イナズマイレブンAnother   作:クレイЯ

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止まらぬ勢い

嵐山 side

 

 

『さあ、後半開始早々に勝ち越し点を得た永世学園!木戸川の猛攻を防いで、このまま勝利できるでしょうか!』

 

 

ピィィィィィィィ!

 

 

『木戸川ボールで試合再開です!』

 

 

「俺たちが負けるとかあり得ないみたいな!」

 

「僕たちの力はこんなものではありません!」

 

「俺たちの力、見せてやるみたいな!」

 

「「「必殺タクティクス、”ゴッドトライアングル”!」」」

 

 

懲りずにもう一度来たか。修也がそんなこと許すとは思えないが...もう一度来るというなら、何度でも止めてやるまでだ!

 

 

「こっちもいくぞ!」

 

「「「「「はいっ!」」」」」

 

「必殺タクティクス、”奇門遁甲の陣”!」

 

 

俺たちも対抗すべく、ふたたび”奇門遁甲の陣”を発動した。

これにより、俺と砂木沼を除く9人が武方三兄弟を取り囲んだ。

 

 

「「「くっ...........くっくっく。」」」

 

「?」

 

「この状況で笑ってる?」

 

「残念だがこのタクティクスはもう見切ってる!」

「「みたいな!」」

 

 

「いくぞお前たち!」

 

「っ、修也!」

 

 

「「「必殺タクティクス、”フライングルートパス”!」」」

 

 

囲まれて身動きが取れなかった武方三兄弟だったが、ボールを持っていた勝が突然その場で飛び上がった。

 

 

「受け取れ!豪炎寺!」

 

「おう!」

 

「っ!」

 

 

すると勝はそのまま上空で修也のいる方向へとパスを出した。

今度は修也がそのボールを上空で受け止めるべく、その場で飛び上がった。

まさか、このままダイレクトで空中パスを繋げるつもりか...!

 

 

「お前たち!”奇門遁甲”は中止だ!すぐに元のフォーメーションに戻れ!」

 

「「「「「はいっ!」」」」」

 

「もう遅い!」

「「みたいな!」」

 

 

「西垣!」

 

「おう!...友!」

 

「受け取りました!....努!」

 

「おっしゃあ!」

 

 

くっ...完全にディフェンスを武方三兄弟に傾けていたから、動きに対応できていない。

”ゴッドトライアングル”も囮だったか....これは恐らく修也の策だな。

まんまとしてやられてしまったか。

 

 

「豪炎寺!決めろ!」

 

「うおおおおおおおお!」

 

 

最後に修也へとボールが渡り、修也はすぐさまシュート体勢へと入った。

 

 

「”爆熱ストーム”!」

 

ドゴンッ!

 

 

「くっ!止めてみせる!”グングニル”!」

 

 

修也の”爆熱ストーム”に、砂木沼は自身の持てる最強の技、”グングニル”で対抗する。

互いの力は拮抗しているかのように見えた。だが...

 

 

「ぐっ...ば、馬鹿な...俺の最強の必殺技ですら...届かんだと...!ぐわああああああああああ!」

 

 

『ゴーォォォォォォォォォォル!!!同点!同点です!木戸川清修、エースストライカー豪炎寺修也がゴールを奪いました!取られては取り返す、どちらも一歩も譲りません!』

 

 

くそっ...!まさか上から突破してくるとは...確かに、”奇門遁甲”に限らず様々なタクティクスは空中に弱い。だが普通、空中でパスを繋げるなんてしないからな...

 

 

「(見るからにぶっつけ本番...あっちもやりやがる。)」

 

 

これで3vs3か....後半、まだ時間はあるがむしろ時間があることが怖いな。

残り時間が僅かなら、ギリギリの時間で決めて逃げ切ることができるかもしれない。

だが、こうも時間があるとそれも難しいうえ、逃げ切りのプレッシャーが大きい。

 

 

「(どうする...”ゴッドトライアングル”は”奇門遁甲の陣”で防げるが、”フライングルートパス”で突破される。一応、”ペンギンカーニバル”で”フライングルートパス”は潰せるが、それでは”ゴッドトライアングル”は止められない。)」

 

 

完全にじゃんけんみたいな状態になったな。

修也め...かなり永世学園を研究してきたな。

 

 

「嵐山さん...」

 

「....そんな不安そうな顔をするな、基山。」

 

「で、でも...」

 

「俺たちは俺たちのサッカーをすればいい。そうすればきっと勝てるはずさ。」

 

「俺たちのサッカー...」

 

「ああ。大丈夫、何とかなるさ!」

 

 

そう言って、俺は基山の肩に手を置く。

不安そうにしていた基山だったが、少しは安心してくれたみたいだ。

何とかなる...とはいったものの、さてどう攻めていこうか。

 

 

「(ま、今まで通りいくしかないか。)」

 

 

ピィィィィィィィ!

 

 

「攻めていくぞ、ヒロト!」

 

「はい、嵐山サン!」

 

「よし。...基山!いつも通りだ!」

 

「はいっ!」

 

 

俺は基山にいつも通り、と指示を出しながらパスを出す。

そして俺とヒロトは前線へと駆けあがっていく。

 

 

「(嵐山さんが俺を信じてボールを渡してくれているんだ....俺が何とかするんだ!)」

 

「(タツヤ....なんだか気負っているようにみえるわね。)」

 

「いくぞ、みんな!」

 

「「「「おう!」」」」

 

 

基山が緑川、八神と共にボールを運んでいく。

近くには武藤や本場もいるが、サイドからあがれるようにやや離れている。

 

 

「ここで止めるみたいな!」

 

「玲名!」

 

「タツヤ!」

 

「んなっ!?」

 

 

勝が止めに入るが、基山と八神のノールックでの息の合ったワンツーで突破される。

あの二人、なかなか良い連携じゃないか。あれだけ息が合うなら、何かできそうだな。

...っと、今は試合に集中しなければ。

 

 

『おおっと!基山と八神の華麗な連携の前に、木戸川イレブンは手も足も出ない!どんどん敵陣深くへと切り込んでいくぞ!』

 

 

「ここまで来れば.....っ!」

 

「悪いが俺が相手をしよう。」

 

「ご、豪炎寺修也...!」

 

 

どんどんと前線に切り込んでいく基山たちの前に、修也があらわれた。

あいつ、俺のこと追ってこないと思ったら、良いところで待ち構えてやがった。

 

 

「くっ....(何てプレッシャーだ。嵐山さんはこんな人を相手にプレーしてたのか...!)」

 

「....」

 

「っ.....」

 

「タツヤ!」

 

「....っ.....」

 

「タツヤ....?どうしたの、タツヤ!」

 

 

八神がパスを呼びかけているが、基山は一向に動こうとしない。

基山のやつ、修也のかけるプレッシャーに飲まれてるな。

今の基山には、八神の声は届いていない。

 

 

「来ないなら俺からいく!」

 

「っ!」

 

「はあ!」

 

 

修也が基山に対してタックルを仕掛けていく。

パワーのある修也のタックルに、基山は何とか持ちこたえてはいるものの、それも長くは続かないだろうというような状態だ。

 

 

「(俺がフォローにいくか..........いや、違うだろ。俺はあいつらを信じると決めたんだ。だったら俺はあいつらが俺とヒロトの元までボールを運んでくれると信じる...!)」

 

 

「(くっ....!)」

 

「(このままボールを奪えそうだな。悪いが負けるわけにはいかないんだ。勝たせてもらおう!)はあ!」

 

「ぐっ.....(ダメだ...かてない....!)」

 

「っ!....はああああ!」

 

「「っ!」」

 

 

修也のタックルに基山が完全によろめいた時、近くで様子を伺っていた八神が動き出した。

修也へとタックルするかと思いきや、何と基山へとタックルして逆にボールを奪っていた。

 

 

「ぐあっ!....な、なにをするんだ、玲名!仲間にタックルだなんて、どうかしたのか!」

 

「どうかしてるのはあなたの方よ!」

 

「えっ...?」

 

「隼人が私たちを信じてボールを預けてくれている...だったら私たちは、隼人の想いに応えるだけ!違うの!?」

 

「それは.....」

 

「緊張して、プレッシャーに飲まれて....いつものあなたじゃあり得ないわ!しっかりしなさい、タツヤ!」

 

「お、俺は.........」

 

 

「ふっ....ボールは貰うぞ!」

 

 

八神が話している隙に、修也が八神からボールを奪おうとする。

だがその前に、八神がふたたび基山へとボールを渡した。

 

 

「私たちをここまで導いてくれた隼人のためにも...この試合に勝つのよ!」

 

「っ!........そうだ、俺は嵐山さんと一緒にフットボールフロンティアで優勝する....そう願ってここまで来たんだ!今更立ち止まっていられるか!」

 

「っ!」

 

「”サザンクロスカット”!」

 

「ぐっ!」

 

 

基山から恐れが消えた。覚悟を持った男は強い。

基山は見事に修也を抜き、八神とともにふたたび前線へと駆けあがっていく。

さらにそこに緑川も合流してきた。

 

 

「抜かせるか!ここで俺が止める!”スピニングカットV4”!」

 

 

そんな3人の前に、最後の関門として西垣があらわれた。

だが今のあいつらなら、西垣すらも飛び越えていける!

 

 

「いくよ、玲名、緑川!」

 

「ええ!」「いつでも!」

 

「「「必殺タクティクス、”ギャラクティックタワー”!」」」

 

 

ふたたび3人がどんどん連続してボールを上空へと打ち上げていく。

西垣の放った”スピニングカット”も、地上で発生している衝撃波。

その遥か上空へといった3人には届くはずもない。

 

 

「くっ!」

 

 

「受け取ってください!嵐山さん!」

 

ドゴンッ!

 

 

そして遥か上空から放たれた流星のようなパスは、誰にも邪魔されることなく俺へと届いた。

 

 

「受け取ったぞ、基山!」

 

 

ボールを受け取り、俺はそのままゴール前へと躍り出る。

このチャンス、必ず決めてみせる!この試合に勝つのは俺たち永世学園だ!

 

 

「はあああああああ!”バイオレントストーム”!」

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

ドゴンッ!

 

 

魔神と共に放たれた俺のシュートが、木戸川のゴールへと向かっていく。

 

 

「う、うぅ....と、止める!」

 

「っ!(ダメだ、大御所は完全に隼人のシュートに恐怖している...!)」

 

「か、”カウンタードライ”...ぐわああああああああああ!」

 

 

キーパーは何とか止めようとするが、完全に腰が引けており必殺技を繰り出す前にゴールへと押し込まれていた。

 

 

『ご、ゴーォォォォォォォォォォル!ふたたび永世学園が勝ち越し!もはや木戸川も!永世も!フォワードの勢いが止まりません!まさに点取り合戦!果たして誰が彼らを止めることができるんだああああああああああ!』

 

 

「ナイスプレーだったぞ、基山!」

 

「ありがとうございます!」

 

「この調子で攻めて攻めて攻めまくる!この試合、1点でも多く取った方が勝つ!」

 

「はい!もう1点取って、逃げ切りましょう!」

 

 

 

.....

....

...

..

.

 

円堂 side

 

 

「すげえ....”爆熱ストーム”に”バイオレントストーム”か....やっぱりあいつらすげえぜ!」

 

「すごいですね!」

 

「ああ!早く試合がしたくなった!くぅ~!あいつらのシュート、止めるの楽しみだぜ!」

 

「ハハハ...まだ準決勝が残ってますよ。」

 

「あ、そうだった!雷門の奴らも楽しみなんだよな~!」

 

 

あ~!今すぐフィールドに立ちたくてうずうずしてくる!

豪炎寺とも、嵐山とも戦いたい!どっちかとしか戦えないなんてもったいないぜ!

全員と戦えたら良かったのにな。

 

 

「よし!帰ったら特訓だ!」

 

「え、円堂さん...今日試合したばっかりですよ...」

 

「え~!ちょっとくらいいいじゃん!」

 

「コラ!円堂君!坂野上君を困らせない!」

 

「う、あ、秋....」

 

「全く....今日は練習禁止!しっかり体を休めるのも特訓なのよ!」

 

「は~い...」

 

 

ちぇっ....ま、でも秋のいう通りかもな。

今日はしっかり体を休めて、明日から猛特訓だ!

まずは雷門!それから豪炎寺か嵐山!今から楽しみだ!

 

 

.


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