「えっと、ということで一組の代表は織斑くんに決まりました。一つながりで縁起がいいですね!」
「なんで!?」
「そりゃお前……俺とセシリアが辞退したからに決まっているだろ」
「そうですわ。それと『一夏さん』。以前は申し訳ありませんでした―――」
光太郎は端末をいじりながら一夏をなだめ、セシリアは一夏へと謝罪を行った。ちなみに光太郎とセシリアが戦ったあと一夏も戦うかどうか話し合われたのだが、学園理事会からストップがかかった。曰く「近接武器しか無い織斑一夏と代表候補生を封殺するほどの火力を持つ不破光太郎を戦わせれば後者が強いのは明白。分かりきったことをわざわざ行うことはない」と。
千冬は色々と言いたいこともあったが、現状一夏が光太郎に勝てるかと問われれば首をふるしか無い。一夏と光太郎では下地が違うのだ。片や潜在能力は高いだろうがそれを腐らせていた少年。片や幼少期から英才教育を施され戦場に放り込まれた少年。どちらか強いかと言われれば後者。まぁ、一夏も負けず嫌いな部分があるので少しは奮起するだろう。
「まぁ、安心しろ。俺が鍛えてやるよ。IS以外はな」
「……俺軍人になりたいわけじゃないんだけど。つーか、なんで光太郎はクラス代表じゃないの?」
「いや普通に考えればわかるだろ?」
セシリアとの和解も終わった一夏は何故光太郎がクラス代表じゃないのかと首を傾げた。自分と光太郎とセシリアを比べた場合最弱は自分だ。なのにどうして。光太郎はわかって当然とばかりにこちらを向いている。セシリアを見ると苦笑している。
「えっとですわね。簡単に言いますと学園上層部からストップがかかったらしいのです。不破くんのISの火力が圧倒的過ぎてワンサイドゲームになるからと」
「お陰で学内の公式戦に出る場合は武装制限されたよ。せっかく徹甲弾とか榴弾砲とか用意したのに」
「少しは自重しなさいよ!」
光太郎が至極残念そうに呟くと癒子がハリセンで叩いた。光太郎は机に思い切り頭をぶつけて煙を上げながら気絶してしまった。腰の入り具合やハリセンの振り下ろしなど一流の剣士のごとく。箒が感心したように息を漏らしていた。
「織斑くん。ごめんね?」
「い、いや別に……うん」
確かに光太郎の試合を見れば出るなと言われるのも納得できる。上層部があの視界を埋め尽くす程の弾幕の展開は下手をすれば学園で勝てるものはいないと考えるのも仕方ないのだろう。その後、千冬がやってきたので生徒たちは授業に集中することになったが、光太郎はしばらく気絶したままだった。
「では、専用機持ちは前に出ろ」
「「はい!」」
「なんか首の調子がおかしい」
実技の時間に専用機持ちが前に出て千冬の言うとおりに機動を行う事になった。光太郎は首をさすっていたが。
「では三人ともISを展開しろ」
「「はい!」」
「了解」
セシリアはさすが代表候補生というべきかすぐに展開できた。光太郎は左腕に付けられている小型端末のスイッチを押して展開、一夏は暫く集中していたがイメージが固まらなかったのか叫んで展開していた。
「オルコットは及第点だが…残りは理由を説明してみろ」
「いや、すんません。手早く展開するならこっちのほうがいいかと思いまして」
「……イメージって難しいですね」
「はぁ……まあいい。二人共イメージインターフェースに慣れておけ」
「「はい」」
光太郎としてはイメージインターフェースよりもスイッチによる起動などのほうが信頼できていいのだが仕方ない。というより、イメージインターフェースは怪我を負った時などに使えなさそうなのが不安なのだ。
「では次に武装展開だが……不破。分かっているな?」
「イエスマム。列車砲は出しません」
「……武装は遠近それぞれ一つのみだ」
早速武装制限をかけられた。ただ武装展開はさすがというべきかセシリアよりも速かった。そこは千冬も褒めていたが、展開したのがIS展開状態でも銃座を使わなければならない程の大口径のガトリング砲だったため千冬より許可を出された癒子により鎮圧された。
「それでは次は飛んでみろ。そうだな……大体100メートルくらいだな」
とりあえず、一番速かったのは光太郎だった。何しろスラスター出力が並ではない。あえて言うならまだ機動が不慣れな一夏が吹き飛ばされるくらいの加速だった。
「よぉ。遅かったな」
「なぁ…どうやらお前らみたいにうまく飛べるんだ?」
「イメージ次第としか言いようがありませんわ。でも、不破さんがここまでできるのは意外でしたわ」
「まぁ、輸送機から作戦ポイントに降下とかしていたからな」
一夏はどうすればうまく飛べるのかを質問するとセシリアはイメージ次第と返答。一方で一夏と同じく初心者である光太郎が何故うまく飛べるのかが疑問でもあった。光太郎からの返答は、中東において空挺作戦を行った時の感覚で動かしているとのこと。一夏が二人にどうすればいいかと聞くとセシリアは角度云々言い始めたので、それを抑えつつ光太郎が助言。
「最初は水の中を泳ぐ感じでいいと思うぞ? そこからゆっくりと慣れていけばいい。まぁ、放課後とか訓練した方がいいがな」
「なるほど。じゃあ、光太郎にセシリア。付き合ってくれるか!?」
「え、ええ! 勿論ですわ!」
「まぁ、俺は暇な時にな」
セシリアはいの一番に承諾した。それに苦笑しつつ光太郎も承諾するといきなり通信が繋がって早く降りてこいという千冬からの指示が飛んできた。そのさい地面から決められた高さで静止するようにも。
「お先に失礼しますわ」
セシリアはウインクを残してきっちり降下した。千冬からも合格と言われていた。次はどっちが行くかと相談した結果、一夏が先に行く事になった。やはりまだなれないのか地面に大穴を開けてしまったが。
「さすがにあそこまでの失敗はしないと願いたいが……」
光太郎は覚悟を決めると地面へと向かった。空挺作戦の時とは勝手が違う。ディスプレイに映る高度を確認しつつ地面に足を向けてスラスターを噴かす。少々の砂埃を立てながら光太郎は地面に足をつけた。見ていた生徒たちはすごいなどと言っていたが、千冬の顔は厳しかった。
「さすがというべきなんだろうが、私が命じたのは静止だ。残念だが不合格だ」
ただこれには千冬も光太郎の生活等を鑑みて仕方ないと思っているのか、それ以上何も言わなかった。まぁ、地面に大穴を開けた一夏の補助を命令してきたが。
「いいか一夏? 手っ取り早く土を掘るやり方は―――」
「いや埋めるんだよ?」
「馬鹿野郎。戦場じゃあ穴掘るのも埋めるのも同じ事だ!」
とりあえず、益荒男に格納されていた軍用スコップを手渡してせっせと穴を埋めていく光太郎。その手際の良さは千冬ですら感嘆するほどだった。
「つーか、なんで俺がメインでやってんだよ!」
「ご、ごめん」
ただ8割がた埋めたところで自分が一夏を引っ張る形で穴を埋めていることに気づいてスコップを叩きつけていたが。ちなみに穴を埋めるのは授業終了後30分ほどで終わった。
「つ、疲れた~」
「だが穴掘りは筋トレとしても充分効果あるぞ? ただ、穴掘って埋めての繰り返しはSAN値がガリガリ削れて発狂するけど」
「マジで?」
「人を手っ取り早く発狂させる方法はなんの生産性もない単調作業をひたすら繰り返すだけでいいらしいぞ?」
「うわー」
二人でスポーツドリンクを飲みながら教室に向かっている途中なのだが、汗も書いているため光太郎は制服の上を脱いで肩に乗せ中のタンクトップ姿を晒しながら、一夏も制服を着崩しているため傍から見れば注意ものだろう。これが男子校や共学だったら問題なかったかもしれないが一応は女子高である。
「光太郎……少しは周りの目を考えなさいよ! ここは日本の女子高よ!? 男子校でもなければ戦場でもないんだよ!」
「ごめんなさい」
教室についたら二人して騒がれて癒子に怒られたためすぐさま土下座で謝った。最近、一組女子の間では「癒子>光太郎」の図式が成立しており、何時になったら彼氏彼女の間になるか秘密裏にトトカルチョが行われている。ちなみに、胴元はナギである。
「織斑くんも! 男二人で作業していたのはわかるけどシャキッとする!」
「は、はい!」
「あれ? 癒子って委員長だったか?「なんか言った? はやく上着をきろ」イエスマム」
癒子が一夏も注意して、無駄口を叩いた光太郎には低い声で威圧する。その迫力は光太郎ですら冷や汗をかくくらいの威圧だったとだけ。
時は流れて放課後のIS学園食堂。現在ここでは食堂を貸しきっての織斑一夏クラス代表就任パーティが行われていた。ちゃんと他生徒が全員夕食を摂ったあとなので問題はない。
「というわけで、織斑くんのクラス代表就任を祝いましてかんぱーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
「いやーみんな元気やねー」
「こーたろー……オヤジ臭いよ」
乾杯をしたばかりだというのにやけにテンションが高いクラスメイトたちを見ながら光太郎は焼きそばをモソモソと食べながら黄昏れていた。
「しかし一夏はモテるねぇ。別に羨ましくはないんだが」
「そうなの?」
「だって対応が面倒じゃん」
「ぶっちゃけたな」
「こいつは素で思ってるわよ」
女子に囲まれている一夏を見ながらお茶を飲む光太郎。そして光太郎の発言に突っ込むのは三人娘。状況的には光太郎も変わりはない。
「こんちゃーす! 新聞部でーす! ちょっとこのクラスに居る二人の男性IS操縦者の方にインタビューをしにきました!」
「一夏~。ブン屋の対応任せた。俺、マスコミ大嫌いなんだよ」
「なんで!? 初対面なのにひど過ぎない!?」
「だって、事実だから仕方ない」
勿論、全員がそうではないのは分かっているのだが中東にいた頃はマスコミが有ること無いこと書き立ててくれたおかげで街が一つミサイルの雨の中に消えたことがある。『情報』が人の命より貴重な戦場において『情報』に踊らされているマスコミは非常に厄介なのだ。例えば、嘘の情報を掴まされているのに「この情報を発信すれば傷つく人は減る!」と無駄に正義感を発揮して情報発信した結果、それが政府軍がゲリラを一網打尽にするための情報で街が一つ消滅したなどとろくなことがないのだ。
「光太郎。別にいいじゃないか」
「……」
一夏が仕方ないなとばかりに光太郎に歩み寄ってくるが、光太郎の一夏を見る目は冷たい。そもそもマスコミの過剰報道のせいで面倒な事に巻き込まれているというのにと思うがそれも一瞬。大きく息を吐くとこちらを見つめる黛薫子に向かい一言。
「黛女史。一夏の発言は捏造するのがオススメだ。どうせテンプレ発言しかしないだろうし」
「だよねー」
「うぉい!?」
「とりあえず、クラス代表になった感想は「俺に触れると火傷するぜ」にしておきましょう」
「いいねぇ。でも、もっとキザにしてみようよ」
「待って! ねぇ待って!」
一夏を置き去りにどんどん決まるインタビュー内容。しかも、他の生徒も面白がってあれこれ脚色し始めた。ちなみに、一夏は光太郎に羽交い絞めにされて止められない。
「光太郎離せ! このままじゃ色々と大変なことになる!」
「諦めな。情報を軽視したおまえの責任だ」
「いや、関係無いだろ!」
「とりあえず、この言葉を贈ろう―――残念だったな!」
結果として、自己紹介は「俺に触れると火傷するぜ」意気込みは「俺の美技に酔いな」になった。ひどいものである。ちなみに光太郎の方は「マシンガンから気化爆弾まで兵器のことなら不破重工におまかせを」と「いつもニヤニヤ、あなたの体に降り注ぐ鉛雨。這いよる益荒男、不破光太郎です」である。こっちもひどい。
余談ではあるが、不破重工本社より光太郎の端末に「中国の代表候補生がIS学園に編入した」というメールが届いていた。
お久しぶりです。いやぁ……なかなか時間が取れませんな。
とりあえず、これからもよろしくお願いします。あ、ついでにAFはどんどん出てくる予定です。
さて、ここでちょっとアンケート的なものをとりたいと思います。簡単に言えば亡国機業サイドにオリキャラを入れたいなぁと。キャラは出来上がっているのですが、使用するISをどうしようかと。
1.コードネーム「ハスラー」、使用IS「ナインボール」
2.コードネーム「エヴァンジェ」、使用IS「オラクル」
これで分かった方もいると思いますが、不破光太郎と対の存在を作ろうかと。不破重工が「リンクス」なら敵は「レイヴン」にしようかと。
とりあえず、よろしくお願いします。
PS.久しぶりにacfaのオンラインをしたら開始1分で掘られました。やっぱ勘を取り戻してからのほうがよかったか。