盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題) 作:樽薫る
ヤキン・ドゥーエ、そしてプラント本国近くの宙域。
連合艦隊とザフトがぶつかり合う、丁度中央といったところだろうか……。
そこは既に、地獄の様相を呈していた。
モビルスーツ、そして戦艦の
だがそこを越えねば、連合はジェネシスを討てない。
ビームと実弾が飛び交う戦場、機動力を削られたその戦場でモビルスーツ戦を、艦隊戦が続く。
『こんなんでホントに勝てるのかよぉ!』
『地球がダメにされるかなんだ、やるしかないだろ!』
『ナチュラル共めッ!』
『ジェネシスで消し去ってやる!』
『こいつでぇ―――うあぁっ!?』
瞬間、ゲイツがビームで貫かれた。
『なんだ!?』
『敵……あっちか!?』
ザフトのパイロットたちがそちらを向くなり、再びビームが奔る。
それが二機のジンを貫き、さらにローラシア級を落とす。
宙域、デブリの狭間を縫うように飛ぶ―――赤き閃光。
『あれはっ!』
『“悪魔憑き”がくるぞッ!』
『あれは赤い悪魔っ……バエル大佐!?』
『裏切ったはずじゃっ、なんでまた!?』
赤い閃光───ロマ・カインハースト・バエル。そして、ディザスター。
ザフトは勿論、連合兵すらも“裏切り者”と聞いているだけに戦慄する。
散々話に聞き、その戦果を知っているだけに、その銃口が自らに向けられることが恐ろしい。
コーディネイター、宇宙の悪魔を倒すということで手一杯の彼らにとっては、それは悪夢だ。
「この程度のデブリで足止めされていてはな……!」
赤い悪魔、ロマ・バエルは涼しい顔でデブリを回避しながらゲイツへと接近。
パイロットが反応するが、ディザスターは右腕の爪でゲイツの腕部を破壊、さらにそのまま右腕で胸部を貫き、そのまま加速―――デブリへと叩きつける。
動かなくなったゲイツをそのまま足蹴にし、加速すると共に、<
周囲の敵機がいなくなったことを確認すれば、戸惑いながらビームライフルの銃口を向けるストライクダガーを余所に、ディザスターは片腕を振った。
別段なんというわけでもない。
ただ純粋に“下がれ”だったり“銃を退け”的な意味合いだ。
『はい、どうぞ!』
チェシャの言葉に頷く。
「周囲の連合軍に告ぐ!」
『なっ、やはりバエル大佐!?』
『ゴエーティア隊はどうした、対抗できるのなんてあの部隊だけだろうにっ!』
『ダメですもっと後続ですっ、遅れてるらしくて!』
『どうやって私達だけで大佐に勝つんだよっ』
混乱する声が聞こえる。
「“我々”にジェネシス攻撃を邪魔する意思はない!」
『なっ、バエル大佐……』
『でも連合の艦を落としたって話じゃ!?』
『それはデマだろ!?』
『い、いやでもっ……!』
頭を抱えるロマ。
情報が錯綜しているのは、この混乱故に仕方ないことだが……ここで足止めを喰らっては本末転倒だ。
ストライクダガーをはじめとしたバスターダガー等も、ロマへの攻撃を躊躇っている。それもそうだろう……今までさんざ自軍の先頭を走ってきたエース。
攻撃してどうなろうかなど、考えるまでもない。
「む……!」
戸惑う連合兵たちの前で、ディザスターは視覚外から放たれたはずのビームライフルを回避。
そちらに加速するとアンフィスバエナからビームサーベルを伸ばし、そのままビームを撃ったゲイツを斬り裂く。
さらに接近するジン二機を狙い、素早く徹甲弾を放つ。
「こんなにも見える……!?」
『なぁに自分で驚いてますの!?』
徹甲弾の一発が一機のジンを貫くが、もう一機は回避してからシグーの持つ突撃機銃と同じものを、ディザスターへと向ける。
放たれた突撃機銃を急加速して回避するも、しっかりとそのあとを追って機銃を連射するジン。
「中々どうして、やるな……!」
『ですが貴方にはかないませんことよ!』
「フッ、あまり買いかぶるな……!」
ディザスターが急旋回し加速、左腕ビームクローを振るいジンの腕を斬り裂くなり、右腕でジンの装備する重斬刀を引き抜くなり、即座にジンの胴体を斬り裂く。
真っ二つになったジンが爆発するより早く、加速し離脱。
唖然とする連合兵たちの前で、右腕に握る重斬刀をかかげる。
奇しくも───あの日のように。
「私達がやるべきことはなにか……コーディネイターの殲滅などでは断じてない!」
少なくとも、ジェネシス攻略のためにここに来た兵士たちは、その悪魔の姿を見る。
自らを導き地獄への道標を作るその悪魔を……。
「そんなことをするために戦うつもりは、私にはない! 復讐、それも良いだろう。しかしそれは今か? 仲間たちの帰る場所を失わせてもすべきか……否! 断じて否だ! あの兵器『ジェネシス』あって生きて帰ることもできまいよ! ……だからこそ、諸君! 自らの道を拓く為、真の蒼き清浄なる世界を手に入れる為に……あと一息、諸君らの力を私に貸していただきたい!」
銀色に輝く剣を持ち、赤銅色に輝く装甲を持つ悪魔は声高らかに叫ぶ。
「このロマ・カインハースト・バエルの元に集え!」
『そうだ! バエル大佐に続けぇ!』
『蒼き清浄なる世界のために!』
『我々は、大佐と共にある!』
連合兵たちが奮起し、侵攻を開始する。
ディザスターを加速させ、ロマも敵機を落とす。
身を翻し、攻撃してくる敵機を漏らさず撃ち落とし、重斬刀で斬り裂く。
『ファウスト・ヌル、起動しますわ!』
「……頼んだ!」
『ええ、月からの増援を落とさせるわけにもいきませんものね!』
甲高い彼女の声を聞きながら、ロマは苦笑を浮かべた。
「間に合わんさ」
『……わかった上で言ってるんですのよ』
一転して静かな彼女の声に、苦々しい顔のまま頷く。
「わかっていたことだ」
そう、止めはしたかったが、しばらく前に理解はしていたことだ。
次の一撃を止めることはできない。
目標が“月艦隊”だろうと“月基地”だろうとだ。
『あなた……』
「大切なものの順番は間違わないさ、だからこそ───私は地獄行きだな」
隠し腕ことファウスト・ヌルを開き、ディザスターはザフトのモビルスーツへと攻撃をしかけていく。
今の目的は背後のピースメーカー隊、その本隊の道を作る。
―――しかしまぁ、やっぱこっちにはいないか、あいつら……!
◇ ◇ ◇
「プラントに核攻撃! 波状攻撃であの砂時計を宇宙の藻屑に変えろ!」
旗艦ドミニオンのウィリアム・サザーランドからの号令により、核攻撃開始の合図が出される。
彼とて、そこへの攻撃が成功したところで、ジェネシスを止めねば自分たちの危機が変わらないのは理解していよう。それでもなお攻撃をするのは、相手にとってプラントへの攻撃が“無視できるもの”ではないからだ。
その核攻撃を凌ごうとザフトは躍起になり、ジェネシス側の防衛網が緩めば、向かわせた三割のピースメーカー隊はそれだけジェネシスに近づく。
それにあの“忌々しい砂時計”が落ちたところで、こちら側に一体なんの不利益があるのか、むしろ落ちたらそれはそれで“いいこと”ではないのか……。
自身は合理的な判断をしているはずだと、ウィリアム・サザーランドは拳を握りしめる。
「なぜわからん、ロマ・バエル……っ!」
そう言ってから、サザーランドは頭を振るう。
「……ペルグランデ及び、
「戦闘を継続しています。ニュートロン・ジャマー・キャンセラーも問題なく、核動力も可動中です!」
「戦績を聞いている!」
「あ、二機共に損傷はほとんどない様子です!」
「ならばもっと先行させろ! 一刻も早く“アレ”を落とさんでどうする!」
「はっ!」
オペレーターに指示を飛ばすと、一機のストライクダガーが近づいてくることに気づく。
「なにごとだ!」
『前線にバエル大佐が、例の兵器の破壊を援護するとのことです!』
「っ……奴は何を考えている……」
サザーランドにとって今のロマは理解しかねる存在である。
作戦の邪魔をしておきながら、今は援護をするという。
彼を信用していただけに……故に、怒りがふつふつとわき上がる。
「……捨て置け! こちらの邪魔をしないのならば、今はネコの手も借りたいぐらいだっ!」
だがそれでも、目的を見失うわけにもいかないだろう。
拳を握りしめて、先の“裏切り”に対する怒りを抑えるウィリアム・サザーランドは、二方のピースメーカー隊の動向に気を向けようとするが……。
オペレーターが悲鳴を上げるように叫ぶ。
「高エネルギー反応!」
「間に合わんかっ……!」
―――ジェネシスは放たれた。
◇ ◇ ◇
戦艦セラフィムのブリッジで、ナタルはその光に顔をしかめた。
オペレーターを務めるフレイも、恐怖に顔をゆがませる。
凄まじいエネルギーの渦、禍々しい終末の光……。
「推定される目標は……“どちら”だ!?」
「照準は―――月増援艦隊ですっ!」
「ッ! やはりか……!」
月増援艦隊と月基地、双方を同時にやらせないようにする。
つまりは“どちらか”を狙わせるために、月艦隊はルートを大幅に遠回りする方向を選ぶしかなかった。そしてザフトがジェネシスをどちらに撃つか、賭けのようでそうではないだろう。
目前の脅威は明らかに“こちら”に向かう月艦隊だ。
それを警戒して大きく広がってはいたそうだが……。
「ほぼ壊滅は免れない、か……」
「あっ、あぁ……!」
「……アルスター曹長、彼女らの部屋に!」
「あ、え、えぇ!?」
持ち場を離れろと言う言葉に、フレイは少しばかり驚愕する。
「せめて“もう一人”ぐらい出撃許可を出すように伝えろ! でなければ次はどこにアレが向くかわからないっ!」
「艦長っ、お言葉ですがバエル大佐の件もあるのに“アンドラス少尉だけ”でも出撃許可が下りたのが奇跡ですよ!?」
ナタルとて理解はしていた。
裏切り者ロマ・K・バエルの主たるアズラエル、そして側近と言って差し支えない部下の三人と一人。この戦闘が終わるまでその五人は独房入りだとサザーランドは指示を出し、挙句に彼の部下をそれぞれに付けたわけだが……それでもなんとかシャニの出撃許可はもらった。
ハイータも出撃しているが、“アレ”ではどうにも、といったところだ。
サザーランドにとって、彼女らは人質。
つまり、その意味を悟っているであろう兵たちに、その人質を解放しろ、というわけである。
故に、もう一人の出撃が許可されるか……?
「だが、やらないよりはましだ! アルスター曹長!」
「無理ですよ艦長っ」
「無理を無理と言うことぐらい誰にだってできる……! それをやりとげるしかないんだっ!」
ブリッジのクルーにそう言うと、ナタルはフレイの方を見て頷く。
彼女も、それを受けて頷いた。
「お願いします!」
もう一人のオペレーターに声をかけて、フレイはそこから離れる。
「ハルバートン提督、ご無事でっ……」
「ドミニオンから入電! セラフィムは共にプラント攻撃に参加せよ……とのことですっ!」
「なっ、プラント攻撃の方に!?」
「どうしますか!?」
オペレーターの声に顔をしかめた。
彼の言う“どうする”とはそういう意味なのだろう……。
この状況で“上官”の命令無視などできるはずもないだろう。
それに今、なにか余計なことをすれば周囲の艦隊の砲門がコチラを向いてもおかしくはないのだ……。
「転回! ドミニオンに続けぇ!」
◇ ◇ ◇
ジェネシスは放たれ、連合はプラントへと核攻撃を開始した。
ウィリアム・サザーランドの思惑通り、やはりザフトはプラント防衛にも戦力を回すことになりジェネシスへの防衛網を手厚くすることは適わない。
それでもなお、前線を維持し続けている……。
プラントに放たれた第一陣の核攻撃、全てが迎撃される。
ドミニオンでウィリアム・サザーランドが肘置きに拳を叩きつけている頃、核攻撃を凌いだキラはミーティアを装備したフリーダムのコックピットで顔をしかめた。
モニターに映り自らを撃とうと攻撃してくるのは“悪魔の紋章”を持つ機体、フォビドゥン。
ロマの仲間であり、彼が守るべき者……そして、出撃前に彼が“頭を下げて”まで、見逃してほしいと頼まれた存在。
「でも、これじゃぁ……!」
ロマも“できる限り”とは言ったが、それを無下にできるキラでもない。
彼もそれを“計算”して言ってはいたのだろうが、さすがにこうまともに戦うことになるとは、ロマも予想していなかったのだろう。
核攻撃部隊、そしてその護衛部隊……。
『キラ、気を付けろっ!』
「アスラン……!?」
瞬間、フリーダムが動くが―――右腕に装備してたウェポンアームが複数の“ビーム刃”によって攻撃された。
すぐに右腕のウェポンアームをパージして爆発から回避、だが次の瞬間には“ソレ”が接近してきている。
ジャスティスがウェポンアームのビームソードを伸ばして振るうが、“ソレ”は紙一重でビームソードを回避し、フリーダムへと接近。
「ハイータさんっ!?」
驚愕しながらも、フリーダムの右腕でビームライフルを引き抜き“コラプス”を撃つ。
だが、当然のように回避したコラプスはフリーダムへと接近、その距離ではウェポンアームを振るうこともできないだろう。
ビームサーベルを引き抜いたコラプスを前に、キラは咄嗟にトリガーを引く。
「くっ!」
腰部のクスィフィアスレールガンを放ち、接近してきたコラプスを迎撃。
衝撃により、怯んで下がるコラプスにもう一度ビームライフルを撃つが、即座に加速しそれを回避しながら、コラプスは二つのビームサーベルを並列に繋ぎ大型ビームサーベルへと変えると、そのままフリーダムの左腕ウェポンアームも斬り裂いた。
加速し、その場を離れるフリーダム。
「こんなっ、ハイータさんっ……!」
コラプスはビームサーベルを収納すると、ビームピストルを引き抜いてジャスティスを攻撃。
素直な攻撃に当たるアスランではないがその違和感を確かに感じ取る。
持ち前の反射神経でどうにか回避はしているものの、アスランはその正体をわずかに掴んだ。
ミサイルを掃射するも、フォビドゥンが迎撃。
さらにコラプスがビームピストルを放つが、アスランはやはり紙一重で回避。
コラプスから放たれた九本のテイルブレードはフリーダムを釘付けにし、キラはそれを回避しながら迎撃するので手一杯になっている。
異常ともいえる戦闘能力……。
「チィッ……!」
そしてその違和感に気づく。
「先読みしている……バエル大佐に近いっ!?」
アスランはミーティアを加速させ、核ミサイルを迎撃しつつコラプスの攻撃を回避。
キラもアスランも、“
それがあってもなお、
「えぇい、核の迎撃もあるというのに……!」
『アハハハッ! 落ちろぉ!』
「落ち着けよハイータっ……!」
シャニの窘めるような声に、ハイータは耳を貸さない。聞こえていないと言ったほうが正しいかもしれない……。
サザーランドの指示による薬物強化により、正気を失った挙句、“妙な刷り込み”を受けたハイータに声は届かず、ハイータは戦いながら思考の迷路に陥っている。
故に考えず、目の前の“敵”と戦うだけ。
『ロマくん殺しておいてっ、私のロマくんを殺してぇ! ロマくんは私のお父さんになってくれるかもしれなかった人なんだよっ!』
「おいハイータ……っ!」
だが声はやはり届かず、それでも狂戦士的な戦いは継続。
強化された挙句に『ロマが殺された』と刷り込まれ、思い込み、暴走するハイータの力はいつもの比ではない。
シャニには理解できないがそれは“
援護の必要等ないかもしれないが、それでも今の彼女は見ていて怖い。
『おいシャニっ!』
「クロト……!?」
現れたレイダーが、ハンマーを振るい近づこうとするフリーダムを牽制する。
コラプス、レイダー、フォビドゥンの三機、キラとアスランとてそれを捨て置いて良いと判断はできないだろう。核攻撃を止めようというなら、この場で三機をひきつけておかねばならない。
そしてシャニもクロトも、“人質二人”がセラフィムにいる今、そして“薬”も握られている今、戦わないという選択肢も無い。
彼女ら二人にとっても、オルガにとっても、“自分さえ生きていればそれで良かった”頃とはまったく違うのだ。
故に───戦う。
『殺んなきゃ、みんなが殺られる、それだけだろーが!』
「ハァン、だね……またみんなでイルミネーション見ようぜ。綺麗だからさ、あれ」
◇ ◇ ◇
セラフィムのブリッジで、ナタルは衝撃に体を揺らす。
怯えるクルーたちだが、そこに構う余裕もない……にも関わらず、心は乱される。
原因は、モニターに映る“アークエンジェル”だけのせいでもないだろう。
「くっ、バリアント……てぇ!」
放たれたレールガンが白き大天使を損傷させる。
「さらに味方艦轟沈っ!」
「さすがだな、マリュー・ラミアス……ッ!」
笑みすら浮かべるナタル。
アークエンジェルの接近報告を聞いて、迎撃に出るとサザーランドへ入電しドレイク級とアガメムノン級を率いてきたが、数の差を徐々に埋められている。
初撃のローエングリンでアガメムノン級を失ったのは痛い……。
「……っ!」
拳を握りしめて、ナタルは頷く。
「ゴエーティア隊は!」
「こちらへの援護は、まだかかるとのことです……!」
当然だろう。
ハイータ、シャニと違い、彼らはジェネシス方面だ。
核攻撃部隊と共にあるセラフィムとでは距離があまりに違う。
「ドレイク級轟沈!」
「くっ……やはり叩き上げは違うかっ」
すかさず、ナタルは受話器を取り上げ艦内通信をかける。
「……アズラエル理事をブリッジにっ、貴方達も共にで構いません! そちらが被弾しない保障もないっ!」
会話を終えるなり、受話器を叩きつけるように置く。
「艦長、サザーランド大佐の腹心をこちらに!?」
「理事になにかあるよりマシだっ……!」
アークエンジェルからの攻撃に、再びドミニオンが揺れる。
◇ ◇ ◇
加速するフリーダム。
背部につけたミーティアユニットからミサイルを放つも、フォビドゥンとレイダーがそれらを迎撃───だが、確かに隙は見つけた。
ジャスティスが単機でハイータを引き付けているが、やはりその戦い辛さからか基本的に防戦を強いられており、攻勢に移りづらくなっていた。
故に、ここで不意打ちを狙う。
「くッ!」
急加速、迎撃されたミサイルの爆煙の中を突っ切る。
「なッ!」
だが、その中から放たれた先読みしたかのようなフレスベルグとツォーン。
キラも無意識の内だが、その戦法はロマと酷似していた。
クロトとシャニも無意識ではあるが、それを悟り同時に攻撃。
「でもッ!」
フリーダムをバレルロールさせて紙一重でそれらを回避。
脚部が僅かに焼かれるが、構わず突っ込む。
開けた爆煙の中、フォビドゥンとレイダーが実弾を放つが、ビームサーベルで弾く。
『くっ!』
『こいつぅっ!』
二機が離れようとするが、キラはそのままビームサーベルを振るってフォビドゥンの二本の足と、レイダーの左腕を斬り裂き―――さらに加速。
狙うはジャスティスと戦闘をするコラプス───ハイータ・ヤマムラ。
『ハイータをやろうっての!?』
『させるかぁっ、滅殺ッ!』
フリーダムの背後から放たれたツォーンを、キラは素早くそちらを確認し、再びバレルロールで回避。
ジャスティスへビームピストルと手首のビームガンを撃ちつつ、テールブレードを転回していたコラプスがキラに気づく。
ビームピストルとビームガンの照準がキラへと向けられ、放たれる。
「せめてッ!」
ビームサーベルを持つ左手を前に向け、手首を高速で回転させた。
その疑似的なシールドがビームを弾く。
「それだけでも!」
コラプスが回避しようと動いたが、フリーダムはその勢いのままコラプスのリアアーマーから伸びる有線ワイヤーを、まとめて斬り裂く。
有線での制御を失ったテイルブレードがそのまま無重力下に浮く。
「なっ!? キラァっ!」
叫ぶハイータの背後から、ミーティアとミサイルが迫る。
ハイータは素早く上昇してミーティア本体を回避し、ミサイルをビームピストルとビームガン、さらに胸部
先ほどの突っ込んできたミーティアの無機質感、そして、迫る敵意。
「ロマくんっ!」
「もう遅いッ!」
コラプスから見て真上、アスランは通常のジャスティスにて突っ込む。
ラケルタビームサーベルを『
本来であればそのまま追撃して脚も斬りおとすつもりではあったのだが、やはりハイータの反応にアスランは追撃を取りやめた。
下がるジャスティスが、背部にのみミーティアユニットを装備したフリーダムの隣へと下がる。
コラプスに近づく、損傷したレイダーとフォビドゥン。
キラとアスランは一番厄介な問題が解決したと一息つきたくもなるが、状況はそうはいかない。
迎撃されてるとはいえ、核の光はプラントへと近づいている。
「アスラン、早くいかないと……核もジェネシスもっ」
『ああ、キラ……ここは俺に任せて』
フリーダムとジャスティスが同時にビームライフルを放ち、浮遊しているテイルブレードが再び繋がれる前に落とそうとするが……。
「ッ!」
……そうはいかない。
放たれたビームライフルを“回避”するテイルブレード。
斬られた有線ワイヤーがテイルブレードからもコラプス本体からもパージされ、そのまま意思を持つようにコラプスの周囲へと装備されたバーニアを使って戻る。
既にワイヤーは繋がっていない、つまり……。
コラプスのコックピットでハイータは嗤う。
「勝ったと思いましたぁ? アハァッ……ロマくん、コイツら殺して、すぐ逝くからねぇ……!」
『ハイータ、おいハイータ!』
『下がれよ……!』
「大丈夫ですよぉ、貴女達だって、私がしっかり守る。それで褒めてもらうんだ、ロマくんにっ!」
涙を零しながら笑うハイータは眼前の“赤と青”の敵を睨みつける。
そして動き出したテイルブレードが、ビーム刃を展開してその切っ先をフリーダムとジャスティスに向けた、その瞬間……。
「え?」
ハイータが止まる。
それと共に、現れるのは―――赤銅色の装甲を持つ、
機体が現れたから止まったのではない。
ハイータ自身が、彼を感じたから止まったのだ。
いつも使っているものと違う強力な薬物により精神は安定しないながらも、ハイータはそれを感じ、目の前にそれを視た。
そして、ソレのコックピットでは“赤と青”の瞳で、愛しき者たちを見やる男がいる。
未来を識り、抗わず、時には抗いながら、運命を翻弄し、運命に翻弄される者。
転じて生まれてきた者。
「私はここにいる……ハイータ、私を感じてみろ……!」
―――ロマ・カインハースト・バエル。
間が空いてしまいましたが、なんとか更新できました
クライマックス、全体的にあちこちで戦闘が起きてて書くのが大変なのなんの
とりあえずロマ、再び前線放棄で駆けつけました
ハイータ無双……と見せかけて、さすがにキラとアスランは強かった
バランス崩壊待ったなしですよこんなん
ラウ(ラスボス)はどこ……? ここ……?
では、次回もお楽しみいただければと思います