盟主に気に入られちゃったし三馬鹿が美少女だった(仮題)   作:樽薫る

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星光

 

 強襲揚陸艦スペングラー級J.P.ジョーンズ。

 ダーダネルス海峡にてミネルバを討つ任を受けたファントムペイン……そしてその隊長ネオ・ロアノークは作戦の方針を決めるための話し合いを前に、ハンガーにいた。

 この後にあるオーブの【セイラン】との打ち合わせを前に、少し憂鬱な彼女の前に、少しおどおどとした様子のステラ・ルーシェ。

 戦闘前に不安定になるのも、別に珍しいことではないからか、ネオは慣れた様子で彼女に視線を合わせる。

 

 義手義足と、怪我を隠すため顔半分を覆う仮面をつけている専用軍服を着た彼女は立っているだけで十分目立つが、“エクステンデッド(彼女たち)”といるというのがことさら彼女を目立たせる。

 

「ステラ、大丈夫?」

「あ、ネオ……うん」

 

 素直に頷くステラは、左手首に巻いた“ハンカチ”を見ていた。

 ネオは困ったような表情で笑みを浮かべるも、すぐに笑顔を“貼り付けて”、そっとステラの頭を撫でれば、彼女はネコのようにくすぐったそうにする。

 事情はステラから聞いたが、だからこそ、ネオは笑顔を張り付けるようなことになるのだ。

 最初から残酷な人間で、最初からもっと“調整”されていればこうはならなかったろうに……。

 

「シン、くん?」

「うん、シン……ステラを守るって……また、会えるって……」

 

 少しばかり寂しそうな声で嘆き、左手首に巻いたハンカチに右手で振れる。

 

「大丈夫、ステラがしっかり“敵を倒せば”……シンくんを守ることだってできる。そしたらまた、会うこともできるから……」

「シンを、シンと……?」

「うん、だから一緒に悪い奴、やっつけよう」

 

 そんな言葉に、ステラはグッと拳を握りしめて頷く。

 

「うん……!」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 大西洋連邦の一派閥B.A.E.Lが持つ巨大航空輸送機『ガルダ』のブリッジにて、副長席に座るムルタ・アズラエルが難しい表情を浮かべていた。

 いや、そんな表情を浮かべているのは別にアズラエルだけではない。

 艦長席のナタル・バジルールも、オペレーターをしているフレイ・アルスターやクルーたちも然り。

 

 そしてそんな中、片手を腰に当てて見定めるような表情をモニターに向けるのはウィレーム・マクスウェルである。

 

「オーブが連合と合同作戦……黒海にてザフトを討つつもりなのは確かな情報として、君の言う通りに本当に来るかなアークエンジェルは」

「ええ、確実ではありませんが、おそらく十中八九」

 

 そう言うウィルに、アズラエルは目を細めた。

 

「まぁ、あの娘がフリーダムに攫われたって言う噂が本当なら、ほぼ確実か……」

「キラが、また戦場に、カガリまで攫って……」

 

 眉を顰めて不安そうに呟くフレイだが、ウィルとしては彼こそ本当に心配いらない人物だろうと思ってしまう。やはり全てを識っているからこそ、であるが……。

 

「大西洋連邦の小間使いとなっているオーブを憂うならば妥当と言えるでしょう。特にアスハ代表はそういう方でしたし、あの状態のオーブで彼女がなにを言っても発言が通るとは思えません」

「艦長さんが言うことにも一理あるでしょうね……それを考えて“彼ら”があの娘を誘拐したとすれば、彼女を表舞台に出すとしたらここがベストなわけで、上手くいけばセイランの不信任決議案……」

 

 つまりは、オーブが揺らいでいるときに、ということだ。

 彼らの理念『他国を侵略せず・他国の侵略を許さず・他国の争いに介入しない』というものを破り、兵たちが動揺している今こそ、カガリの声をオーブに届かせるには絶好の機会……。

 だが、ウィルはその結果もまた識っている。

 

「いや、それはないか」

 

 自らの言葉を否定するアズラエルに、ウィルはサングラスの奥の目を僅かに見開く。

 

「現状のオーブだとセイランの力が圧倒的で老人たちもセイラン派、ウナト・セイランが上手くことを運んでいる結果こうなっているのだとすれば、下はともかく上はどうにもならないでしょ……もっと“追い込まれ”でもしない限り、さ?」

「オーブを救うためにはオーブを叩くしかないとは、皮肉なものだよ」

 

 アズラエルの言葉にウィルは同意しながらも、戦場が近づいてきているのを肌で感じる。

 彼が持つ“擬きめいた力”ではなく、ベテランのパイロットとしての、戦場を散々に感じた者としての感覚であろう。

 だからこそ、踵を返す。

 

「私も機体にて待機する。牙を剥くならこちらも相応の対応はする……所詮あちらもロゴス派なのだろうしな」

「ええ、どうぞ……あの娘たちには、作戦内容しっかり叩き込んでおいてくださいね。大尉?」

 

 そんな“面倒見のいい”アズラエルの言葉に、ウィルは苦笑しながら振り返り頷いた。

 

「彼女たちとていつまでも子供でないし、理解しているだろうさ」

「だと良いんだけど……」

 

 肘置きに肘を置いて頬杖をつくアズラエルが深く溜息をつくのに、ナタルとフレイは苦笑を零す。

 彼女らが命令違反を犯すことなどそうはないのだが、それでもやはり気になってしまうのは親心というか姉心というか……。

 フレイやナタル等も心配していないわけではないが、やはり思うところがあって然るのも当然。

 

 軽く敬礼をして出て行くウィルを見送るなり、ナタルは深呼吸。

 

「指揮は任せていただいて大丈夫ですね?」

「ええ、意見はさせてもらうけど、戦場での立ち回りや“誰を討つか”なんてのも含めて最終的な判断は君に任せるよ。艦長さん」

 

 それは彼の言う通り、本当に“アークエンジェル”がいたとしても、ということなのだろう。

 だからこそ、ナタルは表情を引き締めて、頷く。

 

「かしこまりました」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 ダーダネルス海峡では、既にミネルバとオーブ、連合艦隊との戦闘が開始されていた。

 フォースシルエットを装備したインパルスとセイバー、そしてマユのザクウォーリアが、寄ってくる飛行ユニットシュライクを装備したM1アストレイを次々と撃破していくも、後方に控えた艦隊が近づいてはそう悠長に敵機を落としていられないだろう。

 だからこそ、タリアはタンホイザーを使用することを決め、そのスタンバイに移る。

 

 射線をオーブ艦隊に向け、その一撃が艦隊を屠りさえすれば一気に形勢はミネルバ側に傾く……はずだった。

 そこに、乱入者が現れなければ、だ。

 

 タンホイザーを放つ直前、放たれたビームは砲口を貫き破壊する。

 エネルギーのチャージも終えて後は放つだけだったタンホイザーの砲口は激しく爆発し、軽微とは言えない被害をもたらし、ミネルバは緊急着水。

 M1アストレイをビームトマホークで斬り裂くなり、マユは動揺しながらも周囲を見渡した。

 

「なに、どこからっ……!?」

『あれはっ……!』

 

 アスランの声に、ようやく“撃った者”を見つける。

 

 翼を広げる“ガンダム”は、マユが忘れるはずもない機体であった。

 青と白のコントラスト、それは……。

 

「フリーダムっ……!?」

 

 さらにその背後には、アークエンジェル、そして桜色のストライク……ストライクルージュ。

 

『私は、オーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ!』

 

 その声は確かにカガリ・ユラ・アスハのもので、オーブ軍はもちろん、マユたちの動揺も著しい。

 

『オーブ軍! ただちに戦闘を停止せよ! 軍を退け!』

 

 誘拐され行方不明になった彼女が、どういった経緯でアークエンジェルと共にこうして戦闘行動に介入したのか、どういった理由で再度あの機体で出撃し、こんなことを呼びかけているのか……。

 政治に精通するものであればおおよその仮説を立てることは可能だろうが、彼女には理解しがたいことだ。

 そしてなぜ、フリーダムはミネルバを撃ったのかも……。

 

『現在、訳あって国もとを離れてはいるが、このウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハが、オーブ連合首長国の代表首長であることに変わりない! その名において命ずる! オーブ軍はその理念にそぐわぬこの戦闘を直ちに停止し、軍を退け!』

 

 

 

 そのカガリの言葉を聞いた、オーブ軍旗艦『タケミカズチ』にいるユウナ・ロマ・セイランの動揺は、他の者たちの比ではない。

 

 大西洋連邦との連携が、同盟が堅いことを示すために、オーブとしての立場を示すために軍を動かし出立し、ここからオーブが大西洋連邦にも負けぬほどに強い国であるとアピールするために作戦を開始した直後にこの始末。

 彼女は無理矢理に誘拐され、その後の足取りは掴めず、夫であるユウナが代理としてオーブの指揮を執っている。

 そういう経緯でことが進んでいるというのに……なぜかアークエンジェルに協力してそんなことを訴えかけてきた。

 

 まずどこから対応するかを思考するが、このような状況でどうしろというのか……。

 

「うっ、ぐっ……!」

 

 震える手で、肘置きに設置されている通信機を取った。

 

『ユウナ・ロマ・セイラン』

 

 瞬間、“男の声”が響く。

 それは大西洋連合の、J.P.ジョーンズに乗っているはずの人間だ。

 モニターに映るその男の鋭い視線を受けて、ユウナは震えた。

 

『これはどういうことでしょう。彼女が貴国の代表であるなら、なぜ今頃“アレ”に乗って現れ、軍を退けと仰るのか、ハッキリと答えて頂かねば……お国もとを含めて諸々と面倒なことになりかねませんが?』

「こ、このままではっ! こ、こちらの士気に関わることですっ!」

『ほう……そして、貴方はどうしろと仰る?』

 

 目に見えぬ圧に、ユウナは拳を握りしめる。

 

「ぐっ……あ、あんなもの私は知らない!」

「なっ!?」

 

 ブリッジのトダカやアマギたちが驚愕の表情を見せるが、ユウナは勢いよく受話器を叩きつけてそちらに視線を向けた。

 

「ユウナ様、なにを仰います!」

「あれはストライクルージュ、あの紋章もカガリ様のものですよ!?」

「わかってるよ! だからってオーブを守るためにこうしてきた僕らが、今更『はい、やめます』とは言えないだろ! あっちへの攻撃は最小限でいいからっ! さっさとミネルバを沈めるんだよっ! ならなんだっ、今更戦闘をやめて、地球軍に討たれろって言うのか、お前たちはっ!?」

 

 トダカとアマギも、その問いに明確な答えは出せない。

 状況はもはや、後戻りできない段階まで来ているのだから当然と言えば当然だ。

 連合から身を守る術を持たないオーブではないが、このまま連合に異を唱えて敵対関係ともなれば二年前と同じ状況になるだけなのは明白。

 再度、国を焼くわけにもいかない。それを凌ぐために連合と手を組むと“父は言っていた”のだから……。

 

 まぁユウナが、その連合の裏に居る“何者か”と父が深く繋がっていることを、事細かに知るわけもないのだが。

 

「国に戻って『やっぱり地球軍が敵になります』『また国が焼かれます』『全部カガリのせいです』って言えるのか!? 恥をかいておめおめと戻って、二年前と同じことになって……そんなん、どうしようもないじゃないかっ!? だからさっさと撃つんだよ! それで“赤い奴”に僕らは地球軍の味方ですってアピールするんだよっ! でさっ、あとはミネルバを墜としてさっさと帰ろうよっ!? ねぇっ!?」

 

 だが、これで勝利したとて、またオーブは戦場に駆り出されることになるだろう。

 一度あれば二度ある。そしてそれは戦争が終わるまで無限に続くのだ。だが、ウナト・エマ・セイランがロード・ジブリールと繋がっていて、オーブが連合と繋がった時点で、それはほぼ確定した未来だった。

 今のオーブの命運を握っているのはカガリでも、ましてやユウナでもない、ウナトでありジブリールだ。

 

「ッ……ミサイル照準、アンノウンモビルスーツ!」

「トダカ一佐!?」

「我等を惑わす賊軍を討つ!」

 

 トダカの掛け声と共に、オーブからの攻撃が“ストライクルージュ”に放たれる。

 

「頼んだよっ!」

「フリーダム……!」

 

 両手を合わせ祈るユウナと、凛と立つトダカ。

 だが二人とも……否、オーブ軍の面々が願うのは同じことだ。

 

 ストライクルージュへと放たれたすべてのミサイルが、フリーダムの“ハイマットフルバースト(一斉射撃)”にて迎撃される。

 

「ふー……」

 

 ユウナとトダカが同時に息をつき、肩の力を抜く。

 だが、それは戦闘再開の合図であり、総てが動き出す。

 

 連合も多数のウィンダムと、ガイア、カオス、アビスを出撃させ、ミネルバも新型機グフイグナイテッドと共にザク二機を発進させる。

 交戦が始まれば、先に出撃していたザフトの三機のモビルスーツがウィンダムを落としていく。

 

「っ、うちもさっさと攻撃させて! 赤い奴と仮面女にちゃんとやってますよってアピールしないとマズイでしょ、僕らはもう地球軍で、あいつらはただの大西洋連邦の部隊と違うんだからっ!」

「……ハッ!」

 

 苦々しい表情を浮かべながら返事を返し、トダカは戦闘指揮を開始する。が……。

 

「さらに機影接近!」

「なに、所属は!?」

「これは情報にあった……B.A.E.Lの大型輸送機です!」

「ああもぉ、なんでこうなるの!?」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 混沌とする戦場を間近に、自らの機体───ザムザザーのコックピットでウィルは息を吐く。

 いつも通り用意されている赤いノーマルスーツを着用しながら、彼は震えもしなくなった手を見やり苦笑を浮かべた。

 どんなに素人で並の人間程度だったとて、ここまで戦い続ければ慣れもするものだ。

 

『にしても、あなたったら赤、赤、赤って……隠す気はございませんの?』

 

 支援AIことチェシャの言に、ウィルが苦笑したのは言っていることは尤もなことだと理解しているからであり、だがそれでもそれを求められて乗ってしまっている自分に対する自嘲もあるからだ。

 これでは“赤い悪魔”ですと言っているようなものだと……。

 だが、別に赤い機体は彼だけのものではない。なんなら“人気の色”だ。

 

「金にでもしておいた方が良かったか?」

『目立つのがお好きで? それとも自信の表れでして?』

「その分味方に敵意が向かなくなるなら悪いことばかりではないよ」

 

 そう言いながら、ふと妙な感覚に気づく。

 

「これは……?」

『どうかしまして?』

 

 数日前の酷い頭痛、その時に感じた不快感に似たような何かを感じる。

 彼は自身が“特殊な力を持つ者なのではない”と思っていたが、やはりその不快感は並の人間が感じるそれとはまた違うものなのだろう。

 彼の想起する“ニュータイプ”とは違うが、やはり彼はこの世界における“新たな力を持つ者(ニュータイプ)”なのかもしれない……すべては断言できることではないが。

 

 すると、サブモニターにフレイが映った。

 

『間もなく作戦エリアに入ります。総員、第一戦闘配備』

 

「クロト、オルガ、シャニ、聞こえるか」

『はぁい』

『あぁ?』

『なに……?』

 

 三者の声が聞こえ、彼はどこか不安感を覚える。

 久しぶりの出撃だというのに、彼女らはまるで不安感もないようで、前と同じように気の抜けた返事を返すので、ウィルは少し眉を顰めた。

 彼女らの腕を信用していないわけではない。シミュレーターもゲーム感覚で遊んでいたことだし、腕が明確に落ちているなどということは無いと思いたい。

 だが、やはり守るべき対象……守った対象を再び戦場に連れ出すのは不安感を煽るには十分すぎる要因である。

 

「お前たちはガルダの護衛だ。離れるなよ」

『んなもんわかってるっての』

『ですね。おにーさんは心配性なんだよ』

 

 二人の言葉に、ウィルはその自覚があるのかバツの悪い表情を浮かべた。

 

「かもしれん、だから心配させてくれるな」

『ハァン、こっちの台詞だから、それ』

 

 シャニの言葉に、ウィルは頷く。

 

「そうだな、努力する」

 

 すると、次にサブモニターに映るのはアズラエルだった。

 

『あ~君たち、“案の定”戦場に出てるアークエンジェル陣営には手出し無用ってことは覚えておいてくださいね。と言っても君たちはガルダの護衛なわけだから……あなたに言ってることお忘れなく』

「了解してますよ顧問。触らぬ神になんとやらだ……私ではキラに勝てんからな、手出しなどせんよ」

『かっこわりーこと言いますわね』

 

 チェシャの言葉に、アズラエルが苦笑を零す。

 事実、ウィルが万全で、戦う必要があったとしてもキラに手を出すことは最低限したくはないことだ。

 自身が撃墜される危険がある行為など好き好んでするわけがない。

 

『ともあれ無事に帰ってくるように。君たちも、あなたたちも』

『かしこまりですわ!』

『ほんとAIっぽくないことで』

 

 今、自身がやることは……。

 

『システム、オールグリーン……発進、どうぞ!』

 

 ガルダの下部ハッチが開かれ、コックピットのウィルの目先のモニターにも光が差し込む。

 

「……ウィレーム・マクスウェル、ザムザザーで出撃()るぞ!」

 

 瞬間、ガルダの下部からザムザザーが海面に向けて落下していくも、バーニアを使い姿勢制御をしつつ、止まる。

 赤きザムザザーはそのブレードアンテナを輝かせ、戦場に舞い降りた。

 戦況はそれだけで十分に変わるに値する。それだけの心理的圧をかけるものだ。

 

 ミネルバ隊はもちろん、アークエンジェルや、ファントムペインもすぐにそちらに意識を向ける。

 当然だろう。彼が誰かを理解している者であり、彼を彼と理解していなくとも、ウィレーム・マクスウェルを知っているのだから……。

 突如、加速するザムザザー。

 

「オーブは放っておきたいとこだがな…!」

『忖度するってわけですわね。別に構いませんけど、あっちはやる気満々でしてよ!』

 

 四脚、その前二つの<複列位相エネルギー砲(ガムザートフ)>を放ち、ウィンダムとダガーLを一機ずつ破壊。

 海上を加速するザムザザーを追うのは二機のムラサメ。

 ミサイルとビームを放ってくるも、機体を傾けてそれを回避しつつ、脚部の上部に装備された単装砲を放ち二機のムラサメを“撃墜”する。

 

「私はキラほど上手くはやれんぞ……!」

『連合の空母から新たな反応、ワンコのモビルスーツ、ともう一機……ハァッ!? なんですのコレっ!』

「なに、どうしたチェシャ!」

 

 モニターに映る新たな機影を確認し、ウィルは顔をしかめた。

 

「どういうことだ……?」

 

 それは───見覚えのある赤いウィンダムだった。

 

 肩部のパーソナルマークこそ翼を閉じた悪魔から、翼を広げた悪魔へと変わっているし、細部も他のウィンダムより鮮麗されているように見える。

 さらに言えば、おそらく中身も違うのだろう。

 妙な不快感、僅かな頭痛に、ウィルは顔をしかめた。

 

「オレを、なぜ……?」

 

 

 

 ネオ・ロアノークは自身の専用ウィンダムで“赤いウィンダム”へと近づく。

 見覚えがあるだとか不快感はともかく、今やるべきことはミネルバを墜とすことであり、B.A.E.Lを始末することであり、ついでに邪魔者を払うこと。

 そしてそのためにどうするかは、傍にいる“上司”が決めることだ。

 

 だからこそ、ファントムペインの隊長としてジブリールに最も近い、その男へと指示を仰ぐ。

 

「全機出撃しました」

 

 モニターに映るのは、金髪赤眼の男だ。

 

「“サタナ”特務大佐、指示を」

『ああ、ありがとうネオ大佐』

 

 飄々と、どこか余裕そうな男の声に、僅かな不快感を感じる。

 ネオはいつだって……“一年前”に初めてあったときから、その男に違和感を感じていた。

 だがしかし、それはステラたちを守ることとは関係の無いことだ。

 

 今やるべきことは目の前の男を拒絶することではない。

 

『ほう、あれがB.A.E.Lの専用ザムザザー、素直に赤とはな』

 

 ザフトにも二種類ほど赤があるが構うつもりなどはないようで、男は口元に笑みを浮かべたまま、ウィンダムをそちらへと向けて加速させる。

 尋常でない加速をするそのウィンダムのコックピットで、男はノーマルスーツも着ないまま余裕の笑みを浮かべていた。

 接近しながらも、ザムザザーへと右手のビームライフルを放つが、急停止したザムザザーが逆方向に加速し回避。

 

「避けるか、さすがだな」

 

 ザムザザーのガムザートフが放たれるもそれを回避し、男は変わらず余裕の笑みを浮かべる。

 

 

「見せてもらおうか、“赤い悪魔”の力を……!」

 

 







色々と動き出して、新キャラ登場でした
あまりオリキャラは出さない主義ではあったんですが、致し方なし
どういうキャラか、なんかはガンダムシリーズ履修済みの方にはおおよそ予測がついてそうな感じの奴ですが、まぁそんな感じです
パワーバランスが複雑なことになってきまして、ウィルも当初の目的すら果たせるかどうかな感じに……


映画の新情報が出ましたが、劇場版編をやるとしてこのままB.A.E.Lが残るとコンパスとの関係性が複雑なことになりそう
いやまぁ見て見ないことにはなんともなんですが


では、次回もお楽しみいただければです

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