天竜王におれはなる!   作:リリーカーネーション

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まえがき

※作品の出来にかかわる話※
読み直して気づきましたがいくつか入れるべき文言が載ってなかったので修正します。
書いて消してしてる内に人物紹介や伏線まで消えてその後しれっと出てくる場合があります。
まず完成させてから投稿しろと言う話ですがどうかご容赦を。頭の中ではできているのです。

追記
魚人同乗の理由を足しいくつかの表現を修正しました。
その影響で「ここすき」がずれてしまいました大変申し訳ありません。


第三話 聞いた話とちがうじゃない

 

 

 三秒でわかる前回のあらすじ。

 

 

 1,オハラの件でクザンを脅してコーティング軍艦一隻と海兵と黒腕のゼファーを用意するよう言いつけ魚人島との関係改善のために旅立てるよう一か月の猶予を与えた。

 

 

 結論。クザンを手駒にしたが嫌われた。

 

 

 とはいえそれはいわゆる、コラテラルダメージというものに過ぎない。軍事目的の為の致し方ない犠牲である。

 彼は有能な怠け者であり例え悪が相手だろうが義理人情さえ通せば話は通じ最終的に不義理さえしなければ後ろから刺されるようなこともなくそれでいて仕事はきっちり熟してくれるのだ。

 

 故に心配ご無用。

 やはり心配すべきはわが身である。

 金獅子のシキ、ダグラス・バレットに関しては一度政府の監獄に収監されるのでその時にどうにかしよう。もっとも、中将(クザン)経由で確認を取ったが両方まだなのでこれは置いておく。

 

 

 目的の魚人島とは海底1万mにある魚人の国だ。魚人とひとくくりだが厳密に住んでいるのは上半身魚の魚人と下半身の人魚の二種であり、うち人魚は種族的に魚類とコミュニケーションを可能としている。だがこと王族に関しては少し事情があり、隔世遺伝か先祖返りか、幾代に一度この海の野生最強種である海王類と会話できる個体が生まれるのだ。

 

 そしてその個体こそ俺がハーレム入りを狙っているしらほし姫。

 

 巨乳はもとより、その容貌はあまりの美しさに女好きの料理人を石化させるほど。この世界はどうやら魅了が限界突破すると石になるらしい。メロメロの実の原理が一端を垣間見た瞬間である。ということはどこか自然界にきっとノロマ光子もあるのだろう。

 なればこそ俺も思いを馳せよう。かの物も実在するのではと。そう、エロエロの実に。

 

 朧気だけど偉大なる原作者がSBSで言及してた気がするんだよね、エロエロの実。実在すればスケスケの実より人気出るんじゃないかな。母なる海に母なる大地。やはりこの世はおっぱいで回っている。

 

 ⋯⋯いやまさかワンピースの正体って!?

 

 謎の真相を探るため、我々調査隊はアマゾン(リリー)の奥地へと向かう事を決意した——

 とか、なんとか、話が脱線してしまった。きっとクロール泳ぎのカエルがぶつかったのだろう。

 

 

 さて、天竜人ならば命令すればいいものをなぜこんなせこせこ手間をかけて根回ししなければいけないのか、しらほしを狙うのになんでこうも面倒なのか説明すると、彼女が悲しむとその「声」を聴きつけた海王類が押し寄せてくるからである。これがどれだけヤバいかと言えば、海王類はこの広い海原ですくすく育った結果km級などザラであり、ものによれば島よりデカイ個体もいる始末。彼らからすれば人間などノミも同然。

 これ海軍で勝てる?勝てないね!勝てるなら俺は悩んでない。

 

 故に彼女のげっちゅを万全に行うには程度に好感を稼いでおくのが必須⋯⋯のハズだ!

 

 そのうえで「タイプじゃないんですっ⋯⋯⋯⋯!!」された時は、そん時はそん時である。

 

 あと気を付けるべきは魚人島への道のりは非常に危険だという事。生物、自然現象には権力でもかなわない。さらに水中は魚人の独擅場で()()を起こすにはもってこいの狩場。

 なので諸々の対策として魚人奴隷を連れて行くことにした。それもできるだけ虐められてないのを。乗れば人質、道案内。着いたら恩赦で売名行為。一石三鳥の名案である。

 

 

 魚人島出航当日の朝、海軍本部よりほど近いシャボンディ諸島の港には要求した通りのすべてが揃っていた。

 諸島と言っても巨大なマングローブ群の上に住んでいるだけであり、その樹液は非常に強靭なシャボン玉を作り出せる。この樹液をあれこれしたジャンボシャボン玉で船をコーティングする事で物理法則が何やらかんやらし内部に空気を蓄えたまま浮力を失い疑似的な潜水艦として使えるのだ。

 そのうえで勝手に沈降しないよう浮きが括りつけられた軍艦が一つに、目算3ダースほどのぴかぴかな海兵が半歩ほどのズレもなく行儀よく整列し、その前に上官だろう、彼らより二回りほど体躯が良い薄紫の頭髪にノンフレーム眼鏡の真面目そうな男が立っていた。

 

 クザンに押されたベビーカーがシャボンの膜を通り抜ける。

 

 

「この度、レリエル聖のご厚意により特別訓練航海を行えること、恐悦至極につき。代表してお礼申し上げます。 総員敬礼!」

 

 

 揺らす足音。渡り板から甲板に降り立つと、紫の男の声を合図に一糸乱れぬ動きで敬礼で迎えられた。

 

 彼こそがゼファー。

 正義を愛し、どんな悪も法の下で罰することを信条にしていた海兵、海の男である。

 元海軍最高戦力が大将にして退役後は教官として現在進行形で未来の強者を量産する生ける伝説。語り継がれる名は「すべての海兵を育てた男」。さらに言えば不確定ながら今後退職金代わりに武器弾薬戦術級兵器を持ち逃げして過激派組織を起こし一つの海を地獄に変える可能性すら秘めている等あらゆる意味で海軍を語るには外せない人物だ。

 

 なお今回の事は全てクザン伝いレリエル名義で通してるので当日来たのが赤ん坊で大変困惑していることだろう。ゼファーは取り繕っているが残りの顔に出ている。「え、何?聞いてないんだけど」と。

 言ってないもん。

 

 とはいえ彼らは手を抜けない。

 彼らからすればクザンも被害者に見えるだろう。失敗すれば責任はクザンへ向かうのだと。たとえそれがどんな無理難題でも、天竜人に「やれ」と言われればやるしかないのだ。

 理不尽に、全てを押し付けられる。それが責任者。

 さて君たちの生徒であり先輩であり上司同胞である彼を助けられるかは働き次第。存分に結果を出して欲しい。

 

 出港から数秒で遠のく地上世界。揺れる水面が旅路が登っていくにつれ時間や距離が曖昧になる気がした。

 闇深く、重圧と無音に押し固められた海底1万mにある国とはどのようなものか。連れてきた元奴隷達の案内で進む船の一室からは相変わらずなにも見えない。

 何時間たっただろう。ある時、海中に灯りを見つけた。

 光を通す巨木、陽樹イブの根の間。魚ですら夜を恐れるように静かだった海でそこだけが賑わいを見せている。海藻なのか、今までにないエメラルドグリーンの色彩が入ったことで熱帯魚の水槽を思わせる光景だ。甲板で立ち尽くす海兵に何か思う事も忘れ、俺も見惚れてしまう。

 

 でもちょっと、なんか違和感。

 

 小さな熱帯魚のようだった魚が、みるみるデカくなり、ついに戦艦の横をより巨大な金魚みたいなのが通った時には喉が鳴った。漫画と感想全然違うわ。やだこの海怖い……怖いよぉ……

 なお同乗する魚人達、大人2子供3はなんてことなく、帰郷をただただ楽しみにしてる様子。君たちよくこんなとこに住んでられるね!?

 

 まあ追い立てたのは人間なんだけど。

 

 そんなこんな微妙に呼び難いが海底の天国とも呼べる場所の一角にある、島すら内包したジャンボシャボン玉。これはどういうわけか浮き沈みせず固定されてるが、この超大型ジャンボシャボン玉こそ魚人島、リュウグウ王国だ。

 超大型ジャンボシャボン玉の中には空気があり海があり陸があり空があり昼と夜がある。草花の代わりにサンゴなどが生えてる以外は普通に人間の国と変わらない。前述のように住民には人魚もおり、当然陸上行動は困難なのにもかかわらずだ。

 それに関してはジャンボシャボン玉は空気中では浮く性質があるので、人魚は浮き輪のように中型ジャンボシャボン玉を纏う事でそれを克服している。ある意味バリアフリーな国。

 

 とはえ入港からのアウェイ感は否めない。

 港には見物だろう住民がまばらに集まるも歓迎とは程遠く、その視線には少なからずの悪意を感じる。正直甘ちゃん前世な俺としては「殺気だってる」と言っても過言ではないくらい怖い。

 なので俺は降りない!クザンと2人で待機である!

 

 よく見りゃ髭を蓄えた体長4m程度のシーラカンスの人魚(♂)を中心に偉そうなのも集まってるが例えそれが国王のネプチューンだったとしても俺は降りない。挨拶もなし。絶対にやだ。

 その旨を伝えるよう命じゼファー一行は下船させ、当初の予定通り奴隷解放と特別強化合宿訓練を行ってもらう。

 

 

 これから1ヶ月。船内のみの特別暇な日々が始まろうとしていた……

 

 

 がしかしその暇すら無駄にしないのが俺である。

 とっとと電伝虫を取り出して地上へ繋ぐ。その数5匹。

 カタツムリにも似た拳大のこの生き物は離れた同族と念波だか電波で交信し、その特性に目をつけられてマイクやらファックスやら外付けで改造することにより、前世でいう電話として機能するのだ。

 連絡先はそれぞれ東の海、西の海、北の海、南の海、シャボンディ諸島の有名オークションハウス。そこにいる代理人だ。

 

 ある意味本当に天竜人でよかったと心底興奮する。「これは確かに、天竜人だけの特権だろう」と。前世で憧れた権力を噛みしめる。全読者が一度くらい妄想しただろうアレが手に入る待望の瞬間だ。

 

 繋がったのか電伝虫が喋りだす。果報を期待し心臓バクバクである。

 

 

『こちら東の海(イーストブルー)! 繰り返します。東の海(イーストブルー)!』

「私だ。首尾はどうだ?」

『はッ! 競り落としたのは一つ!これで全てです! 話によると超人(パラミシア)系だと思われます!』

 

 

 悪魔の実がひとーつ。

 

 

『こちら西(ウエスト)! 入手数2分の2。両方とも図鑑に載っている動物(ゾオン)だと確認しました!」

 

 

 悪魔の実がみーっつ。

 

 

『こ、こちら北の海(ノース)! も、申し訳ありません。残念ながら一つも……。 偶然にもジャルマック聖が同席され、それで……!』

「なるほど。それはしょうがない。帰還しろ」

『は、ははぁッ!!』

 

 

 あちゃ〜「5億で買うえ〜〜!!!」されちゃったか。流石にそれで競売しろてのは自殺行為だな。

 まあいい次がある。

 

 

『こちら(サウス)ですが、出品されたのは一つです! あ、競りが、今!今始まりました! 名称不明。図鑑のものとは合致しません!』

(サウス)に告げる。天竜人の名の下になんとしても落とせ。いいな?」

『はッ!はいッ!』

 

 

 よっつ……

 

 

『こちらシャボンディ班。出品された二品は落としましたが、どうやら駆け込みで明日また一つ出るようです。 手に入れたのはどちらも動物(ゾオン)。明日のはわかりません』

「結構。 北のが競売で他の天竜人に買われてしまった。なんなら今のうちに無理言って買ってしまいなさい」

 

 

 そう言って通話を切った。これで全てだ——今日の所は。

 呼吸が荒い。少し。落ち着いて確認しよう。

 超人(パラミシア)が1つ、動物(ゾオン)が4つ、不明が2つで締めて7個。——7個!?

 一呼吸おいておもむろにガッツポーズした。ていうか出た。

 

 目眩がする。

 こんな事ってあるだろうか?

 許されていいのか?

 おお、神よ……というか俺だ、俺が今は天竜人(かみ)だ!

 いいんだよ天竜人だから!!

 天竜人だからできるのだ!!

 

 

 (われ)が 神なり。

 

 

 そもそもである。説明もなしにエロエロの実だのメロメロの実だの飛ばしたがこの世界には食べるだけで超能力が得られる「悪魔の実」というものがあり一般人目線では一生に一度もお目にかかれないほど希少ながら市場ではスタイル抜群で美人で驚くと変顔する癖がある人魚が5億する横で1〜50億程度と大変お買い得になっている。

 え、高い?レリエル君的には端金ですよ。だって天竜人だもん。

 

 天竜人が奴隷と遊ぶ(オブラート表現)一環で、無理やり食わせたりする程度に悪魔の実を所持している描写はあったが、まさかここまでとは、よもやよもやである。

 

 喜びに任せ軍艦の中の狭い室内をベビーカーで飛ばしているとドアが叩かれた。

 恐らくクザンだろう。彼もまた魚人島で私の望む物を手に入れてきたに違いない。

 護衛と言えど彼はヒエヒエの実の能力者。冷気を操りドア前の通路を氷でギチギチに詰めれば少しの間、例え怪力を誇る魚人だろうと侵入は難しく、安全を確保した上でお使いにいかせていた。

 

 

「ハァ……。 ……クザンです」

「どうぞ入りたまえ」

 

 

 帰ってきたクザンは、何故か親近感の湧く目になっている。

 それで例のものはどうした?と聞けば、物凄く嫌そうな顔で懐からA4サイズの茶封筒を取り出した。俺は礼も言わずにすかさず引ったくって中を覗き込んだ。そしてほくそ笑む。

 ……やはり、実在した!

 

 

「ふふふ…… 流石だよクザン君。これでわざわざ魚人島に来たかいがあったというものだ。 手に入れるのは苦労しただろう。こんな事は本来海兵の君に頼むべきじゃないのは重々承知。本当に申し訳ない。だが、必要なのだ」

「勘弁してくださいよォ。こんな事、ゼファー先生にバレたら、殺される……」

 

 

 珍しく余裕のないクザン。

 心配いらない。これは僕と君との共犯だ。同罪だよ。などと言えば「片棒を担がせないでほしい」と言われるだろう。だがこの書物にはそれだけの価値がある!人魚姫を狙う俺にとって重要な人魚の秘密がここにはあるのだ!!

 表紙を開き、いざ神の名の下に、苦しみなく古の封印(ふくろとじ)解き放たん——

 

 

「現職の中将捕まえてエロ本買いに行かせないでくださいよマジで」

「くっ……! ふふっ……ふふふふふくっくっく…………くはははは!はーっはっはっは!! 素晴らしい!素晴らしいぞクザン!! 君も読むかね!?」

「いえ、遠慮しときます。 一応職務中なんで」

 

 

 これから帰るまで船に籠るってのに、こーゆーのがなきゃやってらんねーでしょーが!!

 第一これはただのエロ本ではない。人魚のエロ本だ。希少だぞ。

 こらそこ「人魚ってほぼ全裸じゃん」とか言わない。その気を持ってエロい格好してることに意味がある。

 見えたパンツと見せられたパンツは違うのだ。うーむ至言である。

 

 漢の夢(オールブルー)をしかと目に焼き付けていると。いつまでもクザンが俺を見ているのに気づく。なんですかね?

 

 

「……何か言いたいことでも?」

「いえねェ? ゼファー先生に魚人空手を叩き込むのがあんたの立てた計画でしょう。でも言えばゼファー先生も協力してくれると思うんすよ。同行して睨みを利かせなくても。 あんたには何か目的がある。それも天竜人が必死になるような。だってのにエロ本読む為だけにここにいるのも変でしょ? ……だからまーだなんかあるんじゃないかって」

 

 

 なるほど、いい線行っている。

 パラパラとページをめくりながら、なんとなく俺は喋った。

 

 

「私は海軍を強化したいのです。早急に。それと同時に海賊の弱体化も。 そこでなぜ魚人空手を選んだと思います?」

「魚人空手って確か水がどうのってやつっスよね。 そのせいで本来物理的なのを無効化する自然(ロギア)系にも効くって言う。俺としてはめんどーな技ですよ。 ⋯⋯でも、それで能力者の海賊に強く出れるってのも安直でしょ」

「そうです。それは副次効果に過ぎない。 答えを言いましょう。私は魚人を海兵にしたい」

「……魚人、海兵っスか。でもそれは……」

 

 

 ——無理だろう。

 

 飲み込んだが、クザンから出かかった言葉。それだけ根深い歴史がある。

 とはいえかつて化け物と恐れられた巨人族は、海兵に迎え入れられた事で近年は大衆に認められつつある。マザー・カルメルの功績だ。彼女はそれに50年だか30年を費やしたが、できないわけではないだろう。

 

 だが差別とはする側とされる側、双方に影響する。どれだけ海の平和を守ろうと所詮海軍はよそ者であり英雄譚も他人事なのだ。

 しかしそんな状況で多くの魚人に認められた『人間』がいる。

 

 

 四皇が1人、通称白ひげ、エドワード・ニューゲートだ。

 

 

「ここ2年。ゴールド・ロジャーが死んでから海賊は増えました。なぜです?」

「そりゃあ『ひとつなぎの大秘宝』っての求めて、偉大なる航路(グランドライン)を……」

「そう、偉大なる航路(グランドライン)。 海賊王をめざすなら誰もズルできず踏破しなければいけない道のり。 魚人島はその中間地点です」

 

 

 この世界の海は、少なくとも海上は大陸により2つに分断されている。故に海中ルートは必ず通らなければならない。

 今回は何事もなかったが、危険な道のりだ。途中にある島は魚人島だけ。

 補給を求めた、あるいはついでに人攫いをする海賊が大挙して押し寄せるだろう。

 

 だが海軍は守らなかった。

 だから白ひげが守った。

 では今回は我々が守りましょう。

 

 

「海軍が立ち寄ってる間は事件を起こさないでしょう。ましてや天竜人がいれば」

「……でもこの島の平和のためだけにここにいるってワケじゃないでしょ?」

「その通り。これは外交戦でもあります。しかし溝は深く、仲良くお話ししたところでどうにもなりません。まず会話でどうにかできるとこまで修復しないと。 だから行動で示すのです。何年も、何度も、我々がここにいる事で犯罪率を下げる。 彼らが海兵に志願してくれるように」

「…………だからこそのゼファー先生、か。 真面目だもんなァ。 あー、でも国王追い返しましたよね」

「天竜人が今更下手に出ても違和感がありますからね。相手側に、「天竜人と話せるまでのサクセスストーリー」、苦労を差し上げて、納得しやすくするんです」

「はァ……。 正直わかんないです」

「頑張って得たものが無価値だとは思いたくないでしょう? 頑張らせるんです」

 

 

 会話はそこまでだった。ただ帰り際にクザンが吐き捨てる。

 

 

「本当の目的がどうあれ、確かにそりゃあいいですよ。でも魚人を魚扱いしてるのは天竜人だ。 まあ、あんたに言ってもしょうがないっスけど……」

 

 

 そうしてドアは閉じられた。

 クザンの言い分に否定のしようはない。全ては事実。

 

 だからこそ、俺は最後の最後に、しらほし姫を口説けると思っている。

 母の遺言を守るために母を殺した犯人すら恨まなかった強さ。それを利用するのだ。

 

 国のため、同族のため、みんなのために。どうか俺の妻(第n夫人)になって欲しい。

 

 魚人も、人魚も、巨人も手長も足長もトンタッタもミンクその他諸々。俺との子供ができたとしよう。「人間」だけで構成された天竜人の一族に発生した多量の天竜人ハーフ。彼らが未来を変えてくれる布石になるのだ。

 

 

 たぶん!

 

 

 そこら辺はまあどうでもいい。

 だってそういう建前なのだから。

 

 

「過程はどうあれ結果が全て。勝てばよかろうなのだ〜、なんて。 ……ん? 緊急用電伝虫に連絡が……」

 

 

 天竜人権限で訓練航海の邪魔にならないよう取り上げておいたそれが、引き出しの中でモゴモゴ稼働している音がした。

 なんだろうか。海底の部隊まで呼び戻すなんて。目的があるとすればクザンかゼファーだし、よほどのことだろう。

 代わりに聞いてやろ。鼻を摘んでレッツ風邪声チャレンジ!

 

 

「もひもひ、ゼファーだが。なにか——」

『ぜ、ゼファー教官! 大変です! 至急海軍本部にお戻りください!』

 

 

 全く騒がしい。

 そう冷ややかな態度でいた俺は次の言葉でエロ本を取り落とす。

 

 

『脱獄です! い、インペルダウンレベル6から……大海賊、金獅子のシキが脱獄しましたッ!!』

 

 

 ⋯⋯は?

 

 あれれ~おかしいぞ? その人まだ収監されてないハズなんですけど……

 

 

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