重機動・重火力・重装甲は好きですか?   作:シグマ強攻型

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前回と今回でわかると思いますが、メインヒロインは谷本癒子です。可愛いよね。


第2話 ICレコーダーは常備しています(by光太郎

 

千冬のその言葉がきっかけだった。そのおかげで面倒な事になったと光太郎は思う。

 

 

 

「そういえばクラス代表を決めないといけないな」

 

 

授業中に千冬が思い出したかのように呟き、クラス代表―――簡単に言えば学級委員のようなもの―――を決める流れになった。自薦他薦は問わないと言ったため、クラスの女子が一気に一夏と光太郎を指名し始めた。

 

 

「織斑先生! 俺は「拒否権はない」」

 

 

一夏は必死に逃げようとしているが、千冬はそれを却下。一方の光太郎は―――。

 

 

「やれと言われればやるが……」

 

 

「不破くん?」

 

 

隣にいるナギが首をかしげる。やっぱりやりたくないのかと考えていると、癒子が挙手した。

 

 

「先生! さすがに光太郎…じゃなかった不破くんはやめておいたほうがいいと思います。こいつのことだから闇討ちするに決まっています!」

 

 

「ダメなのか?」

 

 

「ダメに決まっているだろう」

 

 

さすがに千冬からストップが入った。千冬自身光太郎のこれまでを知っているためそのような手段を取ろうとするのは分からないでもない。だが、ここは戦場ではなく学校である。

 

 

「他にはいないのか? いないのならばこの二人から―――」

 

 

「お待ちください!」

 

 

机を思い切り叩いて立ち上がったのは金髪の少女セシリア・オルコット。語り出すのは男をクラス代表にすることへの批判や日本に対する侮辱など。光太郎は気にしていないが一夏は結構限界だろう。

 

 

「(ふむ…親父にでもリークするかね)」

 

 

ICレコーダーでちゃっかり録音済み。これを父親に渡せばいい感じに扱ってくれるだろう。なんせセシリアが言っていることは見方によっては人種差別問題に発展するし、彼女は『代表候補生』である。本人が今自信満々に言っているが将来的に国を背負うエリートだ。そんな人間が差別主義者であると思われたらどうなるか。イギリスは彼女をその座から引きずり降ろそうとするだろう。彼女は理解していないようだ。自分がいる場所が『権力者』―――それも自身が嫌っているであろう『女性に劣る男』にとっては部屋の模様替えをするに等しいくらい薄氷の上だということを。そもそも女尊男卑の風潮が広まったとはいえ権力者の顔ぶれがあまり変わっていないことを考えればすぐに分かるはずだが。

 

 

「(さぁて…どうしようか)」

 

 

クラス代表などどうでもいいが、随分と面白いネタを手に入れることができた。確かオルコット家といえばイギリスでも名の知られた名家。脅しようはいくらでもある。一夏が我慢できずに喧嘩を買ったため千冬の待ったが入った。

 

 

「―――では、一週間後に織斑、不破、オルコットの三人で戦ってもらおう。勝った人間に決定権をやる」

 

 

「お? 俺もか」

 

 

ICレコーダーを停止して顔を上げると幾人かの視線がこちらを向いていた。癒子は疲れたような感じだった。多分、今まで光太郎が何をしてたのかを大体把握しているのだろう。さすが幼馴染。

 

 

「ふん。そっちの男も弱そうですわね」

 

 

「あ? IS使わなきゃ戦えないような素人がほざくな。こっちは生身でISと戦わなきゃならん時もあったんだよ。経験の差でこっちが勝ってるわ」

 

 

実際、中東の紛争地帯では敵がISを投入してきたことが多々あった。その度に罠にはめたりしてなんとか引き分けに持ち込んでいた。そして、自分にはISがある。まだ起動時間は一時間にも満たないが、そもそも益荒男は高機動戦は考えていない。足を止めての面制圧を得意とする。これを考えればわかるだろう。今はまだISの経験がなくとも、少なくともこちらを見下して慢心しているセシリア相手ならば開戦と同時に全火力を持ってすれば一気に片がつく。圧倒的火力で敵を封殺するのは不破重工の十八番である。

 

 

「その傲慢がどこまで続くか見ものですわ…ってなんで鏡を出すんですの?」

 

 

「ん? いや、分かれよ」

 

 

暗にブーメランであることを示唆している光太郎。癒子は頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光太郎! いくらなんでもオルコットさんを甘く見過ぎでしょ!」

 

 

「いや、だってこっちはISと戦ったことあるから、大体の対処はできる」

 

 

放課後、人もまばらになった教室で光太郎は癒子に怒られていた。癒子の後ろにはナギと清香の二人。他にも人はおり、一夏は光太郎といっしょに帰ろうと考えているらしく自分の席でノートを繰り返し見ている。

 

 

「だからって「セシリア・オルコット。所有ISは射撃戦特化のブルー・ティアーズ。その最大の特徴は機体名にもなっている自律移動砲台ブルー・ティアーズ。その兵装には高い適合率を持っているが、未だ操作中は動くことすらできない」……なにそれ?」

 

 

「オルコットのデータだ。生まれから性格、得意とする物、その他様々なデータを入手しておいた」

 

 

ハッキングなどしていない。ただ、父親にICレコーダーを渡して「セシリア・オルコットのデータを求む」と一文を添えたら数時間後には送られてきた。イギリスは今頃どうなっているだろうか。

 

 

「戦う相手の情報を調べあげるのは当然だ」

 

 

「あのさ…ここ学校。戦場じゃないんだよ?」

 

 

一応、光太郎が戦場にいた事は知っている。だがここは戦場ではないのだ。だが、癒子はふと思った。

 

 

「ねぇ光太郎。日本に戻ってきたのって何時?」

 

 

「今日。正確に言えば日本に戻ってきたのは午前三時」

 

 

要するに日本に戻ってきてから一日経っていないのだ。つまり、考え方とかもまだ戦場にいた頃のままなのだ。

 

 

「それなら仕方ないのかな?」

 

 

まだ落ち着いていないのなら仕方ないと考えた癒子。だが、光太郎の場合落ち着いてもこんなんなので同情の余地はない。そう考えていると、自分と一夏を呼ぶ声がする。振り向くとそこには副担任の山田真耶が乱れた息を整えて胸を張っていた。

 

 

「……D……いやF「セクハラするな」拳を回転させるとは…やるな癒子」

 

 

「「(仲いいな~)」」

 

 

光太郎がセクハラ発言をしたためツッコミを入れる癒子。もはや夫婦のような息の合い方である。しかも昼間の婚約者云々のこともあり不破光太郎争奪戦?において癒子は一歩どころか数メートルのアドバンテージがあると判断されていた。一夏? あっちもあっちで人気があるよ。

 

 

「えっとですね。二人の部屋が決まりましたよ!」

 

 

「え? 一週間は自宅から通学じゃなかったんですか?」

 

 

「一夏。俺らの立ち位置理解できているか? 帰り道とかに誘拐されるだろ」

 

 

「あぁそっか」

 

 

一夏の疑問には光太郎が答えた。ちなみにこの時点ではふたりとも同じ部屋になると

思っている。そりゃあ女の園に放り込まれた男二人。ひとまとめにしておいたほうが監視も楽だろう。そう思っていたが―――。

 

 

「えっとこっちが織斑くんの部屋の鍵でこっちが不破くんの部屋の鍵です」

 

 

「「は?」」

 

 

真耶の言葉に固まった二人。先に再起動したのは光太郎だった。

 

 

「あの…聞き間違いじゃなければ俺と一夏の部屋が別々だと…いや、そうか一人部屋ですね」

 

 

例えば一人部屋を2つ用意してそこに放り込む。そのような措置を取ったのだと考えた。無いとは思うが一纏めにすると、二人一緒に誘拐なんてこともありえないわけではない。そう考えると納得できる。だが―――。

 

 

「いえ……その……諸事情で……」

 

 

「「……」」

 

 

その瞬間二人は分かった。あぁ、女子と同室かと。まぁ、光太郎は予測できた。なんせ自分たちはイレギュラー。こうなっては仕方ない。

 

 

「えっと…織斑くんは篠ノ之さんと。不破くんは谷本さんと同室です。一応、気心の知れた間柄のほうが互いにストレスも少ないのではないかと判断した次第で……」

 

 

「よし、癒子。部屋に案内してくれ」

 

 

「おい!?」

 

 

 

「いや、もう悩んでも仕方ないだろ。つーか、俺は寝たいんだよ」

 

 

日本に戻ってからゆっくりと休めていないのだ。さっさと休んでしまいたい。それに癒子ならばいちいち気を使わなくてもいいそう判断して荷物をまとめはじめた光太郎。一夏はまだ右往左往している。

 

 

「光太郎。アンタもう少し戸惑いなさいよ」

 

 

「中東にいた頃は男女入り乱れてタコ部屋で寝ていたんだ。今更どうとも思わん」

 

 

「あっそ。それじゃあ行きましょうか」

 

 

「あ。あとであそびに行ってもいい?」

 

 

「光太郎。いい?」

 

 

ナギからの提案に癒子は少し考えたあと光太郎に判断を委ねた。

 

 

「ん~…まぁ、いいさ。どうせ見られて困るようなものはないし」

 

 

銃火器などはISに格納済み。父親からの連絡も緊急時以外はメールだし、連絡を取らなければならないときは席を外せばいいだけ。そんな光太郎を一夏は信じられない目で見ている。なんでそんなに落ち着いているのかと思っていると、後ろから千冬の声が。

 

 

「まぁ、奴とお前じゃ住んでいた世界が違うからな。それより、お前の荷物だ。中身は私の方で選別しておいた」

 

 

「あ、はい」

 

 

荷物を渡された時には光太郎は癒子たちと一緒に寮へと向かっていくところだった。一夏は微妙な疎外感を味わうのだった。

 

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