盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題)   作:樽薫る

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虚空の宇宙

 

 ヤキン・ドゥーエから少し離れた戦場に、降り注ぐはビームの雨……否、カーテン。

 

 そしてそれを掻い潜るのは―――レイダー。

 

 左腕、左翼、右脚を失いながらもバランスを取りつつ、四方八方から放たれるビームを回避していく。

 ツォーンを放ち、ビームの雨を放つモビルアーマー<インゲンス>の“ドラグーン”へと攻撃をしかけるが、それは即座にそこより回避してみせる。

 レイダーのコックピットでクロトが顔をしかめ舌打ちをし、一度下がった。

 バスターと背中合わせになって周囲へと機関砲をばら撒いた。

 

「うぜぇ!」

『イライラしたってしょうがないだろっ、たく……でもまぁ気持ちはわかるけどさっ』

 

 苛立つクロトに同意するバスターのディアッカ。

 強力なPS装甲により実弾は通用しないし、並のビームでは弾かれる。

 ドラグーン一基一基がモビルスーツを超える戦力、並ではない。

 

『こいつぅっ……!』

『同時に攻撃するしかあるまい!』

 

 シャニもクロト同様苛立つ様子でフォビドゥンのエクツァーンを放つ。

 それを受けるドラグーンではあったが、ひるみはしてもダメージはない。

 さらにイザークの駆るデュエルが同じドラグーンにビームライフルを放つが、ドラグーンは回避するでもなくビームライフルを受けながら、五門の砲口からビームを放った。

 

 隣り合った二機が離れてそれらを回避。

 

『バラバラに戦ってる場合じゃねぇぜイザーク! それに嬢ちゃんたちも!』

『えぇいわかっている!』

 

 それ自体はイザークも、クロトとシャニも理解しているのだ。

 しかし、即席で集まった二人組が二組でコンビネーションもなにもあったものではない。

 クロトは肝心な時にいない男に悪態をつきたくもなるが、彼も彼で今必死に戦っていることは理解している。

 

 だからこそ……。

 

「やるぞシャニぃ!」

『わかってる。おにいさんが帰ってくるとこ、守らなきゃっ……!』

 

 セラフィムが無くなろうと、クロトたちや(ロマ)が帰る場所はあるのだ。彼女たちにとっては彼が、彼にとっては彼女たちこそが……。

 

『イザーク、俺らも腹くくろうぜ!』

『さっきからそうしているっ、合わせるぞ!』

 

 帰る場所を守る。それはディアッカやイザークも一緒だった。

 目的も一緒、その過程でやることも一緒。

 ならば、“ナチュラルとコーディネイター(ささいなこと)”に囚われているわけにもいかない。

 

「滅殺ッ!」

 

 再度、四機にビームの嵐が襲い掛かる。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 離れた戦場でも、ビームのカーテンが張り巡らされていた。

 核動力による無尽蔵のエネルギーによって放たれるそれらも、また同じ。

 そしてそのカーテンの中を潜り抜ける赤と青の閃光。

 

 ディザスターとフリーダム。

 流れるような柔らかな動きで、それらを掻い潜りつつ時折ビームサーベルで迫るビームを弾くフリーダム。

 それと対照的に、直線的に動くディザスター。

 

「ぐぅッ」

『ア、ナタ……!』

「進むのみッ……!」

 

 直線で動き、直角に曲がり、再度直角に曲がる。

 まるで稲妻のような軌跡を描きながら荒々しく───宇宙を駆ける。

 

『どの道、私の勝ちだッ!』

 

 そしてフリーダムより速く、プロヴィデンスへと辿りつく。

 振るった右腕のビームクローを、プロヴィデンスはシールドで受け止める。

 右腕のみのディザスターが両腕が健在のプロヴィデンスと接近戦は自殺行為的だが、プロヴィデンスの近接装備はシールドと一体化したビームサーベルのみだ。

 少なからず、シールドで真っ二つにはされまい。

 

「ヤキンが自爆すればジェネシスが撃たれるッ、だろう……!」

『貴様はどこまで知っているのだ!』

 

 外部からの攻撃では撃破不可。

 今更、ピースメーカー隊の攻撃が届くようになることもないだろう。

 ザフトも必死だ。自爆特攻ぐらいはできるだろうし、それを捌きながらピースメーカー隊を防衛できる戦力が今更あるか……否。

 

「だが、止めてみるさ。私ではない“誰か”が……!」

『貴様ほどの男が他人頼みとはなッ!』

 

 プロヴィデンスのドラグーンがディザスターを左右から狙うが、それらをさせまいとファウスト・ヌルがドラグーンを攻撃。

 チェシャの攻撃が回避されるが、ロマ撃墜は防いだ。

 大型ドラグーンを今すぐにロマに向けようとすれば、今度はフリーダムとファウスト・ヌルにドラグーンが撃たれると思えば、ラウはそちらをロマに向けられないでいた。

 

『やってきたのだろう、一人で……!』

 

 プロヴィデンスの大型ビームライフルがディザスターの頭部を打つ。

 怯んだディザスターを蹴って離れると、大型ビームライフルとシールドに装備されたビームを放つ。

 だが、それをファウスト・ヌルのビームクローが弾く。

 

「やれんさ……やってやれなかった!」

『なに……!?』

「私は一人ではなにもできなかった男だ……! だから守るべき者を危険に晒して……望む通りに、自らの力を使い、この結果を導いたお前とは違う……!」

 

 最初は自らがやらねばと思っていたこと、自らだけが未来を識るからこそ、立ち回らねばならないと思っていたこと。

 それはクルーゼと似たことだった。

 世界を自分の力で、自分の望んだ方向へと導く……方向性やら、望んだことは、二人まったく別のものであり、むしろ真逆と言っていいものではあるのだろう。

 だが、その本質は似ているのだ。

 

 そこでようやくロマは理解し、確信する。

 

「私はお前を羨ましく思うよ……ザフトに入り、戦い、自らの力を示し……!」

『なんのつもりだ……!』

 

 さらに接近するディザスター。

 動揺しながらも、戦いの手は緩まないし止まらないクルーゼ。

 プロヴィデンスが後ろに下がりながら射撃をするが、速度はやはりディザスターの方が上であり、コックピットでクルーゼは顔をしかめつつ、ビームサーベルを展開する。

 離れることが敵わないならば、切り捨てれば良い。

 

「そして人心も得て、白服に袖を通し……偽りの仮面だとしても、それができるということの実力がわかるからこそ、そうだな……! 私はお前が羨ましいのだろう!」

『戯言を、よく喋る男だなロマ!』

 

 大型ビームサーベルが横に振るわれるが、ロマはそれを上昇して回避。

 プロヴィデンスから見て真上に移動したディザスターがビームクローで突きを放つも、プロヴィデンスは後ろに下がりそれを回避。

 即座に大型ビームサーベルを切り、シールド内蔵のビームを放つ。

 

「あとは守るべき者を、帰る場所を見つければ、それでよかったろうにッ……!」

 

 ビームクローを振るいそれを弾き、さらにビームクローを振るうが再度シールドで凌がれる。

 至近距離での攻防。

 それをしながら、クルーゼはフリーダムを接近させまいとドラグーンを扱いつつ、さらに周囲に展開されるファウスト・ヌルの牽制も忘れない。

 

『ハッ、ハハハッ! なにを言うかと思えば、この期に及んで……!』

 

 命のリミットが目に見えて迫っていく……それは彼を狂わせた要因の一つ。

 人の業を憎み、人の業の肥大を嗤い、人の業による終焉を望む。人の業により生み出され、歪められた男。

 

『その力も全て、紛いものの、あの男のものだ……!』

「それでも、そうしてそこまでやったのはお前の力だろうに……! キラもそうだ。才能があろうと、やらなければやれるものではないッ! それは、お前のっ……!」

 

 プロヴィデンスの蹴りがディザスターを直撃する。

 

「ぐぅっ……!」

 

 生ぬるい言葉を放っている自覚は、ロマにもあった。

 その程度の言葉で止まる男ではないとわかっているのだが、それでも言わなければならないと感じて、らしくもない言葉を放っている。

 なにがしたいのか、伝えたいのかなど自分でもわかっていない。

 

 だが、それでも……。

 

『目障りで耳障り、誰よりも厄介で不愉快……うっとおしい男だよ。ロマ……!』

「チィ!」

 

 プロヴィデンスへ徹甲弾を連射しながら接近しようと試みるが、ドラグーン三基がプロヴィデンスの前方に現れる。

 

『アな、タ』

「……チェシャっ」

『まも、り、マス、わ』

 

 三基のドラグーンから放たれたビームを、三基のファウスト・ヌルのビームクローが弾く。

 

『甘いなロマ……!』

「なにっ!?」

 

 しかし次の瞬間、フリーダムを相手取っていたはずの大型ドラグーンの一基が現れ、その9門からビームを照射する。

 そこまで意識を回せなかった自分の落ち度であると思いつつも、ロマは素早くフットペダルを踏み込み操縦桿を操作。

 ディザスターを傾けさせる。

 

「チィっ……!」

『ヤ、ラレ……!?』

 

 それが三基のドラグーン、そしてディザスターの残った右脚を破壊した。

 だがそこで、止まるわけにもいかない。

 

「パワーダウンっ……しかし!」

 

 ディザスターが加速。

 

 プロヴィデンスが次の射撃攻撃を行おうとするが、それよりも速く接近しビームクローを振るう。

 それはプロヴィデンスの大型ビームライフルの砲身を切り裂き、さらに接近の最中に大型ドラグーンの一基すらも撃破していた。

 

『やってくれる……!』

「まだだッ!」

 

 少し離れた位置から小型ドラグーンが自らを狙っていることを感じ、そちらに腕を向け───射出。

 放たれた前腕がそのドラグーンを貫くが、射出している最中すらもディザスターは動き、そのままプロヴィデンスへと身体でぶつかる。

 怯み、下がるプロヴィデンス。

 

『ぐっ……っ!』

 

 呻くクルーゼだったが、ハッとした表情を浮かべるなり即座に上昇。

 だが、背後から現れたフリーダムがビームサーベルを振るいプロヴィデンスの右脚を切断した。

 クルーゼが四肢の無いディザスターにドラグーンでビームを放つ。

 

「チィッ……!」

 

 右腕が帰ってくるよりも早く、そのビームはディザスターを貫くだろう。両足を失ったディザスターをすぐに操れるほど器用でもない。

 残り一基の左腕仕様のファウスト・ヌルが戻ってこようとするが、途中で止まる。

 

「ッ!?」

『ゴメ、ンナ、サ……』

「チェシャっ……!?」

 

 だが動き出していたのはチェシャだけではなかった。

 突如、ロングダガーがディザスターへと体当たりをする。

 

「なっ!?」

 

 衝撃に目を見開くロマではあったが、なにかを言うよりも速く、ビームはロングダガーを貫く。

 そしてその胸に、悪魔のエンブレムが描かれていることに気づく。見間違うはずもない、自らの、ゴエーティア隊のエンブレムであり、そのロングダガーは部隊の者の……コーディネイターの駆るもの。

 ノイズが奔るサブモニターに映るノーマルスーツを着ている女性。

 

 見覚えはもちろんある。いや、見慣れた顔だ。

 

『隊長……無事で……』

「ッ……すまない」

『いい、んで……わた、し、……お役に、たて、ました……?』

「ああ、ありがとう……無駄死にではないぞ……!」

 

 弱々しく笑みを浮かべるゴエーティア隊の部下。

 それを最後に、ロングダガーが爆発を起こす。

 

「くっ……!」

 

 顔を顰めて膝を叩くロマだが、すぐに顔をあげてモニターを確認。

 フリーダムがプロヴィデンスを追うようにして戦っているが、その動きは先ほどよりも洗練されているように見える。

 事実、ドラグーンはすべてそちらに展開されロマの方には来ていない。

 

 数が減った、というのもあるが……。

 

「これでは、足手まといだな……」

 

 戻ってきた右腕と、傍を浮遊する唯一残ったファウスト・ヌルの左腕。

 二本の腕でなにができよう。

 それにチェシャはもう……。

 

『ヤレ、ます、わ……』

「チェシャ、お前はもう……!」

『アナた、ガ、やり、なさい……!』

 

 どこかおかしいチェシャの言葉に、ロマは再度顔を顰めた。

 

『あなたな、ラ、うまく、できマすわよ』

「ありがとう、信じよう」

 

 そう応え、ロマは微笑を浮かべる。

 戦場においてするに相応しくない、どこか柔らかな笑顔であり、チェシャにも勿論それは“視えて”いるのか、スピーカーからノイズの入った優しい笑い声が聞こえた。

 そして、ロマは浮いているファウスト・ヌルへと近づき左腕に接続する。

 

「……アイ・ハヴ・コントロール」

『……ユー・ハヴ・コントロール』

 

 二人の声、ディザスターのツインアイが、今一度緑色の光を宿す。

 

「往く……!」

『でハ……ゴきゲんヨう……ワたシ、の、ア、ナ、タ……』

 

 スピーカーがブツン、と切れるのを聞くなり、ロマはフットペダルを踏み込み、操縦桿を押し込む。

 加速するディザスターの中、ロマは声を聞いた気がした。

 

 ───いってらっしゃいませ、あなた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 放たれたフレスベルグが、歪曲し―――ドラグーンを撃つ。

 

 それによりモビルスーツ大のドラグーンは撃墜こそできないものの、大きく怯んだ。

 そして、それを見逃さずバスターは連結させた超高インパルス長距離狙撃ライフルを撃ち、レイダーがツォーンを放つ。

 二つの大口径ビームの直撃を受け、ドラグーンの一基が爆散した。

 

「グゥレイトォ!」

 

 コックピットでディアッカが拳を振り上げる。

 すぐに他のドラグーンからの攻撃がくるが、ディアッカはそれを即座に回避し、散弾を放つ。

 ドラグーンがそれを回避するも、内蔵エネルギーの問題か本体の方へと戻っていった。

 

『ハァン、やるじゃん……!』

「だろ! 惚れんなよ!」

『私、おにーさん一筋だから……』

「モテるねぇ」

 

 笑みを浮かべつつ、ディアッカも自らが帰り、守るべき相手を思い出す。

 残り三基のドラグーンだが、先ほどから隙あらば本体を狙っていることもあり、攻勢に出がちなのは残り二機、一基は本体の傍だ。

 四機いればある程度はどうにかなるだろうが……。

 

『もう一度、今のができると思うか?』

 

 イザークからの言葉に、クロトとシャニは眉を顰める。

 

『ゲームならCPUのパターンなんてわかりやすいんで、素直に当てられるんですけどねぇ』

 

 クロトの言葉の真意が、まともにやっても通じないだろう。ということだとすぐに理解した。

 だが、まともにやらなければ良いだけの話ではあるのだ。

 避けられないように怯ませて、ディアッカとクロトが手を空いている状態を作れば良い。

 

「ハッ、やってやろうぜ……どんな状況でもぶちこんでやるぜ」

『当然だ。お前を連れ帰って軍法会議にかけてやるのが俺の今の生きる目標だからな』

「えぇ!? 冗談だろ!?」

 

 サブモニターに映る笑みを浮かべるイザークに、ディアッカも思わず笑みを浮かべる。

 再び射出されたドラグーン二基。

 本体から放たれるビームの雨を回避する四機。

 

『うおっぶなぁ!? なにマジになってんだよ!』

『ビビりだね。あ、やばい……?』

 

 ビームを歪曲させるシャニ。

 正面からのビームの雨、そして左右からドラグーン。

 マズイと思いつつも、どうにかなるものでもない。

 

『そのまま止まってろ! オラァッ!』

 

 女性らしい声から発せられる荒々しいと言葉と共に、高出力のビームが放たれる。

 その一撃が、二機のドラグーンを同時に貫いた。

 

 二機での攻撃が必要とばかりに思っていただけに、その一撃に驚愕する四人のパイロット。

 大型モビルアーマーインゲンスからのビームの雨も止む。

 

『お、オルガ!?』

「おいおい、なんかもってきてるぜ?」

 

 四人が確認するのは、先ほどと変わらぬ右腕と左腕しかないボロボロのカラミティ。

 だがその右腕にはドラグーンを貫いた武装、“アグニ”を持っていた。

 さらに、その背中には“四肢を失ったストライク”をワイヤーで無理矢理くっつけ背負っており、アグニはその背中から伸びていた。

 

 そんな無茶な運用に、思わず笑いを零すクロト。

 

『なにそのだっせぇの!? ベビーシッター!?』

『うっせぇよ! オレだって好きでこんなだっせぇことしてんじゃねぇし……でも、必要だろ?』

 

 その言葉に、ディアッカは笑みを浮かべ頷いた。

 

「助かるぜ、バスター()の後輩!」

『誰が後輩だってぇの』

『ハンっ、今はネコの手も借りたいぐらいだ!』

 

 アグニを構えるカラミティ。

 五機のモビルスーツを前にするインゲンスの感情は読めない。

 だが、やることはどちらも変わりない。

 

 インゲンスは残り一基のドラグーンと共に、ビームを一斉射した。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 迫るフリーダムを捌くプロヴィデンス。

 

 先ほどまでとは違う動き。ただこれまでの戦闘で成長でもしたのか、それとも別の要因か。

 さすが特別なコーディネイターだと、クルーゼは笑みを浮かべる。

 自分と同じく人の業により生み出された彼に倒されるのであれば、それもまた……。

 

「これだけの業を重ねてきたのだ! 人がそれによって滅びる。業により滅びる!」

『そんなことっ!』

 

 展開されたドラグーンの中、バレルロールで回避しながらバラエーナプラズマ収束砲を放つフリーダム。

 回避をし損ねて、プロヴィデンスの右腕が吹き飛ぶが、どうせ大型ビームライフルも持っていない腕だ。

 残る大型ドラグーン二機がフリーダムを牽制するためにビームカーテンを張り巡らせる。

 

『くっ……すり抜けてみせる!』

 

 その合間を縫って加速するフリーダム。

 さらに小型ドラグーンがフリーダムを狙うも、キラは抜いたビームサーベルをもう片方のビームサーベルと繋げアンビデクストラス・ハルバードモードへと変え、そのまま回転させる。

 小型ドラグーン二基からのビーム、ビームカーテンのビームを回転させたビームサーベルで弾きながら、プロヴィデンスへと接近していく。

 

 そしてプロヴィデンスを捉える───だが……。

 

「甘いな、キラくん!」

『くッ!』

 

 残る一基の小型ドラグーンが、眼前へと現れる。

 

「これで終わりだ……!」

『まだ終わらんよ!』

 

 男の声と共に、フリーダムの眼前の小型ドラグーンが“ビームクロー”に貫かれる。

 撃破された小型ドラグーンに構わず、キラはフリーダムを加速させてそのまま、プロヴィデンスへとビームサーベルを突きだす。

 プロヴィデンスの頭部と背部のプラットフォームを貫くが、同時にフリーダムに蹴りを打ち込みつつ後退しプロヴィデンスは難を逃れる。

 

 といっても、ドラグーンのエネルギー供給機能は断たれただろう。

 

「えぇい……ロマッ!」

 

 悪態をつきながらも、クルーゼは憎きその男を見やる。

 接近してくるのは、両足を失いながらも未だ飛ぶディザスター。

 脚がなくなろうと、腰や背中にはまだバーニアがある。

 

『ラウ……ッ!』

 

 クルーゼは小型ドラグーンを撃った“前腕(ファウスト・アングリフ)”を、別の小型ドラグーンで狙い撃つ。

 先ほどからの戦闘で、両腕から射出した武装はワイヤーを焼かれれば操作できないことは判明している。

 背中の腕は自由に動いたが、それも途中で止まった。

 

 クルーゼの中も、特定の法則は完成しており、だからこそ回収する腕部を、どちらにしろワイヤーを焼き切れる場所にビームを放つ。

 だが……そうはいかなかった。

 

「なに!?」

 

 その有線ワイヤーで繋がれた腕部が───“自由自在”に動き出す。

 

「ちぃ!」

 

 ビームクローを展開しながら接近する腕部を回避し、大型ビームサーベルを振るう。

 プロヴィデンスを狙っていた腕が、下がっていく。

 そしてその腕の持ち主たるディザスターに視線を移せば、両足を失い浮遊するディザスターの左右には、自在に動く有線アーム。

 

「やはりロマ、貴様にも扱えるか……!」

 

 そしてディザスターのコックピットで、ロマは深く深呼吸をする。

 

 

 赤いヘルメットとノーマルスーツを身に纏い。

 

 赤銅色の機体を駆り、悪魔王のエンブレムを抱く者。

 

 

『ロマさん!』

「やるぞ、キラ……私とお前で」

『……はい!』

 

 並び立つ自由(フリーダム)厄災(ディザスター)

 

 

「チェシャ、ハイータ……私を導いてくれ……!」

 

 

 赤き何者かに憧れ仮面を被り、そして何者でもない何者かに成った者

 

 掴み取る未来を目前に、それを掴みとる手を持つ者。

 

 因果律を歪める者であり、新たな因果を紡ぐ者。

 

 

 世界にとっての毒であり薬でもある者。

 

 それは、摂理を覆す厄災である。

 

 







結構間が空いてしまいましたがなんとか

とうとう最後の最後、ラウとロマの二人、殴り合い宇宙
チェシャが脱落するもロマ、復活
キラきゅんと一緒に……これキラきゅんルート入ってるんじゃ(

そして、地味にディザスターがアレなことになってますが、ご察しください

では、次回でラスト

お楽しみいただければと思います
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