盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題) 作:樽薫る
大西洋連邦グリーンランド基地。そこは前大戦時、アラスカ自爆後に地球連合軍最高司令部が移設された拠点である。
だがC.E.72年現在、地球連合軍最高司令部はアイスランド島ヘブンズベース基地に移設され、結果として手薄になったグリーンランド基地は、新たな開戦前にはB.A.E.L派が占拠する形となっていた。
決してもぬけの殻、というわけでもなかったが“
グリーンランド基地を放置せねばならぬような状況となった原因とはなにか……それは開戦直後の戦闘だった。
大口叩いて、核攻撃までしておいての撤退、立場も悪くなる。
挙句、その後ザフトの“積極的自衛権の行使”も許し、戦況は芳しくない形になっている。
B.A.E.Lなどにかまけている余裕はないだろう。
結果、アズラエルとしても非常にやりやすい状況にはなったのだが……。
そして、そのグリーンランド基地の執務室のソファにて、ウィレーム・マクスウェルは片手を頭に当てて、息を吐く。
テーブルを挟んで正面に座るムルタ・アズラエルからの報告に、思うところがあったのだろう……それを“知っていた”としても、だ。
サングラスのしていない彼の赤と青の瞳が、不安そうな表情を浮かべ立っているフレイを見やる。
「そうか、フリーダムが……」
オーブ連合首長国にて、その代表であるカガリ・ユラ・アスハとユウナ・ロマ・セイランとの結婚式が行われていた。
しかし、前大戦の英雄ことフリーダムが突如現れ、カガリ・ユラ・アスハを連れ去りアークエンジェルと共に逃亡したとのことだ。
ウィルでなくても前大戦、彼らと関わった者たちは皆、それがどういうことか理解している。
「そうかキラが……」
「世界安全保障条約機構加盟の件で思うところがあったというとこか、あの娘じゃぁあの状態のオーブでセイラン家と老人たちを御して実権を握り、挙句に中立を主張するなんてさ……厳しいものがあったのも確かなわけで、ロゴスっていうかジブリールのチビのことだから、力技でゴリ押ししてくる可能性もないわけじゃないと考えれば……前大戦みたいに国を焼かれまいと躍起になる人らは抑え込めないでしょ」
「だからって、キラがまたフリーダムに乗るなんて……」
アズラエルの言うことは理解できるも、だからと言ってそれを理由にキラが再度モビルスーツで戦うきかっけになるとはフレイには思えなかった。
オーブがきな臭くなるならプラントに行く選択肢もあったはずだ。実際にその選択肢を皆が考えていたことをフレイは知っている。
だからこそ、此度の件にまだ裏があると思考してしまう。
「結構派手なやりかたするね、にしても」
「だが、どうしようもなかったのも事実さ、それを責められるほど我々もカガリになにかしてやれたわけではない。であればオーブをなんとかするために、カガリだけでも“自由”でいさせるべきだと思ったんだろう。キラも、マリューも、バルトフェルドたちも」
所詮は大西洋連邦の、一派でしかすぎないB.A.E.Lにやれることなどたかが知れている。
大西洋連合を三分していると言えば聞こえが良いが、戦力の比率だけで言えばやはりブルーコスモス派に劣るのも事実だろう。
だからこそ、結局はオーブを救うために取る方法としては、これはベストではないがベターなのだ。
結果を知っているからこそ、ウィレーム・マクスウェルと言う男は彼らを擁護した。
「オーブのことはともかくとしてだ、月基地は?」
「“ロゴス派”からの攻撃ですね。第一波は迎撃したとのことですよ。パイロットの練度の差ですね、我々の方が被害は少ないそうですけど」
モーガン・シュヴァリエやディアッカ・エルスマンを置いてきた甲斐があったというものだと、ウィルは素直に安堵する。
他の事ならともかく、肝心のB.A.E.Lのことがウィルには見通せない。
だからこそ、ことは慎重を要する。
そしてもう一つ、それも役者の違い故に気がかりだ。
「ミネルバは?」
その言葉に、アズラエルが頷いてフレイの方を向いた。
ハッとした彼女は手元の端末を操作して、すぐに口を開く。
「今はカーペンタリア基地に、との報告があります。オーブから出航時には地球軍の待ち伏せにあって戦闘になったともありますけど」
「これじゃオーブを切りたくもなるでしょ、彼らは」
そんな言葉にケラケラと笑うウィルの隣のクロト。
「オーブと地球守った艦を攻撃して、オーブを攻撃した連合と組むってすげぇ頭してるんですねぇ“平和の国”って」
「オーブの利益を……否、目先の安全を優先した結果なのだろう、それが悪いとは言わんが、良いとも言えん判断ではあるな」
「小難しいのはごめんだぜ、オレは」
「私も」
オルガとシャニも呆れたように息を吐くが、別にオーブが全て間違っていたとも言い難い状況であるのも確かだ。
現にオーブは地球にあり、その地球で力を持っているのは大西洋連邦である。もう二度とオーブに戦火を持ちこまれないようにとすれば連合に降るのは間違いではない。
だが、それにより別の敵性国家に侵略される可能性を除けば、だ。
───まぁ、所詮は識っている人間の思考か。
「ともかく、我々もカーペンタリアの方に向かうとしよう」
「ザフトに攻撃されたらどうします?」
「いや、今のザフトがこちらが不用意に近づいたとしても突然攻撃してくることもないだろう。ほどほどの距離を保ちつつ、だな……」
「ま、それであの娘を取り戻せるなら安いもんだけど」
そんなアズラエルの言葉に、ウィルは微笑を浮かべ頷いた。
フレイも、どこかなにかを決心した強い瞳でウィルの方を向き、グッと拳を握りしめて首を縦に振る。
やるべきことは決まっているし、戦うべき相手もわかっているならば、あとは上手く立ち回る方法を考えるだけだが、それがどうにも難しい。
ウィルはサングラスをかけるなり、クロトとオルガとシャニを順に見やる。
「すまないな。付き合わせる」
「今更かよ」
「ですねぇ、死ぬまで付き合ってあげますよ」
「やるよ……ハイータ、帰ってくるなら」
ウィルは手元の端末に視線を落とすと、その緑色の航空空母を確認し、サングラスの奥の瞳を細めた。
「ガルダを出す……!」
◇ ◇ ◇
カーペンタリア基地の軍港に停泊しているミネルバに、アスラン・ザラはいた。
いや、つい先ほど到着した。と言ったほうが正しいだろう。
プラントへと向かった彼はイザークと向き合い、さらにギルバート・デュランダルとの交流を経てザフトへと復隊する流れとなり、特務隊
何も知らず、ミネルバがいるのだろうと立ち寄ったオーブではスクランブルをかけられ、ようやく辿り着いたカーペンタリア基地。
だが、ゆっくりとする間もなく今度はジブラルタルへ向かうようにとの作戦指示を受けた。
それもミネルバに同行する形で……。
いや、それよりもアスランの頭の中は先ほど知らされたカガリ・ユラ・アスハ拉致の件と彼女の結婚ということで頭が一杯だった。
プラントに立つ間際にプロポーズまでしてしまった故に……。
彼女が一番大変だったであろう時に、共にいることができなかった。あまりに早急に状況が進んだとはいえ、だ。
「これでは大佐に叱られるな……」
「誰に叱られるんです?」
「うおっ!?」
突如として横から聞こえた声に、アスランはらしくもなく動揺を露わにしてたじろぐ。
「……ぷっ、あははは! あ、あのアスランさんがそんな声出すなんてっ!」
「き、君か……えっと」
「ルナマリア、ルナマリア・ホークです」
いつのまにやらやってきていた格納庫、彼女はそう言うなり自身の赤いザクを指差してそれのパイロットであると紹介をする。
赤いザクと言うと、ウィルの乗っていたザクを思い出しどうしたのかと周囲を見渡すが特に姿は見当たらないことに気づく。
ルナマリアはそんな彼に気づくでもなく、会話を続ける。
「たまたまボーっと歩いてるの見つけたんで声かけてみたんですけど、ご迷惑でした?」
「いや、そういうわけではないが……」
セイバーの調整もしたいのでやはり一人が良い気もするが……。
「あの、大尉が乗っていたザクは?」
「あ~マユのですか、あれは修理とかもあるし、そもそもマユをここカーペンタリアで降ろすってことになってるので、今は港の方ですよ」
「そう、なのか」
カガリに何度か噛みつき、ウィルにやけに懐いていた少女、マユ・アスカを思い出す。
少しばかり話をしてみたかった気もしたが、やはり自分にそんなカウンセラーのような真似はできないだろうと、すぐに思考を切り替える。むしろ火に油を注ぎかねない。
そういうのはそれこそ“彼”の役目であろうと、アスランはやはり彼を思いだす。
「でもオーブから出た時の連合との戦い、マユも勝手に飛び出しちゃったんですけど凄いのなんので」
「えっ、あんな子供が!?」
まだプラント基準でも成人していない子供が戦場に出たという話を聞けばそうもなる。
ルナマリアも一瞬驚きもしたが、気まずそうに頬を掻きながら目を逸らし苦笑を浮かべて、少しだけ首を縦に振った。
彼女自身も、そこについては思うところがあるということなのだろう。
「いやその、私たちも出したくて出したわけじゃぁ」
「あ、いやそうだよな。すまない……」
「まぁシンだってそりゃ怒ってましたしね。マユちゃんに……いやでも戻ってきてすぐの時はなんかボーっとしてたけど」
その言葉に、アスランはどこか引っかかりを覚えた。
彼が獅子奮迅の活躍をしたのは聞いたが、やはり“そういうこと”なのだろうかと……。
「でも、まさかザクで空中戦をしてみせるなんて」
「え、空中戦……?」
いまいち理解が追いつかないので、思わず“オウム返しをくりだす”のだが、ルナマリアは頷きながらしみじみとした様子で腕を組んで頷く。
その様子からして事実なのだろうとは予想はつくが、乗っていたのは“あの少女”のはずだ。
「ああいや、元々推進力とかは通常のザクよりカスタムされてて上なのは知ってたんですけど、凄かったですよ。跳び上がって新型の量産機を斬って踏み台にして撃って踏み台にして! ウィレーム大尉より凄いんじゃないですかもしかしたら!」
「いや、それは無いとは思うが……しかしまぁ、本当に民間人の少女がそんなことを」
散々戦ったからこそわかるが、その戦い方は聞いている限りでは彼を思い出させる。
「マユのザクはかなりスペシャルな機体なんですけどね。マユの右手の義手と特殊なシステムを介してリンクさせて、それでなんか色々と繋げて~、みたいな」
「ずいぶんと曖昧だが、そうか……“そういうタイプ”か」
連合にそういうシステムがあったことは知っている。というよりウィルから聞き及んではいるし、それはあまり自分には楽しくない話ではあるのだが……ザフトも似たようなものを開発しているのは意外でもなかった。
考えつくことはナチュラルもコーディネイターも、“同じ”だ。
前大戦でそれは良い意味でも悪い意味でも散々に思い知ったことである。
「でも、シンもマユもオーブが撃ってきたの見たらなんかカーッとなってからスーッとなったとか……意味わかります?」
「そうか」
「あ、わかるんですか」
「いや、なんとなく、な」
嘘だ、アスランはソレを知っている。
擬音だらけの説明でアスランが理解したことを驚くルナマリアではあったが、それを経験しているアスランからすれば、十分だった。
それがなければ前大戦、キラも自分もあの“三人”に討たれていただろう。
他の者の話ではカガリもその力を持っているようではあるが、それは彼女がキラの親族であることと関係があるのか……だが、シンとマユ、兄妹揃ってともなれば、やはり遺伝子的なものであるのかもしれない。
マルキオ導師曰く『SEED』と呼ばれる力、聞いてもいまいち理解のできないことだ。
だが、それで戦ってこれたのも事実で、それが無ければ今の自分はやはりない。
それは戦いに用いるべき力なのか、その疑念を呟いた男もいたが、答えなど無いのだろう。
「遺伝子的なもの、か」
「さぁ、そこまでは知りませんけど……でも議長って遺伝子工学のスペシャリストとか聞いたことはありますよ。あっ、だからレイじゃなくてシンをインパルスに推薦したのかも」
「……なるほど」
それは少しばかり引っかかる言葉ではあるが、今のアスランでは判断しかねることである。
「正直、あの戦いを見ればマユをこのままこっちに残していくのが“勿体ない”気もするんですけどね」
「おい……」
「いやいや、冗談ですよ冗談!」
アスランのツッコミに笑ってごまかすルナマリアだが、すぐにその表情を陰らせた。
「私だって本当にマユに戦ってほしいなんて思ってませんよ。戦争で両親と片腕無くして、身体に傷跡だって残ってるんだもの……」
その言葉は、やはりどこかアスランにとっても他人事にも思えない。
それはもちろん前大戦で自らが討った相手のことを思いかえすからなのだろう。
少し重苦しい空気を、放ってどこかに行くのもあまりにひどい話であるから、アスランは少しばかり思考する。彼がそのようなことをするようになったのも、どこかの誰かの影響かもしれないが、それを理解するアスランでも“彼”でもない。
「あの娘のこと、大事に思ってるんだな」
「メイリンだってそうですよ。シンと一緒にいたなら誰だってあの娘には思うところがあります。口には出さないけどレイだって、たぶん、おそらく、きっと……?」
意外ではあるが、彼女がそう言うのならそうなのだろう。
◇ ◇ ◇
連合所属、強襲揚陸艦スペングラー級J.P.ジョーンズの艦内を、ネオ・ロアノークは車椅子で移動していた。
顔の右半分を仮面で隠した彼女は、戦闘時は結っている長い白髪をそのままに左の肘置きに設置されているコントローラーで車椅子を操作していく。
重力下で右腕と左脚に義手義足を付けていないこともあって、移動するにはそれが不可欠なので仕方のないことだが、不便なことである。
しかし、先に装着していた義手義足の神経接続が非常に相性の悪かったこともあり、それをつけるぐらいならば車椅子で移動する方がマシだということで、ネオは現在そうしている。
先ほどまでスティングもいたのだが、ネオが自由行動中の二人を探してくるように頼んだ結果、一人であった。
そして身体に不備を抱えていると言えど、彼女は美女であるし軍服の上からでもスタイルは間違いなく良いわけであるのだから……。
「まぁしょうがないけどねぇ」
好奇の目はまだ良いのだが、明らかにそういった欲を宿した視線まで感じる。
別に男女比が極端なわけでもないのだが、やはりネオの爆発的な体型は男の精神衛生上よろしくないのも確かであろう……だが、ファントムペイン大佐にも、見て見ぬふりをする情があった。
そうしていると、廊下の先から金髪の少女が駆けてくるのが見える。
「あ~はいはいこのパターンね」
「ネオー!」
か細い声で彼女の名を呼びながら、飛びついてくるステラを受け止めた。
「もぉ、急に飛びついてくると危ないでしょ?」
「ん、ごめんなさい」
「……ん、いいよ」
強襲的に抱き着いてきたステラを窘めつつも、そっと頭を左手で撫でると、ステラは満足したのかにこやかな笑顔を浮かべて素直に離れる。
遅れてやってきたアウルとスティングが苦笑するのを見て、首を傾げたステラは、そっとネオの横に異動した。
「アウルとスティングも、したい?」
ステラの言葉に、アウルとスティングの二人がぽかんとしてから……すぐに表情を変える。
スティングはおかしそうに腹を抱えて笑い、一方のアウルは顔を真っ赤に。
「はぁっ!? そんなんじゃねぇよ!?」
実際、本当にそういうのでもないのだが、今こうして否定してしまっては逆に本当っぽくなるのだが、それを考慮できる余裕はその時のアウルには無かった。
故に、ネオは『仕方ないなぁ』という表情で、そっと左手を前に出す。
その爆発的な母性の象徴が、少女アウルの理性を崩しにかかる。
「い、いやいや! 俺はそんなガキじゃねーし!」
「別に良いのに」
「うっせ!」
変わらず赤い顔のまま、アウルは目的地であったブリーフィングルームへと歩いていく。
スティングは肩をすくめて首を傾げるステラを見てから、そっと視線を降ろしてネオを見やる。
「あんま揶揄ってやんなよな」
「別にそんなつもりないんだけど……スティングは、する?」
「おいおい」
溜息をついて歩き出すスティングに合わせて、ステラはネオの乗る車椅子を押す。
勢いよく進んだアウルだが、少し先でしっかりと自分たちを待っているのがどこかおかしく、ネオは思わず笑みを零した。
そっと、同じように笑う隣のスティングに視線を向ける。
そんな年長者らしい彼女の笑みに、なにか覚えを感じた。
「別に遠慮しなくて良いよ。おねーさんは嬉しいけどね……君らが甘えてくれるの」
「……その内な」
のほほんとしたネオの、あまりに軍人らしくない表情にスティングは気を緩めてそう応える。
ネオの露わになっている左目が、僅かに輝いて見えるのは気のせいだと思いたいところだ。
それに、スティングとしては甘えると言ってもステラのように彼女に甘える気もないのだが……そういうわけにもいかなさそうだと、溜息をつく。
このままでは押し切られそうだと、話題を変える。
「とりあえず次の作戦、またあの艦を追うんだろ?」
「ん、まぁ私の機体と新型義手と義足も届くし、モビルスーツも結構来るから大丈夫でしょ。ウィンダムだけじゃなくてディープフォビドゥンも配備してくれるらしいし」
「ずいぶん本気じゃねぇか」
スティングの言葉に、頷くネオは、先ほどと打って変わって不敵な笑みを浮かべた。
「ま、それだけあの艦を墜としたいってことだね。私らのスポンサーはさ」
◇ ◇ ◇
「ちゃんと一人でもしっかりな。お兄ちゃんすぐに帰るから」
「大丈夫だよ。マユだって同じ歳の子たちと比べたら十分大人だもん!」
「あと軍の人らに迷惑かけないように」
「わかってるってば!」
カーペンタリア基地軍港、ミネルバの前にシン・アスカとマユ・アスカはいた。
次の作戦、ジブラルタル基地へミネルバが向かうということを聞いたシンが、最後にマユと会っておきたかったからと、彼女とこうして会っているわけなのだが……いかんせん説教臭くなってしまうのは、彼女の保護者であるという自覚があるからなのか……。
少し離れた場所でその様子を見ているルナマリアはどこか可笑しそうに笑う。
「マユはお兄ちゃんの方が心配だよ!」
「なっ、俺が強いのは見ただろ!?」
「マユだって強かったもん!」
とても、先の戦いで獅子奮迅の活躍を見せた二人の姿には見えないなと笑いながらも、ルナマリアはそちらへと近づいていく。
そろそろ止めなければいつまでも続きそうだ。
「ほら、シンもマユもそこまでにしなさい。私とメイリンと違って、一緒に戦場ってわけにもいかないんだから……そうやって喧嘩しててもしょうがないでしょ」
「ルナさん……」
「シン、妹ってのは案外しっかりしてるもんよ。たぶん」
そうなのだろうか、と疑問にも思うシンだが、同じく妹を持つルナマリアの言葉に素直に頷く。
自分には少しは反発すると思っていただけに素直なシンが意外で、少しばかり面食らうルナマリアだが、妹と離ればなれになるとなれば、そりゃ心も弱るだろうと思う。
今までずっと一緒だったのだから猶更だ。
「マユ、それじゃあ、ちゃんと御飯は食べろよ」
「……わかってるよ」
そういうマユの頭を、シンはそっと撫でる。
「お兄ちゃん、気を付けてね?」
「ああ……」
ルナマリアと去っていく“
彼が強いのは、先の戦いでしっかりと理解はしているが、自分だって同じぐらいやれることもまた理解しているマユは、どこか歯痒さを感じる。
だが、それ以上にあの時、自身の意識がやけにクリアになるより前に、なにか不思議ななにかを感じたことも事実だった。
「あれは……」
自身の義手を見やり、マユは思考する。
あのザクは特別製であり、マユが使えば使うほど操作のクセや前回の訓練での情報をアップデートし、その情報を義手を通してマユに伝達する。
そしてオーブ沖での戦いの際、義手を通してザクと繋がった瞬間、今までとまったく違う情報の波を感じた。
「マユ、このままで、いいのかな……?」
【阿井 上夫】さんにファンアート【ネオ・ロアノーク】を頂きました!
【挿絵表示】
一体なにータなんだ……
しばらく空いてしまいましたが、話がぐっと進みました
色々な情報を出しつつ、色々とばら撒きつつ
あまり書かなかったアスラン視点を書いたりという新鮮味
そしてウィルが色々と影響与えてたりしたりしなかったりな感じで
そして、ここらでOPがPRIDEに変わるわけです