

「アサギか……!」

 

 接近したアサギ機が右腕にてビームサーベルを振るうが、素早く左脚を振るい、その右腕を脚部底で押さえる。さらに、それと同時に脚部クローを展開、右腕を破壊した。

 すぐに脚を下げ、体勢を整えて左腕を射出、アサギ機の頭部を貫き即座に腕を回収し、その間に右腕で浮いているアンフィスバエナを回収し、その銃口をアサギ機に向ける。

 

「終わりだな……!」

『あっぶねぇですわよ!?』

 

 理解しているからこそ、即座にアンフィスバエナを手放して後ろへと下がれば───アンフィスバエナをビームライフルが貫く。

 

 ―――ワンオフなのに、勿体ねぇ……。

 

「この感覚、キラか……!?」

『誰だと思ってましたの!』

 

 ―――ムウかディアッカ・エルスマンじゃないっ、二人そろわずしてクロトたちに勝てるものか!

 

 迫るフリーダムの方へと向くが、少し離れた場所でアークエンジェルとクサナギがセラフィムと交戦を開始していた。ストライクダガーとフォビドゥンが防御に回っており、別方向を確認すればジャスティスとストライクとバスターを、レイダーとカラミティの二機で凌いでいる。

 攻撃をしかけたのに防戦一方になってしまえば、撤退も時間の問題であろう。

 それよりも問題は……。

 

 ―――“SEED(あの)状態”のキラに、勝てるか、俺がッ!?

 

「えぇい、チェシャ……いざとなったら頼むっ」

『わかってましてよ。あなた、私相手にモノを考えすぎですの!』

 

 そういう性分なのだ。覚悟を決めたと自分で考えておきながら、やはり妙なことばかり考えてしまって、故にこのような状態になった。犠牲が出るということを、認められない。

 だがそれでも、いつ動くかは決めている。だからそれよりも早く、落とされるわけにもいかない。

 おそらくキラのことだ、殺すことはしないとは思うが……。

 

「それでも、ここで落とされるようではな……!」

 

 接近するフリーダムがビームサーベルを振るうも、即座に後ろへと下がって回避。

 

『速ぁッ!?』

「二手三手先を読まなくては、な!」

 

 PS装甲を持つフリーダムに致命傷を負わせることのできるだろうアンフィスバエナはない。ともなれば抵抗する術はその五指から伸ばせるビームクローぐらいだ。

 だからこそ、それを高出力で伸ばし振るうが、当然それが直撃するわけもないだろう。

 

「良く動く……!」

『動かなければ死にましてよ! こちらも!』

 

 回避したフリーダムがクスフィアスを展開するが、その時には既にロマは射線上に存在しない。

 超反応と、限定的ながらも発動する“NTモドキ(先読み)”能力、中々どうしてけりがつきにくいものの、現状はロマにとってはそれで良いことなのだ。

 シールドを捨てたフリーダムがビームサーベルを二本引き抜いて、接近してくる。

 

『ロマさんっ、どうしてまた! アークエンジェルを討ちになんてっ』

「特に放ってはおけんのさ、アズラエル理事も警戒している! 核駆動のモビルスーツ!」

『ッ……でも僕らはっ』

「正しい道を往くと? ああそうだろうさ、しかし今の私は……地球連合の大佐だからな!」

 

 そう言いながらも、フリーダムの攻撃を避けるので精一杯のロマ。

 しかし、すぐにそんな彼へと迫るフリーダムを───ミョルニルが弾く。

 

「クロトか!?」

『なぁにやってんだよおにーさん!』

「助かったぞ」

 

 吹き飛んだフリーダムへとカラミティがスキュラを放つが、フリーダムの前に出てきたジャスティスがそれをシールドで防御。

 続けてレイダーのツォーンと共に、ロマはディザスターの両手をジャスティスへと向け、その手首部分から徹甲弾を撃つ。

 それらの攻撃をジャスティスは再びシールドで防ぐものの、シールドは使い物にならなくなる。

 

『まだまだァッ!』

「待てクロト、オルガ! 撤退命令、信号弾だ!」

 

 これ以上追撃したとて、やはり決着はつかないだろう。

 

『タイムアップかよっ』

『……みたいだねぇ』

 

 ディザスターで両腕の徹甲弾と胸部の機関砲を使い二機の牽制をしつつ、レイダーがMA形態へと可変、カラミティと共に退くのを確認して、その後を追うように撤退を開始する。

 追ってくる気配もなく、このまま撤退をすれば丸く収まると、すこしばかりの安堵を感じるロマ。

 今回はかなり危ない橋を渡った感が否めない。

 

「一時撤退し体勢を整え───っ!」

 

 二機から離れたところで、妙な感覚に頭を押さえるロマ。

 

『どうしまして?』

「このプレッシャーは……そうかっ!」

 

 モニターを確認するが、フリーダムとジャスティスの姿は見えるものの、既にストライクとバスターの姿は見えない。

 ともすれば、やはりその二機は撤退ではなく、コロニーメンデル内部に入ったのだろう。

 理由や目的は理解している。

 だからこそ───一旦の撤退を計った。

 

「いくぞ、このまま下がる……!」

『それ以外に選択肢がありまして?』

 

 ―――あるんだよ。

 

 思いながらも、レイダーとカラミティを追ってセラフィムへと向かっていくと、既にアークエンジェルとクサナギも離れており、少しばかり損傷したセラフィムと、その周囲には展開したストライクダガーとフォビドゥンがいるのみ。

 後ろを向き開かれたハッチへと入っていく各機。

 

 最後にディザスターを入れると、ハンガーにてコックピットを開くなりヘルメットを取って半身を乗り出す。

 

「ディザスターの補給を優先で頼む! この後、偵察に向かう!」

「はぁ? なに言ってんのお兄さん、このまま帰るパターンでしょ?」

 

 そう言いながら近寄ってくるのはシャニ。

 まぁセオリー通りならば一旦撤退して補給し出直すというのが妥当ではあるのだが、ことここに至ってはそれに該当しない。

 逃亡艦をザフトが狙っており、フリーダムとジャスティスがここで捉えられれば本末転倒、目的を達するためにはここで戦うしかないのだ。

 

 というのは建前。ロマは、ここに残って“とある男”と対話しなければならない理由がある。

 

「それよりも、薬は?」

「飲んだよ、このあとちょっと検査」

 

 その言葉に頷きながらも、コックピットに戻り機体の状態を確認。

 チェシャは声でなくモニターに文字として機体の万全を知らせており、あとは補給だけ済ませば問題もないのは明らか、ともなれば間に合わなくなる前に向かい、色々と済ませなければなるまい。

 コックピットを覗くシャニの隣にクロトとオルガも現れた。

 

「おいおい、一人だと死ぬぜ?」

「そのつもりはないさ、ただの偵察だ。場合によっては威力偵察になるが───逃げると決めていれば、私に追いつける者などいないよ」

 

 微笑を浮かべながらそういうと、クロトが眉を顰めながら笑う。

 

「うわーかっこわるいよおにーさん」

「カッコつけれるのは生き残ってきたからさ」

 

 そう言いながら、モニターを操作してブリッジにつなぐ。

 モニターに映るナタルが、戻ってこないでモビルスーツから通信を繋いだことに少し不思議そうにしながらも、頷く。

 

『大佐、どうしましたか?』

「補給を済まして偵察に向かう」

『え、た、大佐?』

「理事は?」

『その……』

 

「なんて言いました、あなた?」

 

『そちらに』

 

 ───なんつープレッシャー……。

 

 通信を切って、モニターから顔を上げればシャニ、クロト、オルガが見えていたはずのそこには満面の笑みを浮かべた女性。

 状況が違えば実に心が満たされて、色々と思うこともあろうが、今はそういう状況でもない。なにはともあれプレッシャーに鳥肌が立つ。

 確実に“キレている”が、ロマはこれからさらに悪化させることを言わなければならないのだ。

 

 そもそも彼女が心配するだろうことを見越して、ブリッジに居る間に画面越しに伝えたかったのだが……。

 

「そのだな、偵察に」

「……わざわざ貴方が?」

 

 ごもっともなことなのだが、それでも……。

 

「シャニたちは三人揃ったほうが良い。それに単機でならば私が一番適任だろう……ストライクダガーでは無事に帰ってこれん可能性もある」

「……大丈夫なんでしょうね?」

 

 言っていることは理解している。身体が、であろう。

 かなり無理な機動はしたが、前までほどのダメージがないのは専用のスーツのおかげと思いたいところではある。

 アズラエルも、ロマの身体に“それほどの不調が無い”のを確認しつつ、たぶん言っても聞かないということを理解し、さらには“どうせ自分(アズラエル)たち”のためになにか頑張るのだろうとも思い……だからこそ、しかたなく(・・・・・)首を縦に振る。

 

「はぁ……わかった。と言っておきますけど」

「世話をかける」

「心配をかける。でしょおにーさん」

 

 アズラエルの後ろからシャニが眠そうな目でそう言うので、ロマは苦笑を浮かべて頷いた。

 

「心配をかける」

「ホントですよ……コレもあんまり意味無いみたいですし」

 

 そう言いながら装甲を軽く叩くアズラエルに、言っている意味を理解しながらロマは肩を竦める。

 アズラエルは少しばかり不満そうな表情をしていたものの、すぐに困ったような笑みを浮かべながら離れると、クロト、オルガ、シャニの三人と共にそばを離れていく。

 損傷もないので補給だけを終えて、コックピットを閉じる。

 

「さて……慣れるものでもないな。いつまで経とうと」

 

 ヘルメットを外して、深く深呼吸をし、震える手を見やり、眉を顰めた。

 しかし、こと今回に限っては今までとは色々と違う。

 そのようなことを思っていると、通信……モニターに映るのはブリッジのナタル。

 

『大佐、アズラエル理事から連絡を受けました……お気をつけて』

「まぁ偵察だ。すぐに戻るさ」

『なにかあれば、すぐに……艦を動かします』

「……そうか、了解した。ありがとう」

 

 彼女がそのようなことを言うなどと、まるで予測もしていなかった故に少しばかり戸惑うが、素直に頷き、礼を言う。

 帰艦して早々、カタパルトに運ばれるディザスター。

 用意された代わりのビームライフル<アンフィスバエナ>を持つ。

 

『ディザスター、発進どうぞ!』

 

 フレイの声はハッキリと聞こえるが、どこかその中に不安を感じる。

 

「……大丈夫さ、キラを殺すことが目的ではない」

『……はい』

 

 ―――それに、倒せないしな。生き残ることが精一杯とは、皆私を買いかぶりすぎだ。

 

 コクリと頷くフレイは、ロマを信じているかはともかく少しばかり不安はぬぐえたようだ。

 

「ディザスター、出撃()るぞ……!」

 

 そして、真紅の戦艦から赤銅色の装甲を持つ悪魔が放たれる。

 

 アークエンジェルから敵機が出撃するより早く、デブリに紛れながらコロニーメンデル、アークエンジェルたちが停泊している港とは別の港に向けて加速。

 

 ―――道化を演じさせるか再び……だが、ロマ・バエルらしいことだな。

 

 

 

 

 

 

 セラフィムのブリッジ。

 ぎゅっと拳を胸の前で握り、静かに目を瞑った。

 そしてそんな彼女を、艦長席から立ち上がったナタルは、どこか心配げな表情で見つめてから、そっと傍によるとその肩に手を置く。

 

「ナタルさん……っ」

 

 頷いたナタルは、フレイと共にブリッジの外へと視線を向ける。

 

 そしてそこに、“彗星のような赤い閃光”を見た。

 

 

 







戦闘バランス考えてると時間がかかりますね
思ったより強くさせすぎないようにしつつ、弱すぎず、的な
なんか変なとこが無いか心配です

バランスとるために暗躍するロマ、本当に悪いやつ感がどんどん出てきますね
これアニメでやると味方か? 的な演出になりそうです

そのうち機体説明とかちゃんと入れたいとこ

次回はメンデル、ロマがどんな立ち回りをするかお楽しみいただければです
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